社長の夢実現への道

製造業の生産リードタイム短縮は5S活動から

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製造業が生産リードタイムを短縮するメリット

生産リードタイムの短縮

リードタイムにはいくつかの種類がありますが、製造業で気になるのは生産リードタイム(製造リードタイム)でしょう。生産リードタイムとは、生産ラインの先頭から製品が完成して出荷するまでの時間のことです。

生産リードタイムが短縮されると、生産コストを下げることができ、また納品を早く行うことができるので、お客様が喜びますし、資金の回転率も高まることでしょう。そうすると、会社の競合他社との競争力が高まり、市場で優位な立ち位置に立つことが可能となります。

少しでも生産リードタイムを短縮することは、製造業での永遠の課題です。しかし、生産リードタイム短縮を成し遂げるためには、経営者のやる気と意思決定、現場での目標達成の意欲などが大切になります。

生産リードタイムを長くする無駄が発生しやすい場所

製造業現場では、いくつかの部門が担当します。主なものは、倉庫・物流部門と生産部門です。それぞれの部門に無駄が発生しやすい場所があります。

倉庫・物流部門では、原材料や仕掛品、完成品の運搬と保管場所で、生産リードタイムを長くする無駄が発生します。場合によっては、納品ミスによる思わぬ無駄が発生する場合もあります。

生産部門では、一般的に機械の故障や品質不良がもっとも生産リードタイムを長くする要因です。

5S活動による部門毎の生産リードタイム短縮方法

それぞれの部門にて無駄を削減し、生産リードタイムを短縮するためには5S活動がとても大切です。それぞれの部門毎に、5S活動での生産リードタイム短縮の事例をご説明いたします。

倉庫・物流部門での5S活動(自動車部品製造工場 T社様)

自動車部品メーカであるT社様は、売上約15億円程度の規模ながら、ティア1(Tier1)企業の下請け企業として貢献していたが、納入リードタイムの低減が親会社から要求され、それに対応できずに苦しんでいた。

当面は、納入リードタイム(出荷から納入までの時間)を守るため、大量の部材や、中間仕掛在庫、完成品在庫を抱えることで、対応していた。余分な在庫量が増えるため、生産リードタイム(ライン先頭から出庫まで)はその分、長くなる。

小型成型機は20台ほどあり、製品切り替え時には、オペレータが自ら持ち場所を離れ、材料倉庫まで行き、必要分を設備まで運搬していた。材料倉庫は狭く、リフトの通路が確保されず、「先入れ先出し」が困難であったので、倉庫手前に置いてある後入れ分を一時的にリフトで取り出し、奥にある材料を取り出す「先入れ後出し」がしばしばであり、型段取り、調整時間込みで設備が止まっている時間は2~3時間のこともしばしばであった。

そこで、原則通り、「先入れ先出し」ができるように倉庫を改善することを決め、製造業改善コンサルティングを実施した。

空き時間を利用しトラックの荷台を活用するなど、在庫を一時的に他の近くの場所に移し、奥までつながる通路を確保することができた。その結果、設備の停止時間は、他の改善も合わせ、型段取り、調整時間を含めてほぼ1時間以内でできるようになり、大幅にライン内の在庫量を減らすことができた。

結果、生産リードタイムが1~2時間と大幅に短縮できた。

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生産部門での5S活動(乳製品の製造工場 K社様)

乳製品の製造を行っているK社様は、生産能力増強のため、旧式で中古の設備を2台導入し、受注増に対応しようとしていた。しかし、導入した機械が不良品だったため、不良率が60%、歩留まり率が40%で大問題となっていた。

ところが、不幸中の幸いか、私がコンサルティングを担当していた従来ラインで、重要工程の設備2台分は、それまでプロジェクト活動で、生産性が大幅に改善されていたので、結果的には、顧客に迷惑をかけるといったことはなかった。

ライン全体をスルーで見て、もちろん主要工程でも不良品が発生しており、その改善にエネルギーを集中した。その結果、5Mベースで設備そのものが問題であることがわかった。さらに設備を深く観察することにより、特殊加工を行う部分の部品にガタがあり、その部品が摩耗していることが、不良の発生原因であることが判明した。たまたま予備部品が1つあり、取り換えることでガタはなくなり不良はなくなった。

結果的に、部品の交換やその他の対策による相乗効果で、不良率は5%程度に低減できた。

設備の予備部品の置き場所の5Sが悪く、部品の有無を確認するのに手間取ったことが、不良が予想以上に多発してしまった理由であることが判明した。工場の責任者と共に予備部品管理の方法を見直し、予備部品の置き場所を明確にして表示をした。さらに発注点管理の見える化などにより、故障しても、必要な予備部品をすぐに取り出し、不良部品と交換できるような仕組みづくりに落とし込むことで、不良品多発の再発防止を可能とした。生産リードタイムも大幅に低減できた。

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リードタイムの短縮には製造業改善コンサルティング

いかがだったでしょうか。これらを統括的に行うことができるプロジェクトリーダーを養成し、各部門のリーダーを育て、自発的に5S活動を行って常にリードタイムを短縮していくカルチャーを作りたくありませんか?

チームコンサルティングIngIngの製造業改善コンサルティングでは、5S活動を徹底的に行って、生産リードタイムを徹底的に短縮し、お客様から選ばれ競合他社に勝てる会社づくりをしたいという企業様をご支援いたします。

リードタイムの計測や無駄が発生している場所などの現状把握、改善体制づくり、5S活動の実施、利益が出る仕組みづくり、リーダー養成まで、トータルで貴社のリードタイム短縮に貢献します。

この記事の著者

村上豊

製造業改善コンサルタント
村上 豊 (Murakami Yutaka)

名古屋大学工学部、修士課程卒業後、トヨタ系列の電装を担う大手メーカーに30年間従事。製造部門のみならず、国内工場の工場長や英国の新工場立ち上げをも担当する。コンサルタントとして独立後、さまざまな製造業種の企業を支援し、5S活動の理論に基づいて工場の人材育成、生産、保全、品質、製造技術の改革に取り組む。人の能力を引き出し高めるマネジメントで、多くの製造工場の改善・改革、カルチャーづくり、理念経営を支援。

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