経営理念コンサルティング

企業ビジョンとは?

企業ビジョンとは何ですか?

企業ビジョンとは、会社をあげて実現したい、社会貢献を含めた定量的な目標の未来ビジョンです。基本理念やミッションが実現した姿を段階的に描いたものです。単に「ビジョン」と言われる場合もあります。当社では、最終的な企業ビジョンを「全社目標」と言っています。

ビジョンは「見えること」ですから、明確に描かれた目標でなければなりません。例えば、「地球から公害をなくす」というものです。この例では、地球全体や公害ゼロという、壮大で定量的な目標になっており、全社目標と言えるものです。

企業ビジョンとは?

経営理念には、次の4種類のもので構成されます。

  1. 基本理念
  2. 企業ビジョン(全社目標)
  3. 経営方針
  4. 行動指針

経営理念の中で最上位にある基本理念は、会社の存在目的や価値観が表現された、目標を引き出すための抽象的なものです。

企業ビジョンとは、基本理念から引き出された目標、すなわち将来の会社がどのような状態になっているのかを、ありありとイメージしたものです。「経営ビジョン」とも言われます。

企業ビジョンを作成すると、将来における会社の規模や商品・サービスの構成、どのようなお客様にどのような価値を提供しているのか、社員の処遇はどうなっているのかなどが、将来の企業像がイメージできるようになります。

企業ビジョンの内容はどのようなもの?

企業ビジョンは、基本的に社長が願った未来の会社の姿をビジョン化したものです。

とは言うものの、企業ビジョンは基本理念をおビジョン化したものですから、正しい基本理念を作成できていれば、企業ビジョンの内容には、次の4種類のものが含まれているはずです。

  1. 事業を通じての社会貢献
  2. 将来の会社の規模
  3. 将来の事業内容
  4. 将来の社員の処遇

これらの内容が含まれていたり、連想できたりできる企業ビジョンが、「理想的な企業ビジョン」です。

どれくらい未来の企業ビジョンを作成すべきか?

企業ビジョンは、どれくらい未来の企業ビジョンを作成すべきかは、企業ビジョンをお一人で作成する方は悩まれることでしょう。

その答えは、「イメージ出来る限りの遠い未来の企業ビジョン」を作成すべきです。

例えば、今現在が零細企業だったとして、社長の気持ちでは「全世界で事業をしたい」とお考えであったとしましょう。そして、「30年あれば、世界的な企業になれるかもしれない」と考えたとしましょう。そうしたら、30年先の企業ビジョンを想定されると良いと思います。

また、社長によっては「5年先や10年先ぐらいまでしかイメージできない」ということであれば、5年先や10年先の企業ビジョンを作成してください。ただし、最低でも5年以上先の企業ビジョンを作成すべきです。

何か新規事業を行うとしても、軌道に乗せるまでに3年ほどはかかります。3年先の企業ビジョンであれば、新規事業プロジェクトの目標と同じになってしまいます。また、1年先の企業ビジョンであれば、せいぜい売上高の目標くらいしか作ることができないからです。

理想的な企業ビジョンがイメージできない場合

理想的な企業ビジョンがイメージできない場合は、無理に作成することはありません。

理想的な企業ビジョンでなくても、「5年先は、今の事業が衰退するかもしれないから、別の新規事業を立ち上げて会社の収益を安定させたい」というものでしたら、イメージできることでしょう。

そういった企業ビジョンを作成し、経営計画を立てて実施し、イメージしたことが実現していくことを実感して自信をつけていってください。そうすると、理想的な企業ビジョンがイメージできるようになっていきます。

全社目標(Be Hag)

企業ビジョンは、30年までイメージするものとは限りません。30年後よりもっと先の、社運を賭けてぜひとも達成したい企業ビジョンもあります。松下電器(現パナソニック)の創立者である松下幸之助先生は、250年先まで計画されたことは有名です。

このような会社が最終的に達成させたい企業ビジョンのことを、当社では「全社目標(Be Hag)」と言っています。

全社目標は、20年後や30年後に設定されることが多いですが、そこまで先のことは具体的にイメージすることが難しいので、全社目標を経営計画にまで落とし込むことはしません。

そこで、「いついつまでに、日本一の会社にしなければならない」とか「いついつまでに、このような新技術を開発しなければならない」という具合に、基本理念達成のための足掛かりを設定すると良いでしょう。

企業ビジョンを明確化する理由

企業ビジョンが明確になると、達成した姿を予算に落とし込むことができるようになります。会社の規模が想定できれば、そのときの社員数や事業所数が判り、設備費や固定費などの数値が明確になります。これを基にすることで、経営理念に基づいた経営計画や事業計画を作ることができます。

(ここでの予算とは、必要経費のことだけでなく、売上予算なども含まれます。)

企業ビジョンは、段階的にイメージすることもできます。例えば、1年後、5年後、10年後といった具合です。すると、段階的な経営計画や事業計画を作ることができます。

企業ビジョンの作り方

ここでは段階的な企業ビジョンの作り方を、簡単にですがご説明いたします。

1. 基本理念が実現された姿をイメージ

まず、基本理念が達成された姿をイメージしてください。その姿が全社目標となります。全社目標が実現できそうなのは何年後なのかをイメージしてください。

もし、それが10年以上未来のものであれば、次に10年後や5年後などの、売上高でイメージできる自店の企業ビジョンをありありとイメージしてください。

5年以上の企業ビジョンのことを、長期ビジョンと言います。10年であれば、10年ビジョンという場合もあります。

2. 通過点の企業ビジョンをイメージ

それができたら、次にその中間の通過点で企業ビジョンをイメージします。例えば、長期ビジョンが10年後であればその中間の5年後を、長期ビジョンが30年であれば10年後をイメージします。これを中期ビジョンと言います。

3. その半分と1年後の企業ビジョンをイメージ

そして、またその期間を半分にしたときの企業ビジョンをイメージし、最後に1年後の企業ビジョンをイメージします。それを短期ビジョンと言います。

このように、未来に達成したい全社目標から10年後、5年後、3年後、1年後などの段階的な企業ビジョンを作成します。

企業ビジョンと事業ビジョンとの違い

企業ビジョンは、会社をあげて実現したい、社会貢献を含めた定量的な目標のことと説明いたしましたが、事業ビジョンとは異なるものです。

事業ビジョンとは、当社では「事業における未来ビジョン」と定義しています。企業ビジョンと事業ビジョンの違いの詳細は、コラム「事業ビジョンと企業ビジョンの違いは?」をご覧ください。

事業ビジョンの作り方は、「中小企業における事業ビジョンの作り方」をご覧ください。

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