社長の夢実現への道

コンサルタントも120%の良品を目指すエンジニアたれ

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スピードに生きる

120%の良品

本田技研工業株式会社と言えば、バイクや自動車のメーカーとして有名です。この会社の創業者と言えば、私が尊敬する大経営者のひとり、本田宗一郎(1906~1991)氏です。以下、「本田先生」と呼ばせていただきます。

本田先生に関する本はいくつもありますが、その中で気に入っている本が「スピードに生きる」です。今から60年以上も前に述べられたことをまとめた本であるにもかかわらず、今現在でも内容に新鮮さを感じる理由は、実証された経営哲学だからです。

この本は、過去の大経営者が、時代の危機にどのように立ち向かったのかを調べる一貫として取り寄せた中の一冊です。経営コンサルタント一倉定先生(1918~1999)が、ゼミの中で取り上げていたこともあり、以前から読みたいと思っていました。

危機の時代を乗り越え、町工場を世界企業へと成長していった経営者の考えの一端なりを、このコラムの読者様といっしょに学んでいきたいと思います。

「120%の良品」とは

この本の中の言葉で、衝撃が走った箇所がいくつかあります。その中のひとつは、「120%の良品」です。

「100%の良品」ならわかりますが、「120%の良品」というものは存在しません。「120%の良品」とは、お客様に対する心構えを表現しています。この言葉から、本田先生の徹底した顧客志向がうかがえます。

人は100%を目指したら、1~2%の不合格を免れることができないことを述べています。もし、その1~2%が出荷されたとしたら、合格率98~99%ですので、企業としては優秀です。しかし、不合格品の1~2%を受け取ってしまった顧客にとっては100%不合格品なので、本田技研の信頼を損ねてしまいます。

このコラムでは、「コンサルタントも120%の良品を目指すエンジニアたれ」と生意気なタイトルを付けていますが、もし本田先生が生きておられて、私自身にアドバイスをしてくださるとしたら、このタイトルのようなことを言ってくださるだろうと思ったためです。

Web集客コンサルティングの成果を正直に述べると、さまざまな理由が重なっての結果ですが、100%の成果は出せていないことが現状です。クライアント様との契約時にも、成果を100%保証するものでないことを述べてのご契約となりますが、本田先生のお話を思い出しながら、内心「120%の企画提案を」と考えるようにしています。まだまだ、コンサルティング内容に研究の余地があります。

職人とエンジニア(技術屋)の違いからわかるイノベーションの方法

どのように研究して、コンサルティングの成功率を高めていくのか、そのヒントが本の中でいくつもありました。「スピードに生きる」の中で、

物をつくる技術も大切であるが、その上に切りかえ技術もより以上に必要である。

と述べられています。おそらく、「切りかえ技術」とは、イノベーションのことです。

これと同じ箇所で、本田先生は「職人」と「エンジニア(技術屋)」の違いを述べています。本田先生の定義によると、

職人とは、1つのことを何回でも行う、繰り返し仕事をする人のこと。エンジニアとは、1つのものを手掛けたら、二次的、三次的なアイデアを働かせて、その上に積み上げていく人のこと。

この定義からすると、Web集客コンサルティングの仕事は、エンジニアの仕事になります。もし、私のような実務を支援するコンサルタントが、本田先生が定義するところの「職人」としての仕事をしていたら、3年後にはその技術は陳腐化している可能性があります。

私自身を含めて、実務を支援するコンサルタントは、二次的、三次的なアイデアを働かせて、総力戦でお客様をご支援し、お客様を満足させなければなりません。そこに、コンサルティングの成果を高めていく研究の方法が見えてきます。

社長が行っている「社長業」も、社長が今まで取り組んできたビジネスのノウハウだけでなく、人生観、宗教観、生き様、お客様のご要望、社会情勢、業界、競合他社の情勢などなど、さまざまな要素で二次的、三次的なアイデアを働かせての総力戦です。

そういったことから、バイクや自動車を製造している技術者だけでなく、コンサルタントも社長も、本田先生の言うところの「エンジニア」であるべきだと感じました。


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