経営理念を作成する社長は、もしかすると会社の数からすると少数派だと思います。
しかし、その経営理念を活かし、立派な会社にする社長は、もっと数が少なくなります。
経営理念は、単に作成しただけではすぐに形骸化して、機能しません。社長の事業にかける情熱が経営理念になったものが、本物の経営理念となります。
そのような、本物の経営理念を作成する社長が、共通して普段から取り組んでいることがあります。
このコラムでは、本物の経営理念を完成させて、自社を立派な会社にしたい社長に、ぜひともお取り組みいただきたいことをまとめました。
わが社の存在理由を考え続けること
経営理念を作成される社長の多くは、わが社の存在理由について考えている人が多いです。
その存在理由とは、事業活動を通じてのお客様や社会への貢献、将来の事業内容や事業規模、社員の処遇などです。
社長は、そういった理想を考え続けている中で、現実とのギャップを感じ、「何としても立派な会社にしたい」と使命感に燃えます。
その使命感を明文化したものが、経営理念へと昇華されていきます。
経営の原理原則の勉強
「経営理念では飯は食えない」と言われることがありますが、まったくその通りでもあり、ある意味の誤解でもあります。
本来であれば、経営理念が立派なものができたら、それに従って経営判断や仕事をしていくことで、お客様へ貢献ができて、売上高や利益が増えていくはずです。
経営理念の中には、もちろんお客様に貢献するための、経営の原理原則が盛り込まれていなければいけません。つまり、本物の経営理念を作成する社長は、普段から経営の原理原則を勉強されている社長なのです。
学んだ経営の原理原則が、経営指針や行動指針の要素となっていきます。
しかし、経営の原理原則の勉強となると、多岐に渡ります。経営の書籍を勉強することから始めると思います。松下幸之助先生(1894~1989)や稲盛和夫先生(1932~2022)といった、経営者として満行された方の書籍は基本として、お勧めは一倉定先生(いちくらさだむ、1918~1999)の社長学シリーズです。
もし、「経営の原理原則を学びたいけれども、何から学んだら良いのかわからない」とおっしゃる社長は、ぜひ当社の小さな会社の社長のためのセミナーにご参加ください。受講しやすい料金設定にしておりますので、気軽にご参加いただけます。
古典や名著の勉強
経営の原理原則だけでなく、人間が生きる上での原理原則がその上位概念としてあります。
会社や社会には、人がいます。その人たち全員が、幸せになるように行動しています。その中で、自社が生き残って貢献していくかを考えたら、やはり人間学が必要となります。
人間が生きる上での原理原則が書かれている古典や名著は、短い文章で考えさせられる箴言となっていることが多いです。それを禅の公案のように考えていくことで、自分の考えや行いが正しかったのか、間違っていたのかを反省できます。反省して、「今後は、このような考えや行動をしないように注意しよう」と教訓を得ることができます。
古典から学べることは、高レベルな思いや行動です。それを身に着けることで、より徳や器のある社長になることができます。古典から学んで身に着けた教訓も、経営指針や行動指針の要素となっていきます。
そういったことで、経営理念を作成された社長は、古典や名著をよくお読みになられています。また、毎日の読書の時間を取られている方も多いです。
古典や名著も、経営の原理原則と同様に多岐に渡ります。古典の主なものには、経典や哲学書、中国古典などがあります。古典の解説本としては、守屋洋先生(もりやひろし)の書籍が読みやすいです。近代ではノーマン・ヴィンセント・ピール先生(1898~1993)、ナポレオン・ヒル先生(1883~1970)、デール・カーネギー先生(1888~1955)の書籍は押さえておきたいところです。
朝礼での訓示
経営理念を作成される社長は、毎日でなくても朝礼を定期的に行っている方が多いです。
朝礼では、「今週もがんばりましょう」という具合に話をしますが、そのときに社長が考えたことで、社員の仕事能力の向上や人間性の成長につながりそうなことを、訓示として述べています。
その訓示を述べる前に、手帳などにメモしていると思いますが、それが集積されていって、行動指針に仕上げていくことができます。
訓示で伝えることは、社長が学んで「大事だ」と思ったことや、古典の内容でも良いでしょう。また、社員が良いことをした場合には、それがなぜ良いことだったのかの理由を添えて褒めてあげると、それも教訓として残ります。
また、クレームがあった場合の報告を兼ねて、どのようにクレームに対応したら良いのかを伝えることで、クレームの対応方法を学ぶことと、自分の身にも将来に起こるかもしれないことを伝えておくことで、焦らずに正しく対応ができます。
会社がまだ小さく、全員が集まれるようであれば朝礼ができます。会社のフロアーが分かれてきたり、支店ができてきたりしたら、朝礼だけでは社長の考えが全員に伝わりません。その場合には、社内報を活用すると良いでしょう。
原理原則に即して社員を褒めたり叱ったりすること
経営理念を作成する社長の多くは、原理原則に即して、社員を誉めたり叱ったりする方が多いです。
社員に社長の考えたことを訓示で伝えるだけでなく、社長が考える経営の原理原則に従って、社員を誉めたり叱ったりすることも大事です。
普段から、事業活動や普段の仕事での正しさを伝えることをしていると、経営理念を作成し浸透させるときにも、社員が受け入れやすくなります。
普段からよく叱る社長の場合は、経営理念という社長が叱る要点を早めにまとめてあげた方が、社員のためになります。「最近の社員は、叱られたらすぐに辞めていってしまう」と嘆いておられる方は、ぜひ経営理念の作成にお取組みください。
以上、正しい経営理念を作成した社長が、普段から取り組んでいる主なことをまとめました。すべての社長が、ここに記載されているすべてのことを行っているわけではないと思いますが、自ら経営理念を作成された社長は、どれか共通点をお感じになられたことでしょう。
他にも共通点を発見したら、このページを更新していきたいと思います。
経営理念を作成される社長は、誰しも勉強熱心な方が多いです。今まで外部セミナーで勉強したことのない社長で、この機会に「経営の原理原則を学びたい」と思われた社長は、ぜひ小さな会社の社長のためのセミナーにご参加ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。