小企業の会社が売上を増やし、会社を成長させたいと考えたら、ホームページ集客に力を入れることが当たり前の時代になりました。
ホームページ集客を入念に行えば、販売の費用対効果が高くなるばかりか、会社の販売が仕組み化されて、社員が育ちやすくもなります。
そのようにして、小企業が中企業へと成長していくための礎ができます。
会社の成長に重要なホームページ集客ですが、小企業ではホームページに関連するWebアカウントの管理を外部業者に委託しているために、ホームページ集客に力を入れることを阻害されてしまうこともあります。
小企業である自社を中企業や大企業に成長させたければ、そのための登竜門がいくつかあります。このコラムは少し斬新なタイトルですが、その登龍門の一つが、「Webアカウントを自社に取り戻す」というものです。
Webアカウントとは、インターネットで受けられるサービスのIDやパスワードといったアカウントのことです。主に、サーチコンソールやアナリティクスなどのGoogleツールのアカウントや、サーバーやドメインの管理アカウントといったものです。
小企業では、こういったWebアカウントを自社で管理していないことが少なからずあります。会社を大きく成長させたい場合には、外部委託しているWebアカウントを自社で管理するようにしなければならないのです。
以下、Webアカウントを自社管理しないとなぜ会社が成長できないのかをご説明いたします。
小企業が成長するためにはWeb集客が必須の時代に突入
今現在では、何でもインターネットで検索して商品やサービス、委託業者を探す時代になりました。今から20年ほど前であれば、ECサイトで年商が1億円に達することがニュースになるような時代でしたが、今現在では、広告宣伝費に年間1億円掛けることも、よく耳にするようになりました。
インターネット検索で商品やサービス、委託業者を探すことは、何もコンシューマに限らず、BtoBも当たり前になりました。
インターネット検索には、すでに大量の市場があるので、そこに網を広げるように集客ホームページを構築することで、新規顧客や売上高を飛躍的に増やすことができます。
当社にてWeb集客をご支援させていただいた工作機械メーカーの企業様の中には、売上高が前年比で2倍になったところもあるくらいです。そのお客様は、「当社は古い業界だから」とおっしゃられていましたが、インターネットの市場には新しい市場が隠れていたので、それを発見して訴求しました。すると、今まで新規のお問い合わせがゼロだったところから、ホームページ集客を開始してから3年後には毎週のように見積依頼が入るようになり、数百万円の機械が売れるようになりました。
集客ホームページに力を入れていない企業や、社長にその考えがないところでは、ホームページ集客に力を入れた新参企業に、あっという間に負けていってしまうことがあります。例えば、印刷業界という古い業界であっても、インターネットを活用した格安のオンデマンド印刷をサービス化した企業が急成長しました。
そのようなことで、会社の成長のためにはWeb集客は必須の時代となったように感じます。
しかし、多くの企業では「ホームページを制作しても集客ができない」とか「SEO対策はもう古い」といった間違った考えが蔓延しているようにも思います。
とある企業でホームページの改善ができなかったエピソード
とある小さな会社の社長が、業務委託でホームページを制作してもらいました。業者の選定は、自社社員の知り合いだということで、その業者を選びました。
その社長は、「ホームページ制作の提案には謎の言葉がいっぱいあって、ホームページのことはよくわからない。制作会社にすべてお任せする」ということで、あらゆることを任せました。そのようにして、WordPressを使った見栄えの立派なホームページが出来上がりました。ところが、そのホームページには「1年以上経っても、お問い合わせが来ない」という欠陥がありました。
その後、社長はホームページで集客ができる可能性を知り、当社の社長セミナーにご参加され、当社にて集客のための改善を行うことになりました。
私自身が対応することになり、公開中のホームページの現状を確認しようと、お客様にアナリティクスやサーチコンソール、WordPressの管理者権限でのログインなどを伺ったところ、「ホームページ制作会社が管理しているので、Webアカウントは判らない」とのことでした。
ホームページ制作会社に確認してもらったのですが、ホームページを改善するために必要なWebアカウントを開示してもらえませんでした。
開示してもらえなかったWebアカウント
そのWebアカウントは、次のものです。
- サーバーの管理画面 ⇒ 交渉してなんとか開示してもらった
- ドメインの管理 ⇒ 移管の対応だけしてくれた(できなかったが・・・)
- WordPressの管理者権限 ⇒ 開示してくれなかった
ホームページ制作会社側からは、サーバーの管理者権限をもらったので、FTPアカウントを自分で作成したり、WordPressのデータベースに直接ログインしてパスワードを変更するように考えさせたりされていました。
当社は、そのようなことをする知識は持ち合わせているのですが、「このような酷い対応の業者とは、縁を切った方が良い」ということで、新しくサーバーを借りて、ドメインも新規取得し、ホームページを制作し、メールアドレスも新調することにしました。
GoogleツールのWebアカウントは不明
さらには、次のGoogleツールについては、社長は「過去にどこかの業者に何かやってもらった記憶がある」ということでしたが、社長が管理者やオーナーになっていなかったので、ログインすらできませんでした。
- Google ビジネス プロフィール(Google マイビジネス)の管理
- サーチコンソール/アナリティクスの管理
これらのツールは、Web集客をしていく上でとても大事なものです。これらのツールについては後ほどご説明します。
ホームページ制作会社の力量が小企業の成長を左右する
社長は「ホームページ制作会社に直接話をしたい」とのことで、お会いしに行かれたところ、その人からは「ホームページで集客ができるはずがない」と社長に吹聴し、当社との契約を妨害しようと画策してきました。
そのような考えで、よくホームページ制作会社をやっているものだと感心しました。企業のホームページは、いったい何のためにあるとお考えなのでしょうか?
交渉して、ようやくサーバーの管理画面にログインができるようになりましたが、ドメインの移管に積極的に対応してくれないし、サーバーの移転にも消極的で、WordPressの管理者アカウントも教えてくれない/作成してくれない状態だったので、新しくサーバーを契約して新しくドメインを取得することになりました。
つくづく、「誰にホームページを制作してもらうかによって、中小企業の成長の限界を決める」と感じます。地方のホームページ制作会社では、このような契約形態でお客様のアカウントを封印し、お客様の成長を奪っているのです。
ホームページ制作会社の対応には困りましたが、これは社長が原因です。会社の成長のためにホームページ集客が必須の時代になっているのにもかかわらず、そういったものに対して「知らぬ存ぜぬ」で外部の業者に全委託してしまっているのです。
「判らないからお任せします」では成長しない
地方の企業様をご支援していると、そのようなエピソードは本当にたくさんあります。それらの企業様で共通することは、「判らないので、すべてお任せした」というものです。
企業経営において、判らないことや苦手なことを外部企業に依存することは、本当に危険です。生命線の首根っこを押さえられているのと同じことです。
社長はすべて把握することが難しいと思いますが、中小企業では、開発・営業・経理・人事を手放して、誰かに依存してはいけません。せめて口出しができる程度に知識を身に着けておいてください。
外部委託をするとしても、「自社でできるがコスト高になる」という理由で外部委託をする場合、もしくは当社のような知識を持ちお客様のご都合に合わせて対応してくれる業者を選ぶのなら良いと思います。自ら知識を身に着けて外部委託するか、業者を正しく選ぶかです。
そもそも、こういった外部業者の属人化の問題は、会社を成長させたいと考えて行動するときには、必ず出てくる問題の一つです。ですので、こういったことも予見してアドバイスをしてくれる業者を選ぶことが、会社の成長を大きく左右するものとお考えください。
そして、自社でノウハウを少しずつ蓄積し、業者と対等に話ができるようになってください。さもないと、業者の言いなりになってしまい、その業者のWeb集客技術の限界によって、自社の成長の限界をつくってしまうからです。
企業は成長段階に合わせて、集客を支援してくれる業者を変えていかないといけないのです。そのときに、Webアカウントを自社で持っていないと、業者にイジワルされてしまうのです。
先日も、SEO対策で集客をしたいとお考えの企業様からご連絡があり、「WordPressの修正案を作成したいので、FTPアカウントを頂いてください」と依頼しました。すると、制作会社からの正式回答で「WordPressテーマは修正できない仕様になっていますし、プラグインのインストールも制限しています。安全を考えてFTPアカウントを提供していません」とのことでした。
これですと、会社を成長させるために制作業者を変えてしまうしかありませんが、WordPressの移転プラグインすらインストールできないので、ホームページの作り直しが必要となります。すると、せっかく制作したホームページなのに、それを捨てて新たに制作費がかかってしまうのです。
会社の成長を考える企業様は、制作会社選びには、本当にご注意ください。
自社に取り戻すべき(自社で管理すべき)Webアカウント
Web集客を本格的に行いたい場合は、次のWebアカウントを自社で管理してください。
- サーチコンソール/アナリティクス
- Google ビジネス プロフィール(Google マイビジネス)
- サーバーとドメイン
- 自社の公式SNS
これらがどういったものかを簡単に解説します。
サーチコンソール/アナリティクス
サーチコンソールやアナリティクスとは、無料で利用できるGoogleサービスです。
サーチコンソールは、Googleに自社ホームページの登録をしたり、どういった検索キーワードで自社ホームページに何回くらい訪問して来てくれたのかを調べたりできるWebツールです。
アナリティクスは、ホームページのアクセス解析を本格的に行えるWebツールです。
サーチコンソールの登録は、Web集客をするのであれば必須です。アクセス解析は何もアナリティクスを利用しなくても良いのですが、無料で高機能なので、ほとんどの企業で採用されます。
これらのアカウントを自社で持っていないと、ホームページ制作会社を変えたときに、「アカウントが判りません」ということで、旧ホームページと新ホームページのアクセス状況の比較ができなくなります。
「ホームページで集客など出来ない」と豪語しているホームページ制作会社にとっては、比較などされたくないし、現状を見られたくもないので、社長の無知をいいことに、サーチコンソールやアナリティクスのアカウントを開示してくれないかもしれません。
Google ビジネス プロフィール(Google マイビジネス)
Google ビジネス プロフィールは、Googleマップに自社の情報を掲載するためのWebツールです。
MEOという言葉を営業電話で聞いたことがある社長は多いことでしょう。MEOは、Googleマップで検索したときに自社を表示させるための施策です。これを行うためにGoogle ビジネス プロフィールを登録して設定します。
ところが、MEOを依頼したところ、業者がGoogle ビジネス プロフィールに勝手に登録し、管理者権限をお客様企業に付与しなかったために、後で修正したいと思っても「アカウントが判らないので修正できない」ということになります。
サーバーとドメイン
サーバーとは、自社ホームページを24時間365日、インターネット上に公開し続けてくれるコンピュータ、もしくはメールの送受信をしてくれるコンピュータのことです。
ドメインとは、自社のホームページURLやメールアドレスになる名前のことです。このホームページであれば、「inging.jp」です。
サーバーの管理画面にログインができるWebアカウントを自社で持っていないと、サーバーの設定を別の業者に依頼しようとしても、アカウントが判らなかったり、管理者がアカウントを提供してくれなかったりすることがあります。上記のエピソードも、このパターンです。
自社の公式SNS
XやInstagramなど、自社の公式SNSのWebアカウントは自社で管理することが基本です。
SNSのことがよく判らないので、アカウントの取得まで外部に委託してしまった場合、そのアカウントが取り戻せない場合もあります。
SNSのアカウントを始めて取得するときは、自社のメールアドレスで登録をして、それを委託業者に共有するようにしてください。
ホームページ制作業者を選ぶときの確認事項
自社を成長させたかったり、ホームページ集客を本格的に行う予定のある企業では、ホームページ制作会社選びを慎重に行うべきことを述べました。業者を選ぶときに、次のことを確認してください。
- SEO対策やホームページの中身の改善のために、別の業者に依頼しても良いかを確認する
- サーチコンソールやアナリティクスなどのGoogleツールは、自社にて設定する
- 自社のWordPressのアカウントを管理者権限にしてもらう
- 管理者権限でも下手な操作をしないように、操作方法を教えてもらう
- サーバーやドメインの会社(ベンダー)は大手を選んで自社で契約し、ホームページ制作会社には委託しない
ホームページ制作では、初めて耳にする用語がたくさん出てきます。ホームページ集客をするとなると、さらに多くの用語が出てきます。社長がそれらの用語の意味を完璧に覚える必要はありません。しかし、用語を知っていないと業者と対等に話ができなくなります。
用語解説や操作説明を、根気よく丁寧に教えてくれる業者を選ぶことが大事です。
それでも支援企業にWebアカウントの管理をお願いしたい場合は、自社が管理者になれるように設定してくれる業者を選ぶべきです。さらには、そのWebアカウントを業者でも把握してもらっておき、Webアカウントを忘れてしまっても教えてくれるようにしてくれる業者を選ぶことが大事です。
以上、小企業の会社を経営されている社長向けに、会社を成長させたいと考えたときに表面化する問題の一つを取り上げました。
ここでご紹介したことは、見落とされやすい内容なのですが、「判らない」ということを理由にしないで、しっかり把握するようにしてください。そして、ホームページ制作会社を選ぶときは、こういった状況が発生することを把握している業者を選ぶべきです。
そのようにして、小企業にとって集客や売上アップの生命線となるWebアカウントを自社で管理し、ホームページ集客がスムーズに行えるようにすることが大事です。
さらには、ホームページに関する用語を根気よく丁寧に説明してもらえたり、自社の力量を考慮してフォローしてくれる業者を選ぶことも大事です。
今回はWebアカウントについて述べましたが、他にも著作権のことや補助金を使って制作したことによって、ホームページ集客をするための改良ができないパターンもあります。これについては、またの機会にでもご説明したいと思います。
将来的にWeb集客を本格的に行いたいのであれば、出来ましたら最初から当社にホームページ制作をご依頼いただけたら幸いです。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。