社長の夢実現への道

短期経営計画が実現しない理由とは?

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短期経営計画が実現しない理由とは?

「わが社は、毎年経営計画を立てているのですが、なぜその通りに実現しないのでしょうか?」

会社が成長するためには、経営計画を立てることが必須です。しかし、経営計画を立てても、その通り実現しない理由を聞かれることがあります。

長年、毎年計画を立てても、その通りいかずに、会社の規模はそのままで、経営計画を立てることが無駄に感じることもあります。

尊敬する経営コンサルタント一倉定先生によると、「経営計画は、計画通りにいかないから立てる意味があるのだ」と喝破されています。

「経営計画は計画通りにいかないものだ」、反対に「計画通りに行ったら何かがおかしい」と考えるべきです。

では、なぜ経営計画を立てても、計画通りいかないのでしょうか。また、なぜ計画通りにいかないから意味があるのでしょうか。

経営計画の内容に問題があり、計画通りにいかない理由を述べたいと思います。

  1. 短期経営計画を実現するための根拠がない
  2. 売上・利益計画を実現するための方針が明確でない
  3. 予実を測るKPIが明確でない
  4. 定期的にフィードバック分析していない

計画通りにいかないのは当たり前で、小企業の社長は「失敗を通じてこれらのことを正しく計画できるようになるための反省をし、自社オリジナルの成功パターンを構築しようとしているのだ」とお考えください。

これらが順番になっている。この真逆のことを順番にやっていけばよい。ということで、次の目次でご説明したおと思います。

短期経営計画を実現するための根拠を立てる

経営計画を実現させるための熱意の根源となる根拠がないと、計画が実現しません。

その根拠には、会社が赤字であれば「借金を返済したい」とか「黒字にしたい」というものでも良いですし、「世の中のお役に立ちたい」というものでも良いです。とにかく、社長ご自身がやる気に満たされるような根拠であることが大事です。

社長がやる気を見せると、愛社精神のある社員は奮闘してくれます。

ただし、社員がいる場合は、どのような根拠でも良いとは限りません。例えば、社長のモチベーションが「ゴルフや銀座で遊びたい」というものであれば、社員は「社長が遊ぶために働かされている」と考え、やる気が出ないのです。

ゴルフや銀座で遊ぶことは、経営計画が実現されたときの結果であり、残りカスです。経営計画が実現し、会社が豊かになってまで社長に「遊ぶな」とは言いません。社長の言動一致する大義名分を立て、それを社員に共有し、社員の協力を得るようにしてください。

その大義名分のことを、ミッションといいます。

売上・利益計画を実現するための方針を明確にする

経営計画を実現するための根拠が明確になったら、次にその経営計画を実現させる方法論を示すことが必要です。

短期経営計画が実現しない理由を探る

短期経営計画がうまく機能しない会社の社長が困っていることとして、「会社から出ていくお金は予定通り出ていくが、会社に入ってくるお金が予定通り入ってこない」というものがあります。

短期経営計画で各種予算を決めて事業活動を行っていくと、会社から出ていくお金は予定通り出ていきます。しかし、お客様は計画通りに商品を購入してもらえないので、会社に入ってくるお金が予定通り入らず、短期経営計画が実現しません。

入ってくるお金がコントロールできれば良いのですが、自社都合でお客様は自社商品を購入してくれないのです。経営計画がうまくいっている会社では、実はこの辺りがうまくいっているのです。そのポイントは、確率論で経営することです。

会社に入ってくるお金をコントロールできるようになる方法

会社の価値の流れやお金の流れを分析してみましょう。すると、なぜ入ってくるお金が予定通りに入らないのかが分かります。次の図をご覧ください。

自社を取り巻く価値の流れ

この図の中央に自社があり、自社の3つの部門に分かれています。右側にお客様がいて、左側に協力会社があります。この図は、ビジネスモデルキャンバスに似ていますが、自社を取り巻く価値の流れを表します。

この図の流れで、自社にコントロールできない部分を発見してみてください。その部分が短期経営計画が実現しない原因です。

答えは、「PR」と「注文」の関連性です。

どのようなPRをどの程度行えば、お客様が商品やサービスを購入してくださるのか、その部分だけが未知数になっていると思います。それ以外の部分は、計画通りに事が進んでいきます。そのようなことから、短期経営計画を立てると、出ていくお金は予定通りなのですが、入ってくるお金は予定通りでないのです。

「PR」と「注文」の関連性の部分の計画を具体的に立てることが大事です。その計画のことを当社では「経営方針」と呼んでいます。

経営方針の内容

上記の図のすべてをどうするのかを具体的に決めたものを経営方針といいます。経営方針の内容は次のようなものです。

  • 誰をお客様とするのか。営業エリアや重点地域はどこか。
  • 商品ラインナップをどうするのか。価格はいくらか。提供方法やサービス内容はどうするのか。
  • どのようにPRするのか。その方法はどうか。誰が担当するのか。チラシ制作は誰にいくらで外注するのか。Web集客をどうするのか。
  • 新商品開発や既存商品の改善をどうするのか。
  • 製造部門では、内作と外作の比率をどうするのか。原材料メーカーは今のままで良いのか。
  • 資金は足りるのか。足りないならどのように調達するのか。

これらの中で、マーケティングに関する経営方針が明確になれば良いのです。マーケティングに関する方針は、次のような項目があります。

  • 対象顧客の方針
  • 営業範囲
  • 重点販売品目
  • 販売チャンネルの方針
  • 商品の訴求方法
  • 契約金額や値引きの範囲
  • 商品開発・改善の方針

経営方針は確率論で作戦を立てる

では、マーケティングに関する経営方針をどのように立てたら良いかということですが、先ほども述べたように、確率論で考えることです。

例えば、「今まで遠くのB市まで商圏を広げていたが、営業力をA市に集中させて、市場占有率を高めつつ経費を抑える。」、「チラシを10,000枚配布したら、その中から5件程度の集客ができる。チラシを改善して、10件程度の集客ができるようにする。20件集客したいので、20,000枚を配布する。」、「商品の品質を高めて、10万円で売れるようにする。」という具合です。

住宅をチラシ配布で販売する方法を考えてみましょう。すると次のような確率で集客ができます。

  • 10万枚のチラシ配布
  • その内、0.2%の人が住宅展示会にご来場(200人)
  • そのうち10%の人が自社の注文住宅に興味を持ってもらう(見込み客数20人)
  • そのうち40%の人が購入してくれた(注文者数8人)

この集客の流れは、住宅販売用のサンプルですので、貴社の商品やサービスの提供までの流れをお考えください。そして、過去の実績から各段階での確率を算出してみてください。そして、利益計画から中者数が決まるので、方針によってどの確率を高められそうか、どの程度のファーストアプローチを行うべきなのかを検討します。

このような確率戦での計画は、Web集客と相性の良いBtoB事業ですと、ほぼピタリと1年後の年商を予想することができます。詳しくは、「BtoB企業がホームページで営業力を高めるための条件」をご覧ください。

予実を測るKPIを明確にする

具体的な方針が決まったら、全社員がその方針に従って活動を開始します。

従業員は、方針に書かれたこと以外のことはやってはいけません。方針に書かれたことのみを実施します。そして、従業員が方針通りに行動したのか、方針通りに行動してもらった結果、売上目標や利益目標を達成しそうなのかを、それぞれKPIを設定して計測します。

  1. 方針が正しく実施されたかどうかを測るKPI
  2. 売上高や利益が予算通りに入ってきているのかを測るKPI

KPIとは、「Key Performance Indicator」の略で日本語では重要業績評価指標と呼ばれているそうですう。

例えば、「売上高を高めるためには、営業担当者によるお客様廻りの回数を増やす。その回数の目標が1ヶ月当たり100か所である。」とすると、KPIは訪問回数になります。営業担当者がお客様のところに本当に訪問したかをチェックするために、「営業部長は、1ヶ月の間に必ず1回以上、お客様のところに電話する。」という方針を立てたとします。すると営業部長の行動のKPIは、電話の回数になります。

売上高や利益が予算通りに入ってきているのかを測るKPIは、月次の売上高や利益の場合もありますし、売上高と利益の両方を確認したい場合は月次の利益率をKPIに設定しても良いと思います。

定期的にフィードバック分析する

目標を立てて、その目標を実現するための経営方針を立てました。そして、経営方針が実施されているのかどうかを分析するためのKPIも決めて、事業活動を行いました。

次に行うことは、月次で目標の達成度合いをチェックすることです。

月次で予算と実績を点検し問題と課題を明確にする

目標を実現させるために立てられた経営方針が正しいものであり、それが忠実に実施されたのであれば、月次の目標も積みあがっていき、期末には目標を達成することでしょう。もし、経営方針が間違っていたら、目標が達成させられません。

そこで、目標の達成率をチェックして、経営方針を見直すことをします。そして、目標の達成で遅れを取ったものを後半に挽回できるように経営方針を立てなおします。

ここで、言葉の定義として、目標と現実のギャップを「問題」、その穴埋めをするための方策を「課題」とすれば、良いと思います。このようにして、自社オリジナルの言葉を定義することで、目標達成のための生産性が高まります。

売上高や利益の目標はそのままに方針を改善する

ここでの見直しで大事なことは、期末までに得たい売上高や利益の目標値はそのままに、経営方針だけを変えていくことです。間違ったやり方は、計画通りに進んでいない目標値を、実績に合わせて下げてしまうことです。

短期経営計画で立てた売上高や利益の目標は、どうしても期末には達成しないといけない数字です。大義名分もあります。ですので、その目標値を下げてはいけないのです。修正すべきは、経営方針です。もし売上高や利益の目標値を実績の値に変えてしまったら、成り行き経営と同じになってしまうため、何のために売上高や利益の目標を設定したのか分かったものではありません。

経営方針が市場の動向と合っていないので、実績が目標に到達できていないので、市場の動向に合うように経営方針を改善するのです。

例えば、当初は経営方針の内容に自信がなかったとしても、2~3ヶ月ほど経営方針を変えずに、その通りに事業活動をしてきたら、「どのようなPRをどの程度したら、どの程度の受注につながる」という確率をつかみつつあると思います。その感覚を、新たな経営方針に盛り込んで、軌道修正をします。これを繰り返していくと、短期経営計画が実現できるようになります。

以上、短期経営計画が実現しない理由について述べてきました。その理由を一言で述べるとするならば、「短期経営計画の内容が足りない」ということが原因です。その足りないものとして、大義名分と経営方針、予実管理です。

短期経営計画を立てて、会社を立て直そうとされている社長のご参考になれば幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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