社長の夢実現への道

起業は小さく始めることが大事

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でっかい事業を考えることは、志としては良いです。起業は小さく始めることが大事

「起業は小さく始めることが大事」という話になりますが、会社を辞めて起業しようとしている方に向けての話になります。

会社を辞めたら、会社のバックボーンが無くなるので、今まで勤めていた会社の名前や支援を活用できません。起業した社長お一人の人柄や実績のみで勝負しなければいけません。起業したばかりでは、それこそ、すべて自分でやらないといけないのです。

商売は信用がすべてと言えます。起業をすると、信用を築いていくために、最低限お客様や取引先に迷惑がかからないように、事業経営をしていかないといけませんし、失敗もできないのです。

ですから、基本的には積小為大で、小さく初めて大きくしていくことが基本です。

小さく始めるということは、なるべく借金しないで、自分一人で起業し、なるべく固定費を持たないで、どこかの軒下を借りて、ソフトで勝負していくことです。小さく始めることは、それだけリスクを減らすことができます。

しかし、物事にはすべて例外があるように、小さく始めることだけが正解ではありません。大企業の子会社として起業され、親会社から資金が投入されている場合には、親会社が許可した事業であれば、大きく始めることもできます。

勤めている会社のバックボーンを失うようであれば、基本は小さく始めることが大事です。

この記事では、小さく始めることの意味や、大きく考える人の傾向、小さく始めつつ大きな夢を持ってもらいたことなど、これから起業しようとされる方に向けてのメッセージになります。

小さく始めることの意味

小さく始めることとは、なるべく借金をしないで、出ていくお金を節約して始める方法です。

たとえば、大学病院などの大きな病院に勤めていた医師が独立するときのことを考えてみましょう。

大学の有名な先生は、たくさんの手術を経験し、実績もあります。その先生が、自分でクリニックを持つことを考えた場合に、「今までやっていたことと同じ仕事ができるようにしたい」と考える人が少なからずいます。

そうすると、起業したてでまだ患者さんがいないにも関わらず、手術ができる施設を持ち、MRIも導入し、看護師などのスタッフも何人も雇ってしまうことが本当にあるのです。

ネームバリューのある医師ですから、「すぐに患者さんが来る」と思っていたら、想定通りに患者さんが来なくて、借金だけが残ってしまうケースがあります。

今現在、たくさんのクリニックが乱立していますから、何か独自性を出した方が良いことは事実です。しかし、最初から大々的な設備を導入すると、借金の返済で苦しむことになります。

クリニックの開業では、ミニマム開業という言葉があるそうですが、小さく起業することが基本です。

思ったことが実現することは事実であるが・・・

成功哲学では、「思ったことが実現する」とされていますが、それも真理だと思います。

しかし、大きなことを考えていても、それがすぐに実現するとは限りません。

成功哲学の大家であるナポレオン・ヒル先生も、一時期は生活に困っていたこともありました。

創業される方は、アイデアが豊富な人であると思いますし、クリエイティブな人でもあります。何かの事業を生み出し、「世の中の人に受け入れられること」を夢見て起業をチャレンジします。

起業して成功するためには、いくつかの条件があります。その条件は当たり前のことばかりです。仕事柄、ときどき「何か、成功するための秘策はありますか?」と訊ねられることがありますが、基本を徹底させる以外に、事業での成功は無いと言っても過言ではありません。

成功者の中には、何か秘策があった人もいますが、それはその人独自のもので、誰も真似できないことが多いです。しかし、秘策があったとしても基本を徹底させることを土台として、その上での秘策なのです。基本は、孫子でもあるように「勝つべくして勝つ」ということです。

起業したばかりのときは、負けない戦いをしていくことで、勝つべくして勝てるための土台としての信用を築いていくことができます。小さく起業するということは、負けない戦い方でもあります。

正しい経営マインドを持つ

社長が持ちべき、正しい経営マインドとは、どのようなものか。とある光触媒塗料を開発している中小企業の事例をご紹介しつつ、この社長の言動から正しい経営マインドを学びたいと思います。

とある光触媒メーカーの社長

その会社は、酸化チタン光触媒を世界で初めて可視光活性させることに成功し、その塗料を開発して業界から注目されました。ちなみに、その塗料とは屋内用光触媒コーティング剤です。

その会社の社長に、可視光活性酸化チタン光触媒を発明した経緯を訊ねてみると、やはり基本を徹底しておられました。

社長としては、引退してもおかしくないご年齢なのですが、この記事を書いている私のような若造に対して、「平野さんと話していると勉強になります」とおっしゃられ、こちらが恐縮してしまいます。

この会社は、起業した当時は、事業を失敗させて、失敗させて、なかなか軌道に乗せることができなかったそうです。しかし、諦めずに「酸化チタンを可視光活性させられたら、人々のためになる」と信じ、研究資金を捻出し続け、その強い思いを絶やさずに研究を続けられました。そして、2年で可視光活性酸化チタン光触媒を生み出したのです。

当社がご支援させていただく前は、いろいろな経営者やコンサルタントにアドバイスをいただいていたそうですが、どれも失敗していったようです。そのアドバイスは、簡単に述べるとするならば、大企業の大きな経営手法だったのです。今は、経営を減量化させて、ムダなものを取り払い、会社がさらなる高付加価値を生み出せるように、新規事業に取り組まれていらっしゃいます。

起業して成功する考え方

この社長から私が学ばせていただいた、起業して成功する考え方、正しい経営マインドは、

  • 謙虚さ
  • 探求心
  • 世のため人のための気持ち
  • 自己責任
  • 自助努力

これらはすべて経営マインドと言えるものです。経営者が持つべき心構えです。

これらのことは当たり前のことでしょう。しかし、この当たり前のことが出来なくなってくるのが大人です。子どものような気持ちを持っていることも、起業して成功する人に必要なマインドです。

まず、正しい経営マインドを持つことが大事です。ただ単に儲けたいという気持ちだけでしたら、起業というバクチ的なことをしないで、どこかの会社に勤めていた方が良いと思います。そちらの方が、生活が安定すると思います。

何か公器なる志があり、何かを実現させるという目的があるのでしたら、起業されても良いと思います。

起業当初で安定を手に入れるための条件

では、起業当初の成功とは何でしょうか。起業当初の成功は、ビジネスを安定させること、最低レベルでは自分や自分の家族の生活を守ることです。そのための攻めの条件は、次のことだと思います。

  • 販売力
  • 商品力

販売力と商品力で起業ができる

第一が販売力です。起業した当初は、とにかく販売が強い会社が生き残ります。販売を遠慮していたら、売れるものも売れないのです。

技術系社長にある傾向は、「いいものを作れば売れる」という発想があります。このように考える人の勘違いとは、商品力と販売力が同じものだと思い込んでいることです。このような考えをする人は少なくなってきましたが、まだいらっしゃいます。しかし、それよりも販売が大事です。

確かに、いいものを作ることは当たり前のことです。いいものが溢れている時代ですし、先輩企業はPRもうまいのです。いいものがあったとしても、それが知られなければ売れません。

起業当初で安定企業を目指すためには、いい商品を開発することは当たり前として、販売力をつけることです。

起業される方の中には、「会計も必要ではないか?」と言われることがあります。もちろんその通りです。しかし、会計を学んでから起業する人は実のところ少ないのです。意外にも、起業してうまくいく人は、PDCAの中でPから入らないで、Dから入る人が多いのです。

この2つのことは、お客様との接点となります。販売はお客様との直接的な設定となります。また商品は、販売後のお客様との接点となります。それら2つの力が強いところが、生き残ることができます。会社が成長してくると、それだけではいけませんが、起業直後はこの2つだけに注力するくらいでちょうどです。

起業する前に、お客様を確保して、起業してもすぐにお客様がいる状態にできたら理想です。ちなみに、私はそのようにして起業しました。起業するときには、多いときには会社からもらっていたお給料と同等の収入がある状態だったので、幾分かは心の安定につながりました。

販売力と商品力の源泉

販売力と商品力の源泉となるものは、お客様のお困りごとやご要望を発見することです。そのお困りごとがニーズとなり、商売が生まれます。

お客様のお困りごとを発見するためには、お客様に関心を持つことです。

一流レストランのフロアースタッフとして雇用された人は、先輩から唐突に「今、フロアーにはどのようなお客様がいるのか?」と訊かれることがあります。それに即答できなければ、お客様に関心が無いとみなされてしまいます。新人は覚えることが山積みで大変ですが、最初に教え込まれることはお客様に関心を持つことです。

お客様に関心があると、「あのテーブルのパパは、今日が誕生日だな」とか見抜くことができ、ちょっとしたサプライズでお客様に喜んでいただけるかもしれません。

お客様に関心を持ち、お困りごとやご要望を発見することが、マーケティングです。

会社に起業プログラムがあれば活用する

もし、会社が起業を推奨していて、起業プログラムがある場合は、それを活用した方が良いです。会社のプログラウを利用すると、販売網や開発力、資金を活用できる場合があるからです。そのような経営資源を活用できたら、起業当初から安定し易いです。

しかし、それに安心してはいけません。

起業してうまくいく人は、中小企業に勤めている人であったならば、仕事レベルが高い人です。できれば、新規事業を立ち上げた経験があったり、営業成績がトップクラスであったりといった経験があると理想的です。

中小企業で中程度の仕事レベルの人は、起業しない方が良いです。

自分にとっての成功とは何か?

哲学的なりますが、まず「自分にとっての成功とは何か?」を定義することが大事です。それは「自分にとっての幸せとは何か?」を考えることでもあります。

私が起業したいとお考えの方に、よく質問することですが、「何のために起業するのですか?」とイジワルな質問をします。その答えとして、「豊かになって、家族を幸せにしたい」とか、「自分の実力を試したい」というものが多いです。

そういった理由でも、もちろん起業してかまいません。しかし、成功していく人の模範解答は、「お客様に貢献したいから」ということです。

自分のために起業した人は、自分の都合になります。自分の都合のために、お客様になってくださる人はいませんので、よほど何か特別な能力なり付加価値がないと、その事業は停滞しやすいです。

事業が停滞して、そこから何かを学び、「今までの考え方が間違っていたのだな」と反省した人が、次のステージに進むのです。それに対して、「今までのやり方が間違っていたのだな」と反省した人は、また同じ過ちを繰り返します。

起業して、「自分は幸せだ」という多くの人にインタビューしたり、過去の偉人を調べたりしていると、その人たちの成功の定義は、変化していきます。それも、挫折を経験して変化することが多いです。一代で巨大企業を築いた偉大な経営者は、おおよそ2~3回の挫折を経験し、考え方を次の段階のステージに改めている人ばかりです。

ですので、「何のために起業するのですか?」と訊かれたら、「お客様に貢献したいからです」と即答できるようにしておいてください。最初は、本音として自己都合の理由でもかまいませんが、「お客様に貢献」を繰り返し述べて、自分自身を説得していって、少しずつ考え方を成長させていってください。

大企業の社員が「起業したい」と考えるときの事業内容の傾向

大企業にお勤めで、「将来に起業したい」と考えている方とお話しをしていると、「危ないな」と思える人が割合多いです。

どこから資金が出てくるか、ご存じですか?

なぜ危ないのかと言いますと、「どこからお金が出てくるのか、あまり深く考えていない」と思えるからです。公官庁にお勤めの方も、同じだと思います。

例えば、大企業にお勤めの方が、社内起業をするときは、どこから資金が出てくるのか、ご存じでしょうか?

その資金の大本は、お客様からなのです。社長からでもありませんし、財務部門からでもありません。お客様から得られた売上高から得ているのです。それを知らないで、私が「危ないな」と感じる人は、借金先行型の人が多いのです。

とある新規事業セミナーに参加したことがありました。2日間の東京であったセミナーだったのですが、1日目で新規事業の立ち上げ方を学び、2日目でチームになって新規事業を企画して、最後に発表するというものでした。

その中で、多くの人が大企業から来ていた人でしたが、新規事業の企画の資金源を、「利益から回す」と考えていた人はいなかったことに驚きました。資金はどこから得るのかと言いますと、大企業の資金や補助金からでした。

なぜか、大企業にお勤めの方が新規事業を考えるときは、社会起業家を目指す傾向があります。社会貢献をする会社を目指すことは良いことかもしれませんが、「利益は出さなくても良い」と考えている人さえいるのです。

利益の出ない事業は、大きくなることはありませんし、多くの人に迷惑をかけてしまうのです。

軒先を借りて起業できるか?

また、なぜか箱物を考える傾向があります。箱物とは、建物のことです。他人の軒を借りて事業を始め、拡大していくことを考えないのです。

軒先を借りることを拡大解釈すると、建物を借りる前に自宅で起業をしたり、製造は自社で設備を整えるのではなく外注したり、知識を誰かに教わったりすることなどです。

起業をするときは、しっかり利益を出せるような硬い事業計画を立てて、小さく事業を始め、お客様に貢献し、事業の拡大をしてから箱物を考えたら良いと思います。起業当初は、箱物ではなく、ソフトで勝負できるようにした方が良いです。

軒先を借りて起業した人は、事業がうまくいかなくなったときに、撤退戦もできる人が多いと思います。

夢は大きく

起業は小さく始めることをお伝えしましたが、夢は大きく持っていただきたいと思います。夢を大きく持つことは、費用はかかりません。

起業をして事業が拡大していって、若手の従業員を雇うぐらいになると、会社は成長し続けなければいけません。そして、若手の従業員に会社が何を目指しているのかを指し示すことが大事です。

大きな夢を語ることで、気分が高揚します。大きな夢を語る相手は、夢を共有できる人や、実業家で夢追い人であることが条件となります。さもないと、「夢を語る前に、家族を幸せにしてあげなさい」と言われるなどして、夢を考える気力さえ失われていってしまいます。

人の夢を聞いてあげられる人は、夢を持っている人、もしくは夢を実現した人です。

また、人に夢を語って、「まだまだ青いな」と言われても、その言葉に気を落とす必要はありません。世界を変えていった偉人は、すべからく青い人だったのです。

IngIngでは、夢のある青い社長を応援したいと考えています。起業したいとお考えの方で「経営の考え方を学びたい」とお考えの方は、ぜひ小さな会社の社長のためのセミナーにご参加ください。


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