当社では、経営理念コンサルティングとして、社長の悩み相談を受けつつ、経営理念の構築や浸透のサービスを提供しています。経営理念コンサルティングでは、ビジネスコーチングという手法を用いています。
会社の経営理念は、社長だけがつくることができます。しかし、社長一人でつくった経営理念では、それが正しいものなのか、本物かどうかはわかりません。経営理念コンサルティングでは、社長をサポートして、機能する正しい経営理念をつくり、それを全社に浸透させるお手伝いしています。
ビジネスコーチングとは
経営理念コンサルティングで用いられている、ビジネスコーチングという手法ですが、この定義はさまざまあると思います。チームコンサルティングIngIngでは、ビジネスコーチングを次のように考えています。
社長のパッションやモチベーションを高め、社長が自らの意思で事業を成功に導けるようにサポートするサービス。
ビジネスコーチングでは、クライアントとなる社長を成功に導くことができたら、ビジネスコーチとしては優秀です。
チームコンサルティングIngIngでは、さらなる上の成果が求められます。それは、社長自らの意思によって事業を成功に導くようにサポートすることです。
コーチングの限界
欧米では、「会社の経営者はコーチングを受けることが当たり前だ」と聞きます。日本でも、そのような時代になっていけばよいと思いますが、まだまだ普及はしていません。その理由は、さまざまあると考えていますが、その中の一つとして、コーチングの考え方の限界があります。
一般的なコーチングでは、社長を成功に導けるようにサポートすることが、非常に困難です。それは、コーチングの基本的な考え方に限界があるためです。その限界とは、「答えは相手の中にある」という限界です。コーチングでは、相手を誘導することはせずに、相手の中にある答えを引き出すことを基本としています。
ところが、社長が経営課題の解決方法として相手が答えや、会社経営の正しい知識を持っていないことが多々あります。ですので、一般的なコーチングでは、無い答えを引き出すことは不可能なのです。
コーチングを勉強されて、社長にコーチングをしたときに、「どうも歯車が合わない」とか、「どうも成果が出せない」と感じたことのある方は、多いことでしょう。
社長には、会社経営に関する悩みが常にあります。劣等感や恐怖心があることも多く、それらを解消したり、答えを導きだせることができなければ、理想的な姿を正しく思い描くことが困難になります。そうなると、コーチングの手法だけでは物足りません。
社長へのコーチングが機能する条件
一般的なコーチング手法で、社長のコーチングが機能する条件としては、
- コーチがとても純粋な心を持っている
- 社長が経営の勉強をよくしていて能力が高い
- 社長とコーチの思想・信条が一致している
1番目は、コーチの心根のことです。純粋な心で社長の成功を信じ切ることです。
「社長に成功してもらいたい」という純粋な気持ちを持っていなければ、コーチングにコーチの私心が入ってしまいます。コーチの私心が、事業経営にとって間違った考え方であったならば、社長の経営判断にとって悪影響が出る可能性があります。
2番目として、社長がよく勉強をしていて能力が高いことを述べています。今までの経験から、経営の勉強をよくされている社長には、なかなか出会えません。
コーチングでは、「答えは相手の中にある」ということを基本としているのですが、経営課題は未知のことが多く、相手が答えを持っていないことがよくあります。経営の勉強をよくしている社長でなければ、一般的なコーチングのスキルを駆使するだけでは、社長を成功に導くことができません。
3番目は、コーチと社長との相性の問題です。当然ながら、相性が合わなければコーチングは成り立ちません。コーチが、「社長に、世のため人のための事業を立ち上げて、成功してもらいたい」と純粋な心で考えていても、社長が「相手を騙してでもお金が入ればそれでよい」と考えていたら、コーチングは成り立ちません。
これらのことを踏まえると、ビジネスコーチングとして、社長をサポートするために求められることが見えてきます。
ビジネスコーチに求められるスタンス
社長をサポートするビジネスコーチに求められるスタンスは、心根を純粋に保つことと、経営の勉強をし続けるというスタンスです。
心根を純粋に保つ
心根が純粋かどうかは、思いやりのことです。相手の立場で考え、相手の美しい心情を発見し、相手に心から共感し、心から誉めることです。また、世のため人のために仕事をしようとする考え方です。
社長は、多くの人を見てきているため、相手がどのように考えているか、直観的に見抜ける人が多いと思います。社長から選ばれ続けるビジネスコーチになるためには、コーチングの基礎的なスキルをマスターしていることはもちろんのことですが、心根が純粋であることが求められます。
経営の勉強をし続ける
次に経営の勉強をし続けるスタンスが大切になります。経営は論語とソロバンです。言い換えれば、人間学と採算学です。これを駆使して会社経営がなされます。つまり、ビジネスコーチは、人間学と採算学にある程度精通している必要があります。
ビジネスコーチングは、コーチングの基礎をマスターするだけでは難しい理由がここにあります。
ビジネスコーチに勉強してもらいたい経営の書籍
ビジネスコーチは、経営の勉強を怠ることができません。なぜなら、クライアントとなる社長から信頼してもらう必要があるため、社長よりも経営の知識を持っている必要があるためです。
経営の知識と言っても、多岐に渡ります。マーケティングの方法や事業計画の立て方など、技術的なことは、ある程度は知っていた方が良いですが、いくら勉強をしても経営のプロである社長にはかないません。
そこで、ビジネスコーチを目指す人は、それらの勉強もある程度行いつつ、成功哲学と経営の原理・原則をしっかりと身に付けていただきたいと思います。
経営理念は、社長の想いや考え方などを明文化したものです。そこに明文化されたものを、将来の会社の姿として実現させていくための、マインド面のサポートを、ビジネスコーチが行います。そのためにも、成功哲学の知識が必要となります。成功哲学で学んでいただきたいものは、ナポレオン・ヒル先生の書籍です。
会社経営では、戦術が多少おかしくても、経営の原理・原則や戦略が正しければなんとかなるものです。経営の原理・原則が間違っていたら、事業を成功に導くことが困難になります。
経営の原理・原則、戦略に関して勉強していただきたい書籍は、ピーター・F・ドラッカー先生の書籍と、一倉定先生の書籍です。このお二方の説かれている内容は膨大で難解すが、経営の原理・原則としてはとても奥深しいものがあります。社長が答えを出せないときに、模範解答を即答ができるぐらいに身に付けるべき内容です。
社長の素直さも必要になる
ビジネスコーチに求められることは、社長が答えを出せないときに正しい考え方を導きだせるかどうかです。そして、その答えを導き出したときに、社長に求められることは素直さです。
経営の原理・原則は、とても単純なことが多いものです。一見すると、当たり前のこと過ぎて、反発してしまうこともあるかもしれません。しかし、その当たり前のことが、経営の原理・原則ですので、それに反したら経営はうまくいかなくなります。
素直な社長であれば、ビジネスコーチが導き出した経営の原理・原則に基づいた答えを取り入れることができ、会社経営を成功に導くことができるようになることでしょう。
この記事の著者
経営理念コンサルタント
関山 淑男 (Sekiyama Toshio)
経営理念の構築・浸透とビジネスコーチングのスキルに親和性があることに気づき、研究や実績を重ね、経営理念コンサルタントとしてのスキルを確立していく。社長としての経営経験や赤字企業の業績回復支援の経験から掴んだ教訓、ピーター・ドラッカー先生や一倉定(いちくらさだむ)先生などの経営理論を融合させ、独自の経営理念コンサルティング・メソッドを開発。