「自社には強みがある」とか、「自社の商品には、このような強みがある」という具合に、企業での事業計画や営業で、「強み」という言葉がよく飛び交います。
大企業では計画のところに携わる人であれば、「強みはこのように発見する」というフレームワークをお持ちのことでしょう。
このコラムでは、初めて自社の強みを考える人を対象に、強みは何なのか、強みを発見するためのフレームワーク「マーケティング3C分析」とその使用方法、強みの伸ばし方を、次の目次に沿って、ご説明いたします。
もし、「強みが発見できない」ということであれば、当社のコンサルティングをスポット対応でご利用ください。
強み発見コンサルティングご案内
当社では、貴社の強みを発見するためのコンサルティング支援をご提供しています。マーケティング3C分析をフレームワークとして用いて、自社の置かれている環境を知り、自社が打ち出すべき強みや、商品や事業の改善テーマを導き出すことができます。
強み発見コンサルティング支援をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。このコラムの最後でも、もう一度ご説明させていただきます。
自社の強みの発見セミナーご案内
自社の強みを発見する具体的な方法は、当社開催の小さな会社の社長のためのセミナーで学ぶことができます。毎回異なるテーマで12回を1クールとした中小企業の社長向けセミナーです。オンラインでもご参加いただけますので、遠方の方もご参加いただけます。
「強み」とは?
そもそも、強みとは何でしょうか?
強みは「できること」や「得意なこと」とは異なる
「それぐらい知っているよ」と怒られるかもしれませんが、今一つ、正確に理解されている方は少ないことでしょう。
コンサルティングでご支援させていただいた方の中には、強みを聞いてみると、自社で「できること」や「得意なこと」を「強み」として述べられた方がいらっしゃいました。
「できること」や「得意なこと」と「強み」は違うと思いませんか?
その方も、「それは本当に強みですか? 競合他社もそれを持っているのではないですか?」と聞いてみると、ハッとされました。
「強み」とは何か?
強みは、強いことですので、何かと比較しているはずです。それは、明らかに競合他社との比較です。
また、商売には商圏があります。
自社の商品を買いに来てくれる人、お問い合わせをしてくれる人は、商圏の中にいる人たちです。ネット集客のSEMの商圏は、よく検索されるキーワードで上位ヒットするホームページになります。競合他社にどれほどの強みがあったとしても、自社が競合他社の商圏の外にあれば、それは脅威にはなりにくいものです。ですので、強みには商圏が関わってきます。
そして、自社が、競合他社と競争して勝つために必要なものの一つとして、強みがあります。すると、強みを次のように定義することができると思います。
強みとは
強みとは、自社の商圏の中にいる顧客に対し、自社のみが提供できる価値のこと
自社の強みを発見するフレームワーク=3C分析
強みの発生源は、価値にポイントがあります。すると、自社の強みを発見するフレームワークは、「マーケティングの3C分析」が最適です。
マーケティングの3C分析
次の図をご覧ください。これは、マーケティングの3C分析の図です。
図には3つの円が描かれています。上側の円が顧客(Customer)、左下の円が競合他社(Competitor)、右下の円が自社(Company)です。
それぞれの円は価値を表しています。顧客の円は、顧客が求める価値。競合他社の円は、競合他社が与えられる価値、自社の円は自社が与えられる価値です。
競争の激しい「レッドオーシャン」
ここで、顧客の円と、競合他社や自社の円が重なっている部分にご注目ください。
3つの円が重なっている部分は、顧客が求める価値を、競合他社と自社が与えられるパターンです。
この場合、顧客は商品やサービスを複数の企業から選ぶことができるので、価格競争やサービス競争が発生し、血みどろの戦いになります。この部分で戦う戦略のことを、レッドオーシャンと言います。
レッドオーシャンでの戦いは、結局のところ、有名企業や資本力のかる企業などの強者が勝つことになっています。もし、自社が強者であるならば、レッドオーシャンで勝利を得られることでしょう。
自社の強みを活かした戦いの「ブルーオーシャン」
もし自社が弱者であるなら、図の水色の部分。つまり、顧客が求める価値を、自社のみが与えられる部分で戦うことです。
この部分で戦う戦略のことを、ブルーオーシャンと言います。また、この部分の価値のことを、強み(バリュープロポジション)と言います。
この部分で戦うことができれば、一人勝ちです。
3C分析による「弱み」とは?
ブルーオーシャンとは反対側に位置する箇所をご覧ください。顧客が求めている価値を、競合他社のみが与えられる部分です。この部分のことを、弱みと言います。
「自社の強みを発見して、それを見込み客に訴求するぞ!」と考えたとしましょう。ところが、自社に致命的な弱みがあったとします。すると、せっかく自社に強みがあっても、見込み客は競合他社に行ってしまうことでしょう。
例えば、量販店を運営していて「自社は品揃えが業界No1だ」としましょう。ところが、その量販店が需要地から遠くにあったらどうでしょうか?
せっかく品揃えが業界No1だったとしても、見込み客は「遠すぎて買いに行けない」と近所のお店に行ってしまうかもしれません。
次に、フレームワーク「マーケティング3C分析」を用いた強みの発見方法をご説明しますが、3C分析を行うと、自社の強みと同時に弱みも発見することができます。
発見した弱みが致命的なものであれば、すぐさま改善が必要です。自社の強みを発見して活かしつつ、弱みを打ち消していくような方針を打ち出してください。
マーケティング3C分析を用いた自社の強み発見方法
それでは、フレームワーク「マーケティングの3C分析」を用いての、強みを発見する流れをご説明いたします。
ご用意いただきたいものは、紙やホワイトボードです。そこに、マーケティングの3C分析の3つの円を描いてください。上の円の上側に「顧客」、左下の円 の上側 に「競合他社」、右下の円 の上側 に「自社」とご記入ください。
これで、強み発見の準備が完了です。
1.顧客の想定
最初に商圏内の顧客を想定します。
その顧客は、今まで商品を買ってくれた人すべてでもかまいませんし、印象に残っている一人の顧客でもかまいません。企業の強みを発見するためには、平均的な顧客を想定することも良いでしょう。
たくさんの顧客がいる場合には、リストアップしてください。
私の場合は、会社の強みを発見したい場合はすべての顧客を、商品やサービスをWeb集客したい場合には一人を想定する場合が多いです。
ちなみに、顧客を一人に絞り込んであらゆる想定をし、その人との出会いから商品やサービスを利用して感動し、リピートなり口コミなりするまで想定するマーケティング手法を、ペルソナマーケティングと言います。
2.顧客が求める価値
顧客は、どのような価値を求め、どのような基準でもって会社を選び、商品やサービスを購入するのでしょうか。
価格の安さを求める人がいることでしょう。その場合は、「安さ」と記入してください。商品の耐久性を求めている人もいることでしょう。他にも、すぐにサービスが受けられることや、電話対応の良さ、商品説明の詳しさ、ネット検索での上位ヒットなどもあることでしょう。
おそらくは、30個ほど出てくるものと思われます。多い人であれば、100個ほど出されます。この数の多さが、「顧客のことをどれぐらい理解しているか?」のバロメーターになります。
この途中で、自社や競合他社が与えられる価値を思いつくことも多々あります。その場合は、無視しないで下側の円のところに記入するようにしてください。
3.自社が与えられる価値
次に自社が与えられる価値をリストアップします。自社が持っている商品やサービスのことだけでなく、それらの機能についてもお考えください。また、自社が持っている経営資源も与えられる価値になる場合があります。
この数の多さが、「自社のことをどれぐらい理解しているか?」のバロメーターになります。
4.競合他社が与えられる価値
次に、競合他社が与えられる価値をリストアップします。考え方は、自社が与えられる価値と同様です。
この数の多さが、「競合他社のことをどれぐらい理解しているか?」のバロメーターになります。
競合他社は、自社と同じ業種とは限りません。顧客が求めている価値を提供できる企業が、競合他社です。
競合他社の例
例えば、顧客が求める価値として「近所で手軽にご飯が食べられる」というものであれば、ラーメン屋の競合他社には、近所の居酒屋だけでなく、スーパーマーケットのお惣菜コーナーも競合他社になりえます。
幼稚園を例にすれば、顧客が求める価値として「子供に礼儀を教えてくれる」ということがあれば、近所にある幼児向けの空手教室が競合他社になりえることでしょう。
5.強み(バリュープロポジション)の発見
この3つのリスト化された価値を見比べて、強み(バリュープロポジション)を探します。バリュープロポジションとは、顧客が求めている価値の中で、自社のみが与えられる価値のことです。
これで自社の強みがお判りになったことでしょう。
バリュープロポジションを発見もしくは開発し、それを世の中に知ってもらうための施策を、ブランディングと言います。
自社が獲得すべき強みの発見
自社の強みが発見できたところで、強みの獲得についてお話いたします。なぜなら、その強みは、いつまで続くかわからないからです。
競合他社が努力して、自社だけが持っていた強みを獲得していったら、自社の強みは失われていきます。
そこで、次の視点で自社の強みを開発してみてはいかがでしょうか?
1.強みをより強固にする
まずは、自社の強みを競合他社の追従を許さないぐらいの強固な強みに改善したり、強みを強く訴求していくことです。
強みをより強固にすることは、新しい強みを獲得するよりも、比較的容易に行うことができるはずです。
強みを訴求して強固にする例
例えば、地域で元祖となる豚骨ラーメン店であれば、美味しさを追求しつつ、元祖であることの強みをブランディングします。
お寺に併設されている幼稚園であれば、顧客が「思いやりのある子供に育ってほしい」と願われるのであれば、仏教の教えで思いやりのある子供に育てられる根拠として訴求することすることもできます。
2.競合他社が当たり前として提供している価値に進出
競合他社が当たり前として提供している価値は、それを顧客が購入条件にしている可能性があります。その購入条件を自社が持っていない場合には、自社の売上が下がって当然となります。
2店が並んでいたら、どちらの入るか?
例えば、喫茶店が2件並んでいて、どちらも入ったことのない店であれば、オシャレな外観のお店が選ばれやすいことでしょう。
競合他社が、外観のオシャレな喫茶店であれば、新規顧客の多くを競合他社に取られてしまっているので、自社もそれに合わせて外観をオシャレに改善する必要があります。
「2店舗並んでないよ!」とおっしゃらないでください。可能性として、来年にも近所に別のオシャレなお店ができるかもしれません。
3.顧客が求めている新しい価値を獲得
次に、競合他社がまだ気が付いていなくて、顧客が求めている新しい価値を、自社が先に発見した場合です。それを獲得できたなら、自社の商品やサービスは高付加価値になり、顧客からより選ばれるものと進化させられます。
新しい価値を獲得する例
喫茶店を例とすると、サイフォンやネルドリップは扱いが面倒ですので、チェーン店では行っていません。ハンドドリップでも、ペーパーが主流のことでしょう。
そこで、競合他社が取り入れていない面倒なサイフォンやネルドリップを採用するなどして、競合他社よりも魅力のある商品を提供することがありえます。
また、自社の提供できる価値が「会話ができる場所」であれば、コーヒーが嫌いな人は会話が楽しめません。
そこで、コーヒーだけを提供するのではなく、イチゴオレやバナナオレなどのコーヒーを苦手とする人にも楽しんでもらえる商品を取り入れることもありえます。
ここで新しい価値を獲得するときの注意点があります。それは、新しい価値を獲得することで、競合他社が増える場合があるということです。もし、自社が弱者であれば、強者のトラの尾を踏まないように注意してください。
強み発見コンサルティングのご案内
自社の強みを発見するためのフレームワークを述べてきましたが、取り組むことができそうでしょうか?
自社の強みの発見は、一度できるようになると、何度でもできるのですが、初めて取り組む人だけでは、強みを正しく出しにくい場合があります。
もし、「自社だけでは本当に強みを発見できたのか心配だ」と思われる方がいらっしゃれば、当社のコンサルティングをスポット対応でご依頼ください。コンサルタントがプレゼンテーターとなり、自社だけでは発見できなかった強みを見出すことができることでしょう。
経営理念コンサルタントにご依頼いただいた場合
経営理念コンサルタントに 強み発見支援をご依頼されると、自社の根幹となる強みの発見ができ、経営計画や新商品開発に活かすことができます。継続してコンサルティングを受けていただけた場合には、自社が強みを発揮した未来像まで描くことができることでしょう。
集客コンサルタントにご依頼いただいた場合
集客コンサルタントに強み発見支援をご依頼されると、広告宣伝に活かすことができる強みを発見できます。継続してコンサルティングを受けていただくと、自社の広告宣伝でどのように表現したら良いのか、ホームページの内容をどのように修正したら集客ができるようになるのかが、明確に判ります。
スポット対応のコンサルティングをご希望の方は、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。こちらからお電話いたしますので、ご相談内容をお教えください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。