外出先にノートパソコンやタブレットを持って出かけて、顧客にプレゼンしようとしたら「データが足りない」とか、「会社のパソコンのデータを見たい」と思ったことはないでしょうか?
そういった場合におすすめの仕組みがVPNです。
VPNとは、バーチャル・プライベート・ネットワークの略で、インターネットを介して会社とパソコンと安全に社内LANのように接続し操作できる、拠点間通信の仕組みのことです。特定のユーザーのみが、自社のVPNに接続ができるような、暗号化された通信なので、安全にデータのやり取りができます。
意外に知られていない、便利な拠点間通信のVPNについてご紹介いたします。
拠点間通信の種類
拠点間通信には、接続方法の違いで、次の2種類あります。
- 専用回線
- VPN
- IP-VPN
- インターネットVPN
専用回線は、拠点間で光ケーブルなどを敷設して接続する方式です。インターネットを介しないので、もっとも安全に接続できる方法です。維持費にとてもお金がかかるので、特別な組織でなければ、専用回線はおすすめできません。
VPNは2種類あり、IP-VPNは通信事業者の閉域ネットワークを用いたVPNです。インターネットVPNは、インターネット回線を通じて拠点間通信を行う方法です。
一般的に、VPNと言うと「インターネットVPN」のことを指します。これらの中で、インターネットVPNがもっとも安価に利用できるので、中小企業におすすめの方法です。
以下、インターネットVPNについてご紹介します。
VPNを構築して何ができるのか?
VPNを構築すると何ができるのか、VPNのメリットをご紹介いたします。
会社のパソコンを出先から操作できる
VPNを導入すると、外出先のパソコンやタブレットから、会社のパソコンにアクセスすることができ、操作できます。操作ができるということは、メールの操作や、プリンターの操作、販売管理システムの操作などもできます。
営業担当者であれば、出張先で、販売管理システムの入力作業を行うことができます。最近では、クラウドの販売管理システムがあるので、外部からでも操作できますが、クラウドに切り替えることなく、会社のパソコンを操作してシステムを操作できます。
「クラウドを導入したらいいのでは?」と思われる方も多いことでしょう。ところが、クラウドは誰がクラウドのシステムを管理しているのかわかりませんので、会社の情報を本当に安全に守りたいのであれば、会社のパソコンにインストールするオンプレの方が良いのです。
貴重なデータの物理的な紛失を防げる
よくニュースで、貴重なデータの入ったパソコンやUSBメモリを紛失して問題になることがあります。データの取り扱いの社内ルールを作成したり、改善したりして、運用しているところも多いことでしょう。
VPNで会社のパソコンにアクセスすることができたら、わざわざデータを持ち出さなくても確認ができるので、貴重なデータの物理的な紛失を、根本から防ぐことができます。
拠点間で内線電話の接続ができる
本社と支店があったとして、その拠点間をVPNで接続した場合は、ビジネスフォンを導入することで、インターネット回線を使った安全な内線電話ができます。
離れた場所でも、内線電話で接続できるので、外線の転送も可能です。
また、支店に外線が入ったときに、支店に誰もいない場合は、その電話を本社のスタッフが取ることもできます。
マンションの一室に会社があるところでは、スタッフが増えて借りているマンションの部屋数が増えてきたら、内線で困ります。マンションは内線電話を引くことができないからです。そういった場合も、VPNが活躍します。
防犯カメラの映像を安全に確認できる
VPNで防犯カメラの画像を、安全に転送することができます。店舗経営をしている企業であれば、各店舗に防犯カメラを設置し、本社のパソコンで防犯カメラの映像を安全に確認できます。
防犯カメラをクラウドで確認できるものもあるそうですが、クラウドを管理している人がどのような人なのかが気になるので、VPNで映像を確認できるようにした方が良いでしょう。
本社と支店のオフィスに防犯カメラを設置し、お互いに誰がいるかを確認できるので、まるで同じオフィスにいるかのような雰囲気で仕事ができます。
事務スタッフも在宅ワークが可能
事務スタッフは、販売管理システムや会計システムを操作することがありますが、会社のパソコンにVPN接続して、本社のパソコンにインストールされたシステムを外部から操作することができます。
会社のNASにもVPNを介してアクセスできるので、作業で作成したデータを、会社のNASに保存して他のスタッフと共有ができます。
遠隔地のプリンターに出力ができる
本社と物流倉庫があり、その拠点間をVPNで接続した場合、本社から物流倉庫のプリンターを操作することもできます。
例えば、出荷伝票を物流倉庫のプリンターで出力して、物流倉庫のスタッフがそれを受け取って、出荷作業を行うこともできます。
VPNの導入方法
VPNの導入は、業務用のルーターを導入しなければなりません。なぜなら、ルーターにVPN接続するためのプログラムを入れる必要があるからです。家庭用ルーターでは、プログラムを入れることができないので、VPN構築ができない場合が多いようです。
どのような業務用ルーターを選べば良いのか、どのようなプログラムを導入するのか、設定をどうするのかなど、不明なことが多いので、できれば、VPN構築会社に依頼した方が良いです。
手順としては、まず拠点間に業務用ルーターを導入します。プログラムをインストールして、VPNの設定を行います。
VPN接続したいパソコンに、VPN接続用のアイコンを設置して完了です。
業務用のルーターは、新品を購入すると値段が高いですが、1世代前の中古のものでも、導入ができるそうなので、VPNを安価に導入したい方は中古のルーターでも良いと思います。
在宅ワークが当たり前になりつつある現在ですが、仕事の仕方が変わっても、便利な仕組みを利用して、生産性を高めることも経営者にとって大切なことです。VPNの構築は、経営とは直接関係のないことかもしれませんが、経営者は把握しておきたい内容ですので、コラムの話題として取り上げてみました。
VPN構築をご希望の方は、当社までご相談ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。