売上高アップを期待してホームページを制作しても、新規顧客からのお問い合わせはまったくないことがほとんどだと思います。
何も対策していないホームページであれば、自社にどのような検索キーワードで訪問されたのか調べると、自社名でネット検索して訪れることがほとんどです。
そのような人は、自社のことを知っている既存顧客なので、問い合わせは社長や営業担当者の携帯電話です。
ホームページ経由で、新規顧客からのお問い合わせ件数を増やすためには、コツがいるのです。
このコラムでは、ホームページ経由でのお問い合わせ件数を増やしたい企業向けに、その方法をお教えいたします。
ホームページからの問い合わせ件数を増やすための基本的な考え方
まずは、ホームページからの問い合わせを増やすための基本的な考え方からご説明いたします。この基本を抑えることで、問い合わせ件数を増やすことができます。
基本はアクセス数を増やしコンバージョン率(CVR)を高める
その基本とは、アクセス数を増やしてコンバージョン率(CVR)を高めることです。
アクセス数を増やす
アクセス数とは、ホームページに訪問してくれる回数のことです。アクセス数が2倍になれば、単純計算で問い合わせ件数も相対的に2倍に増えます。もし、「今までにお問い合わせが1件もない」という方であれば、ホームページのアクセス数の絶対数が少ないものと思います。
ホームページのアクセス回数を調べる方法は、アクセス解析ツールを用います。一般的に用いられるアクセス解析ツールは、Googleアナリティクス(GA4)です。Googleアナリティクスは、無料で使用できる高性能なツールです。
コンバージョン率を高める
コンバージョン率とは、ホームページに訪問してくれた人が自社に問い合わせをしてくれた割合のことです。
例えば、アクセス数が1,000回あって、お問い合わせが3回であれば、コンバージョン率は0.3%になります。
ホームページに訪れた人が全員お問い合わせすることはありませんが、何百回に1回程度の割合でお問い合わせがあると思います。コンバージョン率を2倍にできれば、問い合わせ件数を2倍に増やすことができます。
コンバージョン率を調べる方法は、これもGoogleアナリティクスを用いて計測できます。
コンバージョン率の詳細は、「Web集客で必須!コンバージョン数やコンバージョン率とは?」をご覧ください。
アクセス数とコンバージョン率のハードル
ここで、問い合わせ件数を増やすためには、アクセス数を増やすこととコンバージョン率を高めることの2つのハードルを越えることです。
アクセス数を増やす代表的な方法は、ネット検索です。自社に関連する検索キーワードでネット検索したときに、自社ホームページを上位ヒットさせることができたら、アクセス数を増やすことができます。その方法には、SEO対策とリスティング広告があります。その基本的な考え方は「Googleと検索者の立場で考えること」です。
そして、コンバージョンを高めるためには、ホームページに訪れた人がお問い合わせをしてくれるようにするわけですが、その基本的な考え方が「訪問者の立場で考えること」です。
Googleと検索者の立場で考える
貴社のホームページには、いくつかのページがあると思います。それらのページが上位ヒットするためには、Googleの立場を知ることが大切です。Googleから嫌われたら上位ヒットすることがありません。
Googleに好かれるポイントは、次の3つのことを考慮したコンテンツを掲載することです。
- 専門性(Expertise)
- 権威性(Authoritativeness)
- 信頼性(Trustworthiness)
これらを満たすことは、広い意味では訪問者の立場でコンテンツを制作することです。この3つのことを、頭文字で「E-A-T」というそうです。また、2022年には、もう一つ経験(Experience)の「E」が追加され、「E-E-A-T」になりました。(「品質評価ガイドラインの最新情報:E-A-T にExperienceのEを追加」を参照)
E-E-A-Tについては、別の機会にご説明したいと思います。
次に検索者の立場で、検索結果に表示されるキャッチコピーを考えることです。検索者は検索結果に記載されているタイトルや説明文を見て、どのホームページを開くかを瞬時に決めています。そのときに、検索者の目に留まるようなキャッチコピーが大事です。
訪問者の立場で考える
コンバージョン率を高めるためには、訪問者の立場で、ホームページの構造やデザイン、コンテンツ内容を考えることです。
訪問者が知りたい情報が掲載されていることはもちろんのこと、訪問者が見やすいサイト構造やデザイン、お問い合わせしやすい構造にすることが大事です。
アクセス数を増やす方法やコンバージョン率を高める方法について、具体的にご説明いたします。
ホームページのアクセス数を増やす
ホームページのアクセス数を増やす方法として、自社ホームページを上位ヒットさせることを、先ほどご説明いたしました。他にもSNSや動画のリンクを経由してホームページのアクセス数を増やす方法があります。
ホームページのアクセス数を増やす方法
ホームページのアクセス数を増やす主な方法をご紹介します。
リスティング広告をする
リスティング広告とは、Google広告やYahoo!広告、Bing広告のように、ネット検索をしたときに検索結果ページの上部や下部に表示される広告のことです。
リスティング広告は、お金を払って広告を掲載してくれるわけですが、クリックされなければ料金が発生しません。あらかじめ課金しておいて、クリック単価に応じた料金が、クリックされるたびに引き落とされていく仕組みです。
上位表示させるためには、クリック単価を高めに設定することですが、リスティング広告の評価制度のようなものがあり、その点数を高めることも大事です。
SEO対策を行う
SEO対策とは、検索結果の自然検索エリアに自社ホームページを上位表示させる手法です。
SEO対策の基本的な方法は、テクニカルSEOとコンテンツSEOがあります。テクニカルSEOは、ホームページが上位ヒットしやすい体質にする方法です。コンテンツSEOとは、ページを量産してたくさんのSEOキーワードで上位ヒットさせる方法です。
当社では、テクニカルSEOとコンテンツSEOの両方を組み合わせて行うことをおすすめしています。
SNSを活用する
SNSとは、X(旧Twitter)やInstagramなどで記事を投稿し、記事に記載されているリンクを辿って、自社ホームページにアクセスしてもらう方法です。
SNSはBtoC営業であれば有効な場合が多いです。BtoB営業の場合は、手間の割にSNSのアクセス数が増えないため、費用対効果が悪い傾向があります。
動画を活用する
動画サイトに動画を投稿し、そこに記載されているリンクを辿って、自社ホームページにアクセスしてもらう方法です。
動画の再生回数を増やすことができるようであれば、ホームページのアクセス数も相対的に増やすことができます。ただし、動画の再生回数を増やすためには、相当数の動画を作成する必要があるので、BtoBでは費用対効果が上がりにくいです。
アクセス数を増やす基本はリスティング広告かSEO対策
BtoC企業のホームページは、SNSを活用することをおすすめしましたが、BtoC企業でもお問い合わせ件数を増やしたい企業やBtoB企業での基本はリスティング広告かSEO対策です。リスティング広告とSEO対策のメリットやデメリットを知り、長所を活かすことが大事です。
リスティング広告のメリット・デメリット
リスティング広告のメリットは、お金をかけたら検索結果にすぐに上位ヒットさせることができることです。そして、どの程度の費用をかけたら、どの程度のお問い合わせが入るのかを経験的につかむことができると、費用対効果から集客をコントロールできます。
リスティング広告のデメリットは、お金をかけなければ広告が表示されなくなることです。そのため、ホームページのアクセス数を継続的に増やしたい場合には、広告費を払い続ける必要があります。また、競合が多い場合は、クリック単価が上がり、集客のための費用対効果が下がってしまいます。
そういったことから、リスティング広告は単にお金を費やしたらよいのではなく、社長のトータルの経営能力が求められます。
SEO対策のメリット・デメリット
SEO対策のメリットは、上位ヒットするとそれを維持しやすいことです。つまり、上位ヒットさせることに成功したら、固定費をかけずにアクセス数を継続的に増やすことができます。
SEO対策を業者にお願いしたとしても、正攻法のSEO対策を行っている業者であれば、契約を解除してもホームページを契約前の状態に戻さなければ順位が下がることはありません。
SEO対策のデメリットは、施策方法は素人には難しいこと、上位ヒットするかどうかは施策してみなければわからないこと、上位ヒットに時間がかかることです。
SEO対策を行ったら、少しずつアクセス数が増えてくるので、相対的にお問い合わせ件数も少しずつ増えていきます。そのようにして、顧客対応や受注・納品などの業務に慣れていくことに合わせて、お問い合わせ件数を増えていくので、会社の成長に合わせて施策ができます。
SEO対策の手法
SEO対策の方法にはいくつか種類がありますが、基本は先ほども述べたようにGoogleに好かれることです。それは、言い換えると検索者にとって良いホームページをつくることです。
訪問者にとって良いホームページの基本は、「知りたい情報をすぐに知ることができる」ということです。情報が詳しく記載されていたり、画像があって読みやすかったり、参考ホームページのリンクがあったりするホームページが上位ヒットしやすいです。
検索者にとって良いホームページとは、コンテンツ量や質だけではありません。
ホームページの閲覧は、スマートフォンで行うことが多くなりました。そのため、スマートフォンの画面サイズに合ったホームページデザインを採用しているホームページが上位ヒットしやすいです。また、ホームページの表示速度が早い方が良いとされています。
これらのような、ホームページが検索者にとって良いホームページにすることが、SEO対策につながります。ここで、技術的なSEO対策の手法を、テクニカルSEOといいます。また、情報量を増やすSEO対策の手法を、コンテンツSEOといいます。
最近のSEO対策の主流は、テクニカルSEOとコンテンツSEOの両方を組み合わせて行うことです。
リスティング広告とSEO対策の長所を活かした施策がおすすめ
リスティング広告とSEO対策それぞれのメリットとデメリットを考慮すると、短期的にアクセス数を増やしたい企業はリスティング広告を、長期的にアクセス数を増やしたい企業はSEO対策が有効です。
それらを組み合わせて施策することも可能です。すると、それぞれのデメリットを埋め合わせて、アクセス数やお問い合わせ数を安定的に増やすことができます。
ホームページのSEO対策を開始し、最初はアクセス数が増えませんが、リスティング広告でアクセス数を増やします。徐々にSEO対策の効果が出てきたら、リスティング広告の課金を減らしていき、集客数を安定させます。
また、組織の見直しや業務の仕組み化によって、より多くの受注に対応できるようになったら、またリスティング広告を再開しても良いと思います。
ホームページのコンバージョン率(CVR)を高める
ホームページのアクセス数が増えたら、相対的にお問い合わせ件数が増えます。また、アクセス数が一定であってもコンバージョン率(CVR)を高めることで、お問い合わせ件数を増やすことができます。
コンバージョン率を高める方法
コンバージョン率を高める方法は、細かくはいくつもありますが、代表的なものをご説明いたします。
お問い合わせフォームを設置する
お問い合わせフォームとは、会社名や名前、メールアドレス、お問い合わせ内容などを入力して「送信」ボタンを押すことで、問い合わせした方や自社の担当スタッフに、問い合わせ内容が自動送信される仕組みのことです。メールが送信されるので、メールフォームともいわれます。
お問い合わせフォームのないホームページは珍しいですが、ホームページの作り方を勉強した方が自作されたときには、お問い合わせフォームが存在しない場合もあります。今の時代にお問い合わせフォームのないホームページがあると、「お問い合わせをしても大丈夫なのだろうか?」と感じたり、他社のホームページでお問い合わせをしようとされます。
お問い合わせフォームを独自ドメインではなく、外部URLに飛ばして利用するものもあります。それも、問い合わせしようとしている人からすると、「お問い合わせしても大丈夫なのだろうか?」と心配させてしまいます。独自ドメイン内にお問い合わせフォームを設置した方が良いです。
お問い合わせフォームは簡単に設置できる時代ですので、もう少しお勉強されるか、外部業者に依頼して設置してもらった方が良いです。また、WordPressを用いると、Contact Form 7という高機能なお問い合わせフォームのプラグインも無料で利用できます。
コンテンツを改善する
コンバージョン率を高めるためには、訪問者の知りたい情報を掲載することが大事です。
「お問い合わせをしても良い」と考えている人は、問い合わせする企業を探しているのですから、調べ事に対して詳しく情報が掲載されているホームページを信頼するものです。検索者インサイトを考慮しつつ、今までの事業経営してきた経験から、訪問者の知りたい情報を分析し、その情報を掲載すると良いでしょう。
例えば、工作機械の製造・販売をしているメーカーであれば、工作機械のラインナップ写真、スペック一覧、導入の流れ、加工事例、カタログダウンロードなどがあると、お問い合わせをしやすくなります。
ランディングページ(LP)を制作する
ランディングページとは、商品やサービスの魅力や利用方法、スペック、購入方法など、訪問者が知りたい情報を1ページの中に記載した、長いページのことです。
訪問者が得たい情報を探すために、貴社ホームページに訪れたとします。そして、知りたい情報がいろいろなページに分散されていたら、訪問者はわざわざ複数のページを開いて情報を集めなければいけません。
それに対してランディングページであれば、1ページの中に知りたい情報がすべて記載されているので、あとはお問い合わせをするだけです。
主要な商品やサービスに対して、このようなランディングページを制作することで、コンバージョン率を高め問い合わせ件数を増やすことができます。
ホームページの導線を改善する
ホームページの導線とは、訪問者がどのページに訪れ、どのページに移動して、問い合わせまで行ってくれるかの導線です。導線を改善することで、問い合わせ件数を増やすことができます。
基本的には、このホームページや他の多くのホームページでもあるように、ヘッダーやフッターにお問い合わせボタンを設置することは基本です。他のホームページが基本としていることは、自社ホームページにも導入した方が良いです。
他にも、スクロールをすると右側に資料請求のボタンが表示されたり、スマートフォンでホームページを閲覧したときには、下側に自動的に電話やお問い合わせのコンバージョンポイントが表示されるようにします。
あまりにもしつこくコンバージョンポイントを設置すると、訪問者に邪魔に思われてイメージを悪くする場合もあります。このページのような技術情報を掲載しているページの中には、スクロールをすると画面が暗くなって、画面中央に広告が表示されるものがありますが、とても邪魔に思う方が多いと思います。
複数のコンバージョンチャネルを検討する
コンバージョンチャネルとは、ホームページに訪問した人を自社にコンタクトしてもらうための方法のことです。問い合わせも、コンバージョンチャネルのひとつです。
問い合わせは、訪問者からすると何を問い合わせたらいいのか、わからないことがあります。問い合わせは興味を引きにくいので、訪問者が興味を引きそうなコンバージョンチャネルを用意し、コンバージョン率を高めることができます。
BtoB企業であれば、コンバージョンチャネルの代表的なものは、次のようなものがあります。
- 見積依頼
- 資料・カタログ請求
- サンプル請求
- デモンストレーション依頼
- お役立ち情報や小冊子の請求
- 展示会などのイベント招待
- 無料セミナーや無料相談会への招待
これらのようなコンバージョンに至るフォームも、お問い合わせフォームのプログラムを応用して作成することができます。
コンバージョン率を高める手法はどれを選べば良いのか?
コンバージョン率を高めるための方法として、お問い合わせフォームを設置することは当たり前ですが、他にも何をすれば良いのかご説明いたします。
リスティング広告を行う場合
リスティング広告は、広告が表示されたときのリンク先は、自由に設定することができます。そのため、リンク先のページはコンバージョン率の高いページであることが望ましいです。つまり、ランディングページと組み合わせることが大事です。
そして、リスティング広告のコンバージョンチャネルは、問い合わせ以外にも、自社が取り扱う商品やサービスに応じたものを検討します。
パッケージソフトの販売であれば、資料請求やデモンストレーション依頼が望ましいでしょう。工作機械の効果的な販売方法は、テスト加工依頼やショールーム見学の予約などもおすすめです。
コンテンツSEOを行う場合
コンテンツSEOを行う場合は、コンテンツページが上位ヒットしやすくなります。コンテンツページには、商品やサービスの魅力ばかり記載しても、検索者が訪問してくれない可能性があります。そこで、検索者のソリューション情報を提供しつつ、商品やサービスを紹介するページに遷移してもらう導線設計が大事です。
また、遷移先のページがランディングページであれば、コンバージョン率をさらに高めることができます。
コンテンツSEOを行う場合は、コンテンツページの設計はもちろんのこと、導線設計とランディングページ制作がおすすめです。ランディングページのコンバージョン率をさらに高めるためには、もちろんコンバージョンチャネルの検討も行います。
以上、ホームページ経由での問い合わせ件数を増やすための、アクセス数を増やす方法とコンバージョン率を高める方法についてご説明いたしました。
一言で結論を述べるとするならば、ホームページを探している人にとって良いホームページを構築することです。そのために、いくつかのマーケティング手法がありますが、そのようなフレームワークを活用しながらホームページの設計や改善を検討していくことで、問い合わせ件数の多いホームページができます。マーケティング手法やホームページ設計の流れについては、「集客ホームページ制作の流れ」をご覧ください。
ホームページ集客に限らず、「問い合わせ件数を増やしてくれる業者を探している」という企業様は、ぜひ当社にご相談ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。