社長の夢実現への道

誰でも簡単!?零細企業向けざっくり経営計画の立て方

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零細企業向け短期経営計画の立て方

今回は、零細企業の経営者向けに、短期経営計画の立て方をご紹介いたします。短期経営計画は、今後1年間の経営計画のことです。

中小企業における短期経営計画の立て方は、一倉定先生(1918~1999)の社長学シリーズ第2巻「経営計画・資金計画」がとても参考になります。

しかし、そこに書かれている方法を踏襲して経営計画を立てることは、とても難しいと思います。ましてや、経営計画を立てたことのない零細企業の社長にとっては、さらに難易度が高いものでしょう。

経営計画を立てることに慣れていない社長にとっては、もっと簡単にできることに越したことはありません。さらに、零細企業の場合は、一倉定先生が提唱する立派な経営計画ではなく、ざっくり計算して簡単に作成でき、使いやすい経営計画が良いと考えます。

このコラムでは、「経営計画を立てたいけど難しい」とお考えの零細企業の社長向けに、短期経営計画を簡単に立てる方法、活用の仕方を、次の目次に沿ってご紹介いたします。

もしここに記載された方法で経営計画を立てることが難しければ、当社のビジネスコーチングをご利用ください。

簡単な経営計画で良い社長の条件

社長が経営計画を立てるとき、簡単なもので良い条件は、次の2つのことに合致する場合です。

  1. 大きな夢や目標を持っていない
  2. 会社の社員は、社長とご家族だけで構成されている

大きな夢や目標を持っている社長は、会社を発展させるための経営計画が必要です。その経営計画は、企業ビジョンや将来のバランスシート、それらから導き出される利益計画など、長期的なものと短期的なものを組み合わせて、入念な経営計画が必要になります。

会社の成長のためには、銀行からの融資が必要となる場合が多く、そのための資金調達のために入念な経営計画が必要だからです。

家族とは関係のない人を正社員として雇っている場合は、その社員の生活の安定や向上のためにも、会社の成長をお考えになることでしょう。そうなると、会社の発展を考えるので、この場合も企業ビジョンや将来のバランスシートなどの入念な経営計画が必要になります。

以下、会社の人員構成が社長とご家族だけの会社を、「零細企業」と称して、ご説明いたします。

零細企業では、会社は社長や家族のためにあるようなもので、「自分たちが食べていくために会社を経営している。生活が維持できたらそれで良い。」と考えている社長がほとんどでしょう。そのような場合は、社長が経営計画を把握できたらそれで良いので、入念な経営計画は必要ありません。

そのような零細企業の経営計画の立て方についてご説明いたします。

経営計画は社長が立てること

社長の中には、誰かに経営計画を立てさせて、それを承認するようなことを行う方がいらっしゃいます。そのような経営計画は、実施されませんし、活用もされません。期中には経営計画を立てたことすら忘れ去られていて、期末に「そういえば去年立てた」と思い出すだけのことでしょう。

誰か別の人が立てた経営計画が実施されない理由は、経営計画を立てた本人は、会社の経営者ではないので、社長自ら実行しようとは思わないからです。誰か別の人に経営計画を立てさせることは、時間や費用のムダです。

以前、私に「経営計画のサンプルを作成してもらいたい」とご依頼をされた、数字が苦手な社長がいました。利益計画のサンプルをExcelで作成して差し上げたのですが、それを受け取って満足されたのか、お会いしても経営計画の「けの字」すら出ませんでした。(Web戦略で販売がうまくいっているので、経営は安定していますが。)

ともあれ、経営計画を立てる場合は、会社すべての責任を背負った社長が立ててこそ意味があります。経営計画は、必ず社長が立ててください。

零細企業向け経営計画の構成

零細企業向けの経営計画には、いくつかのパーツで構成されています。それは、次の通りです。

  1. 利益計画
  2. 売上計画
  3. 販売計画
  4. 経営方針

ここで、これら4つの名前を聞いただけでアレルギーが出てしまわれる方もいらっしゃいますが、作り方は本当に簡単ですので、ご安心ください。

利益計画とは、どれだけ利益を出したいかを計画するものです。利益計画はとても楽しいものになる場合が多いです。

売上計画は、利益計画に基づいて、どれだけ売上高を上げたら良いのかを計画するものです。

販売計画は、売上計画の実現に向けて、毎月何をどれぐらい販売したらいいのかを計画するものです。

経営方針は、販売計画を実現するための方針です。KPIと言えばわかりやすいかもしれません。

零細企業向け経営計画の立て方

何度も申しますが、零細企業の経営計画の立て方は簡単です。まず得たい利益から考え、逆算していくだけです。

  1. 実現したい欲求をリスト化して金額に換算する
  2. それを実現するための今期の利益を設定(利益目標)
  3. その利益から逆算して売上高を導きだす(売上目標)
  4. その売上高を上げられるように毎月の販売目標に落とし込む(販売目標)
  5. 販売計画を実現するための方針を決める(販売方針)
  6. いつ、どこで、だれが、何を、どのように、どれくらい、それをするのはなぜ?(プロジェクト計画)

それぞれの項目について、簡単にご説明いたします。メモと電卓、前期の決算書をご用意ください。

1.実現したい欲求を金額に換算する

実現したい欲求には、今年1年の短期のものから、子どもを大学に行かせたいというような長期的なものまで、さまざまあることでしょう。「家のリフォームをしたい」とか「家族で旅行に行きたい」というものもあることでしょう。

利益計画は今年1年の利益を考えるので、将来的に実現したいことも今年1年の利益計画に落とし込みます。将来的に必要なお金は、貯金しておく必要がありますが、「今年いくら貯金をしておけば、将来に欲求が実現できるか」という具合に、今年1年の金額に換算します。

具体的には、次のような項目になることでしょう。

  • 毎月の生活費×12か月
  • 住宅ローン
  • 子どもの学費
  • 趣味や家族旅行などの費用
  • 将来のための貯蓄

将来のための貯蓄には、子どもを大学に行かせるための費用もあれば、災害に対する備えもあることでしょう。家族の不幸などによる突発的に発生するお金もあります。そういったことを考慮して考えると良いでしょう。

また、製造業であれば、将来に機械のメンテナンスや更新の費用もかかることでしょう。そのような費用は、自分の給料としてではなく、会社の内部留保として置いておく必要があります。

それらの合計金額から売上高を逆算していくわけですが、計画はその通りにいかない場合もあるので、安全係数を掛けておいてください。例えば、「500万円の利益が必要だ」ということであれば、安全係数1.1を掛けて、「550万円の利益を得よう」という具合です。安全係数は、社長ご自身で決めてください。

この金額にご家族の手取りを加えます。ご家族の手取りが250万円だとしたら、550万円+250万円で合計800万円になります。

もし、会社に社員がいる場合には、社員のモチベーションが上がるような企業ビジョンを立て、そこから逆算して経営計画を立てることが大事です。企業ビジョンの作成方法については、「正しい企業ビジョンの作り方」をご覧ください。

2.それを実現するための今期の利益を設定(利益計画)

所得税を支払い、残ったお金が利益になるので、実現したい欲求の金額に所得税や住民税、国民年金保険料や国民健康保険料などを加えたものが、零細企業の会社が目標とすべき利益になります。

税率や保険料は変化しています。詳細は税理士さんに相談していただくとして、零細企業の利益計画では、それらの合計をざっくり30%で計算されたら良いと思います。

例えば、800万円のお金が欲しい場合は、税金と保険料の合計をざっくり30%で計算したら、必要利益は1,150万円です。つまり、売上高から経費を引いたものが、1,150万円あれば、欲求が実現できます。

3,その利益から逆算して売上高を導きだす(売上計画)

利益が出せたら、そこから逆算で費用を足して、売上高を導き出します。費用には変動費と固定費があり、売上高から変動費と固定費を引いたものが利益です。それを逆算するので、得たい利益に固定費と変動費を足します。

変動費と固定費をどのように分けるか?

変動費と固定費を分けるものは、売上高に比例して変動するものを変動費、売上高に対して一定にかかる費用を固定費です。

しかし、変動費と固定費を厳密に分けていたら、気が狂ってしまうことでしょう。

そこで、製造業の場合の変動費は、原材料費と外注費が主なものですので、それを変動費として、残りは固定費にしてしまいます。原材料費と外注費以外のものは微々たるものですので、固定費に入れてしまうのです。そうすることで、損益分岐点が上昇するので、少し多めに売上高を設定しなければならなくなるので、経営計画としては安全なものができるのです。

固定費は、次のようなものがあります。

  • お家賃
  • 水道光熱費(水道、電気、ガスなど)
  • 通信費(携帯電話代やインターネット代)
  • 交通費やガソリン代、自動車のメンテナンス費
  • 広告宣伝費
  • 会議費
  • 設備の整備費
  • 図書費や研修費

これらの費用は、物価や使用状況などで変動するものですが、毎年ほとんど変化がないものとして扱います。

固定費の加算

例えば、固定費が年間300万円かかるのであれば、先ほどの1,150万円を足したら、1,450万円になります。この金額が必要な粗利益(限界利益)になります。

会社には、突発的な出費がある場合があります。例えばパソコンが壊れて買い替えたり、窓ガラスが割れて修理したりしたときに発生する費用です。そういった費用も盛り込むのであれば、加算しておいてください。

変動費の加算

次に、算出された粗利益を出すために、どれぐらいの売上高を上げたら良いかを計算します。

粗利益に変動費を加えたものが売上高になります。変動費は売上高に比例して発生しますので、単純に変動費を足すことは困難です。そこで、粗利益率から計算します。

ここで使用する粗利益率は、経営計画では目標とする粗利益率(変動費率)を設定して計算していくのですが、ここは零細企業向けの計画ですので、難しく考えてはいけません。つまり、粗利益率は今までの事業活動での経験上の粗利益率を持ってきたり、去年の実績を用いたりしたら良いと思います。

粗利益から売上高を逆算してみましょう。去年実績の粗利益率が45%だったとして、1,450万円の粗利益を得るための売上高は約3,220万円。つまり、3,220万円を売り上げたら、期末には自分の手取りとして500万円が残る計算になります。

消費税込みの売上高であれば、消費税率10%だと、1.1倍して3,540万円ほどになります。

4.その売上高を上げられるように毎月の販売目標に落とし込む(販売計画)

期末の売上高が計算できたので、毎月の販売目標に落とし込みます。つまり、毎月いくら売り上げたら良いのかということですので、売上高目標を12か月で割り、その売上高を毎月上げられることを目標とします。

例えば、期末の売上高目標が2,230万円であれば、12か月で割ると、毎月186万円です。

もし、186万円を売り上げるためにPR活動が必要となり、広告宣伝費が高くなってしまうのであれば、その費用を盛り込んで再計算します。

販売品目がいくつかある場合は、商品の性質や品目で3~5種類ほどに分類し、それぞれの販売目標や利益率から、販売目標を立てます。例えば、商品がA、B、Cの3商品あり、それぞれを販売したときに、Aが86万円、Bが50万円、Cが50万円、合計186万円という具合に分けます。

ここで、販売計画の売上高は売上計画と一致しますが、粗利益率が一致しないと思います。その場合は、販売目標の項目や利益計画の粗利益率などを、現実的な範囲で調整します。

販売計画を考えている中で、商品の利益率を改善したり、重点的に販売していきたいもの場合が出たり、どのような広告宣伝をすべきかの方針を思いついたりすることがあります。それらは、次にご紹介する経営方針に加えます。

5.販売計画を実現するための方針を決める(経営方針)

毎月の販売目標が決まったら、次は、その販売目標を実現するための方針を決めます。得意先の絞り込みを行ったり、商品点数を変えたり、在庫数を調整したりといった具合です。

先ほどの、商品の粗利益率を改善したり、重点的に販売するものを設定したり、効果的な広告宣伝を行ったりする方針も加えます。

また、今のリソースだけでは販売目標が達成できない場合があります。例えば、「その売上高を達成すると、製造が間に合わない」とか「顧客フォローに支障が出て、顧客を失い、売り上げが下がる」といった具合です。

そういった場合には、次のような対策をする必要があります。

  • 高収益型の新商品開発
  • 既存商品やサービスの改善による高収益化
  • 業務の改善や生産性の向上
  • 内作/外作の比率検討
  • ムダの削減
  • マニュアルやルールの策定

これらの対策を実施するためには、もちろん費用が掛かるものがほとんどです。それらの費用も見込んで、経営計画の立て直しを行います。

6.いつ、どこで、だれが、何を、どのように、どれくらい、それをするのはなぜ?(プロジェクト計画)

経営方針の中から重要なもの順に、プロジェクト計画として具体的な行動スケジュールに落とし込みます。「プロジェクト計画が具体的だ」とは、次のようなことが分かることです。

  • いつ?
  • どこで?
  • だれが?
  • 何を?
  • どのように?
  • どれくらい?
  • それをするのはなぜ?

これらを行動スケジュールやTo-Doに落とし込んで実施することです。

社員がいる会社の場合は、これを社長命令で実施してもらうわけですが、必ずフィードバック分析をして、方針が正しいのかどうかを検討するようにしてください。もちろん、方針が間違っていると思ったら、朝令暮改が大事です。

社長お一人で経営されているときは、プロジェクト計画を紙面にしないで、頭の中で考えて行動していくと思いますが、それですと緊急度が高くて重要でない仕事に忙殺されてしまいます。するとプロジェクト計画はいつまで経っても実現されません。

この行動の部分は、できればフィードバック分析ができるほどの具体的な内容を策定した方が良いです。また、計画を立てても仕事に忙殺されて実施できない社長は、ビジネスコーチによる時間管理のセッションを定期的(月2~3回)を受けた方が良いと思います。

それでも難しい場合はビジネスコーチングをご利用ください

上記の方法であれば、簡単に経営計画を立てることができるはずです。この内容でも難しいと思った方もいらっしゃることでしょう。

  • そもそも数字がわからない
  • 難しい用語がたくさん出てきてわからない
  • 具体的にどのように行動したらいいのか知りたい
  • とりあえず数字を出したが、絵にかいた餅なのではないか?

もし、ご紹介した方法でも難しい場合や、考えた経営計画が正しいのかどうか知りたい方は、当社のビジネスコーチングをご利用ください。ビジネスコーチがセッションを通じて、社長の経営計画をその場で立てるご支援をいたします。

ビジネスコーチングでは、ビジネスに精通したコーチが、あなたに効果的な質問をしていきます。その質問に、直観的に答えていくだけで、経営計画が出来上がっていきます。出来上がった経営計画は、あなたオリジナルのものです。

ビジネスコーチングの費用は、1時間当たりいくらというタイムチャージで対応させていただきます。簡単な経営計画であれば、3時間のセッションを2~3回ほどでできると思います。

なお、社長に目指すべき大きな目標があり、それを実現するために計画をしっかり立てたい場合には、長期経営計画を立てるべきです。長期経営計画は、3時間のセッションを10回ほどでできます。

長期経営計画ができたら、長期経営方針を策定しても良いですし、お急ぎの方は1年後の計画を販売計画と販売方針に落とし込みます。

経営計画の活用方法

経営計画は、立てただけでは何も機能しません。次に経営計画の活用方法をご説明いたします。

まず、月別の販売計画の活用です。経営方針を実施していく中で、販売目標が達成されていくことでしょう。それを月別の計画と実績を対比させます。

販売目標と販売実績は、一致するものではありません。販売目標に対して、実際の売上高は低かったり高かったりします。どちらにしても、そこには、社長の客観情勢の読み違いが出てしまいます。

もし実績が目標よりも低い場合には、新たなPR活動を試したり、新商品を開発したりすることを検討できます。目標がなければ、このような検討はできないはずです。新しいPR方法や新商品などの反響を分析することで、社長はマーケティング力が高まります。

このように予実対比することよって、客観情勢をつかみ、期末の目標達成に向けて対策を打っていきます。

販売目標と販売実績が違った場合、販売目標の数値を変えないで、1年間を通します。販売目標と販売実績の差の中に、何かの課題や考え方の違い、さらなる売上高アップのヒントがあるからです。

以上、零細企業における経営計画の立て方についてご紹介いたしました。ざっくりとした計算なので驚かれたことでしょう。

零細企業の経営計画は緻密に計算することよりも、「経営計画が自分で建てられて、経営方針を決められる」ということが大事です。そして、経営方針を実施していく中で、客観情勢をつかんで、経営能力を高めていくことが大事です。

零細企業であっても会社を大きくしたい場合や、零細を通り越した中小企業では、経営計画の考え方は、まったく違ったものになり、複雑化します。中小企業における経営計画の立て方はとても長くなるので、分解してご説明していきたいと考えています。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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