上司が若い部下を飲みに誘うと「残業代は出ますか?」と問い返される時代になってきました。そのような若い社員を部下に持ち、嘆かわしさや諦めを感じる向きもあるかと思います。
いつの時代にもネガティブ思考の社員はいるものですが、次代の変化が激しく厳しい時代には、ネガティブ思考の社員が増えている可能性があります。クライアント社長様から、「ネガティブ思考の社員をどうすべきか?」とご質問をされることもあります。
しかし、ネガティブ思考の社員たちをも、積極的人間に変えてしまう方法があるとしたらどうでしょうか。そんなことが出来るはずがないと思うでしょうか。
私は、社長の経営哲学を言葉に変換し、経営理念として完成させ、出来上がった理念を、全社員に共有・浸透するお手伝いをしています。
その中で、ネガティブ思考をする社員が劇的に変わってしまう姿を数多く見てきました。その理由をご紹介します。
当社の研修で社員の姿勢が変わる理由
当社では、経営理念が完成したクライアント企業様には、理念の共有のために全社員を対象にした経営理念研修を、またそれに付随してコミュニケーション研修を提案しています。これらの研修を受けて頂いた社員さんたちは、回を重ねるごとにマインドや仕事を取り組む姿勢が良い方向に変わっていきます。やる気がなさそうにしていた人の目が輝いていくのです。
その理由は実に簡単なところにあります。一番大きいのは「会社がどこを向いているのか」が正しく伝わるということです。
つまり、個々の社員が会社の目標達成に貢献することで、会社は盤石になり、また自らが成長し、自分たちの自己実現につながることが理解できることです。
その機会が、経営理念研修です。
社長の気持ちが正しく伝わると社員が心を開く
社長が社員たちのことを心から気にかけ、その人生を豊かで幸せなものに満たしたいと願っていても、日常では業務効率を優先する必要がありますから、基本的に仕事は忙しく、ことを伝える機会はあまり取れないものです。また、気恥ずかしさもあって社長が思いをストレートに伝えることも無いのが普通だと思います。
ですから「売上を上げるのは社長が儲けるためでしょ?」と心の中で思っている社員が出てきてしまうのも無理はないのです。
ところが、経営理念に込められた社長の思いを学ぶ研修を受ける時間を作ることで、「社長がこんなにも自分たちのことを考えてくれていたのか」ということが正しく伝わっていきます。
私の知る限り、社員を機械のように働かせて自分だけが儲けたいと思っている社長はまずいません。
社長はたいてい、社員の豊かさと幸福の実現を願っているはずです。ただ、その思いが伝わっていないことが問題なのです。社長の思いが伝われば、社員たちは心を開きます。
経営理念研修でネガティブ思考社員からポジティブ発言があった事例
つい最近も、誰かが会社のためにアイデアを出しても「そんなことやってもしょうがねぇよ」とネガティブ思考ばかりして空気をダメにする”問題社員”が、「経営理念研修を受けてから仕事が楽しくなりました。コロナが収束したら、研修の後にみんなで飲みにいきたいです」と言っているのを聴いて嬉しく思ったことがありました。
上司と部下のお互いが心を開けば、部下が「また説教を聞かされる」と感じるような”ハラスメント飲み会”という誤解は解け、より良い会社、より良い生活、より良い人生を創り上げるための豊かな時間に変わってゆくと実感しています。
この記事の著者
経営理念コンサルタント
関山 淑男 (Sekiyama Toshio)
経営理念の構築・浸透とビジネスコーチングのスキルに親和性があることに気づき、研究や実績を重ね、経営理念コンサルタントとしてのスキルを確立していく。社長としての経営経験や赤字企業の業績回復支援の経験から掴んだ教訓、ピーター・ドラッカー先生や一倉定(いちくらさだむ)先生などの経営理論を融合させ、独自の経営理念コンサルティング・メソッドを開発。