ホームページの本来の意味は、一般的に使用されている意味と異なることをご存じでしょうか?
私達が普段から「ホームページ」と呼んでいるものは、実のところ「ウェブサイト」が正しい呼び方なのです。
ウェブサイトが正しい呼び方なので、例えば「ホームページ制作」と言うのではなく「ウェブサイト制作」と言った方が良いのですが、私は「ホームページ制作のままで良い」と考えます。
このコラムでは、「ホームページ」の本来の意味や、なぜ誤用されてしまったのか、ホームページとウェブサイトの意味の違いをご説明しつつ、「ウェブサイトと言った方が良いのか?」という疑問にお答えしたいと思います。
ホームページの本来の意味は3種類
「ホームページ」の本来の意味は、次の3種類あります。
- ブラウザを開いたときに表示されるウェブページ
- 組織を代表するウェブサイト
- ウェブサイトの最上位階層のウェブページ
それぞれ簡単に解説いたします。
ブラウザを開いたときに表示されるウェブページ
ホームページを閲覧するときは、ブラウザと呼ばれるアプリケーションを使用します。主には、Google ChromeやMicrosoft Edgeです。他にもたくさんの種類があります。
それらのブラウザを立ち上げたときに、最初に表示されるホームページを設定していると思います。私は検索エンジンが表示されると便利なので、ChromeではGoogleが開かれるように設定しています。Microsoft Edgeを使用した場合、デフォルトで検索エンジンBingが開かれることと思います。
このように、ブラウザを立ち上げたときに最初に表示されるウェブページのことを、「ホームページ」と呼びます。
組織を代表するウェブサイト
会社であれ、町内会などの自治組織であれ、何らかの組織は、ウェブサイトを持っていることが当たり前になりました。
そのように、組織を代表するウェブサイトのことをホームページと言います。
会社によっては、ウェブサイトをいくつも持っているところもあります。複数のウェブサイトを持っているところであったとしても、会社全体のことが書かれた会社を代表するウェブサイトは1つだけだと思います。そういった場合には、他のウェブサイトと区別するために、「メインサイト」と呼ばれる場合もあります。
ウェブサイトの最上位階層のウェブページ
ウェブサイトは、いくつものページで構成されています。そのページのことを、ウェブページと言います。
また、最上位階層のページ以外のページのことを、相対的に「下層ページ」と言います。そして、最上位ページのことを「ホームページ」と呼ばれる場合があります。
しかし、誤用されている一般的なホームページの意味と区別するために、最上位階層のウェブページのことを「トップページ」と呼ばれるようになりました。
私がインターネットを始めた頃は、今から25年以上前でした。そのときには、どの組織もホームページを1つしかもっていませんでしたので、「ウェブサイトを見る」ということと「ホームページを見る」ということが同義で使用していました。
また、制作されるウェブサイトはすべて上記の意味で述べるところの「ホームページ」だったため、ウェブサイト制作も「ホームページ制作」と同義で使用されていました。
インターネットが一般家庭にも普及するようになり、複数の用語を使い分けることなく「ホームページ」という言葉が混同されて使用され続け、一般化していったものと思われます。
誤用されて主流となったホームページの意味
普段、ホームページ制作の現場で使用されている「ホームページ」の意味は、「ウェブサイト」のことです。上記の本来の意味からすると、普段私達は間違って使用していることをご理解いただけたことでしょう。
ウェブサイトのことを「ホームページ」と呼ぶことは良いのか?
ホームページの呼び方は、本来は「ウェブサイト」が正しいので、本来であれば「ウェブサイト」と呼んだ方が良いでしょう。
しかし、「ホームページ」という言葉の誤用が一般的になってしまったので、そちらの方が主流になりました。
そのため、「ウェブサイトと言った方が良い」と述べるつもりはありませんし、「ホームページ」と言っているのであれば、私は混乱を避けるために、そのまま使用して良いと思います。
ウェブサイトと言った方が良いのか?
ウェブサイトのことを「ホームページ」と呼ぶことは、本来は正しくないのですが、混乱を避けるためにウェブサイトのことを、「ホームページ」と言い続けた方が良いと考えます。
当社では、15年以上ほどから「ウェブサイト」という言葉を、あまり使用しないようにしています。
例外として、お客様が長年ホームページ制作に携わっている方であれば、誤解を避けるために、その人の前では「ウェブサイト」と言うようにしています。
ホームページとウェブサイトの意味の違い
ウェブサイトは、一般的に使用されているホームページの意味と同じです。長年、ホームページ制作の仕事に携わってきた人の中には、ホームページ制作のことを「ウェブサイト制作」とあえて言う人もいます。その場合でも、ホームページとウェブサイトは同じ意味だと取っていただいてかまいません。
ウェブサイトとウェブページの違い
ウェブページは、ウェブサイトを構成している各ページのことです。最上位階層のページのことを「ホームページ」と言われる場合もありますが、一般的なホームページとの意味との誤解を避けるために、「トップページ」と呼んでいます。
ウェブサイトは、ウェブページで構成されています。企業のホームページであれば、トップページ、商品やサービスのページ、会社案内ページ、お問い合わせフォームのページ、個人情報保護方針のページなどで構成されています。
特化したウェブサイトの用語
ウェブサイトは、性質によってさまざまな種類があります。例えば、企業などの組織を代表するウェブサイトのことを、先ほどはホームページと呼ばれることをご説明しましたが、本来は「メインサイト」と言います。また、ホームページを補完する別サイトとして「サテライトサイト」と言われます。
特に、商品やブランドの個別のウェブサイトのことを、「ブランドサイト」などと言います。また、カートシステムが組み込まれたウェブサイトのことを、「ECサイト」と言います。
サテライトサイトは、ホームページとドメインが違っていか、サブドメインが用いられています。
なぜ当社は「ホームページ制作」と言うのか?
当社はホームページ制作をしている会社ですので、正しく「ウェブサイト制作」と言っても良いわけですが、当社ではあえて「ホームページ制作」と言っています。
理由はお客様に目線を合わせるため
ウェブサイト制作のことを「ホームページ制作」と言う理由は、一言では「お客様に目線を合わせるためです。
これは、決してお客様のレベルが低いと言っているのではなく、「ホームページ制作が一般的な用語になってしまったから」です。
ホームページ制作で大事なことは、お客様の集客をすることです。そのためには、お客様のためではなく、お客様の立場に立って、お客様目線でホームページ制作の作業を進めていく必要があります。また、お客様に当社の用語の定義をご理解いただかなくても、用語が「ホームページ制作」であっても、集客ができます。
制作者側とお客様とで、用語が統一されていなければ、仕事がスムーズに進まない部分があります。お客様に用語の認識を改めてもらうよりも、こちらが用語の意味を理解しておけば、そちらの方がスムーズに仕事が進められます。
そういったことから、お客様の定義に合わせた方が良いと思います。
ホームページ制作の最初の作業は言葉の定義の確認から
当社にホームページ制作のご依頼があったときに、最初に行う作業は、実のところ、お互いの言葉の定義を明確にすることから始めます。
言葉の定義がお互いに共通化されたら、ホームページ制作の中で誤解して進められることがなくなり、打ち合わせがスムーズに進むからです。
言葉の定義を合わせるものとしては、次のものがあります。
- ホームページ制作の目的や目標
- お客様の事業で用いられる用語
- ホームページの用語
これらの中で最も大事なものが、1つ目の「ホームページ制作の目的や目標」です。ここがお互いに統一されたものでなければ、制作過程でホームページの方向性が変わってしまうことおあり、お客様にご負担をかけてしまうからです。
ここで統一しておくべき言葉の定義は、例えば「良いホームページ」や「ホームページを制作する目的や目標」の内容です。
どのように定義していくのか、それをどのように共有していくのかは、ホームページ制作会社のディレクターの腕次第です。
以上、ホームページの本来の意味や、誤用された「ホームページ」をそのまま使い続けるべきだということを述べました。
これからホームページ制作をなされる方は、無理して「ウェブサイト制作」と言わなくてもかまいません。
ホームページのクリエイターの方が技術者寄りの発想をしているのであれば、「ウェブサイト」という言葉にコダワリを持っていることでしょう。しかし私は、ホームページ制作会社が、顧客マインドを持って「ホームページ制作」と言うようにすべきだと考えます。
中小企業がホームページを入念に制作する場合の目的は、集客のためです。そうであるならば、ホームページ制作会社が顧客マインドを持って、クライアント企業様に接するべきでしょう。
経営においては、言葉の意味が異なることで、トラブルになることがあります。言葉の定義や意味を研究することも、立派な会社づくりを目指されている経営者にとっては、必要となる仕事だと思います。それが経営理念づくりにもつながります。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。