製造業での生産現場では、5S活動を導入することにより、生産性を高められることが知られています。多くの製造業の生産現場では、当たり前のように取り入れられていることでしょう。
ホームページを制作することは、製造業で言うところの機械を購入することと同じなのではないかと考えました。
このコラムでは、5S活動の視点を、ホームページ制作に取り入れるとどのように考えられるのか、チャレンジしました。ホームページ制作に5S活動の視点を取り入れたことは、日本初のことでしょう。
生産現場ではムリ・ムダ・ムラをなくし、生産性を高めるために導入されている5S活動をホームページ制作に活かすことで、ホームページの投資対効果を高める、つまり「集客力が高まる」という生産性向上につなげることができます。
このコラムでは、次の目次に沿って、ホームページを制作する前、もしくはホームページの刷新や改修をする前に行うと、集客力を高めることができる5S活動についてご紹介いたします。
5S活動とは?
5Sとは、「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の頭文字のSが5つ集まり、「5S」と言っていることは述べるまでもありません。5Sを実施することなどの活動を「5S活動」と言っています。
これらの意味は深い意味があるようですが、簡単に説明すると次のようになります。
整理 | 不要なものは捨てて、必要なものを置いておくこと。 |
整頓 | 使いたいものをすぐに使えるようにすること。 |
清掃 | きれいに掃除すること |
清潔 | きれいな状態を保つこと |
しつけ | 決められたことを実行する習慣化すること |
ただし、「しつけ」という言葉にヤラサレ感があるので、当社では「躾」の代わりに「習慣」を用いることがあります。
5S活動をホームページ制作に活かすことで、ホームページの集客力を飛躍的に高めることができるのですが、そのための方法として、最初に顧客リストと製品ラインナップに対して5S活動を行います。それらができた上で、ホームページ制作で5S活動を導入します。
以下に、その方法をご紹介いたします。
顧客リストに対する5S活動
まず顧客の意味ですが、貴社が思いを向けているお客様のことです。貴社が設立したばかりでなければ、顧客には次の4種類あるはずです。
- 既存顧客
- 過去に取引のあった顧客
- 見込み客
- これから顧客にしたい人や企業
これらの顧客をすべてリストアップすることで、顧客が整頓されます。出来上がった顧客リストから、「これからも取引を続けたい顧客や取り込みたい顧客」と、「捨てるべき顧客」の基準を作り、整理します。
清掃では、これからも取引を続けたい顧客が貴社のファンになってもらえるように施策すること、また取り込みたい顧客に営業することです。顧客と貴社の間で美しい関係が築かれます。そして清潔では、その美しい関係を維持していくことです。
しつけでは、顧客との関係をよくしていくためのルールづくりをして、習慣化します。
このようにすると、ホームページで自社製品やサービスを訴求すべき相手を明確にできるので、ホームページの集客力が高まります。
製品ラインナップに対する5S活動
次に製品ラインナップにも5S活動を導入します。まずは製品ラインナップの整頓です。すべての製品をリスト化し、カテゴリに分類します。開発中の製品についてもリスト化してください。
次に整理ですが、各製品は次のどれかに分類されるはずです。
- 検討中/開発中の商品
- 新商品
- 主力商品
- 要修正の商品
- 切り捨ての商品
- 必要な特殊品
- 不必要な特殊品
- 独りよがりの商品
- シンデレラ商品
製品の清掃では、分類された製品のラインナップを美しい状態にすることです。ここで述べる「美しい状態」とは、「顧客ニーズに合致した製品をそろえる」ということです。
新商品は、今後の主力商品に成長させていくべきものですので、しっかり訴求すべきです。また、主力商品は利益をもたらしてくれているものですので、ホームページでの訴求を強化してくべきものです。
シンデレラ商品は、非定期ですがPRしなくても勝手に売れており、利益率が高い商品のことです。ホームページに掲載してあげるだけで集客できる可能性があり、ホームページの投資対効果が高くなります。
要修正の商品は、売れるように修正してあげることも、清掃に該当すると思います。
切り捨ての商品は機を見て切り捨てます。不必要な特殊品、独りよがりの商品は、すぐさま捨ててしまっても良いでしょう。
製品の整理は、顧客ニーズの変化によって変わってくるものです。製品ラインナップを清潔に保つためには、定期的な整理が必要となります。
しつけとしては、製品ラインナップの5S活動の基準を作り、守ってもらうと良いでしょう。
顧客リストと製品ラインナップの相互作用
顧客リストと製品ラインナップにおいて5S活動が実施できたら、それらを見比べると、顧客ニーズから自社に不足している製品や不必要な製品が見えてくるはずです。また、製品が持つ性格から新しい顧客像を想定することもできます。
このようにして、顧客リストには「これから顧客にしたい人・企業」の対象者が増やされ、製品ラインナップには「検討中の商品」のリストが増えていきます。
この段階で初めて、集客したい顧客と訴求したい製品が明確になります。
顧客リストや製品ラインナップの5S活動、これらの相互作用をレベルの高いものにしていきたい場合はPDCAサイクルを導入すべきですが、もっとも高レベルな5S活動は経営理念策定と浸透からスタートする活動のはずです。
ホームページ制作での5S活動
集客したい顧客と訴求したい製品が決まれば、それをホームページにします。ホームページ制作にも5S活動を当てはめたいと思います。
まず整理ですが、ホームページの企画の段階で集客したい顧客と訴求したい製品が決まっているはずですので、それ以外のものに目をくれないことです。また、顧客が求めている情報は何かを見極めて、掲載していくことです。
整頓は、ホームページ閲覧者が「見たい情報をすぐに見られるようにすること」と捉えることができます。ホームページの導線設計が該当します。
清掃では、ホームページのアクセス数が増えるようにする施策が該当します。検索者ニーズに合わせてページ数を増やし、検索エンジンで上位ヒットするようにします。
清潔では、ホームページのメンテナンスです。アクセス解析を行い、改善していくことが該当します。
そのためのルール化が、しつけに該当すると思います。
ホームページ運用後のPDCAサイクル
5S活動の内容は、一度決まったら終わりではなく、絶え間ない改善が大切です。その手法としてPDCAサイクルが有名です。
ホームページも同様に、制作してしまったら終わりではなく、PDCAサイクルによる絶え間ない改善が大切になります。
ホームページのPDCAサイクルで目標とすべき数値は、次の3種類です。
- アクセス数
- 訪問検索キーワードの種類
- コンバージョン数(コンバージョン率)
「アクセス数」とは、ホームページを閲覧してもらえた回数のことです。この数が増えると、その分だけ売上アップにつながりやすくなります。
2番目の「訪問検索キーワードの種類」とは、ネット検索で訪れてくれる人が、どのような検索キーワードで検索して訪れてくれるかの、キーワードの種類です。これが多いと、いろいろな検索キーワードで訪れてくれるようになり、アクセス数の増加につながりやすくなります。
3番目の「コンバージョン数(CV数)」とは、お問い合わせや注文などのホームページを制作した目的を達成した数のことです。この数の多ささが、結局のところホームページの投資対効果につながります。コンバージョン率(CVR)は、アクセス数に対するコンバージョン数の数です。
月1回、この3種類を計測して傾向をつかみ、ホームページを改善させていくことで、工場の生産性が上がっていくように、ホームページの集客力が増していきます。
以上、ホームページ制作における5S活動について述べましたが、5S活動を普段から行っている方からすると、「突拍子もない」と思われたかもしれません。
ホームページ経由での注文は、顧客や自社製品を知り、ネット検索者のニーズを知ってSEO対策し、訪問者が知りたい情報を掲載し、貴社や製品の良さや購入方法を知るなどして得られるものです
その流れが、5S活動と似ていることから、ホームページ制作と5S活動を結びつけてみました。
ホームページの集客力を高め、販売活動のストレスを軽減したい企業様は、Web集客コンサルティングの導入をぜひご検討ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。