国内のリフォームの市場規模は、多少上下するもののほぼ横ばいが長年続いています。
そういった中で自社の売上高が減ってきているのであれば、自社の市場に対する競争力が下がっていることを意味します。
そこで、「ホームページで集客ができないか?」とご検討されているリフォーム会社様が、この記事をご覧になられていることと想定し、ホームページ集客の考え方や方法などの解説を、進めていきたいと思います。
工務店がホームページでリフォームを集客するための大前提
最初に、工務店がホームページでリフォームを集客するための大前提からご説明します。
冒頭で競争力が下がっていることを述べましたが、競争力を競う相手は、競合他社になります。自社のリフォームの仕事が減ってしまったとしても、売上高を伸ばしている工務店もあるはずです。
売上高を伸ばしている工務店と比べて、自社の何かが下がってきているのだと思います。それは、次の2つに集約されます。
- 顧客が自社に出会う割合が下がっている
- 顧客が自社を選んでくれる割合が下がっている
顧客が自社に出会う割合が下がっている場合
1つ目の顧客が自社に出会う割合が下がっていることが原因だとすれば、集客ホームページ制作はとても有効だと思います。
いくら高い施工技術を持っていたとしても、それをPRして知られなければ売れません。施工技術が高い場合には、リフォームの費用も高くなってしまい、そのことが、お客様が減ってしまう要因になります。価格が高くなる理由を述べて、お客様に納得してもらい、値打ちを感じてもらうことができたら、値段が高くても納得してもらえます。
お客様も、どこのリフォーム業者に依頼するのかを、値段だけで決める人はいません。必ず、値段の他にもリフォーム業者を決める要因があるはずです。
お客様から電話が掛かってくるのを待っているだけでなく、こちらから何かお客様と出会うための施策をして、自社の良さを訴求していくことが大切です。
顧客が自社を選んでくれる割合が下がっている場合
お客様の数が減ってしまう要因には、お客様と出会う割合が減っただけとは限りません。リフォームの仕事をホームページで獲得する前に、大前提として、自社の顧客数が減ってしまった別の原因を解消することが大事です。
売上高を伸ばしている競合工務店と自社を比較して、PR活動以外のどういったところに、自社の問題があるのかを検討することが大事です。
たいていの課題は、次のようなことになります。
- 施工技術レベルの向上
- 顧客対応の改善
- 店舗やショールームの改善
- 営業方法の改善
リフォームの施工技術の高さはもちろん大事です。施工技術レベルが競合他社よりも低かったり、市場が求める施工技術レベルに達していなかったりすると、ホームページで集客ができたとしても、悪い口コミによって、新規顧客の獲得が難しくなっていってしまいます。
営業方法の改善には、PRの仕方や販促資料などの改善、営業担当者のセールストークや服装などの改善があります。施工技術レベルの高さを自負していたとしても、お客様は営業担当者の対応が悪ければ、「この工務店にお願いして大丈夫なのだろうか?」と疑問を持ってしまうことがあります。
こういったことのトータルで改善し、競合他社と比べて強みを持つことが大事です。競合他社と比べて劣っている箇所を発見したら、それを真摯に受け止めて、業務改善をしていってください。そして、自社オリジナルの強みを創ってください。
競合工務店と自社を比較して、市場に対する強みを持っていることが、ホームページ集客では重要です。
ホームページで集客するために超えるべき2つのハードル
自社が市場に対する強みを持ったら、次のホームページによる営業力の強化です。
工務店が、ホームページ経由でリフォームの仕事を集客するためには、2つのハードルを超える必要があります。次の図をご覧ください。
この図は、ネット検索をして自社のホームページに訪れた人が、お問い合わせや資料請求などをして、リフォームのご注文をいただき、売上アップをする流れです。
ここで、ホームページの部分のみに着目をすると、2つのハードルが存在します。
- ネット検索のハードル
- 行動のハードル
2つのハードルの解説
1つ目の「ネット検索のハードル」とは、お客様がネット検索をしたときに、自社ホームページが上位ヒットするためのハードルです。お客様は、工務店を探すときに、ほとんどの場合でネット検索をします。そのときに、自社ホームページが上位ヒットしていない場合は、お見積りの土俵にすら乗ることができません。
お客様がネット検索をしたときに、自社ホームページを上位ヒットさせて、アクセス数を増やすことが1つ目のハードルです。
2つ目は「行動のハードル」です。行動のハードルとは、ホームページに訪れた人が、なるべくすぐに「戻る」をしたり、閉じられたりすることなくホームページに滞在してもらい、何らかの方法で自社にご連絡してもらうためのハードルです。
この2つのハードルを越えることで、ホームページ経由でリフォームのご注文をいただけるようになります。
2つのハードルを越える方法とは?
この2つのハードルを越える方法は、後ほど詳しくご説明いたしますが、基本的には次の方法が主力となります。
- コンテンツマーケティング+SEO対策+リスティング広告
- ランディングページ
コンテンツマーケティング+SEO対策+リスティング広告
コンテンツマーケティングとは、ページを量産してたくさんの検索キーワードで上位ヒットさせる手法のことです。それを支えるために、土台となるSEO対策を行います。前者のSEO対策を「コンテンツSEO」、後者のSEO対策を「テクニカルSEO」と言います。
この2つのSEO対策を組み合わせて、たくさんの検索キーワードで上位ヒットさせて、自社ホームページのアクセス数を飛躍的に増大させることができます。このようなたくさんの検索キーワードで上位ヒットさせるSEO対策のことを、「ロングテールSEO」と言います。
SEO対策では、上位ヒットするまでに時間がかかります。そこで、リスティング広告と併せて行います。リスティング広告とは、ネット検索をしたときに表示される広告のことです。リスティング広告を行うと、基本的にすぐに検索結果に表示されるので、SEO対策で集客ができるようになるまで行うと良いと思います。
ランディングページ
ホームページにアクセスしてきた人が増えたら、その人数に応じてお問い合わせ件数が増えてくることを実感できるはずです。
さらには、アクセスしてきた人がなるべく自社にご連絡をいただけるようにした方が良いです。その手法として、「ランディングページ」があります。
ランディングページとは、本来の意味はネット検索をした人が最初に訪れるページのことなのですが、当社では「商品やサービスの魅力を伝える長めのページ」と定義しています。
ランディングページには、自社の強み、商品やサービスの値打ちなど、リフォーム業者を探している人が知りたい情報を余すことなく記載していきます。そうすると、訪問者が納得して自社を選んでくださる割合が高まります。
納得してくださった方は、付加価値に魅力を感じているので、相見積もりでも勝てる割合が高くなり、クロージングも早くできるようになります。
ホームページ経由でどれだけの売上高が見込めるのか?
上記のSEO対策やランディングページ制作などの施策を行えば、リフォームの仕事をホームページ集客ができることをご理解いただけたことと思います。
しかし、ホームページ集客ではもちろん費用がかかります。その費用分を、集客数の増加でペイできなければ、ホームページ集客に力をいれるわけにはいきません。ホームページ集客に投入する費用が、投資になるのか無駄金になるのかを判断できることが、財務的にも大事です。
まずは、ホームページ集客の費用対効果の考え方についてご説明いたします。
次の図をご覧ください。
この図は、先ほどの2つのハードルの図に、予測の数値を入れたものです。
ネット検索経由でのホームページのアクセス数
ネット検索でホームページに訪れる回数(アクセス数)は、検索キーワード毎の月間検索回数と検索順位によって決まります。
図にあるように、例えば月間検索回数が1,000回の検索キーワードで、自社ホームページが7位になったとしましょう。すると、概算ですが自社ホームページにクリックして訪問してくれる割合は、4%ほどですので、自社ホームページのアクセス数は、「1,000×4%=40アクセス/月」になります。
ここで、自社ホームページがネット検索結果に表示された回数のことを、「合計表示回数」と言います。また、クリックしてもらえる割合のことを、CTR(クリック・スルー・レート)と言います。日本語では、「クリック率」です。
ここでのアクセス数は、厳密には検索キーワード毎に検索回数と検索順位を調べて試算していくことが望ましいです。当社では、リフォーム会社様向けには、おおよそ500種類以上の検索キーワードを分析しています。
ホームページを見た人が受注に至る回数
さて、自社ホームページに40回アクセスしてくれたとしても、全員が自社にお問い合わせしてきてくれるわけではありませんし、全員が契約まで至るとは限りません。契約に至る割合を、0.3%と仮定しましょう。すると、契約件数は「40×0.3%=0.12件/月」、つまり年間で1.44件が受注できる計算になります。
ここで、契約に至ったり、お問い合わせに至ったりと、ホームページにアクセスしてくれた人が行動してくれる割合があります。この割合のことを、CVR(コンバージョン・レート)と言います。コンバージョンとは日本語で「転換」です。ホームページのアクセスを行動に転換する割合になります。
何でもってコンバージョンとするのかは、ホームページ集客のゴールを何にするのかによって異なります。ここでは、成約をコンバージョンと仮定したので、CVRとは「ホームページ経由での成約率」と言い換えることもできます。
ここでは成約に至る割合を算出していますが、細かく分析するのであれば、お問い合わせや資料請求といった割合、そこから見積依頼に至る割合、そして見積依頼した人が受注に至る割合をそれぞれ割り出す方が、より実務的になります。
ホームページ集客による年商の試算
成約件数が算出できたら、それに平均顧客単価を掛けることで、売上高を計算できます。リフォーム1件の平均顧客単価は、なかなか出せるものではありませんが、強引に平均50万円とすると、年商は「1.44×50万円=72万円/年」となります。
ホームページ経由での年商が72万円であれば、これは話にならない数値です。
努力によって改善できる数値に着目
上記の数字の中で、努力することによって改善できる数値があることにご注目いただきたいと思います。
次の図をご覧ください。その数値は4種類あります。
自社ホームページが表示される回数の改善
検索キーワード毎の検索回数は、トレンドはあるものの、すでに決まっているものですので、自社でどうにかできるものではありません。
自社ホームページがたくさんの検索キーワードで上位ヒットするようになったら、自社ホームページがネット検索結果に表示される回数が増えます。
先ほどの事例では、ネット検索での合計表示回数は1,000回で計算しました。SEO対策をしてもっとたくさんの検索キーワードで上位ヒットするようになったら、ホームページのアクセス数が相対的に増える可能性があります。
検索順位の改善によるCTRの改善
SEO対策を強化して、検索順位が改善されることで、CTRが改善され、自社ホームページのアクセス数を増やすことができます。
先ほどは7位で計算いたしましたが、SEO対策を強化して、5位になっただけでも、その検索キーワードでのアクセス数が、何割か増えます。
ホームページ全体の検索順位を改善する場合には、テクニカルSEOの強化を行います。個別の検索キーワードでの上位ヒットを狙う場合には、コンテンツSEOを強化して行うか、既存ページのSEO改善を行います。
CVRの改善
CVRとは、ホームページに訪れた人がお問い合わせや成約に至る割合のことでした。CVRもホームページを改善することで高めることができます。
上記では成約率をCVRとしたため、これはホームページとリアル営業の改善を行ってCVRを高めていきます。
ホームページの改善方法としては、既存ページをランディングページ化することや、新規にページを追加していくことです。また、リアル営業の改善では、販促ツールや提案方法の改善など、営業努力を行うことです。
リフォーム会社では、「リフォーム」という1つの漠然としたサービスが存在するだけではなく、トイレやキッチンなどのさまざまなリフォームが存在します。それらのサービス毎に新規にページを追加していくことで、コンバージョン数が増えます。そして、自社の強みである成約の見込みが高い部位のリフォーム、もしくはキッチンやバスルームなどの費用対効果の高いリフォームは、ランディングページ化をすることをおすすめします。
平均顧客単価の改善
平均顧客単価の改善も、ランディングページ化や販促ツールや提案方法の改善など、営業努力などによって行われます。ランディングページには、提案型のコンテンツを掲載することで、顧客単価を高めることができます。
住宅機器メーカーから、なるべく安く仕入れられるようにすると、値打ちの高いものを安く買えるということで、顧客単価を高めることもできます。
そういった企業努力によって平均顧客単価が上げることができたら、それに比例して年商も増えます。
ホームページを改善した結果の年商
それでは、ホームページを改善していった結果、年商がどのように変化するのかを、シミュレーションしてみましょう。
次の図をご覧ください。この図は、先ほどの努力によって改善した結果の数値を当てはめたものです。
ネット検索のハードルを改善した結果のアクセス数増加
たくさんの検索キーワードでの上位ヒットする施策「ロングテールSEO」を行ったことで、今まで1,000回の合計表示回数が20,000回に改善されたとします。
また、平均で7位だったものが、SEO対策の工夫によって5位に上昇し、CTRが7%に改善されたものとします。
すると、自社ホームページの月間アクセス数が40アクセス/月から1,400アクセス/月に改善されます。ちなみに、月間アクセス数が35倍ほどに増えていますが、このような改善は当社のSEO対策では普通にあることです。入念なホームページ改善にお取組みいただいた企業様の中には、35倍ほどのアクセス数上昇を、わずか3~4ヶ月で達成した企業様もおられます。
行動のハードルを改善した結果の売上高増加
また、ランディングページ化や営業活動の改善によってCVRを0.3%から1%に改善できたら、年間の契約件数が1.44件だったものが、月間で14件、年間で168件の受注が得られる計算になります。
もちろん、小さなリフォーム会社であれば、月間14件も受注をしてしまったら、大変なことになってしまいますが、すべて受注ができたと仮定しましょう。
平均顧客単価を50万円から70万円に改善できたとしたら、月商が980万円になり、ホームページ経由での年商が1,500倍以上に増えるという、とてつもない可能性を秘めています。
外作/内作比率にもよりますが、これくらいの月商が増加するのであれば、職人さんを3人ほど雇ったり契約したりすることができると思います。
この取り組みによって、強引な営業をすることなく、お客様の方から自社を選んでいただけるようになって、売上高も増大していきます。さらに、売上高だけでなく利益もたくさん得たいとお考え方は、社内外の生産性や総資産利益率(ROA)を高める経営方針を打ち出してください。
以上、リフォーム会社がホームページ集客で売上を増やす方法について述べました。
コンテンツSEOとテクニカルSEOを組み合わせたロングテールSEOのやり方は、当社のようなSEO対策業者にお任せいただくと良いと思います。コンテンツページの追加や販促ツールの開発、営業方法の改善などは、できましたら、自社で研究をしてノウハウを蓄積していった方が良いです。
営業努力はとてもパワーのいるものですし、社長の熱意や不屈の闘志が求められることもありますが、その努力を経てノウハウが蓄積されると、企業はマーケティング力や財務力が高まり、経営が安定したり、さらなる発展のための資金づくりが容易に行えるようになります。
それに人材を育成する仕組みを導入し、地域ナンバー1の優良企業へと成長していったら、人材確保も容易になります。
集客ホームページ制作は、自社をそのような優良企業にしていくための転換点になる可能性も秘めているものです。
リフォーム会社で営業力を高めたいとお考えの企業様は、ぜひ当社のWeb集約コンサルティングや集客ホームページ制作をご利用ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。