BtoB企業の社長の中で、ときどき「うちはBtoBの商売をしているから、ホームページで集客はできない」とお考えの社長がいらっしゃいます。
また、「当社は衰退産業なので、集客は難しい」と最初からあきらめている社長もいらっしゃいます。
当社が今まで、BtoBの商売をなされている企業のホームページ集客で、たくさんの実績を出してきたので、「その固定観念は捨てた方が良い」と思っています。
実際に、ほとんどのBtoB企業でホームページ集客は「可能」です。いい物は、それを求めている人に正しくPRできたら売れるのです。
この記事では、工作機械メーカーのお客様がWeb集客に成功した事例をご紹介しますが、そのお客様はまさしく「完全な衰退産業の工作機械」だったのです。
BtoB企業がホームページで集客するための有効性について述べたいと思います。BtoB企業がホームページで集客するための考え方や具体的な方法を知りたい方は、「BtoB集客ホームページ制作」をご覧ください。
今なお集客し続けている工作機械メーカーのホームページ
今から5~6年ほど前に、ご紹介で都内の小さな工作機械メーカーの企業様のホームページ集客をご支援させていただきました。
工作機械メーカーとなると、5S活動などから入ることが上棟手段なのですが、その企業様は、とても優秀な工作機械を制作されていたので、集客ホームページ制作とSEO対策をさせていただきました。
集客ホームページが公開され、5~6年経過しました。その間、ホームページをほとんどメンテナンスしないで、事例ページを1~2ヶ月に1ページずつの無理のないペースで追加していきました。
その結果、今なお月に1件以上のペースで新規顧客からの受注があるそうです。
工作機械1台の値段は500万円から1千万円ですので、年商では3~4億円の新規顧客が増えた計算になります。また、お取引きが開始された企業様からは、「とても優秀な機械だ」ということで、メンテナンスや機械の追加購入、材料提供などでさらに売上高が増えていきました。
当時のお客様の状況
当時のお客様を取り巻く市場や既存ホームページについて簡単にご説明いたします。
お客様を取り巻く市場
その企業様の工作機械は、衰退産業を対象としたものでした。今から15年ほど前は、従業員数が20人ほどいたそうですが、廉価な海外製品に市場を奪われ、5年前は社員数をその半分の人数に減らしてもギリギリの状態でした。
また、社長は弱気になっておられ、「当社の機械は衰退産業のものだから、ホームページでの集客は難しいだろう」とお考えでした。私がホームページ制作のご提案をさせていただいたときも、最初はホームページ集客が可能かどうか、半信半疑でした。
またネット市場では、技術力の低い競合他社が、廉価な海外メーカー製品を輸入販売し、ネット販売を荒らし始めていました。そういった攻防もあり、メインクライアント企業から契約を切られてしまうかどうかの瀬戸際の状態でした。
ネット検索市場を分析したところ、確かに対象としていた業界は衰退産業だったかもしれませんが、同様の加工を求めている新しい市場も存在することをご説明させていただきました。また、効果的なホームページ集客手法の変化についても丁寧にご説明させていただきました。
既存ホームページの状況
その企業様は、ホームページは20年ほど前に、当時在籍していた親類のスタッフが制作したホームページを使い続けておられました。
親類に制作してもらった手前、「そのホームページは公開したままにしてもらいた」とのことでした。そこで、既存ホームページはそのままにしておき、新規でドメインを取得してホームページを制作することにしました。
社長の本音としては、「自社名で検索して上位ヒットしているから、そのままにしておきたい」というものだったと思います。
中小企業のホームページ制作では、「既存ホームページはそのままで」ということは、よくあることです。その理由は、リース契約にあります。
中小企業では、ホームページ制作の代金を一括で支払うことができない企業が多いことと思います。そのため、5年のリース契約をしてしまい、集客できないホームページを5年も持っておかないといけない場合もあります。
そういった企業の場合、「また失敗したくないから」という理由で、Web集客施策をリース期間が切れるまで待っている社長もおられ、数年も機会損失を続けている場合もあります。
ホームページをリース契約で導入された企業様は、機会損失にご注意ください。
当社のWeb集客の提案にご納得された社長は、同じ工作機械で新規市場参入を狙う、多角化をすることになりました。集客ホームページ制作のご発注をいただき、それから3ヶ月ほどの期間、週1回の頻度でお打ち合わせを繰り返しました。
どのような分析や提案をしたのか?
ホームページのご提案をさせていただく前に、次の分析を行いました。
- 現状の経営分析
- お客様企業の未来ビジョンや経営方針のヒアリング
- マーケティングの3C分析
- 顧客マップの作成(カスタマージャーニーの検討)
- 検索市場分析
- 競合他社のホームページ分析
- 集客見込み分析
- SEO対策の内容検討
- ホームページの設計検討
- その他の集客方法の検討
- BtoB集客ホームページ施策の費用対効果検討
- クロージングまでの流れの検討(顧客マップ分析)
まずは、お客様の未来ビジョンとして、会社をどうしていきたいのかをお聞かせいただきました。会社をこのまま維持したいのか、成長させたいのかによって、提案内容が変わることが多いからです。社長は、現状維持で「今の社員数で仕事が充分に入ってくること」をイメージされました。
ホームページでどれだけ集客ができるのかを予測するために、市場分析をすることはもちろんのことです。お客様の工作機械がネット検索でどれくらい調べられているのか、どれくらい求められているのかを調べました。
そうすると、お客様の業界以外のところでも、同じような加工を求められていることが分かり、しかも、その市場でWeb集客を強力に行っている企業は皆無だったので、市場はまだまだ未開拓であることが分かりました。やりようによっては、大規模な未開拓市場にでした。
とは言うものの、BtoB集客ホームページによる集客で、無理なく集客できるようにすることが大事です。注文が増えすぎてしまって、工作機械をお納めするお客様にご迷惑をかけてしまうわけにもいきません。施策のペースだけでなく、集客のペースも考慮して集客ホームページを設計する必要があります。
これらの分析やお客様のご事情に基づいて、ホームページ制作やSEO対策の内容が入念に検討され、「Web集客企画」として30ページほどの資料にまとめました。
どのようなホームページをどのように制作をしたのか?
社長はお忙しい中、入念に分析した結果に基づいて、ホームページ制作のお時間を優先して取っていただき、次のステップで集客ホームページの制作を開始しました。
- 新規ホームページ制作
- 主力製品のランディングページ制作
- 加工事例のコンテンツページ量産
第1ステップ、新規ホームページ制作
第1ステップとして、ホームページを制作開始してから2ヶ月ほどで、新規ホームページ制作とランディングページ1ページが完成し、新規公開されました。
公開されたホームページは、顧客導線を考慮したページ構成にし、ガチガチの強力なHTML構造にしました。また、当時は最新技術であったスキーマの導入や、ホームページの表示速度の高速化も行いました。BtoBランディングページのデザインには、もちろんスマホ対応のレスポンシブWebデザインを導入しました。
このようにして、新規制作されたホームページは、ランディングページを含めて、強力なSEO対策を行いました。
ランディングページになっていない製品ページは、簡易的なものとして公開しておき、第2ステップで1~2ヶ月に1ページずつランディングページにしていきます。
第2ステップ、主力製品のランディングページ制作
お客様は、主力製品が20種類ぐらいあったのですが、ランディングページを一度に20ページ制作することは、お時間的にもご予算的にも無理がありました。
そこで、第1ステップで簡易的に制作された20種類の製品ページを、1~2ヶ月のペースでランディングページにしていきます。そのランディングページ制作は、第1ステップで制作したランディングページのデザインをコピーして、それぞれの機器に対応した原稿や写真に差し替えていくことにしました。
また、すべての製品ページをランディングページ化するのではなく、主力製品となる5~6種類に絞り込んで行うことにしました。
斜陽している潰しのきかない工作機械は、わざわざお金をかけてランディングページ化する必要はなく、成り行き販売で良いと考えます。それよりもこれから売れそうな製品に的を絞り、そちらに注力していった方が良いです。お客様にも、そのようにアドバイスさせていただきました。
ランディングページができると、製品の良さが余すことなく伝えられているので、見込み客がお問い合わせをしてくる可能性が飛躍的に高まりました。
当社がお客様の事業内容を深く理解し、またお客様がランディングページ制作に慣れてきますと、ランディングページ制作を難なくこなせるようになります。その段階で、お客様には先行して第3ステップの加工事例ページの原稿や写真撮影を行っていただくようにしました。
第3ステップ、加工事例のコンテンツページ量産
第3ステップとして、新市場に参入していくために、どのような業界に対してどのような加工ができるのか、工作機械やソフトウェアの魅力を伝える加工事例のコンテンツページを量産していき、1~2ヶ月に1ページずつのムリのないペースで公開していきました。
量産されるたくさんのページは、検索キーワード分析に基づいて作成されていきました。これにより、ホームページがたくさんの検索キーワードで上位ヒットするようになり、アクセス数が飛躍的に増大していきます。このような、たくさんの検索キーワードで上位ヒットさせる手法のことを、ロングテールSEOといいます。
加工事例は、実際に加工を請け負って納品したものは掲載しにくいです。そこで、過去に加工したもので、お客様から喜ばれたケース、ステンレスなどの加工が難しいものに絞って、サンプル品の加工事例を掲載していくことにしました。
お客様には、通常業務の隙間時間を見つけていただき、加工作業と写真撮影にお取組みいただきました。
集客ホームページを制作した結果
ホームページは公開してもすぐに集客ができるわけではありません。Googleが新しいホームページを認識してくれるのに2~3週間。遅いときは1ヶ月程度かかります。そして、少しずつ上位ヒットしていき、集客力のある検索回数の多いキーワードでは、おおよそ1~2年ほどで上位ヒットするようになります。
集客ホームページを公開して1ヶ月半ほどで初めてのお問い合わせ
社長はとても期待してくださり、ホームページが公開されてから2~3週間ほどで、社長は「まだか、まだか」と催促されましたが、「公開されてGoogleに評価されるまで2~3ヶ月はかかります。それまで気長に待ってください」となだめていました。
1ヶ月ほどしたら、ニッチなキーワードですが少しずつ上位ヒットするようになり、アクセス数が5倍、10倍と増えていきました。そして、1ヶ月半ほどしたら、さっそくお問い合わせが1件入りました。
お問い合わせが入り、すぐに私までお電話をいただいたのですが、社長は興奮しながら「どうしよう、どうしよう」という具合でした。
「社長、まずは落ち着いて、お問い合わせのご返答をお願いします。」とアドバイスさせていただきました。
さっそくお問い合わせが入ったことに喜ばれた社長は、「もっとランディングページを制作していきたい。加工事例ページを追加していきたい。」と意気込まれました。
ホームページのアクセスの変化
既存ホームページに訪れてくる人が、どのような検索キーワードでネット検索して訪問するのかを分析したところ、とほんどが自社名での検索でした。
自社名で検索してくる人は、既存顧客か、もしくは展示会で名刺交換をした人がネット検索してくることがほとんどです。また、工作機械の噂を聞いた人が、型番で検索してきてくれる人が少しだけいました。
それに対して新規制作された集客ホームページでは、自社名でのネット検索による訪問ではなく、工作機械の名称や業界の用語、金属の加工方法をネットで調べている人のアクセスが増えました。そして、自社名で検索してくる人の数よりも、何十倍もの人数が訪れてくれるようになりました。
その一部の人がランディングページに訪れてくれて、製品に興味を持ち、お問い合わせをしてくる流れができました。
見込み客の変化
第2ステップにて、ランディングページを量産していく中で、お客様からご連絡があり、「クロージングが楽になった。製品を欲しいというお客様からの電話が増えた。」と嬉しい感想をいただきました。
今までは、お問い合わせがあったら製品カタログをお送りし、お客様の会社にご訪問して製品をご説明し、加工のデモンストレーションを見てもらってクロージングに至っていました。
顧客分析によって作成されたランディングページは、見込み客が知りたい情報がすべて記載されています。そのため、「この製品が欲しい。掲載されている加工事例と同じことをしたい。」というご相談が入るようになりました。お客様にご来社いただいて加工のデモンストレーションを見てもらい、見積書を出していくだけになりました。
今までは、工作機械を売り込むために強引な営業もしてきましたが、業界が衰退していっていたので、それもできなくなっていました。集客ホームページが完成してからは、見込み客が製品に興味を持ち、「この製品を買いたい」とか「この加工ができるか試してほしい」とお問い合わせを頂けるようになり、金属加工に困っている人のお役に立てる会社に生まれ変わりました。
その後もランディングページ制作や加工事例ページの追加を重ね、3年ほどかけてホームページを整備していき、週に1件以上の新規のお問い合わせをいただけるようになりました。
ここまで新規のご依頼をいただけるようになると、既存のお客様のサポートと新規対応のために、スタッフが疲弊してしまいます。そこで、事務スタッフを一人雇い、新規のお客様対応とホームページの更新をしてもらえるようにしました。
お客様がホームページで集客できた成功要因は?
BtoBの工作機械メーカー様が、ホームページ集客ができるようになった要因を考えると、次のことが考えられます。
- 社長が直接対応してくださったこと
- 技術力がある会社であったこと
- 集客効果の高いページを量産できたこと
これらについて、少し解説したいと思います。
成功要因1.社長が直接対応してくださったこと
集客ホームページ制作は、単なるホームページ制作とは異なり、会社にとって大事な販売チャンネルを新たに構築する、新規事業でもあります。販売チャンネルの新規構築は、経営方針にも関わることで、社長に決裁権が存在するものです。
今まで、集客ホームページ制作で失敗してきた企業を分析すると、社長の対応で次のような傾向があります。
- 社長が「ホームページのことは分からない」と言って部下に任せ切ったケース
- 社長にインタビューができなかったケース
- 社長に能力がなかったケース
中小企業では、これらのパターンで集客ホームページ制作に失敗しています。
失敗ケース1.社長が「ホームページのことは分からない」と言って部下に任せ切ったケース
1つ目のケースは、部下に経営判断をするための決裁権が与えられていないために、ホームページのデザインや追加するページの内容のことしか検討ができません。すると、ホームページ制作に時間がかかり過ぎることや、ホームページ集客の仕組みまで構築できないことで、ホームページの集客力が高まらずに、ホームページ集客を諦めていくケースが多いです。
ホームページ集客の仕組みを構築することは、販路拡大のための仕組みづくりという、企業にとっての重要プロジェクトになります。時間もかかりますし、労力も必要とします。いくつもの判断をしていくことも必要です。
当社では、ホームページ集客をしたいとお考えの企業様で、社長もしくは経営判断の決済権を持った人がご対応してくださらない場合は、ご支援をお断りすることにしています。
失敗ケース2.社長にインタビューができなかったケース
2つ目は、社長にインタビューができなかったケースです。集客ホームページを制作するためには、会社の経営方針や主力商品のこと、販売先の顧客様の傾向、技術力などといった、お客様企業のことやそれを取り巻く市場について、たくさんのインタビューをしないといけません。
それらのヒアリングをすることで、当社のWebマーケティングの提案力が高まり、集客効果の高いホームページが出来上がります。
過去のお客様の中には、インタビューをしようとすると、不思議がられた社長もいました。表紙を合わせて4ページほどの会社案内を1つ渡され、「インタビューではなく、提案をしてほしい。おたくが集客のプロだと自称するのなら、当社のことも見抜いて提案してほしい。」という具合です。
こちらとしては、どのような市場を狙っているのか、何が主力商品が何かわかりません。新商品を開発中であれば、そのことも考慮しないといけません。会社として何を目指しているのか、営業の流れはどうなのか、売上目標がどれくらいなのかもわかりません。
失敗ケース3.社長に能力がなかったケース
3番目のケースは、技術会社を引きついた二代目社長に多いことです。社長に就任したばかりであれば、なおさらです。
社長に技術力がないので、当社からの質問に答えられないことはもちろんのこと、社長が交代して会社内が混乱しているので、その影響で販売力が下がってのご相談もあります。
小企業では、先代と共に事業を立ち上げてきたベテラン社員が、ホームページ集客に非協力な場合もあります。「ご自身の息子や娘と同じ年齢の社長に命令されるなど、あり得ないことだ。まずはお手並み拝見。」ということで、非協力になってしまいます。
それに対して、ホームページ集客に成功した工作機械メーカーの社長は、技術開発を自ら陣頭に立って行っている方だったので、何でも丁寧にご説明してくださいました。
また、社長に決断力があり、社長の仕事をすべて部下に振り分けて、ホームページ制作の時間を作っていただきました。社長と直接会話をしているので、そこから会社の方針を固めていくこともあったり、新しい販売先を開拓するアイデアも生まれたりしました。
成功要因2.技術力がある会社であったこと
成功要因の2点目は、お客様の会社に、他者にはない加工の技術力を持っていたことです。
社長は普段から新しい材料の加工にチャレンジし、工作機械の可能性を追求していました。その探求心と、加工事例のページ制作と親和性があり、ホームページ集客に結び付きました。
工作機械メーカーや部品加工企業での失敗事例としては、次のようなケースがあります。それは、「当社は何でも加工ができます。何でもオーダーメイドできます。」と訴求している企業です。
そのような何でもできると称する企業からご相談があったときに、よく言われることは「見込み顧客が目の前に居たら、クロージングができる」というものです。
見込み顧客が目の前にいてクロージングができなかったら、それは大問題です。また、「見込み顧客が目の前に来ないから困っているのではないでしょうか?」と言いたくなります。
見込み顧客が目の前に来てくださるようにするためには、自社が何に強みがあり、何を見込み顧客の企業に提供できるのかを明確にすることが大事です。
上記の工作機械メーカーの社長は、当社のインタビューで次のことを明確にし、集客ホームページの企画を入念に立てることができました。
- 集客したお客様はどのような企業か?
- その企業のお困りごとは何か?
- その企業がお困りごとを解消するために求めていることは何か?
- 自社がその企業に何を提供できるのか?
自社が集客したい企業に向けて何を提供できるのか。上記の工作機械メーカーでは、「技術力」ということになり、そのことがホームページ集客ができるようになった要因になりました。
もっと突き詰めて述べるとするならば、社長の加工技術のあくなき探求心が要因になったとも言えます。
成功要因3.集客効果の高いページを量産できたこと
3番目の成功要因は、ページを量産できたことです。工作機械メーカー様の事例では、工作機械毎のページと、加工事例ページを量産できました。しかも、主力製品となっている工作機械のページは、ランディングページにできたことも成功要因となっています。
ページが量産できると何が良いかと言いますと、「たくさんの検索キーワードで上位ヒットさせることができる」ということです。
今までのお客様のホームページは、展示会に出展して、名刺交換をしたりデモンストレーションを見てもらって、自社製品に興味を持った人が、会社名でネット検索して訪れることが多かったと思われます。
しかし、ホームページは20年ほど前に自社スタッフが制作したもので、デザインが古く、製品情報がほとんど記載されておらず、記載されている内容も古いものでした。
そのため、ホームページ経由での引き合いは、年に2~3件程度、今までお取引きがある企業からのお問い合わせばかりでした。
ページを量産すると、さまざまな検索キーワードで上位ヒットするようになり、集客を狙った業界はもちろんのこと、それ以外の業界からのお問い合わせや、場合によっては組合からのお問い合わせで「組合の勉強会で加工技術のページを利用させてもらった」とのご連絡もあったようです。この集客の流れは、加工事例ページでお客様を育成して集客する手法「リードナーチャリング」です。
今までは、狭い業界での知名度は高かったものの、別の業界ではまったく知られていませんでした。今では、別の業界の組合で、勝手に紹介されるくらいまで知名度が高まりました。
そのようなことで、集客ホームページを新規制作してからは、お問い合わせの大半が新規顧客からのお問い合わせとなり、しかも月に5~10件ほどのデモンストレーションのご依頼を頂けるようになったようです。
そのため、年数回の高額な展示会の出店を止めて、去年からネット集客のみで新規顧客獲得に切り替え、営業利益が展示会に出展しなくなった分だけ上昇しました。
ホームページによるBtoB集客のポイント
ホームページによるBtoB集客のポイントをまとめると、次の3点です。
- 効果的なSEO対策でホームページのアクセス数を増やすこと
- BtoBランディングページでコンバージョン率を高めること
- コンバージョンの仕掛けづくり
集約に効果的なSEO対策の方法
ときどき、SEO対策のご提案で、「SEO対策はもう古いのではないか?」と言われることがあります。確かに、SEO対策という用語が日本に上陸したのは20年近く前のことですので、古いと言えば古いのですが、用語が古いことと集客に有効かどうかは、別の話だと思います。
さて、BtoBの集客ホームページ制作をするためには、SEO対策は不可欠なものです。
SEO対策は、時代とともに進化しており、今現在効果的なSEO対策の方法は、次の2つの手法を組み合わせたSEO対策です。
- テクニカルSEO
- コンテンツSEO
テクニカルSEOとは、簡単に述べるならば、ホームページが上位ヒットしやすくなるように土台を構築することです。具体的には、ホームページのページ構造やHTMLの記述の仕方、ホームページの表示速度を考慮してホームページを制作することです。
コンテンツSEOとは、ページを量産して、たくさんの検索キーワードで上位ヒットさせる手法のことです。先ほどの事例で、加工事例ページの量産をご説明しましたが、これもコンテンツSEOの一環として行われた施策です。
テクニカルSEOをすることによって、コンテンツSEOで投稿されたページが上位ヒットしやすくなるので、この2つのSEO対策は両方を組み合わせることで、効果を発揮しやすくなります。
BtoBランディングページでコンバージョン率を高める
ランディングページとは、簡単に述べると、製品の良さを説明するために制作された長いページのことです。また、コンバージョンとは、日本語では「転換」です。つまり、「ホームページに訪れた人が、お問い合わせをしてくる」という転換のことです。
ランディングページと聞くと、「キラキラ・チャラチャラしたデザインで、購入ボタンがたくさん入っている長いページ」とイメージされる方が、いまだにいらっしゃいます。
「そのようなチャラチャラしたデザインはイヤだ」とか「製品を売り込むようでイヤだ」と言われることもありますが、私自身も売り込みの強いページは好きではありませんし、BtoBランディングページはそのようなものではありません。
そもそもランディングページの制作では、まず対象顧客の設定から始めます。
対象顧客が、チャラチャラしたデザインを求めているようであれば、そのようなデザインでランディングページを制作すべきですし、落ち着いたデザインが求められるようであれば、落ち着いたデザインのランディングページを制作した方が良いのです。
また、BtoBランディングページに掲載すべき内容も、コンシューマ向け商品とは異なります。
工作機械メーカーのお客様は、製品ページに次の内容を掲載して、集客力を飛躍的に高めることができました。
- 工作機械の写真
- 工作機械の特長とスペック
- 加工事例
- オプション品やオプションサービス
- ご契約から導入までの流れ
- よくあるご質問
- 工作機械の開発エピソードやセールスポイント
これらの内容は、集客した顧客を想定し、その顧客がランディングページを見て何を考えてお問い合わせをしてくるのかを想定して設計しました。
また、加工事例ページを訪れた人を製品のランディングページに誘導し、お問い合わせにつなげる導線設計もしました。このような手法での集客全体のことを、コンテンツマーケティングと言います。
コンバージョンの仕掛けづくり
コンバージョン率を高めるのは、ランディングページの出来栄えだけでなく、コンバージョンの検討も大事です。
上記の工作機械メーカー様も、自社製品を購入検討したいと考える人は、どのような行動をするのかを考え、どのようなコンバージョンを用意するか、仕掛けをつくることにしました。
考えられるンバージョンは次のようなものです。
- 電話によるお問い合わせ
- メールフォームからのお問い合わせ
- 会社を代表するメールアドレスへの連絡
- 資料請求
- 展示会の出席
- デモンストレーションの依頼
- テスト加工の依頼
- 見積依頼
- 会社の訪問
他にもたくさんございますが、これらのコンバージョンの中から、どれが最も自社の集客に合っているのかを検討し、ランディングページに記載をします。そして、それぞれのコンバージョンからクロージングまでの流れを検討し、自社に足りない業務フローを構築していきます。
以上、中小企業の工作機械メーカーを事例として、中小のBtoB企業がホームページで集客するためのポイントについて述べてきました。
最後に、新規顧客獲得の勝因を1点だけ述べるとするならば、「社長ご自身がホームページ集客の仕組みづくりやホームページ制作で陣頭指揮を執った」ということです。
集客ホームページ制作は、今まで自社にない販売チャンネルを新しく構築するプロジェクトですので、経営判断のできない社員に任せるのではなく、社長自らが取り組み、自社発展のためのアイデアを生み出していくことが大事です。
最後に当社のBtoB集客ホームページ制作のご案内をさせてください。
当社では、BtoB企業様のホームページ集客や、集客の仕組みの構築といった、営業力強化のご支援をしています。
ホームページ制作やSEO対策、チラシ制作などを、バラバラの企業に発注して、統率が取れなくて集客に失敗していく企業があります。それらを「営業改善の全体のプロジェクト」として立ち上げて、新しい販売チャンネルの構築をご支援いたします。
BtoB集客ホームページ制作をご検討の企業様は、ぜひ当社のご支援をご利用ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。