社長の夢実現への道

中小企業のビジョンはどのようなものにすべきか?

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中小企業のビジョンはどのようなものにすべきか?

当社は経営理念の作成や浸透を主力サービスの一つとしているので、中小企業の社長から、「ビジョンはどのようなものが良いのか?」と聞かれることがあります。

その問いに即答しなければならない場面では、「社長の会社なので、ご自分の好きなビジョンを立てられたらいかがでしょうか?」と、一見冷たく思えるような返答をしています。

また、崇高な志のある社長であれば、「何かで日本一を目指してください」と応えるようにしています。

このように、社長が会社をどのようにしたいのかによって、ビジョンの方向性が異なります。

崇高な志をビジョンとして立てても、その反動でダメになる会社もあります。また、ビジョンが無いが故に、ダメになる会社もあるのです。

このコラムでは、中小企業の社長で「どのような企業ビジョンを掲げたら良いのか?」と悩んでいる方に、大きな企業ビジョンを掲げて世界一の会社を創った本田宗一郎の例をご紹介しつつ、企業ビジョンを考えるためのヒントを述べたいと思います。

ビジョンとは?

ビジョンとは?

まずはビジョンの定義から述べたいと思います。ビジョンとは、「視覚」や「先見」といった目に見えるものやイメージしたもののことですが、もちろん会社経営におけるビジョンですので、「ありありとイメージできる将来のわが社の姿」です。

当社では「企業ビジョン」と名付けていますが、経営ビジョンや未来ビジョンと言われたりします。企業ビジョンの詳細は、企業ビジョンとは?企業ビジョンの例と経営理念の関係をご覧ください。

企業ビジョンは、いつの未来をイメージするかによって内容が異なる場合があり、会社の成長に合わせて変化していくはずです。

一般的に、企業ビジョンは会社の成長に合わせて、時系列で短期企業ビジョン、中期企業ビジョン、長期企業ビジョンと段階的に進化していきます。そして、企業が最終的に到達すべき目標のことを、当社では「全社目標」と定義しました。

短期企業ビジョンは1~2年後、中期企業ビジョンは3~5年後、長期企業ビジョンは5~10年後をイメージすると良いでしょう。また、全社目標は10~30年後といった、長期企業ビジョンよりもさらに長期的になります。何世代にも渡って実現していこうとする全社目標を掲げる社長もいます。

どの時期の企業ビジョンでも、具体的であればあるほど良いのですが、現実的には、短期企業ビジョンほど具体的な内容になります。社長が、どこまで具体的にイメージできるかは、社長の先見力によります。

中小企業がどのようなビジョンを持てば良いのか?

「中小企業がどのようなビジョンを持てば良いのか」ですが、それは、社長が会社をどのように捉えているのかによって異なります。つまり、会社を「自分の会社」と捉えているのか、それとも「世のため人のために会社がある」と捉えているのかで、持つべき企業ビジョンが変わります。

社長が目指しているものによって、企業ビジョンが異なります。次の3種類の社長で、中小企業の企業ビジョンの例をご説明します。

  1. 自分や社員の生活が維持できたら良いと考えている社長
  2. 自己実現欲求の強い社長
  3. 崇高な志を持つ社長

1番目は、会社を生活の糧としている社長です。当社では、このような発想を持つ社長のことを、「悪い」とは考えていません。会社を経営していること自体、社会貢献できているわけですから、偉いと考えています。

2番目は、「人に使われたくない」「ステータスを得たい」という自己実現欲求の強い社長です。会社勤めを辞めて、社長になりたい、もしくは社長になった人ですから、それなりに能力の高い人です。起業するほとんどの社長は、2番目の理由ですし、自己実現欲求が起業のエネルギーになるので、当社ではそのような発想で起業した社長も否定はしません。

3番目は、「世のため人のため」や「豊かな社会を実現したい」といった崇高な志を持つ社長です。2番目の理由で起業した社長でも、いずれ3番目に移行していく方が多いです。

それぞれの事業経営をしている理由で、持つべき企業ビジョンをご説明いたします。

1. 自分や社員の生活が維持できたら良いと考えている社長のビジョン

 自分や社員の生活が維持できたら良いと考えている社長の場合

零細の社長であれば、「自社の売上が下がらずに、自分や社員の今の生活が守れたらそれで良い」と考えている人が大半だと思います。そのような社長は、会社を自分の財布のように利用している人もいることでしょう。

社長の考え方次第ですので、私はそれがダメだとは申しません。会社を私的に利用している社長であったとしても、立派に利益を出して、世のために貢献している会社もあります。

持つべき企業ビジョン

自分や社員の生活が維持できたら良いと考えている社長は、自分の報酬がどのように変化するか、社員の給料や生活がどのように変化するかをイメージすれば良いと思います。

できれば、それが「顧客にどのように貢献するのか」ということを、同時にイメージしていただきたいと思います。

すると、「利益をこれだけ出したい」とか「利益率をどれぐらいに改善したい」という数値目標の達成に現実味が出てきます。

最低限掲げてもらいたいビジョン「何かでナンバー1」

零細企業では、ビジョンを掲げている社長は少ないことと思います。しかし、そこで社員が入社して働いているのであれば、最低限掲げてもらいたいビジョンがあります。

それは、「何等かでナンバー1を目指す」というものです。

このナンバー1は、会社の規模で日本一や世界一でなく、自社相応、社長相応の目指すべきビジョンでかまいません。例えば次のようなものです。

  • 技術力で地域ナンバー1、業界ナンバー1
  • 美味しさで日本一のお店
  • 売上高で地域ナンバー1
  • 地域で「就職したい」ナンバー1
  • 社員がのびのびと仕事ができるナンバー1

社長は、社内のことばかりではなく、社外に向けて自社がどのように成長していくべきなのか、社員に方向性を示し、その実現に向けて取り組むことで、社員が納得してついてくるようになります。

掲げてはいけない企業ビジョン

注意したいことは、「社長の本音」と「企業ビジョン」が一致しない場合です。

例えば、社員に気合を入れるために「日本一を目指す」という企業ビジョンを掲げたものの、社長が本気で日本一を目指していない場合は、そのような企業ビジョンを掲げてはいけません。

社長からの「日本一を目指すぞ」と檄を飛ばし、社員たちがやる気に満ちてしまったとしましょう。ところが、後に社員たちが、その企業ビジョンが本気でなかったことを知ったときに、志ある社員が離反していく可能性があるからです。

日本一を目指した会社は、ある程度大きな会社に成長していくことが多いでしょう。そのときの組織の大きさは社長の器で決まると言われています。

小さな会社では、多くの社長が「自分や社員の生活が維持できたら良い」とか「現状維持ができたら良い」と考えていることと思います。そういった考えの社長は、自分の器を成長させようと勉強していないことが多いことでしょう。そうなると、会社の成長とともに会社が内部崩壊していく可能性が出てきます。

では、そういった企業では、どのような企業ビジョンを掲げるべきでしょうか?

答えは、「ヘタに企業ビジョンを掲げないこと」です。

2. 自己実現欲求の強い社長のビジョン

自己実現のために起業をした社長の場合を考えてみましょう。30代といった若くして起業した人は、自己実現欲求が強い人が多いことでしょう。

例えば、「お金持ちになりたい」とか、「自分の実力を試したい」といったものです。私も、30代で起業したときはそのように思っていました。

そういった社長の企業ビジョンは、「地域ナンバー1」とか「日本一」などといった経済的な目標か名誉的な目標を掲げることが多いことでしょう。「それが実現できたら、おまえらの給料を上げてやる」といった具合に、お金で人を動かすような考えを持っていることも多いことでしょう。

そのような社長は、起業するぐらいなので仕事に対する実力が高く、情熱に燃えているので、ある程度のところまで大きく成長することがあります。

しかし、従業員数が20~30人に達したときに、成長が止まってしまいます。そのときに、2つの選択肢が出てきます。

  1. その欲求を持ったまま成長を目指して会社を崩壊させる
  2. 崇高な志を持ち直して発展を目指す

たいていは1番目を選び、会社を一度崩壊させてから、崩壊させた理由が分からずにまた起業して、また同程度の企業規模になったら崩壊するといった失敗を繰り返します。一部の社長は、「これではいけない」と反省されて、崇高な志を持つようになります。

自己実現欲求を持つ社長は、次に説明する「崇高な志を持つ社長」に成長できたら、再度企業ビジョンを立てると良いでしょう。

3. 崇高な志のある社長のビジョン

崇高な志のある社長の場合

小さな会社であったとしても、「世のため人のために事業を立ち上げた」とおっしゃる社長が、少なからずいます。社会起業家という言葉が広まったときから、崇高な志を持った社長が増えてきたように感じます。

私自身も、社会起業家の一人として認識しています。

崇高な志を持った社長の考えは、事業経営の先輩方からすると甘い考えのように聞こえます。「大きなビジョンの割に、社長としての器が足りない」とか、「企業ビジョンなどなくても商売はできる」とお考えの社長もいます。

実際に、主婦だった人が企業を目指したときの話を聴いたことがありますが、経営の「け」の字も知らない、素人丸出しの散々なものでした。まるで、小学校までの道のりしか知らない子供が、日本一周の一人旅を目指すようなものでした。

しかし、その社長には他の社長にないものを持っていました。

それは、すさまじいまでの情熱です。

そのすさまじいまでの情熱が、世界企業まで成長させることもあるのです。そういった社長であるならば、企業ビジョンは崇高な志を含めての「日本一」もしくは「世界一」を掲げるべきです。

実際に一代で大きな会社を創り上げた社長は、崇高な志や大きな企業ビジョンを創業期から持っていた人ばかりです。

崇高な志を掲げて世界一の会社を作り上げた大経営者の例として、本田宗一郎をご紹介いたします。

本田宗一郎の企業ビジョン

本田宗一郎の企業ビジョン

本田技研工業は、1946年(昭和21年)に町工場としてスタートしました。そのときは、中小企業と言うよりは、零細企業と言った方が合っているものでした。

発電機用の小型エンジンを自転車用補助エンジンに改造して発売し、ヒット商品となりました。そのエンジンの在庫が尽きると自社でエンジンを開発しました。その自転車用補助エンジンは通称「バタバタ」と言われ、戦後のニーズと合致し、闇市で荷物を運んだり買い出しをしたりする人の間で流行して、飛ぶように売れました。

その喜ばれぶりを見ていた本田宗一郎は、「ガソリンエンジンで世の中を変えられる」と本気で信じました。

本田宗一郎が零細のときに考えた企業ビジョンとは?

町工場であった本田技研工業は、次のような企業ビジョンを掲げることが一般的でしょう。

  • 自転車用補助エンジンをもっとたくさん売りたい
  • 自社開発したエンジンを日本中の人に使ってもらいたい
  • いずれ自社製オートバイでレースに出場して優勝したい

しかし、本田技研工業の企業ビジョンは、そのようなものではありませんでした。

1949年に最初の本格的なオートバイ「ドリームD型」を開発したときには、企業ビジョンとして明確にはしていませんでしたが、「日本一のオートバイメーカーになるんだ」と豪語していました。

この企業ビジョンは、一見すると「自己実現の志」のように見えますが、そうではありませんでした。

日本一のオートバイメーカーの意味は、「日本一の品質のオートバイを製造すること」でした。「世のため人のため、日本のために世界一廉価で高性能なオートバイを製造するメーカーになる」ということを目指して、そのように努力していました。つまり、天下・国家のための企業ビジョンだったのです。

ナンバー2の手によって企業ビジョンが実現可能な計画に変わる

ナンバー2の手によって企業ビジョンが実現可能な計画に換わる

ドリームD型が発売されたのと同じ年に、本田技研工業の伝説のナンバー2、藤沢武夫が本田技研工業に入社しました。

その後2年間、藤沢武夫は本田宗一郎と何度も語り明かしたと言われています。そのときに、藤沢武夫の手によって本田宗一郎の企業ビジョンが明文化され、実現性の高い経営計画に固められていきました。

創業から10年後の1956年(昭和31年)、本田技研工業が「社是」と「我が社の運営方針」を発表しました。社是の中には、日本のための社会貢献を併せ持った、大きな企業ビジョンが描かれていました。

社是とは、会社が正しいとする考え方、つまり会社が大切にしている価値観を表したものです。当時の社是の内容はこうでした。

わが社は、世界的視野に立ち、顧客の要請に応えて、性能の優れた、廉價(廉価)な製品を生産する。わが社の発展を期することは、ひとり從業員と株主の幸福に寄與(寄与)するに止まらない。

良い商品を供給することによって顧客に喜ばれ、関係諸会社の興隆に資し、さらに日本工業の技術水準を高め、もって社会に貢献することこそ、わが社存立の目的である。

HONDAのホームページを参照

つまり、世界進出を目指すとともに日本の工業水準を高めるという目標を掲げました。「世界的視野」の意味の中には、世界一になることが含まれています。なぜなら、本田宗一郎は「わが社は日本一になるのだ。そのためには世界一にならなければならない。」と述べていたからです。

オートバイの貿易が自由化され、世界中の高性能で廉価なオートバイが輸入されるようになると、「今のままでは本田技研工業は日本一どころか倒産してしまうのだ」と解釈できます。

この社是が掲げられてから2年後に、伝説のオートバイ「スーパーカブC100」を発表します。1959年(昭和34年)にはオートバイレースのオリンピックと言われるマン島TTレースに日本企業で初めて出場を果たし、会社の規模は大企業とも言えるまでに成長しています。

また、四輪自動車製造に参入するときにも、本田宗一郎は社員に対して「四輪の地図を塗り替えようではないか」と豪語し、社員を感化してやる気にさせてしまいました。そして有言実行で、会社の全エネルギーを四輪開発にぶち込みました。

中小企業だからこそ実現不可能だと思える企業ビジョンが良い

本田宗一郎が零細企業のときに掲げた大きな志は、普通であれば実現は不可能でしょう。しかし、理想のナンバー2がそれを実現可能なものにしました。

もし藤沢武夫が、「社長、そのようなビジョンは実現不可能です。もっと現実に即したビジョンを描きましょう。」と社長の夢を一蹴していたらどうでしょうか。そうなったら、本田宗一郎の情熱が冷めてしまい、世界のホンダもなかったことでしょう。

社長の夢を実現してくれるのが、藤沢武夫のような理想のナンバー2なのです。理想のナンバー2を得られる社長には条件がいくつかあります。その基本となる条件をご紹介します。

  1. 崇高で大きな志があること
  2. それを達成できるための実力や、成長の可能性を備えていること
  3. 理想実現に向けて情熱的に取り組んでいること

そのような社長に理想のナンバー2が引き寄せられるのです。もちろん、社長自身が「理想のナンバー2はどのような性質を持った人物なのか」を、社長が知っておく必要があります。

当社が開催している研修で、理想のナンバー2はどのような人物なのかを学ぶ研修がございますので、ご興味のある方は、ぜひご参加ください。

出来上がったビジョンが本物かどうかの点検

ビジョンを作成したら、そのビジョンが、借り物のビジョンなのか、本物のビジョンなのかを点検してください。この点検は、とても大事なことです。

本物のビジョンであれば、それが実現する可能性が高くなりますし、借り物のビジョンは実現することはありません。

では、本物のビジョンとはどういったビジョンかの点検ですが、「社長ご自身がビジョンを思い出したときに、やる気で満たされるか?」ということです。

ビジョンの実現を社長ご自身が「心の奥底」から願っていますか?

社長が心から「ぜひとも実現したい」というものであれば、本物のビジョンです。

借り物のビジョンとは、例えば、「知り合いの社長が日本一を目指しているから、我社も同じように日本一を目指そう」というものです。もしくは、社員から「社長、ぜひともナンバー1を目指しましょう!」と言われて、社長が「よし!」と考えても、それも借り物です。誰かの真似をしているようでは、一時的にやる気が出ても、本気になることはありません。

知り合いの社長が日本一を目指していて、「その知り合いの社長を超えたい」とお考えであれば、ビジョンは「知り合いの社長の会社を超えること」になります。日本一を掲げるよりも、そのようなビジョンの方が、社長ご自身のやる気が出ると思います。

日本一、世界一を目指す社長の注意点

日本一、世界一を目指す社長の注意点

とあるコンサルティング会社が主催する経営計画を立てる研修に参加した社長から、面白いご相談を受けたことがあります。それは、「研修に参加して、経営に対するモチベーションが下がってしまった」と言うのです。

社長は、地方の中小企業で、地元密着の店舗経営をされている方でした。

講師をしていた経営コンサルタントとの会話は、次のようなものでした。

経営コンサルタント
「社長の実現したい夢を何でも書いてください。」

社長
「何でもいいのですね?」

経営コンサルタント
「はい。何でもいいです。」

社長
「何でもいいのなら、大きな夢を描こう。わが社は市町村で一位になることはもちろんのこと、県下では、いや、いずれ〇〇地方で一位になって・・・。いかがでしょうか?」

経営コンサルタント
「ちょっといいですか、あなたの実力で実現できると思っているのですか?」

確かに、現在の社長の実力ではムリでしょう。しかし、人は成長するのです。しかも、情熱があればあるほど成長速度が尋常でないぐらいに早まります。

その社長から相談を受けたときに、本田宗一郎の話をしてあげたら情熱が回復し、研修以降は夢を持つことがトラウマになっていましたが、その足かせが外れ、夢を取り戻しました。

そもそも、社長のやる気を引き出し、夢を実現してあげるロードマップをいっしょに創ってあげられるのが、経営コンサルタントの役割の一つとして大切だと思うのですが、いかがでしょうか?

要するに、大きな企業ビジョンを掲げた社長は、研修に参加したときに、現実主義の経営コンサルタントによっては「止めておきなさい」と一蹴され、事業に取り組む情熱を奪われてしまう可能性が高いということです。

大きな企業ビジョンを持ちたい社長、もしくは掲げた大きな企業ビジョンをどうしても達成したい社長は、当社の研修にご参加された方が良いでしょう。

この事例では、経営コンサルタントに企業ビジョンを否定されたケースですが、企業ビジョンが否定されることは他にもあります。例えば、伴侶に否定は頻繁です。先輩経営者に相談した場合も「そのような夢物語を言う前にやることをやれ」と否定されることがほとんどです。夢を語る場合は、相手を選んだ方が良いですし、説得力も大事です。

大きな夢が描かれた長期企業ビジョンの実現を説得するための強力なツールがあります。それが長期経営計画です。

企業ビジョンは変えても良いのか?

企業ビジョンは変えても良いのか?

企業ビジョンを明確に掲げた社長から、「企業ビジョンは変えても良いのか?」とご質問をいただくことがあります。一度掲げた企業ビジョンを変えることは恥ずかしいと思うことでしょう。他の人に話したことを変えるのであれば、なおさらです。

結論から申しますと、

企業ビジョンは変えてもよい

しかし、企業ビジョンを変えても良い条件があります。それは次の2つのうち、どちらかに合致する場合です。

  1. 客観情勢が変わり、企業ビジョンが達成できなくなった
  2. 社長が成長し、より大きな企業ビジョンを目指したくなった

1.客観情勢が変わり、企業ビジョンが達成できなくなった場合

1つ目の客観情勢の変化です。通常であれば、客観情勢が変化しても、それに対応できる企業ビジョンを掲げることが望ましいのですが、企業ビジョンによっては、それに耐えられない場合があります。

例えば「ガソリンエンジンで世の中を変えたい」と企業ビジョンを掲げた場合のことを考えてみましょう。

この企業ビジョンの例では、自動車の電動化という客観情勢の変化で、ガソリンエンジンが販売できなくなったら、企業ビジョンが達成できなくなります。

そういった企業ビジョンの実現が、企業の衰退を招いてしまうようあれば、企業ビジョンはすぐさま変更すべきです。

2.社長が成長し、より大きな企業ビジョンを目指したくなった場合

2つ目は社長の成長です。社長が経営の勉強や実践を通じて成長し、より大きな企業ビジョンの実現に自信がついたときは、企業ビジョンを変えてください。今の企業ビジョンの実現では物足りなく感じ、情熱が薄れてしまうからです。

そのときに、この企業ビジョンの変更は、あくまでも縮小ではなく拡大です。現実に合わせて企業ビジョンを縮小させることは、先ほどの経営コンサルタントの例と同じです。

最初から現実に合わせて縮小するような企業ビジョンなら、最初から掲げない方が良いでしょう。

企業ビジョンの変更は、経営理念の変更とも関わることがあります。経営理念の変更に関しては、「経営理念は変更しても良い?経営理念変更のタイミングと条件」をご覧ください。

企業ビジョンが明確になったら協力者に伝えて浸透を

企業ビジョンが明確になったら協力者に伝えて浸透を

企業ビジョンの実現は社長一人で行うのではなく、従業員や銀行、取引先などの協力があって実現できるものです。企業ビジョンができ、それが自分自身で何度も何度も言い聞かせて、これ以外にないと思われるものならば、それを協力者に伝えるべきです。

大きな企業ビジョンを掲げ、それを社員にコミットメントすることは、多くの社長が「とても恥ずかしい気持ちになる」とおっしゃいます。

企業ビジョンの発表は、わが社を立派な会社に成長させていきたいという社長の強い意思表示でもあります。

こそこそと伝えるのではなく、堂々と発表し、日ごろから従業員に述べ伝え続け、「社長は本気のようだ」と思ってもらうことが大切です。

そして社長の説得力を増すためのツールが経営計画です。

最後に、当社のコンサルティングのご案内です。もし、企業ビジョンを考えて、それが正しいものなのかどうか迷われるようであれば、企業ビジョン作成支援サービスをご依頼ください。

従業員数が数十名から大規模な会社の社長の企業ビジョン作成には、経営理念コンサルタントがご支援いたします。これから起業したい人や零細企業の社長の企業ビジョン作成には、ビジネスコーチが担当いたします。

経営理念コンサルタントやビジネスコーチが、自ら企業ビジョンが正しいものなのかどうかを気づくように導いてくれ、心に情熱の火を灯してくれるこことでしょう。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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