社長の夢実現への道

会社のビジョンとは?ビジョンの内容や作成方法など

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会社として、どのようなビジョンを描くべきか?

ビジョンとは、会社が事業活動を通じて未来に実現させたいことを、社員全員が具体的にイメージできるように表したもののことです。会社の未来ビジョンを文章や絵で表します。

名称の使われ方ですが、会社によって異なりますし、意味も若干異なる場合もあります。例えば、未来ビジョンや経営ビジョンと言われたり、企業ビジョンと言われたりする場合もあります。当社では、「企業ビジョン」を用いています。

次の目次に沿って、会社のビジョンとはどういったものなのか、どういったビジョンを作成したらいいのか、作り方はどういったものなのかをご説明いたします。

会社のビジョンで描くべき内容

会社のビジョンで描くべき内容は、もちろん社長が未来に実現したいことです。まずビジョンとして描くべき内容は、「社長が未来に実現したいこと」です。

社長ご自身が「ぜひとも実現したい」と心から思い、ビジョン実現のために熱意が湧き出てくるようなものを会社のビジョンにしてください。社長の熱意が、会社が存在することの源泉になります。

大きなビジョンを描けば描くほどに、その実現には社員の協力が欠かせません。そのためにも、描いたビジョンを社員全員と共有して、社員がやる気に満ちる必要があります。

社員がやる気になるためのビジョンには、次の内容が含まれたビジョンのことです。

  • 会社の規模
  • 事業内容
  • 事業活動を通じて実現する社会貢献
  • 社員の処遇

会社の規模

未来の会社の規模を描く

会社の規模は、「地域ナンバー1」や「世界企業を目指す」といった会社の最終的な規模です。会社が最終的に目指していることを考えると良いです。

社員は、自分自身の未来に不安を感じ、「社長は、この会社をどのようにしたいのか?」ということを、ときどき考えるものです。未来の会社の規模がどのように変化するかによって、自分自身の未来の姿が異なります。

そのようなことから、社員に夢を語ることも、社長の役割と考えます。

では、未来の姿は「実現できないような大きな夢を語っても良いのか?」ということですが、私はその夢が本気で目指しているものであれば、「良い」と思っています。

本気で目指すことが、「日本一」や「世界一」であれば、それで良いと考えます。「そのような大きなことは考えられない。『地域ナンバー1』が限度だ。」とお考えであれば、地域ナンバー1を目指してください。

仮に地域ナンバー1を目指していたとしても、事業活動が市場で想像以上に受け入れられ、地域を超えて会社が大きく成長していく場合があります。そういったときは、ビジョンを変更したら良いと思います。

事業内容

未来の事業内容を描く

事業内容は、現業がどのように進化するのか。将来、参入したい事業は何なのかといった具合です。

社長の想いとして、関連性のない事業に、「どうしても参入したい」とおっしゃる場合もあります。今現在と全く異なる事業をやりたい場合でも、現在のうちから示しておくと良いでしょう。

機械部品メーカーがキノコの生産で一定のシェアを取った事例もあります。コンピュータ・プログラミングの会社の社長が、飲食店を始めた例もあります。

市場原理からして、まったく異なる事業に参入すると、苦労する企業が多いです。優秀な社員のマンパワーが赤字の新規事業に割かれたり、いつまでも黒字化せず赤字が垂れ流しになったり、本業の社員のボーナスが減ったりします。いきなり社長の思いつきで新規事業を始めたら、社員からの反発があります。

そこで、最初から「将来はこの事業をやりたいのだ」と明言しておくことが大事です。

事業活動を通じて実現する社会貢献

事業活動を通じて実現する社会貢献を描く

企業は、事業活動を通じて社会貢献すること、社会のお困りごとを解決することで、存続が許されています。

会社が社会貢献をしていった結果、どのような未来社会を実現したいのかを描きます。それが、会社のビジョンを実現させるための大義名分になり、社員にとってのやる気の源泉となります。

社会貢献と言っても、植林をしたり学校を創ったりといった、事業とは関係のない社会貢献もあります。そういった社会貢献も素晴らしいものです。

ここで述べる社会貢献は、事業とは関係のないものではなく、事業活動が持っている機能でもって社会貢献をすることです。それが、大義名分になります。

例えば、水を浄化する装置を開発している会社であれば、環境汚染のひどい国にまで事業活動を広げたり、飲み水の水質が悪い国に進出して、水による健康被害を無くしたり、そういった社会貢献もあります。

このような、事業活動を通じて社会貢献をビジョンにする場合は、「事業活動が持っている機能は何か?」を考えると良いです。

社員の処遇

社員の処遇を描く

ビジョンを作成する場合には、上記3つのビジョンが実現したときに、社員の処遇がどうなのかも、イメージできるようにした方が良いです。会社が成長したら、将来の生活が豊かになるのであれば、社員もチャレンジのし甲斐が出てくるものです。

中小企業の社長の中には、「わが社の社員たちは、安月給で仕事をがんばってくれている。ビジョンを実現していって、かならず豊かになってもらいたい。」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。そういった社長こそ、社員の処遇をどうしたいのかを明確にした方が良いです。

社員の処遇をどうしたいのかというビジョンから、未来の付加価値や労働分配率などの経営指標が逆算して求められます。

「4つの中で、どれを決めたら良いのか?」ですが、この4つすべてを含めたビジョンを作成すべきと思います。

いつのビジョンを描いたら良い?ビジョンの時系列について

ビジョンと言っても、短期間から長期間といった時系列があります。

短期ビジョンと長期ビジョン

短期的なビジョンのことを「短期ビジョン」、長期的なビジョンのことを「長期ビジョン」、最終的に実現させたいことを「全社目標」と言ったりします。

「どれくらい先のビジョンが長期ビジョンなのか?」と疑問に思われた方もいらっしゃることでしょう。社長が考える最長の未来ビジョンのことを、「長期ビジョン」と言います。中期ビジョンは、その中間に位置するビジョンです。

このように時系列がさまざまですので、単に「ビジョンを作成した」と言う場合には、いつの未来におけるビジョンなのかを明確にする必要があります。

10年ビジョン

ビジョン達成の時期が10年後であれば「10年ビジョン」、5年後であれば「5年ビジョン」という名称を使うこともあります。

10年後は長期ビジョンのように思われるかもしれませんが、大手企業の中には10年ビジョンを「中期経営計画」と位置付けている企業もあります。

中小企業の社長では、10年といったビジョンを描く方は少ないように思います。3年や5年のビジョンだけを描くことが多いです。しかし、「10年先もイメージできる」という社長は、10年後はどうなるかわかりませんが、10年ビジョンを作成しておいた方が良いと思います。

「いやいや、30年先をイメージしたい」とおっしゃる社長は、ぜひとも30年ビジョンの作成にチャレンジしてください。

「そのような先をイメージしても意味がない」とおっしゃる方もいますが、社長はロマンチストの方が魅力があると思います。

どれくらい未来のビジョンを描けば良いのか?

できるならば、会社の最終ゴールとなる長期ビジョンを描いてください。それが10年先であろうが、30年先であろうが、社長がイメージできる最長のビジョンを作成します。

そのような最終ゴールとなるビジョンのことを、当社では「全社目標」と言っています。

あまりにも先のビジョンの場合は、社員になかなか浸透できないので、途中段階のビジョンも作成する必要があります。途中段階のビジョンは、最終のビジョンがどれくらい先のビジョンなのかに応じて、逆算で作成します。

例えば、長期ビジョンが30年先のことであれば、中期ビジョンは10年先が妥当です。また、長期ビジョンが10年先のことであれば、中期ビジョンは5年先が妥当です。長期ビジョンが5年先であれば、中期ビジョンは必要ないと思います。

長期ビジョンがイメージできない場合

長期ビジョンの作成に初めて取り組まれた社長は、なかなか10年先や30年先のビジョンはイメージできません。そういった長期ビジョンの作成には、慣れがいると思います。

もし、10年先や30年先などといった長期ビジョンがイメージできない場合は、3年先ぐらいのビジョンでかまいません。

3年先をイメージして事業経営に取り組んでいくことで、社長の経営の悟りが高まり、少しずつビジョンをイメージすることにも慣れていきます。もっと先のビジョンをイメージできるようになってから、長期ビジョンを作成しても良いと思います。

社長の経営の悟りがさらに高まってくると、経営ビジョンだけでなく経営哲学が「しっくりこない」と感じるようになるときがあります。そのときは、経営哲学をも作り直し、変更すべきときです。ビジョンの変更については、「会社のビジョンを変更してもよい条件とは?」をご覧ください。

経営理念を作成する中でビジョンを作成する順番は?

ビジョンを作成し、それだけを社員に浸透させても、社員はどのように判断したり行動したりしたらいいのか分かりません。ビジョンを作成し、それを実現するためには、ビジョン以外にも作成する経営哲学があります。

ビジョン以外の経営哲学を作成することも必要

ビジョンを作成できたら、社員に浸透させていくわけですが、ビジョンを浸透させる意味は、「将来、このビジョンを社員と力を合わせて実現したい」という社長の意思表示です。

そして、ビジョンを実現したときの社員の仕事能力は、とても高いものになっていると思います。その社員は、社長に代わって高度な意思決定を行い、部下を導いていることと思います。

しかし、ビジョンを浸透させるだけでは、社員の仕事能力向上は社員の社員個人への押し付けになってしまいかねません。つまり、ビジョンを浸透させるだけでは、社員の実力が向上しないのです。社長自ら、経営判断の基準や仕事能力を高めるための方法を示してあげなければいけません。

そのようなことを考慮すると、ビジョンだけでなく、他にも経営哲学が必要となります。当社では、次の4つのものをパッケージとして作成することで、機能する正しい経営哲学になることを提唱しています。

  1. 基本理念
  2. ビジョン(当社では、「企業ビジョン」や「全社目標」と言っています)
  3. 経営指針
  4. 行動指針

この4つのパッケージ化されたものを、当社では「経営理念」と称しています。

ビジョンを作成する順番

これら4つの中で、ビジョンを作成する順番は2番目です。

最初に、ビジョンの実現を一言で表された基本理念を作成し、それが実現した姿をイメージすることで、ビジョンを作成することができます。

ビジョンも、時系列で段階がありますが、まずビジョン最終ゴールとなる「全社目標」を作成します。そから逆算して得られる中間目標として「10年ビジョン」や「中期経営ビジョン」などの名称で、中間目標を立てます。

逆算型で未来から現在に向かって、ビジョンを立てていきます。

中間目標を先に立ててから全社目標を立てるような、積み上げ型でビジョンを作成しても良いのですが、そうすると現実に押し流されて、社員だけでなく社長ご自身のモチベーションも高まりにくいものになってしまいます。

経営理念を作成している最中では、中間となるビジョンのことを考えても良いですが、できれば最終ゴールである全社目標の作成から行い、理想的な経営理念を作成していくことが大事です。

全社目標ができたら、次に経営指針と行動指針を作成します。先に行動指針から作成すると作りやすいです。

すべての経営理念が作成できたら、ビジョンを経営計画の数字に落とし込む必要があります。そのときに、中間目標となるビジョンを作成します。

ビジョンの作成方法

ビジョンは全社目標から作成しますが、全社目標の作成方法は、2つのステップで自社のことを考え続けることです。

1.わが社の存在理由を考える

わが社は何のために存在し続けなければならないのか?

ビジョンを考える方法は、自社の存在理由を考え続けることです。自社の存在理由を深く考える場合、1度考えて思いつくようなものでもないので、自分で納得ができるまで「時間をかけて考え続ける」というところがミソです。

ここで考えついたことが、お客様や身近な人のため、世のため人のため、天下・国家のためといった、利他のものであるならば、それは正解に近づいたと言えます。

自分を利するためだけのビジョンは、誰も相手にしてくれません。私欲のない理想のビジョンを立てて、社長自身も理想として目指していくものをお考えください。

自社の存在理由を考える方法

自社の存在理由を、ことある毎に考えると良いのですが、タイミングとしては、朝の落ち着いた時間の中で考えたり、夜にリラックスをしている時間に考えたりすることが良いです。

心が波立っている状態、いわゆる脳はがβ波の状態では、自社の本質に当たる深い部分を考えることが難しくなり、表面的なものになりがちだからです。

社長ご自身で自問自答しても良いのですが、まとまった時間をつくり、ビジネスコーチに依頼して質問してもらう方が、自社の本質を考えることができるので、そちらをおすすめします。

「まとまった時間が取れない」という社長も多いことでしょう。しかしお考えください。自社の未来を考えること以外に、本当に大事な仕事は顧客対応と他に何があるのでしょうか?

どうか万難を排して、わが社の未来について考える時間をおつくりいただけたらと思います。

社員に自社の存在理由を考えさせたい場合

自社の存在理由を社員に考えさせる社長もいることでしょう。自社の存在理由を考えることは、社員にとってはリーダーの研修にも匹敵するようなものです。

ただし、社員に考えさせたい場合は、社長ご自身で答えを見つけている場合に限ります。

社長に答えがなく、社員にわが社の存在理由を考えさせる場合は、そろそろ引退の時期が近付いているということを意味するからです。

2.わが社の最大化した姿をイメージする

自社の存在理由を考えたら、2つ目のステップに入ります。それは

わが社が最大化した姿をイメージしてください

わが社の存在理由が利他であるならば、どれだけ多くの人を幸福にするのか、その状態をイメージします。そのイメージできる限界が、会社の事業規模の限界になります。

イメージできたら、それを文章で明文化してください。それが企業ビジョンです。

以上、会社のビジョンとはどういったものなのか、どういったビジョンを作成したらいいのか、作り方はどういったものなのかをご説明いたしました。

会社が目指すものをビジョンとして作成し、社員と一体感を持って事業活動に取り組んでいきたいと考える、夢のある社長にご参考になれば幸いです。

実際にビジョンを作成した場合、「作成したビジョンは、本当に自社が目指すべきものなのだろうか?」と疑問になる場合があります。疑問のまま経営理念を作成してしまったら、それは正しいものではないので、実現しにくいと思います。

社長が心から「このビジョンの実現を目指すのだ」と言えるものを、最初に作成する必要があります。

もし、そういった疑問が出てくるようであれば、ぜひ当社の経営理念コンサルタントにご相談ください。経営理念コンサルタントが、社長の心の奥底に眠っているビジョンをうまく引き出してくれるので、心から「ぜひともチャレンジしたい」と言えるビジョンが作成できます。

スポットでも対応可能ですので、ぜひご相談ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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