当社では、経営理念の研究を日々行っています。その研究の中で、経営理念には正しい経営理念と本物の経営理念があることが分かりました。
さらには、正しい経営理念であり、なおかつ本物の経営理念になっている経営理念のみ、経営理念を正しく浸透させることによって、理念経営が実現されて、会社が発展することも判りました。
一見すると似ているようですが、この2つの経営理念の意味と、それらを定義した理由についてご説明いたします。
経営理念とはどういったものなのかを、全体的に知りたい方は、先に「経営理念とは?社長のための経営理念作成浸透マニュアル」をご覧ください。
経営理念は必要なのか?
冒頭で、「正しい経営理念で、なおかつ本物の経営理念を作成し、浸透させることによって、理念経営が実現でき、会社が発展する」と述べました。
理念経営とは、社員全員が経営理念に基づいて判断したり仕事をしたりする経営です。
経営理念がなくても発展している会社もある
世の中の会社を見ていると、経営理念がなくても発展している会社もあります。発展している会社は、社長の勢いが凄まじいものがあります。経営理念がなくても発展しているので、「経営理念は必要ない」と言われることもあります。
発展している会社を外部から見ているだけだと、会社の内部のことは見えないものです。富士山を遠くから見たら美しいのに、近くではゴミがいっぱい落ちているようなものです。
外から見たら同じように見えても、その中身に違いがあります。
会社が小さなときは、社長の勢いだけで発展することがあります。しかし、限界がきます。次に必要となるのが発展の仕組みです。発展の仕組みがあっても、ある一定の段階で限界が来ます。次に必要となるものが経営理念です。
単なる社長の勢いで発展しているのか、仕組みで発展しているのか、それとも理念経営が伴って発展しているのかの違いがあります。
社長の勢いだけで発展している会社は、社長の勢いが届く範囲までが、会社の成長範囲になります。仕組みで発展し始めると、社長が見ていないところでも発展していくのですが、社員の育成に限界が出てきて、発展が止まります。
それに対して理念経営されている会社の場合は、社長の勢いが届かない範囲でも、経営理念に触発された社員が、社長と同じとは言わないまでも勢いを持って仕事をしてくれるようになり、発展がさらに進みます。
目標のない会社も経営理念は必要ない
社長が、会社の発展や、「立派な会社をつくりたい」と考えていない場合には、経営理念は必要ありません。なぜなら、今のままで十分目標を達成できているからです。
多少の成長を考えている社長もいますが、そういった場合も経営理念に頼るのではなく、販売手法に頼った方が良いはずです。
そういった会社の社長は、「経営理念は必要ない」と言われる方が多いです。
私もその通りだと思います。社長に野心が出てきて、会社を発展させつつ、立派な会社にしたい場合には、まずは生産、営業、経理のバランスを取りつつ、運営が機能する仕組みを取り入れると良いと思います。
その仕組みが機能して会社が成長し始めると、いずれ経営理念が必要となるときが来ます。
すべての会社は社長の思惑で経営されている
会社はすべからく、社長の思惑で動いているところがあります。これは、ある意味ではすべての会社が、社長の何等かの理念に基づいて経営されているものと思われます。ただし、その理念が正しいものであるのか、間違っているものであるのか、コロコロ変わるものなのかといった、社長の考えによります。
社長からよくあるご相談の一つに、「社員が私の言った通りに働いてくれない」というとものがあります。全員が思い通りに働いてくれないということは無いと思いますが、一定数の社員は社長に反発心を持っている人がいます。
実のところ、そのような社員も、「社長の思惑」で働いていることが多いのです。社長の心に潜む悪い部分が実現した姿なのです。
このことについては、さまざまな方面の解説をしないといけませんので、別の機会で述べたいと思います。
ここでは、社長の思惑をがっちり固めて、「わが社は、これを基準として経営していく」というものを決め、それを経営理念にまとめて浸透させることで、目先の悩みは消えていくことと思います。
経営理念はどの程度の文章量で文言を作成したらいいのか?
このページの表題にある「正しい経営理念」や「本物の経営理念」について気になる方であれば、「その内容はどういったものだろうか?」だと思われたことでしょう。
さまざまな企業の経営理念を調べていると、会社によってその文章量はさまざまで、たった一言の経営理念から、膨大な文章量の冊子になっているものまであります。
結論から申しますと、たった一言の経営理念であったとしても、正しい経営理念であり、なおかつ本物の経営理念であるという、両方を兼ね備えているものもあります。
反対に、膨大な文章量のものであったとしても、正しい経営理念でなかったり、本物の経営理念でなかったりするものもあります。
実のところ、正しい経営理念や本物の経営理念を作成するためには、現実では程度の文章量は必要かと思いますが、究極には「文章量は関係がない」ということです。
それでは、正しい経営理念と本物の経営理念について解説していきたいと思います。
正しい経営理念とは?
当社が定義した正しい経営理念とは、「経営理念の構成要素を満たしている経営理念のこと」です。
正しい経営理念の内容
正しい経営理念は、正しいと言い切れるだけの構成要素を満たしているものですが、どういった内容なのかを具体的に説明いたします。
経営理念から3つことを導き出せるか?
経営理念に込められた意味を深く考えることで、これら3つのことが導き出されるものが「正しい経営理念」です。
- 何でもって社会に貢献し、何を実現するのか?
- 将来の会社の事業規模は?
- それを実現するための仕事の仕方は?
何でもって社会に貢献し、何を実現するのか?
1つ目は、社会貢献についてです。これは、「植林活動をしましょう」とか「ゴミ拾いをしましょう」というボランティア的なものではなく、事業活動を通じての社会貢献です。それを最大化させたら何が実現できるかまで考えられたら良いです。
この実現したいことが、社会は地球を破壊するものであってはいけません。社会や地球を豊かにし、平和にし、繁栄させていくものである必要があります。宗教的な心情をお持ちの社長であれば、裏テーマとして「神の理想実現」という崇高な理想を掲げている会社もあります。
将来の会社の事業規模は?
それを実現していくために、2つ目の項目があります。今の事業だけで理想が実現できたら良いのですが、そうはいかない場合もあります。
例えば、経営理念として「住宅建築を通じて地域の豊かな家族生活に貢献したい」というものを掲げたとして、現在の事業内容が内装リフォーム業だとしたら、将来は外装やエクステリアもリフォームができるようになり、不動産も手掛けないといけないかもしれません。
そういった事業を行うことを予告されていないと、社長がいきなり「エクステリアをやる」と言い出したら、古参社員の反発は必至です。「当社は、内装リフォームの専門です。強みでないエクステリアに手を出したら、失敗するのがオチです。」という具合です。エクステリアを任された社員は、皮肉にも、なぜエクステリアがダメなのかを、一生懸命考えてくれます。
もともと経営理念の中に、エクステリアにチャレンジしていくことが明記されていたら、社員は「ついにエクステリアを始めるときが来たか」と、新しいチャレンジに奮い立ちます。
経営理念の内容から、「将来に何をするのか?」ということを推測できたり、明確に理解できたりする必要があります。
それを実現するための仕事の仕方は?
経営理念には、社会貢献や未来事業などが予見されるものであったとしても、それは会社が成長していって実現できるものもあります。それらを実現していくためには、当然ながら会社が成長しないといけません。
会社の成長のためには、社長の経営判断が問われます。そして、社長から経営の一部を任された経営幹部にも、経営判断が問われるようになります。その経営判断をするための基準となるものが、経営理念に含まれている必要があります。
さもないと、社長が行き当たりばったりで経営判断をしていたら、社員は社長を信頼しないことでしょう。現実として、そのような会社は多いと思います。社長が率先して経営理念に基づいて経営判断することで、社員は経営理念を信用するようになります。
また、経営幹部は社長の見ていないところで経営判断をするようにしなければ、社長の勢いの届く範囲までの会社が成長の限界となります。
さらには、会社は成長に伴って、社会的責任が問われるようになります。社員の仕事の仕方やサービス精神、普段からの行動や態度なども見られるようになります。小さな会社では当たり前のように行われていることでも、大企業ではニュース沙汰になる場合もあります。
社長を含めた社員全員が、経営理念に基づいて仕事ができるようになった状態が、「理念経営が出来ている状態」と定義できます。
経営理念が4つのパーツで構成されているか?
上記の3つのことが導き出される正しい経営理念は、「一言の経営理念」だけでは実現が難しいことがご理解いただけたことと思います。
当社の研究で、経営理念は次の4つのパーツで構成してパッケージとしての経営理念を作成することで、上記3つのことを包含しつつ、社員にも判りやすくなることを発見しました。
その4つのパーツとは、次のものです。
- 基本理念
- 企業ビジョン
- 経営指針
- 行動指針
これら4つ内容の詳細については、別の記事「機能する正しい経営理念とは?経営理念の構成要素」をご覧ください。
正しい経営理念かどうかを判定する方法
社長自身が経営理念を作成した場合、もしくは先代社長が作成した経営理念がある場合、その経営理念が正しい経営理念かどうかを判定する必要があります。
正しいものでなければ、作成し直さなければ、それを浸透させたときに、会社にマイナスの影響を与えてしまう場合があるからです。
その判定は簡単で、作成された経営理念を総合的に眺めたときに、そこから上記の社会貢献などの3つのことが導き出されるものかどうかを見ればよいのです。
3つのことが、拡大解釈しなければ導き出されないものであれば、企業ビジョンをもっと明確なものにしたり、行動指針を詳細なものにするなど、経営理念を修正したり変更したりすると良いでしょう。
例えば、経営理念の中のパーツの基本理念として、次の文言を定めたとしましょう。
感謝
このような一言で基本理念を表現する社長は、相当な勉強家でありますし、経営でさまざまな難局を乗り越えてきたことが想像できます。運も実力のうちとして、あらゆる経営資源を活用してこられた実績もおありのことでしょう。
さて、ここで「感謝」という一言で、どのような事業でどのような貢献をするのかが、明確ではありません。将来の事業規模もわかりませんし、「感謝」の一言から経営判断をするということは、なかなか難しいことと思います。
行動指針の一部としては理解できます。お客様に常に感謝をして、お客様のご満足をいただけるように商品やサービスを開発していくというものです。
こういった簡単な文言の基本理念の場合は、企業ビジョンや経営指針、行動指針などを充実させて、基本理念を補完するものに仕上げると良いでしょう。
構成要素を満たしていない経営理念はダメなのか?
構成要素をすべて満たしていない経営理念は、間違ったものかと言えばそうではありません。
会社が小さいうちは、構成要素をすべて満たしていなくても、経営理念が機能する場合があります。自動車は高性能なエンジンを搭載していなくても走れるように、構成要素を満たしていない経営理念が仕事をしてくれることもあります。
そのような経営理念では、会社の発展と共にほころびが出てきて、会社が破綻する場合もあります。
自動車も、街乗りであれば問題がなかったとしても、サーキット場を走るとなると問題が出てくることがあります。自動車をサーキット用に改造するように、経営理念も社長や会社の成長に合わせて構築し直すことで、正しい経営理念に仕上げることができます。
正しい経営理念の内容は進化することもある
経営理念を策定した当時は正しい経営理念であったとしても、社長の考え方や先見力が進化したり、会社が成長して市場から求められることが変化したりした場合に、経営理念にほころびが出てくる場合があります。
そういった場合は、経営理念を正しいものに進化させる必要が出てきます。
企業ビジョンは、わが社の将来の事業内容や事業規模をイメージ化したものです。会社が成長して社長の会社経営に対する自信が高まり、「もっと大きな事業をやりたい」と考えるようになったとします。すると、企業ビジョンの内容が進化します。
例えば、今までは地域でナンバー1を目指していたものが、「この勢いだと、県下ナンバー1を目指すことができる」という具合に進化することがあります。
私は経営理念が前向きに進化させることは、とても良いことだと考えます。そういった場合は、ぜひとも経営理念を進化させていただきたいと思います。
本物の経営理念とは?
当社が定義した本物の経営理念とは、「社長が経営理念を見るたびに、やる気が沸々の出てくる経営理念のこと」です。
会社の勢いは、社長のやる気で決まります。本物の経営理念が立つと、社長がやる気に満ちてきます。やる気と言うよりは、情熱と言った方が良いかもしれません。
本物の経営理念の内容
本物の経営理念の内容は、正しい経営理念で述べたような基準はありません。
本物の経営理念の定義にあるように、経営理念を見て社長のやる気が出てくるかどうかだけです。社長のやる気が出てくるものであれば本物の経営理念ですし、そうでなければまだ練り込みが足りない経営理念なのです。
では、本物の経営理念を作成するためには「何が必要か?」ということですが、練り込みだけです。
社長が経営理念に念じるかのような想いを込めて作成することです。それは、1日や2日で出てくるようなものではなく、何日も何日も考え続け、変更され続けたものです。
本物の経営理念ができると、それを読み返しただけで、感極まって涙の止まらない社長もいらっしゃいます。
その社長の事業活動に取り組む情熱を生み出すものです。
なぜ本物の経営理念が必要なのか?
冒頭で、「社長の勢いが届く範囲までが、会社の成長範囲だ」と述べました。これは、社長の信念や熱意が会社を成長させることを意味しています。
社長は、事業活動を始めたら、その熱意を切らすわけにはいきません。「気分の良いときだけ良い仕事ができる」というレベルでは、事業とは言わず、職人レベルなのです。事業を始めた以上は、お客様に対して、いかなるときもレベルの高い商品やサービスを提供し続けていかなければ、立派な会社にはなりません。
会社を発展させる源泉が、実は社長の熱意なのです。「社長の熱意なくして、立派な会社なし」です。その熱意は信念から生まれます。
社員のやる気は、社員が自ら自家発電をするものではなく、社長の熱意を受けてやる気を引き出します。では、社長は何でもってやる気を引き出すのでしょうか?
それが社長の信念とも言える本物の経営理念からです。
本物の経営理念かどうかを判定する方法
出来上がった本物の経営理念かどうかを判定する方法は簡単です。それは、「経営理念を眺め続けることで、事業活動に取り組む熱意が高まるかどうか」を考えたらよいのです。
自分の納得ができる経営理念が出来上がったときは、熱意が高まっている状態、経営理念の実現を信念として捉えた状態だと思います。
経営理念が出来上がったら、それを1カ月間ほど毎日眺め続けてください。
1カ月後も、その熱意が維持できているのであれば、本物の経営理念です。反対に、熱意が下がってしまったものであれば、まだ練り込みが足りません。
もう一つ、社長のやる気の源泉を詳しく述べたいと思います。
それは、「全社員がこの経営理念通りに仕事ができれば、必ず理想が実現できる」という確信ができるかどうかです。
そういった確信ができる経営理念に練りあがったときに、社長に自信が出てきます。その自信の高まりにより、経営理念が実現できることの確信を持つようになり、熱意を維持することにつながります。
経営理念に確信が持てるかどうかも、本物の経営理念かどうかの判定基準にされると良いと思います。
本物の経営理念が進化することもある
経営理念を作成し、浸透させて事業活動に取り組んでいく中で、会社が成長し、社長に会社経営の自信がついてくることがあります。
先ほど「正しい経営理念が進化することもある」と述べましたが、本物の経営理念も同様に進化させなければいけない場合があります。
社長が目指すものが、日本一に成長したとします。ところが、経営理念には「地域ナンバー1を目指す」と書かれていたら、社長はやる気が失せてしまうことでしょう。そういった場合は、経営理念を進化させて、社長が本気で目指せるものに策定し直す必要があるのです。
この2つが合わさると「機能する経営理念」になる
正しい経営理念と本物の経営理念について述べてきましたが、「このどちらの経営理念を作成したら良いのだろうか?」ということになります。
答えは、すでにお気づきのことと思いますが、理想は「両方を満たすこと」です。それによって、機能する経営理念になります。
機能する経営理念とは?
ここで、機能する経営理念を定義しておきたいと思います。機能する経営理念とは、「浸透させることで理念経営が実現できる経営理念のこと」です。
経営理念を策定する目的は、理念経営をするためです。であるならば、理念経営を浸透させて理念経営に至らないのであれば、経営理念が機能していない可能性があります。
次に、正しい経営理念であり、本物の経営理念であれば、それを正しく浸透させることで、機能することをご説明いたします。
なぜ正しくないと機能しないのか?
理念経営が実現している状態は、「経営理念(企業ビジョン)の実現に向けて、社員が一丸となって経営理念に基づいて事業活動に取り組んでいる状態」です。
経営理念からどのような社会貢献をするのかといった目標が導きだされることが大事だと述べました。そのような公器的な目標が導きだされない場合は、社員な何か別の理念を求めます。そして、全社員に共通する「利益」を代用の理念として置き換えてしまいます。
社長や経営幹部は「理念経営をしている」と思いつつも、現実は利益を目標とした会社になります。正しい経営理念がない会社は、利益追求が第一の弱肉強食の会社になってしまうのです。
また、経営指針や行動指針といった経営判断の仕方や仕事の仕方が明確になっていない会社は、社員の仕事レベルがバラバラです。立派な会社は仕事レベルが高いのですが、その基準がないと、社員は自分勝手な基準を自分で設定して仕事をします。
とある担当者は、お客様のことを思い、考えて仕事ができていても、他の社員は、自分で考える給料の範囲内の仕事しかしなくて、お客様を不快にさせてしまう場合もあります。
やはり、経営理念から自社の仕事の在り方を考え、経営理念に盛り込むことで、機能する経営理念になります。
なぜ本物でないと機能しないのか?
本物の経営理念は、社長のやる気を引き出すものだと述べました。社長な何にやる気になって取り組むのか。それは、経営理念の実現です。経営理念の実現を夢見て、その夢の実現に本気で取り組むのです。
偽物の経営理念を浸透させようとする社長に共通すること
偽物の経営理念を浸透させようとしている社長に、共通する考えがあります。それは、「経営理念は、社員を働かせるために作った」という考えです。
社員を働かせるために作成し、そして自分は高みの見物です。経営理念に書かれた内容は、社長だけ治外法権です。
そのような経営理念を、社員は率先して取り入れようとするでしょうか?
社員からすると、社長だけ治外法権の経営理念は受け入れられるものではありません。社員のやる気はなおさら失っていくことと思います。
社員はもしかしたら、経営理念通りに仕事をしていることで、お給料アップやボーナスなどのインセンティブが得られるので取り入れようとするかもしれません。そのような会社は、お金の切れ目が縁の切れ目で、理念経営が実現しているとは言い難いものがあります。
偽物の経営理念を浸透させるのであれば、「給料のために働け」の方が良い
偽物の経営理念を浸透させようとするよりは、まだ「給料のために働け。働いて成果を出した分だけ還元する」という経営理念を掲げた方が、経営理念に嘘がないし、場合によっては立派な会社になると思います。
なぜなら、お給料を得るためには成果を出さないといけないからです。成果を出すためには、お客様に貢献しなければいけません。お客様に貢献しないで利益を得ようとする会社は、立派な会社になれないどころか、いずれ淘汰されることが世の常です。
もちろん、「給料のために働け」という考えだけでは、会社は大きくなりません。
どちらにしても、社長の「社員を働かせたいためだけ」の施策は、社員の人間性を無茶苦茶にするものです。
社会に貢献し認められる会社をつくりたい社長は、ぜひとも本物の経営理念の作成を目指してください。
経営理念が機能するのかを確かめる方法
作成した経営理念が、正しいもので本物であると思っても、本当に機能するかどうか心配になります。経営理念の浸透の段階に進んだ社長でも、そのことが気になって浸透させることを躊躇する社長もいます。
正しいものができ、どう考えても本物だと言い切れるのであれば、躊躇することなく浸透させてください。もちろん、正しく浸透させることがポイントです。
正しく浸透させた結果、社員の仕事の仕方に間違いが出てくるようであれば、正しい経営理念でない可能性があります。また、社長のやる気が減退してくるようであれば、本物の経営理念でない可能性があります。
もう一つ、機能する経営理念かどうかを確かめる方法があります。それは当社の経営理念コンサルタントに相談することです。当社の経営理念コンサルタントなら、経営理念を見た瞬間に正しいものかどうかを判定いたします。また、社長に的確な質問を繰り出し、本物の経営理念かどうかを判定できます。
経営理念が機能しなかった場合
そういった場合は、経営理念が間違っていたか、浸透方法が間違っていたことを意味します。
経営理念が間違っていたとしたらならば、「経営理念は変えてはいけない」という固定観念を捨てて、躊躇することなく経営理念を変えていってください。
誰しも間違うことはあります。ましてや、経営理念の作成・浸透は社長にとって初めて取り組む重大な事業なので、間違って当然です。間違うことがイヤだとするならば、それはプライドです。プライドを捨て去ったら捨て去っただけ、会社は発展するものと思ってください。
プライドを捨てて、「自分が間違っていた」と認めることで、会社が立派になっていくのです。間違った経営理念をそのまま浸透させ続けて、会社がおかしくなってしまうことよりは、圧倒的にましだと考えます。
機能する経営理念を正しく浸透させる方法
経営理念を作成し、印刷して壁に掛けているだけでは、何も機能しません。次に正しく浸透させることが大事です。
また、「経営理念の浸透だ」と称して、毎朝、経営理念を唱和する会社もあります。「社員が唱和できる」ということを、「経営理念が浸透した」と勘違いしている社長もいます。
経営理念が浸透した状態とは、社員が経営理念に基づいて仕事ができる状態です。経営理念の浸透は、唱和するだけというそのような単純なものではないのです。
経営理念の浸透方法については、話が長くなるので、別の機会に述べたいと思います。
以上、経営理念には「正しい経営理念」と「本物の経営理念」があり、その両方を満たすものを正しく浸透させることができたら、経営理念が機能し、理念経営が実現できることを述べました。
これから経営理念を作成して、立派な会社をつくることを目指したい社長、すでに経営理念が存在するけれども「内容がしっくりこない」と考えている社長は、ぜひともこの記事の内容を何度か読み返して、それを参考にしながら経営理念の策定、もしくは経営理念の変更・進化などを行ってください。
もし、経営理念の策定・変更に行き詰まったり、浸透させることに自信が出てこなかったりした場合には、当社の経営理念コンサルティングをご利用ください。
経営理念コンサルティングでは、月に2~3回、社長と直接もしくはオンラインでミーティングを行い、経営理念の内容を入念に練り直して、正しく本物の経営理念に構築し直し、社長のやる気、情熱が沸々と湧き出してくるような経営理念に仕上げていきます。
もちろん、正しく浸透させることもご支援いたします。
経営理念で悩んだら、お気軽にご相談ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。