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経営における戦略と戦術の違い

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経営における戦略と戦術の違い

企業経営において、「戦略」という言葉をよく使います。

戦略と似た言葉に「戦術」があります。お客様との打ち合わせで、戦略と戦術が間違って使われていることが少なからずあります。

戦略と戦術は、どちらかと言えば戦略の方が上位にあるものだと、多くの方は理解されていることでしょう。その通りです。しかし、戦術のことを戦略として捉えて経営をされている方も少なからずおられます。戦術とすべき方策を戦略として実施していくと問題が発生しかねません。

このコラムでは、言葉の定義はランチェスター経営で有名な竹田陽一先生が説かれている内容を踏襲しつつ、経営における戦略と戦術の意味や関連性についてご説明したいと思います。

戦略や戦術の意味

以前に、竹田先生のビジネスセミナーに参加させていただいたときに、戦略と戦術の説明を受け、感銘を受けました。竹田先生は、戦略や戦術の語源までさかのぼって意味を調べられておられておられ、納得しました。

戦略や戦術は、どちらも「戦い」が入っているので、軍事用語です。

戦略とは、机上で敵軍と自軍の配置や動きを見ながら繰り出される命令のことです。戦術は、実際の戦場にて兵士が武器を持って戦う技のことです。

例えば、宰相が将軍に「我が国が敵国に攻め入る上で、この街道が要衝となる。補給路を守るためにもあの丘を陣取ってもらいたい」と命令をします。現地での具体的な方針は、戦局を見ながら机上で立てていきます。「ここに騎馬隊を配置する」とか「敵軍が突撃してきたら、騎馬隊は援護に回り、鉄砲隊はこちらに撤退する」といった方針が戦略です。

この意味を企業に当てはめると、戦略は方針になります。

そして戦術が、騎馬隊や鉄砲隊などの具体的な戦闘手法になります。手持ちの槍をどのように扱うのか、鉄砲の打ち方はどうなのかといった具合です。

この意味を企業に当てはめると、戦術は行動になります。

簡単に意味を述べるとするならば、戦略は「考え方」、戦術は「やり方」です。やり方にこだわっても、考え方が間違っていたら、正しい結果が得られません。しかし、やり方が多少間違っていたとしても、考え方が正しければ、やり方が修正されていき、正しい結果が得られるようになります。

戦略と戦術を、ホームページ制作を事例に考えてみましょう。ホームページを制作して集客をすることを例としたら、「ホームページを制作する」という行為は戦術になります。集客のための具体的な行動だからです。そして、「ホームページで集客をする」という方針を立てることが戦略になります。集客のためのいくつかの選択肢がある中で、ホームページ制作を選ぶことは、経営者の仕事になります。

一対一の戦いにおいては、戦術に長けた屈強な軍人の方が勝ちます。自軍に屈強な軍人がたくさんいたら、小競り合い程度の小さな戦闘では勝つことでしょう。しかし、大勢の軍人が編成を組んで組織戦で戦う場合は、全体の戦略が間違っていたら、自軍に戦術に長けた屈強な軍人がたくさんいても、戦闘で負けてしまうことがあります。

大群での戦いでは、戦っている一人ひとりの兵士やそれを束ねる指揮官の戦術よりも、戦闘全体を見る将軍や軍師の戦略の方が大事になります。

戦略は相手の動きの読み合いや心理戦でもあります。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言ったのは、軍略のプロフェッショナルである孫子です。墨子や徐庶のように、存亡の危機になる弱小国であっても、優秀な軍師が一人いたら、大群を蹴散らして戦闘に勝つことができる場合もあります。

このことは、企業経営でも同じです。経営における「彼を知る」とは、市場における相手、つまりお客様や競合他社を知ることです。

経営における戦略と戦術の意味

経営における戦略とは、経営計画を達成するための経営方針です。経営計画は、自社が市場競争に打ち勝って成長していく、もしくは生き残りのための目標です。そのために、我社をどういった事業構造に変えていくのか、経営の全体像の方針が経営戦略になります。

戦術とは、方針を実現するための具体的な行動です。例えば、経営戦略で「ホームページを改修して、直接営業との組み合わせで、来年までに売上高を1.5倍に高める」という目標と方針が打ち出されたのであれば、戦術としては「どのようなホームページを制作するのか」「どこの業者に依頼するのか」といった具体策が戦術になります。

新規プロジェクトの場合、戦術の具体策は、プロジェクト計画書によってまとめられます。

当社の支援で、クライアント企業様のWeb集客のプロジェクトを企画したときは、企画書が50ページ以上のものになることが多いです。競合他社の動きを予想しながら、Web集客の戦略を立てていきます。戦術の段階になると、戦略で立てた方針に沿って施策を行っていきます。

経営における戦略と戦術の関連性

経営における戦略と戦術の関連性ですが、上位にあるのは経営戦略です。経営戦略の方針に基づいて行動することが、プロジェクトに関係する全社員に求められます。それぞれの細かな行動は、会社の仕組みやルールといった基本動作に従って行います。

経営戦略の上にあるものが、経営計画です。さらにその上にある概念が、経営理念やミッションなどと言われるものです。

戦術においては、より効率的に作業が行われるようにするために、業務内容の改善が行われていくことと思います。それによって、仕組みやルールを改善していきます。

仕組みやルールといった基本動作に変更点がある場合には、経営戦略で変更が加えられます。それ以外のことは、今まで通りに業務活動を行います。

現場に新しいシステムや機械、方法などが持ち込まれる方針であれば、それに従います。そうでなければ、方針に従って今まで通りの業務活動を行います。

例えば、営業活動をしている人員の戦術は、顧客企業のA社に行ってもB社に行っても、同じような営業活動を行います。もちろん方針によって、A社とB社でフォローの仕方を変える場合があります。例えば、「A社には週に1回訪問する、B社には月に1回しか訪問してはならない」といった具合です。

そのように訪問回数を決める場合、経営戦略で顧客フォローの基準を決めておき、それに基づいて営業担当者が行動をします。実際に訪問したときのセールストークをどのようにするのかは、戦術になります。

以上、経営における戦略と戦術の意味についてまとめました。

戦略と戦術の意味を知っておくと、朝令暮改で変えてもよいところと、変えてはならないところを明確にできるので、説得力にもつながります。戦略が明確になると、判断基準が明確にるので、社員が社長に頼らなくても自分で判断できるようにもなります。

また、年上の方から「しっかり意味の定義を知っているな」ということで、何か提案するときに年上の方に安心感を与えることもあります。

戦略と戦術の意味をしっかり把握しておいてください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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