部下から仕事での悩み相談を受けたときに、部下から信頼を得るための前提や話し方があります。その方法を活用すると、部下の気持ちが晴れ、心を開いて話してくれるようになります。
その方法は、いたって簡単です。この方法のことを知っている人は多いことでしょう。それぐらい基本的なことです。
その基本がしっかりできると、部下の人材育成にもつながります。
その内容は、次の通りです。
これらの中には、習得するのに時間がかかるものもあることでしょう。もし、「できていないものがある」と思われた方は、時間をかけて慣れるようにしていってください。
反対に、「自分はできている」と思われる場合もあることでしょう。しかし、部下から信頼を得られていないのであれば、正しくきていない可能性もあります。
これらの項目について、ご説明いたします。
部下を大切に思っているか?
部下を大切に思っている人は多いことでしょう。「部下を導きたい」、「部下に成長してもらいたい」という気持ちがあれば、部下を大切にしていると言えます。部下を大切にする上司の元で働ける部下は幸せ者です。
本音で「部下が大切だ」と思っているか?
上司によっては、口では「部下が大切だ」と言いつつも、部下の成長に嫉妬してしまう人もいます。自分の地位を脅かされるように感じると、自己保身から部下に攻撃的になってしまうのです。
そのような上司は、会社のためになりません。部下が自分を乗り越えて成長していように考えてこそ、徳のある上司だと言えます。
徳には、中国古典に「知、仁、勇の三者は天下の達徳(たっとく)なり」とあるように、部下を大切に思う仁の心が大事になります。
原理原則に基づいた回答をしているか?
部下の悩みは多岐に渡ります。仕事の内容についての相談もあれば、よほど信頼された上司であれば家庭での相談も受けることがあります。
「智・仁・勇」の、智も大切になります。
上司の勉強すべきことは、仕事の専門性だけでなく、人間学も学ぶ必要があることでしょう。部下を大切にする気持ちがあり、「部下を導きたい」と考えている中で、部下育成のための学習をしている上司は、徳のある人だと言えます。
部下は、上司からにじみ出る徳のオーラを感じ取るものです。徳のある上司だからこそ、部下は「上司は、自分の悩みの答えを持っているのではないだろうか。」と考え相談したくなるものです。
時代は流れ、新技術の知識が必要となることもあるので、いずれ部下に仕事能力で負けていくこともあります。そういったときに、上司として生き残るためには、仕事をしてきた期間の長さを活かせる、人間学とマネジメントで部下を導くことです。
そのためにも、優秀な上司は日々の勉強が欠かせません。
もし、「どのような勉強をしたらいいのかわからない」と思われた方がいらっしゃいましたら、当社にて月1回行っている社長や経営者向けのセミナー「小さな会社の社長のためのセミナー」をご利用ください。
部下の話を傾聴しているか?
傾聴とは、単に話を聞くことではありません。耳を傾けて聴くのです。そこには、自分のことは一切入る余地はありません。
部下が相談を持ち掛けても、自分の話しかしない上司はいませんでしょうか。相談したいことが相談できずに、15分も話続けられたら、部下はうんざりしてしまうことでしょう。そのような状態で、「君の相談は長い」なんて言われた日には、「もう二度と相談するか」と思ってしまいます。これは、私が昔経験したことです。
「耳は二つ、口は一つ」と言われるように、自分が話す分量を1とすると、部下から聞くことを2の分量でちょうどです。
傾聴には作法があります。その作法をいくつかご紹介します。
- 相手に目線を合わせる
- 相手の話すペースやトーンに合わせる
- オウム返しをする
これらの作法を普段の会話で用いている上司は、部下からすると、しっかり聴いていることが伝わり、「相談しやすい上司だ」と思われます。そして、相談されたときにも、この作法を用いるのです。
部下を認めているか?
部下の仕事ぶりを見ていて、なかなか認められない上司は多いものです。上司は部下よりも仕事ができるから上司となったため、部下のアラが見えすぎてしまうことがあるためです。
部下の成長を喜ぶのであれば、できない箇所を指摘することも良いのですが、できている部分を認めてあげ、成長を促してあげたいものです。
部下との悩み相談の中で、自然に承認ができるようになると、部下からすぐさま信頼を得ることができます。承認にもいくつかの作法があります。
- 相手のすばらしい点を発見し褒める
- 相手の価値観を否定せずに受け入れる
- 相手の考えに賛同する
例えば、部下から「会社の成績が悪くて悩んでいる」と相談を持ち掛けられたら、成績を高めたいと考えていることは素晴らしいことですので、褒めてあげることができるはずです。
悩みの本質を聴き出しているか?
部下の悩みは、その内容は表面的で、原因が他の部分にあることが多いです。例えば、会社の成績で悩んでいたとしても、実のところ他のメンバーとの人間関係で悩んでいる場合もあることでしょう。
そういった場合に、悩みん本質を聴き出すことが大切ですが、そのためには「なぜ」の質問を繰り返すことが有効です。トヨタ生産方式では真因の発見のために「5回のなぜ」という手法があるぐらいです。
しかし、「なぜ、なぜ・・・」と単純に繰り返すだけだと、部下は責め立てられているように感じて話しにくくなることでしょう。そこで、先ほど述べた傾聴や承認が大切になります。
部下の悩みの本質が理解できたら、次に理想の状態を聞いてみることで、目標設定につながります。現実と理想のギャップを埋めていくためのプランニングまでできたら、上司としては合格レベルを超えていることでしょう。
部下から信頼される話し方の講座ご案内
ここで述べた内容は、この文章を読んですぐにできるものではなく、練習が大切です。
その講座は、「コーチング基礎講座」という名前で開催しています。先ほど述べた、人への思いやりについて、傾聴、承認、質問の仕方、相手を導くための質問の組み立て方などを、たくさんの練習を通じて学習する講座です。
私は、経営コンサルティング会社を設立する何年も前に、コーチング講座を何度も受講したことがあったのですが、「リーダーと言われる人や会社の経営者は、できる限り早めに覚えておいた方が良い」と思いました。
私自身、クライアント企業様でご支援する中で、社長だけでなく従業員の方々から仕事の相談を受けることがあります。そのときにコーチングの知識を活かして、従業員が自ら悩みの解決策を導きだすようにしています。とある企業様で、社長から「私には相談してくれないようなことを、平野さんには相談するようになっている。部下の育成をお願いする。」と言われることもあります。
コーチング基礎講座でお教えるす技術を習得することで、部下から信頼を得られるだけでなく、部下を成長させられる上司として、多くの人から信頼を得られることでしょう。
この話し方を練習するための講座を定期開催していますので、ご興味のある方は、ぜひお申込みください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。