集客ホームページにかかわらず、ホームページを制作するとき、依頼者側は担当者を選任します。
担当者は、ホームページ制作会社とやり取りをする窓口となる人材です。
中小企業では社長が担当することが多いですが、社長以外で担当者を選任することもあります。
当社では、集客ホームページ制作を請け負っていますが、そこで経験してきたことを交えつつ、集客ホームページを制作するときに、依頼者側の担当者になられる人材として、どういった人が適任者なのかご説明いたします。
適任者を間違うと、集客ホームページを制作しても、間違った方向性で制作されてしまい、結果的に集客のできないホームページ、もしくは思ったような顧客を集客できないホームページになってしまうことがあります。
集客ホームページを制作するときは、正しい人材を抜擢するように心がけてください。
ホームページ担当に抜擢すべき人材/されやすい人材
どういった人材をホームページ担当に抜擢すべきかを解説する前に、「貴社なら、どういった人材を担当にするか?」を、少しお考えいただきたいと思います。どういった人が担当者になるかによって、集客ホームページの成否が決まることが多いからです。
次のリストは、中小企業で集客ホームページの制作をご依頼いただいたときに、どういった人材がホームページ担当者に抜擢されやすいのかを列挙したものです。参考になさってください。
- 社長
- ITに詳しい内勤の人材
- 若手の社長側近
- 営業部門のトップ
- 社長の雑務をこなす何でも屋の人材
- 商品開発の担当者
私の経験上、これらの人材の中から、適任者をご説明いたします。適/不適は、企業ご事情や条件によって異なる場合があることも、ご留意ください。
「社長」と「営業部門のトップ」が適任
人材には可能性があるので、実のところ正解は無いと思いますが、過去にこれらの人材の中で、集客ホームページの担当者をスムーズにできたのは、「1.社長」と「4.営業部門のトップ」だけです。
中小企業においては、実のところ、適任者は社長ただ一人です。
中小企業の社長で、とてもお忙しくて時間が取れない場合は、社長が信頼する営業担当者を、担当者にしても良いです。反対に、中小企業では、営業担当者でない場合や、信頼しない人を担当者にしてはいけません。
【不適】 ITに詳しい内勤の人材
「2. ITに詳しい内勤の人材」は、普段からインターネットを利用して、お店を予約したり買い物をしたりしている人材です。社内にいて、社長からの調べ事などの要望も何でもこなしている人です。
一見すると、集客ホームページの担当者として相応しいように思えるのですが、パソコンの操作やホームページの閲覧方法が得意なだけで、ホームページで集客する方法については、素人であることが多いです。
社長から「集客技術を教えてあげて欲しい」と要望されることもありますが、集客技術はお客様の気持ちを知る必要があるので、内勤の人材にはなかなか身に付くものではありません。ホームページ集客の方法をご指導させていただいた場合でも、なかなか顧客の気持ちが分からないので、打ち合わせの内容についてこられなくなって、いずれ担当者から外されていきます。
【不適】 若手の社長側近
「3.若手の社長側近」は、秘書や総務的な役割の人材です。社長の「若手を育てたい」というご意向で、ホームページ担当者に抜擢されることがあります。
確かに集客ホームページ制作を通じて、経営の学習ができることでしょう。社長からご要望があれば、若手人材にマーケティング理論からお教えすることもあります。
若手の担当者は、若いことがポジティブに働くと、今までにない新しいアイデアを出してくれたり、行動力があったりして、良い集客ホームページを早く制作できることがあります。
若手の社長側近の場合、成功を急ぎ過ぎることや、抜擢されたことで舞い上がってしまい、謙虚さを欠いてしまうことがあり、問題になることもあります。
そういったネガティブな人材の場合は、集客ホームページを制作するときの入念な打ち合わせにて、「自分には知識が足りない」ということが認められずに、怒りが出てしまうこともあります。ホームページ制作会社の担当者は、クライアント企業様のことを知りたいから打ち合わせをしているのにもかかわらず、担当者が「お前らが考えて提案しろ!」と一蹴されてしまうこともあります。
そうなると、集客ホームページ制作に多大な労力と時間がかかるばかりか、競合他社に似たものになってしまって、オリジナリティの低いホームページができ上ってしまうこともあります。
【不適】 社長の雑務をこなす何でも屋の人材
「5. 社長の雑務をこなす何でも屋の人材」は、社長にとっては都合の良い人材です。頭の回転が早く、仕事が緻密にでき、アイデアを持っていることもあるので、実のところ何でもできてしまう天才肌のような人です。
ところがこの人材は、社長から何でもかんでも仕事を押し付けられる傾向があり、忙し過ぎてしまって、ホームページ制作がとん挫することがあります。
集客ホームページ制作は、一般的なホームページ制作とは異なり、入念に企画や設計を立ててから制作をされ、しかも制作時には相当量のコンテンツを制作いたします。担当者には、制作会社側から要望や宿題が出ることもあり、通常業務の忙しさと合わさって、ホームページ制作の対応が滞ることもあります。
「指示さえ出したら、パッとデザインができて、パッと仕上がる」というわけにはいかないのです。
担当者の通常業務が忙しくなってきたら、例えば「ホームページ制作が3ヶ月止まってしまった」ということになります。すると、以前に打ち合わせたことはすっかり記憶から消えてしまい、3ヶ月後にゼロから再スタートすることになってしまうのです。
【不適】 商品開発の責任者
集客ホームページは、商品やサービスを掲載するわけですから、商品を開発した責任者が、集客ホームページ制作の担当者になる場合があります。
商品開発の責任を担っているので、商品のスペックや性質などを熟知しているので、「ホームページ制作では商品の知識を持った人が良いだろう」ということで選任されます。
確かに、商品知識が豊富な人ですと、ホームページの文章を作成していきやすいので、事務スタッフが担当者になるよりは、圧倒的に良い人選です。
商品開発の責任者では、不適任となる場合もあります。それは、商品に対する思い入れが強くて、マーケットに基づいた文章ではなく、自分たちが掲載したい文章をホームページに盛り込もうとすることがあるからです。例えば、商品の技術的なことを入れたり、特徴を入れたりしようとします。
制作会社側としては、「集客ホームページを制作するので、顧客のことを考えた文章を掲載しましょう」とご提案しても、中には独りよがりの文章の掲載を、強く押し通そうとする人もいます。
その他の不適な人材
他にも、稀にですが、「ホームページのことはよくわからないから、ホームページのことを知っている人材を新たに雇おうと思っている」とご相談されたこともありました。
新しく雇った人材が、自社のことを把握できるまでに、優秀な人材であったとしても少なくとも1年はかかるので、それだけ集客ホームページの完成が遅くなってしまいます。新人を担当者にすることは、お止めになった方が良いでしょう。また、ホームページのことを知りたいようでしたら、当社ではお客様にご納得いただけるまで、丁寧にお教えしていますので、ご安心ください。
私のことを「雇いたい」とおっしゃられた社長もいらっしゃいました。仮に私を採用した場合は、集客ホームページが完成して集客の仕組みが出来てしまったら、後はルーチンワークですので、私のお給料がムダに高くつくことでしょう。
中小企業では、なぜ社長が担当者になるべきか?
集客は、会社にとって最重要事項です。であるならば、会社で最も優秀な人材をそこに投入すべきだと考えます。
さて、会社の中で、誰が最も優秀かと言えば、会社の全責任を負った社長ただ一人です。
これだけ、ホームページでの集客が当たり前になった時代ですので、社長は「ホームページのことはわからない」では済まされなくなりました。ホームページのことが分からなければ、制作会社に尋ねたら良いのです。集客ホームページを制作してくれる企業であれば、ホームページのことだけでなく、集客のことも質問ができると思います。
集客に関心があれば、それだけ質問も出てくるものと思います。ホームページ制作会社としても、関心を持ってもらえたら嬉しくなるもので、「社長のために、なんとかお役に立ちたい」と思うものです。
ベテラン営業担当を人選するときの注意点
集客ホームページを制作するときには、商品のことだけでなく、顧客のことを知っている人が担当しなければ、マーケット分析が正しくできません。そこで、ベテラン営業担当が、集客ホームページ担当者に選ばれることもあります。
ベテラン営業担当であれば、集客ホームページ制作でも、力を発揮してくれると思われがちです。しかし、そのベテランであることがマイナスに働くことがあります。そのマイナスとは、次の2点です。
- あまりにも忙しさで、ホームページ制作が後回しになってしまう
- ベテランであるが故に、Web集客コンサルタントに盾突いてしまう
どちらも、あり得ることと思われたでしょう。本当によくあります。1つ目は、集客ホームページがいつまで経っても完成しません。2つ目は、集客ホームページを制作したいのに、素人意見が採用されて「一般的なホームページ」に成り下がってしまう可能性があります。
両方のマイナスが相まって、「どのようなホームページを制作するのか、わが社に提案してもらいたい。そのためのヒアリングは、一切受け付けない。」と意地になってしまわれる場合もあります。
Web集客コンサルタントは、クライアント企業様の業界のことや集客の仕方といった、戦略的なことはよく知っています。しかし、貴社のことや貴社のお客様のこと、それらを取り巻く環境を知りませんので、ホームページに掲載すべき具体的な文章は、ご担当者様から聴き出さなければ、効果的な集客ホームページが制作できないのです。
集客ホームページ制作での成功は、会社の将来の運命を左右するものでもあります。
忙しいベテラン営業担当を、集客ホームページ担当者に選任する場合は、できましたら、社長命令で「集客ホームページ制作を第一優先にせよ。そして、Web集客のことを学びノウハウを習得せよ。」と言っていただきたく存じます。
社長がホームページ担当になった場合の注意点
社長が担当者になったときに、最もしてはいけないことは、「すべて制作会社の言いなりになること」です。制作会社を信頼してくださり、任せ切ってくださることはありがたいことですが、少しでも納得がいかないこと、少しでもわからないことがあれば、制作会社に確認すべきです。
集客に関心のある社長であればあるほど、質問がたくさんしたくなるものですので、制作会社側の担当者(ディレクター)は、教え上手であることが理想です。
社内の根回しも大事
ホームページ制作は、社長と制作会社の間で行われていきますが、社長はホームページが出来上がるまで、社員に何も相談しないことがあります。社員たちからすると「社長がまた何かやり始めた」とか「どうやらホームページを制作してもらっているらしい」ということで、そのような社長に協力的にならないことが多いのです。
もしかしたら、社員の中にもホームページ集客に対して、何か意見を持っている人がいるかもしれません。そういった人材を無視することは、会社にとって宝の持ち腐れになる恐れもあります。社長は、営業担当者を含む、ホームページに関係しそうな人たちへの根回しをしたり、意見を求めたりして、連携を取るようにしてください。
意見を求めた社員たちには、社員に何をやっているのか、どこまで進んでいるのかを、定期的に報告するようにしてください。そういった社員の中で、ホームページ集客に関心を持つ人材が現れてくることがあります。そういった人材は、積極的に集客ホームページ制作にかかわらせるようにして、育成していってください。
集客ホームページ制作にかかわることによって、集客のノウハウが社員にも身に付いていくので、販売部門が育つ可能性があります。
社員にホームページの意見を求めたときの注意点
社員に、ホームページの意見を求めたときの対応ですが、ここにも注意が必要です。
社長から意見を求められても、ホームページ集客の知識がなければ、本当のところ正しい意見は言えないことが実情です。
社長から意見を求められた社員は、社長命令なので何か意見を言わないといけなくなります。知識がなければ正しい意見が言えませんので、間違った意見が上がってくることもあります。その意見がもっともらしい意見の場合、社長は社員の言うことを聞くべきなのか、制作会社の意見を聞くべきなのか、迷ってしまうことがあります。
社員の意見を採用しないと、社員の人心が離れていってしまう可能性があります。かといって、社員の意見を採用したら、ホームページ集客のベテランの意見を反故することになるので、集客力が下がってしまう可能性もあります。これは本当に迷われることです。
そういったときは、会社の経営理念や目指すべき方向に沿った意見はどちらなのか。また、集客ホームページ制作は、社員の人心のためにあるのではなく、お客様を獲得するためにあるという大義を考えて、選択してください。
どうしても社長が担当者になれない場合
社長が集客ホームページの担当者になることが、最も理想的なのですが、お仕事が忙しすぎてどうしても担当者になれない場合があります。そのときは、次の条件にすべて合致する人を担当者にしても良いです。
- 信頼ができる人
- お客様対応に慣れていて、お客様から人気のある人
- 普段から社長と会話ができている人
- 報告にウソをついたりごまかしたりしない人
これらすべてに合致する人材の中でも、特に営業で実績を上げて役職に就いた方が理想です。
担当者が決まったら、その人材にホームページの方針と目標、定期的な報告の方針を伝えておきます。
ホームページ制作を社員に任せた場合の注意点
社長以外の人材が集客ホームページ制作の担当者に抜擢したときに、社長と担当者それぞれの立場において注意すべきことがあります。
社長は担当者の「出来上がったら報告する」にご注意
担当者にホームページ制作を任せてしまったときに、注意点があります。それは、出来上がったホームページが、社長が納得いかないものになっている可能性があることです。
集客ホームページを制作するときは、担当者と制作会社がデザインや文章だけでなく、マーケティングという会社経営の根幹の部分にも踏み込んで打ち合わせをします。制作会社は、クライアント企業のマーケティング分析をしなければ、ホームページ集客に失敗する恐れがあるからです。
その担当者が、社長とは異なったマーケティングを想定していたとしたら、どうでしょうか?
言わずと知れたことに、出来上がったホームページは、社長の考えとずれたものになっているはずです。
社長は、担当者に任せるときには、「どのようなターゲット層を集客したいのか」という目的と、「どれくらい集客したいのか」という目標を与えてください。そして、できればターゲット層の想定やデザイン案を検討する打ち合わせは、社長が参加してください。
打ち合わせに参加できない場合は、担当者に報告を欠かさないように促してください。
担当者は社長のちゃぶ台返しにご注意
担当者側にも注意点があります。それは、社長によるちゃぶ台返しです。ちゃぶ台返しとは、ホームページが完成の段階になって、「最初からやり直し!」と指示が出されることです。
担当者も制作会社も青ざめてしまう瞬間です。
集客ホームページを企画・設計する前に、入念にマーケティング分析を行います。それに基づいて制作し、最終段階で社長がチェックしたとしましょう。
その社長は、今までの企画や設計での事情は知らないので、出来上がったホームページを表面的に捉えてしまうことがあります。
入念に設計されたホームページができて、公開さえすればターゲット層が集客できるようになるのにもかかわらず、社長に上申したときに、「デザインが気に入らない」ということで、ちゃぶ台返しされる可能性があるのです。
担当者は、社長に対して、段階的に決定事項の報告を心がけてください。報告のタイミングとは、次の通りです。
- ターゲット層が決定したとき
- 自社の強みが分かったとき
- 競合他社の分析結果
- 集客ホームページの設計書ができたとき(報告会議を開く)
- ホームページのデザイン案ができたとき(HTMLコーディング開始前)
- ホームページの公開前
以上、集客ホームページ制作の担当者の適任者の選び方と、社長以外の人が担当者になった場合の注意点について述べました。
結論としては、中小企業で集客ホームページを制作する場合は、社長が担当者になることをおすすめします。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。