集客ホームページとは、読んで字のごとく集客ができるホームページのことです。
集客ホームページと普通のホームページの違いを知りたい方は、「集客ホームページと普通のホームページの違い」をご参照ください。
集客ホームページ制作の流れは、普通のホームページ制作とは異なり、入念な準備と複雑な設計・制作を要します。制作時間は、その分だけ多くかかります。
このコラムでは、集客ホームページがどのように制作されていくのか、その流れを大きく3つのフェーズに分けてご紹介いたします。
集客ホームページを制作して、新規顧客獲得を目指したい企業様。ホームページで集客できる手法を獲得したい、ホームページ制作会社様のご参考になれば幸いです。
当社では、集客ホームページ制作の請負だけでなく、ホームページ制作会社様に集客ホームページの制作の仕方のご指導も行っています。ご興味のある企業様は、ぜひご利用ください。
企業分析
最初のフェーズは、企業分析です。クライアント企業様のことや、そのお客様のこと、競合他社のことを知って、「百戦危うからず」です。
1.経営計画の確認
企業が集客ホームページを制作する理由は、集客のためです。集客をする理由は、社会的な使命を果たすことですが、具体的にはそれを数値化した経営目標の実現です。
集客ホームページを制作することは、多くの企業にとって、目標の実現に有力な手法であることは間違いありません。
しかし、目標を実現する方法は、他にもあるはずです。
別の集客方法がないか考える
そこで、集客ホームページについて考える前に、経営計画で立てた目標や方針を確認し、内容に誤りがないか、別の方法でも目標を実現できないかなどを検討します。
例えば、地域密着ビジネスであれば、集客ホームページとチラシの配布の連動が有効な場合もあります。集客ホームページにのみ頼るのではなく、トータルで集客できた方が、リスク分散にもなります。
経営理念に基づいて経営目標を立てる
経営目標は、経営計画に基づいて立てられたものです。経営計画は、経営理念の実現のための計画です。集客ホームページ制作は、経営理念や経営計画に基づいて企画されるべきものであることは、述べるまでもありません。
仮に経営理念や経営計画を作成していない会社であったとしても問題ございません。会社の経営計画は、社長の発想の中にあるはずです。それを明文化し、集客ホームページの目標を立てることができます。
当社は経営コンサルティング会社ですので、経営計画を立てることも得意としています。社長のご要望にもよりますが、集客ホームページを企画する前に、社長その面談で計画の概略を立てることもご支援しています。
2.ターゲット層の想定とペルソナ分析
ターゲット層の想定では、集客ホームページでどういった顧客を集客したいのかを考えるだけでなく、集客ホームページに限らず「どういった顧客に何を売りたいか」を想定します。
企業では、起業したばかりでなければ、すでに顧客が存在しているはずです。ターゲット層が、既存顧客の場合もありますし、別の新規顧客を獲得したい場合もあります。集客ホームページ制作とは別の方法でも、集客ができるかもしれませんので、それも検討すべきです。
社長の経営計画に基づいてターゲット層を想定し、ターゲット層が明確でない場合は、それを明確化します。
ターゲット層が想定できれば、ターゲット層のペルソナ分析を行います。具体的には、次のことを分析します。
- ターゲット層はどのような企業や人か?
- 何に困っているのか?
- 商品やサービスの購入で求めている価値や機能は何か?
- 商品やサービスをネット検索で探すときの検索キーワードは何か?
ここで、ターゲット層が求める価値には、商品やサービスそのものが持っている価値だけでなく、商品やサービスの販売方法や提供方法、アフターサービスなどの付属価値を求めている場合もあります。
付加価値と付属価値を合わせた、全体的な価値を分析してください。
3.検索キーワード分析
ペルソナ分析で想定される検索キーワードが、どれほどの検索ニーズがあるかを分析します。また、想定される検索キーワードから、連想される複合キーワードや、言い回しの検索キーワードを調べ上げます。
とにかくたくさんの検索キーワードをリスト化する
検索キーワードをExcelなどの表計算ソフトにリスト化し、月間検索回数(月間検索ボリューム)や自社ホームページの検索順位も調べます。当社では、多い場合には1,000種類以上の検索キーワードを分析することもあります。
どれだけ検索キーワードをピックアップできるかが、集客ホームページ制作の成否に関係します。
競合他社名が含まれた検索キーワードまでリスト化する必要はありませんが、よく検索されている検索キーワードを多く発見できたら、集客ホームページの設計だけでなく、コンテンツマーケティングでも競合他社と比べて有利になります。
検索キーワードの分析とSEO対策キーワードの選定
リスト化された検索キーワードの中から、SEO対策すべき検索キーワードをピックアップします。その基準は、次の条件に合致するキーワードです。
- 集客に結びつけられる検索キーワードか?
- 月間検索回数が多いか?
集客に結びつけられる検索キーワードでSEO対策しなければ、SEO対策の費用対効果が悪くなります。集客に結びつけられそうな検索キーワードかどうかは、検索キーワード毎に検索者インサイトを分析します。検索者インサイトとは、検索した人の気持ちのことです。
月間検索回数がある程度多くないと、これも費用対効果に影響します。それらを考慮してSEO対策をする検索キーワードを選びます。
SEO対策する検索キーワードは、複数種類選ばれることが一般的です。
4.競合ホームページ分析
SEO対策したい検索キーワードが決まったら、それらの検索キーワードで実際にネット検索し、上位ヒットしてくる競合ホームページを分析します。
集客ホームページの良さは、もちろん集客ができることが目的になりますが、目的達成のためには競合ホームページと競争して勝つ必要があります。
競合ホームページとは?
ここで、競合ホームページとは、SEO対策キーワードで実際にネット検索したときに上位ヒットしてくるホームページのことです。普段から気にかけている競合他社のホームページのことではありません。
集客ホームページは、基本的にネット検索経由での集客、つまりSEM(Search Engine Marketing)によって集客するので、上位ヒットしてこないホームページは、あまり相手にしません。
競合ホームページの分析内容
分析内容は次の通りです。
- SEO対策の強度はどの程度か?
- 商品やサービスの付加価値は何か?
- ホームページの動線設計はどうか?
SEO対策の強度ですが、競合ホームページにSEO対策で勝てそうかどうかの判断をします。ここは、ホームページ制作会社の技量が問われるところの一つです。SEO対策で勝てそうであれば、その検索キーワードでSEO対策を行う決定をします。
当社の集客ホームページ制作で行っているSEO対策は、かなり強力なものですので、ご安心ください。
商品やサービスの付加価値の分析では、自社商品と比べて魅力的かどうかを判断します。自社商品の魅力が勝っていることが、検索者が自社商品を選ぶ条件になります。
攻略対象となる競合ホームページは、主要なページを全ページ確認します。ホームページの動線設計では、まずホームページの見やすさ、お問い合わせなどのコンバージョンに至るまでの流れや、お問い合わせのしやすさをチェックします。
競合ホームページがランディングページを制作している場合
上位ヒットしてくる競合ホームページがランディングページを制作しているは、要注意です。
その競合他社がWeb集客に力を入れている可能性が高いですし、競合商品やサービスの魅力が伝わりやすいので、自社商品を選んでもらえなくなる可能性があるからです。
ランディングページを分析し、ランディングページのSEO対策の強度を確認し、自社にて真似できる箇所がないかを検討します。
ランディングページのSEO対策が弱ければ、試しに制作してみただけだと判断できますが、入念にSEO対策していたら、確実にWeb集客に力を入れているはずです。
Web集客に力をいれているのであれば、競合他社のランディングページの中で、真似できるところは、出来る限り真似することが得策です。
5.商品分析
商品分析では、自社商品と競合ホームページで掲載されている商品の価値を比較します。
自社商品が次の条件に合致する場合は、商品の改善を行います。
- ターゲット層が求めている価値や機能を、自社商品が持ち合わせていない場合
- 競合他社の商品の方が高付加価値の場合
ターゲット層が求めている価値や機能を、自社商品が持ち合わせていない場合は、自社商品が売れる見込みはありません。ターゲット層が求める価値や機能を追加してください。
競合他社の商品の方が高付加価値の場合、自社商品の価値が低い場合は、商品の改善が求められます。しかし、ターゲット層へのPRの仕方を工夫することで、自社商品の方が高付加価値に見える場合は、商品の改善をしなくても良いです。
6.商品ラインナップの明確化
商品にラインナップがある場合は、すべての商品を明確化します。
既存商品のカスタマイズやオーダーメイド商品の場合は、どのような事例があるのか、事例に共通点があるのかなどを分析し、体系化します。
このステップは、サイト構造を決めたり、さらに検索キーワードを発見したりするために、とても大事な作業になります。
集客ホームページの設計・制作
次のフェーズは、集客ホームページの設計・制作です。集客ホームページを企画・設計し、ホームページに掲載する文章の一字一句まで作成していきます。
7.集客ホームページ企画・設計
集客ホームページ企画は、これまでの内容を企画としてまとめたものです。集客ホームページ設計は、集客ホームページ企画を実現するための設計です。
集客ホームページ設計では、主に次の設計を行います。
- サイト構造
- 各ページの構成
- WordPress使用の有無
- ランディングページ制作の有無
- コンテンツページのタイトル案
- サイトデザインのラフ案
ここに至るための期間は、打ち合わせ回数にもよりますが、早くて2ヶ月、場合によっては半年以上かかります。
この段階で、ホームページのデザインの方向性も決めます。過去の事例などから、色味の参考になるホームページと、サイト構造の参考になるホームページを探し、トップマネジメントとのコンセンサスに利用します。
8.文章作成
各ページの構成に基づいて、全ページの文章を、一字一句作成します。この作業が最も時間のかかる作業になります。
トップページのメイン画像に入るキャッチコピーから、会社概要ページの社長のごあいさつ文まで作成します。商品詳細ページでは、商品の紹介文やスペック、購入の条件などの文章を作成します。商品詳細ページをランディングページにする場合は、さらなる文章作成が必要となります。
当社の集客ホームページ制作では、文章作成はお客様ではなく当社にて行っています。当社で文章を作成するためには情報が必要です。お客様には、文章作成のヒアリング、出来上がった文章の読み合わせや校正などをしていただきます。
ページ数が多くなったり、ランディングページを制作したりする場合は、打ち合わせ回数も多くなり、お客様にはご負担をかけてしまいます。文章作成は時間のかかる作業ですが、SEO対策の強度や集客に大きく関わる部分ですので、お客様にはご理解いただいております。
あまりにも制作するページ数が多い場合は、集客ホームページの公開まで時間がかかりすぎてしまいます。そこで、主要なページのみの文章を作成しておき、文章が完成してから順次下層ページを構築していく方法と取られる企業様が多いです。
文章作成のときに、どのような写真や画像が必要なのかを、まとめておきます。ここで、素材集の写真を使用する場合は、あらかじめ準備できるものは準備しておくと良いでしょう。画像の作成はホームページデザインのときについでに作成してもらうので、手書きでも良いのでラフ案を作成しておきます。
9.写真撮影
ホームページに掲載する文章が決まったら、写真撮影に入ります。
商品の写真は、iPhoneを利用すると、誰が撮影してもきれいに撮影できるようになりました。自社で撮影される場合は、出来る限り、明るい場所で撮影することを心がけてください。
集客ホームページに掲載する社長の顔写真は、証明写真は使用しないようにお願いします。かっこいい写真をご用意ください。
また、料理の写真は、写真の美しさで売れ行きが左右されるので、プロに撮影してもらった方が良いです。ホームページに掲載する写真を、チラシやポスターに流用したい場合も、プロにご依頼ください。
10.ホームページデザイン
ホームページの文章、画像のラフ案、写真が準備できたところで、ホームページのデザインに入ります。
当社では、ホームページのデザインは、Webデザイナーに依頼しています。自社でもある程度のデザインはできますが、デザイナー特有の感性が活きたデザインの方が、全体の見栄えが良くなります。
Webデザイナーに依頼するときは、色味の参考になるホームページと見てもらい、完成をイメージしてもらいます。
市販のデザインテンプレートやWordPressテーマを用いる場合は、デザイナーに依頼しなくてもホームページを制作できる場合があります。その場合は、デザイン代のコスト削減ができます。
デザインの良し悪しは、人の感性に左右されます。クライアント企業様によっては、デザインが気に入らないので、変更を何度も何度も繰り返される方がいらっしゃいます。お客様のご希望に沿えるホームページに仕上げたいと考えますが、細かなデザインの修正で、集客力が高まるわけではないことを、ご理解ください。
集客ホームページ制作では、デザインの細かな変更よりも、その予算と時間を、集客につながるものに振り向けることをおすすめします。
11.WordPressテーマ作成
デザインが完成したら、それをホームページの画像パーツに分解します。その画像パーツを用いて、SEO対策に強いWordPressテーマを作成します。
既存のWordPressテーマを使用する場合は、WordPressテーマに対してSEO対策をします。既存のWordPressテーマのSEO対策は、次のことを行います。
- HTMLの修正
- 表示速度の改善
12.WordPress構築
WordPressをインストールし、出来上がったWordPressテーマを適用します。一つずつ動作を確認しつつ、WordPressテーマの微修正を行います。次に、必要なプラグインのインストールや設定を行います。
ホームページの設計によっては、カスタム投稿やカスタムフィールドの設定、特殊なプラグインのインストール・設定などを行います。
設定が終わったら、固定ページや投稿などを追加し、各ページを作成します。
完成したら、アクセス解析ツールをインストールして公開します。
古いホームページを新しく刷新する場合は、WordPress構築を別のテストサーバで行い、完成してから、古いホームページと入れ替えます。
集客ホームページ公開後の施策
集客ホームページは、公開されたら作業が終わりではありません。公開されてから集客ができるようになるためには、SEO対策で成功しなければなりません。そのために、Googleに認識してもらったり、ページを追加したり、SEO改善を行ったりします。
13.サーチコンソールの設定
ホームページを公開したら、Googleサーチコンソールの設定を行います。Bingは、ウェブマスターツールです。それらに対して、次の設定を行います。
- URLの登録
- XMLサイトマップの登録
XMLサイトマップとは、XML形式で作成されたサイトマップのことです。WordPressではSEOプラグインを導入して設定すると、XMLサイトマップが自動的に作成されるのが多いので便利です。私がよく利用している「All In One SEO」もXMLサイトマップが自動的に作成される機能を搭載しています。
XMLサイトマップをGoogleサーチコンソールやBingウェブマスターツールに登録できたら、それぞれの検索エンジンが新しいホームページを認識してくれるので、順位が少しずつ上昇していきます。
14.コンテンツページ追加
ホームページが公開されたら、頻繁にコンテンツページを追加していって、ロングテールSEOを行います。
どのようなコンテンツページを制作していくのかの方向性は、集客ホームページ設計にて行っています。当社では、そのときにコンテンツページのタイトル案を30種類ほど作成しているので、そのタイトルに合ったコンテンツページを作成します。
コンテンツページは、どのような原稿でも良いわけではなく、ロングテールSEOやある程度の集客を意識したものが良いです。
作成方法は、次の2種類です。
- クライアント企業様にて原稿を作成し、当社にてSEO修正をする
- 当社担当者のヒアリングでSEO原稿を作成し、クライアント企業様に添削していただく
書きはじめから投稿まで、1記事を作成するのに要する時間は、早くて5時間です。時間をかけただけ良い記事ができるので、検索エンジンの評価も高まります。
ともあれ、まとまった時間が必要ですので、お忙しいお客様は後者の方法で原稿を作成されます。
ここで、「AIを使って原稿を作成できないのか?」と聞かれることがございますが、当社ではAIを使用しての原稿作成は、お断りしています。それは、検索エンジンがAIを使用して作成した原稿を上位ヒットさせないように仕組まれていく可能性が高いからです。
ページ数が目標よりも多くなり、SEO対策が効いて様々な検索キーワードで上位ヒットし始めたら、アクセス解析やSEO改善を行います。
今までの経験上、集客ホームページが公開され、コンテンツページを追加し続けていたら、2~3ヶ月後には、集客の効果が見え始めます。
以上、集客ホームページがどのように制作されていくのか、その流れをご紹介いたしました。
もちろん、お客様のご都合などによって、この流れの通りにならないことがありますし、部分的にご支援することもあります。
これらの手順の中には、経営計画、顧客分析、ホームページ設計、文章作成、コーディング、WordPress構築など、さまざまな作業がありました。集客ホームページ制作では、これらの異なる技術が組み合わさって完成していくことを、ご理解いただけたことと思います。
どの技術が欠けても、集客ホームページが完成しませんので、当社では日々の研鑽に努めています。
当社は、集客ホームページ制作の請負だけでなく、ホームページ制作会社様に集客ホームページの制作の仕方のご指導も行っています。ご興味のある企業様は、ぜひご利用ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。