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FMEA作成手順を徹底解説

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FMEA作成手順

FMEA作成手順

工業製品におけるFMEAには設計FMEA工程FMEAがあります。

この2つが、FMEAの2本柱です。

設計FMEAや工程FMEAの作成順序は、次のように12~13のステップを踏みます。

  1. 事前準備
  2. 故障モードのリストアップ
  3. 故障の潜在的影響の検討
  4. 起こりうるトラブルの厳しさ(S;Severity)の評価
  5. 潜在的原因/故障のメカニズムの検討
  6. トラブルの発生率(O;Occurrence)の評価
  7. 現行の予防管理レベルと検出管理レベルの検討
  8. 故障モードの事前の検出度(D;Detection)の評価
  9. リスクの優先指数の算出と優先順位付け
  10. 推奨処置
  11. 責任者と完了予定日の決定
  12. 処置の実施と評価
  13. 工程FMEAのフォローアップ(工程FMEAのみ)

一般には、先に設計FMEAを作成します。設計段階では、トラブルが出ないように設計をしているため、顧客要求事項や特殊事項などを合わせた申し送り事があるはずです。その指摘を配慮して、工程FMEAを作成します。

設計FWEA、及び工程FMEAを作成するときには、評価スコアや所要事項を記入できる専用のフォーマットを作成し、それぞれを使用します。

設計FMEAと工程FMEAで、若干内容が異なります。それぞれの作成手順を説明いたします。

設計FMEA作成手順

(1) 事前準備

故障モードのリストアップでは、「機能系統図(目的・手段)」、「ブロックダイアグラム(部品間の相関関係を示す)」をツールとして活用します。それらの資料を事前に準備しておきます。

(2) 故障モードのリストアップ

製品機能の故障、部品レベルでの故障、過去の不具合事例や苦情などを参考にし、それらすべてをリストアップします。

故障モードのリストアップ例

製品の変形、緩み、漏れ、噛み込み、錆、不適切な信号、信号の断絶、電圧変動

(3) 故障の潜在的影響の検討

リストアップされた故障モードから、顧客や使用者が気づく影響や安全の問題、法規制の逸脱を検討します。

故障の潜在的影響の例

製品の騒音、粗雑、誤作動、断続動作、不安定、臭い、漏れ、外観不良、環境への影響

(4) 起こりうるトラブルの厳しさ(S;Severity)の評価

リストアップされた故障モードを、ランク付けを行います。その評価で、製品の安全性に対する問題や、法規制の逸脱がないかを確認します。

通常、1つの故障モードに対して複数の故障影響がありますが、そのように影響の範囲が大きいものに、最も高い影響のランクを付けます。

付けられたランクが、9や10といった高いランクの場合は、工程FMEAチーム等への注意喚起のための「影響のクラス分け」を行いつつ、設計変更によってランクを下げるかどうかを検討します。

(5) 潜在的原因/故障のメカニズムの検討

1つの故障モードに対して、すべての故障の原因及びメカニズムを検討し、シートに列記します。

(6) トラブルの発生率(O;Occurrence)の評価

潜在的原因や故障のメカニズムが起こり得る可能性を評価します。この評価もランク付けを行います。ランク付けでは、メカニズムが起こりやすいものに高いランクを付けます。

設計変更を通して、原因やメカニズムを予防・管理することによってのみ、トラブル発生率のランクを下げることが可能です。

(7) 現行の設計での予防管理レベルと検出管理レベルの検討

現行の予防管理レベルの検討では、故障の原因メカニズムや引き起こされる故障モードを予防し、それらの発生率を減らします。

現行の検出管理レベルの検討では、生産に引き渡す前に、分析的・物理的手法によって故障の原因/メカニズムや故障モードを検出します。

トラブルの発生率(O;Occurrence)のランクは、「現行の予防管理レベル」、「現行の検出管理レベル」を考慮して見直します。

(8) 故障モードの事前の検出度(D;Detection)の評価

「現行の予防管理レベル」と「現行の検出管理レベル」から故障モードを検出できるランク付けを行います。検出しにくいものを高ランクに設定します。

このトラブル検出度のランクを下げることは、予定された設計管理を改善することによって達成可能です。

(9) 起こりうるリスクの優先指数の算出と優先順位付け

起こりうるリスクの優先指数(RPN:Risk Priority Number)を算出し、優先順位を付けます。優先順位の高いものが、「重要度が高い」と言えます。リスクの優先指数は、次の計算式で算出します。

RPN=(S)×(O)×(D)

RPNの値が高いと、設計技術、管理技術に弱点があると判断できます。

(10) 推奨処置

ランクを下げる推奨処置として、設計変更や特別管理、規格・規定等の変更等を行います。設計変更を考慮した予防・是正処置が必要となります。

起こりうるトラブルの厳しさ(S)が、10あるいは9であれば、たとえRPNが低くても、設計変更を考慮した予防・是正処置が必要と判断されます。

RPNが高い場合には、厳しさ(S)、発生率(O)、検出度(D)を減らすための推奨処置を考えます。

推奨処置が必要ない場合は、専用フォーマットに「なし」と記入します。

(11) 責任者と完了予定日の決定

推奨処置の実施責任者の個人名と完了の予定日記入します。実施責任者としては、設計部門を代表する人が望ましいです。予定日は、トップマネジメントや実施責任者と協議をして決めます。

(12) 処置の実施と評価

推奨処置が実施された後、実際の処置内容及び、実行日を専用フォーマットに記入します。

処置後のS/O/D再評価、及びRPNの見直しを行います。推奨処置に「なし」と記入されている場合は、フォーマットに記入の必要はありません。

追加の処置が必要なら、「推奨処置」以降を繰り返し行います。常に継続的改善に焦点をあてるように心がけてください。

工程FMEA作成手順

(1) 事前準備

故障モードのリストアップでは、QC工程表を活用します。これ事前に準備しておきます。

(2) 故障モードのリストアップ

工程への要求事項/設計の意図に対する故障、不適合、次工程で引き起こされるであろう故障の原因など、すべての故障モードをリストアップします。

故障モードのリストアップ例

製品の曲がり、亀裂、穴位置づれ、浅い穴、穴なし、取り扱い損傷、汚れ

(3) 故障の潜在的影響の検討

工程FMEAでは、顧客(使用者)が気づく影響や安全/法規制の逸脱に加え、次工程(生産~物流)が気づく影響も検討します。

故障の潜在的影響の例

製品の騒音、粗雑、誤作動、断続動作、不安定、臭い、漏れ、外観不良、環境への影響、ネジ留め不可、勘合不可、接続不可、搭載不可、装置に損傷を加える、作業者を危険にさらす

(4) 起こりうるトラブルの厳しさ(S;Severity)の評価

リストアップされた故障モードを、ランク付けを行います。その評価で、製品の安全性に対する問題や、法規制の逸脱がないかを確認します。

通常、1つの故障モードに対して複数の故障影響がありますが、そのように影響の範囲が大きいものに、最も高い影響のランクを付けます。

ランクが高い場合には、設計変更またはプロセスの再設計によって、ランクを下げるかどうかを検討します。

(5) 潜在的原因/故障のメカニズムの検討

1つの故障モードに対して、すべての故障の原因及びメカニズムを検討し、シートに列記します。

(6) トラブルの発生率(O;Occurrence)の評価

トラブルの発生率の評価では、潜在的原因や故障のメカニズムが起こり得る可能性を評価します。この評価もランク付けを行い、メカニズムが起こりやすいものに高いランクを付けます。

設計変更と工程変更を通して、原因やメカニズムを予防・管理することによってのみ、トラブル発生率のランクを下げることが可能です。

(7) 現行の工程での予防管理レベルと検出管理レベルの検討

故障モードの原因・メカニズムの発生を予防する管理、それらが発生した時の検出方法を検討します。

ポカヨケ、管理図、事前の工程を評価します。

故障の原因・メカニズムや、引き起こされる故障モードを予防し、それらの発生率を減らします。

故障の原因・メカニズムや引き起こされる故障モードを検出し、是正処置を行います。

トラブル発生率のランクは、「現行の予防管理レベル」を考慮して見直します。

(8) 故障モードの事前の検出度(D;Detection)の評価

「現行の予防管理レベル」と「現行の検出管理レベル」から故障モードを検出できるランク付けを行います。検出しにくいものを高ランクに設定します。

このトラブル検出度のランクを下げることは、予定された工程管理を改善することによって達成可能です。

(9) リスクの優先指数の算出と優先順位付け

起こりうるリスクの優先指数(RPN:Risk Priority Number)を算出し、優先順位を付けます。優先順位の高いものが、「重要度が高い」と言えます。リスクの優先指数は、次の計算式で算出します。

RPN=(S)×(O)×(D)

RPNの値が高いと、工程設計、工程管理に弱点があると判断できます。

(10) 推奨処置

ランクを下げる推奨処置として、設計変更や工程変更、特別管理、規格・規定等の変更等を行います。工程あるいは設計変更を考慮した予防・是正処置が必要となります。

起こりうるトラブルの厳しさ(S)が、10あるいは9であれば、たとえRPNが低くても、設計変更を考慮した予防・是正処置が必要と判断されます。

RPNが高い場合には、厳しさ(S)、発生率(O)、検出度(D)を減らすための推奨処置を考えます。

推奨処置が必要ない場合は、専用フォーマットに「なし」と記入します。

(11) 責任者と完了予定日の決定

推奨処置の実施責任者の個人名と完了の予定日記入します。実施責任者としては、設計部門を代表する人が望ましいです。予定日は、トップマネジメントや実施責任者と協議をして決めます。

(12) 処置の実施と評価

推奨処置が実施された後、実際の処置内容及び、実行日を専用フォーマットに記入します。

処置後のS/O/D再評価、及びRPNの見直しを行います。推奨処置に「なし」と記入されている場合は、フォーマットに記入の必要はありません。

追加の処置が必要なら、「推奨処置」以降を繰り返し行います。常に継続的改善に焦点をあてるように心がけてください。

(13) 工程FMEAのフォローアップ

工程設計責任者により、工程FMEAのフォローアップが行われます。フォローアップでは、次のことを重点的に確認します。

  • すべての推奨処置が実施され、適切に記載されている。
  • 量産開始後を含めて、常に最新の技術水準を反映するように、工程FMEAを改訂し続ける。
  • 下記が実施されたことを、関係各所に問い合わせ、確認してまとめる。
    • 工程設計事項の達成。
    • 技術図面・仕様書・工程フローの確認
    • 組み立て・製造文書に反映
    • QC工程表(コントロールプラン)及び作業指示書の確認。

以上が、設計FMEAと工程FMEAの作成手順です。ぞれぞれの手順の詳細は若干異なるので、比較してみてください。

FMEAを知ったばかりの人にとっては、最初はなかなか馴染みにくいかとは思いますが、おおよそはご理解いただけたと思います。また経験した人にとっても、新たな気づきが得られたのであれば、誠に幸甚です。

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村上豊

製造業改善コンサルタント
村上 豊 Murakami Yutaka

製造技術をベースに、製造業や物流倉庫の生産性を高め会社に利益を出しつつ、現場のリーダーを育成するコンサルタントです。チームコンサルティングIngIngでは、世界中の管理技術や会社経営の手法を参考にしながら、オリジナル理論の構築を担当しています。

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