社長の夢実現への道

短期経営計画の作成方法をわかりやすく解説

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短期経営計画の作成方法をわかりやすく解説

会社経営をしていて、個人経営に近い場合は、直感的に売上がどうなりそうか予想ができます。

組織経営をしていると、そのような直感経営はあり得ないことと思いますが、社長は先見力が大事ですので、直観が働くことはとても大事です。

会社の注文件数が増えてきて、社長やご夫婦だけでは事業が成り立たない場合は、身内や知り合いを雇って組織経営をし始めます。その後に、一般採用が始まります。

そのような組織経営をし始めたら、社員にお給料を出さないわけにはいきませんので、管理会計を少しずつ導入していくことになります。

管理会計をしていく中で、「来期の目標をどうしようか?」と考え、きちんとした計画を作成しようとしたときに、最初に導入するものは短期経営計画になります。

このコラムをしっかり読んでいただいても短期経営計画が作成できるようにならないと思いますが、初めて短期経営計画を作成しようと考えた社長が、アレルギーが出ないように、解りやすく解説したいと思います。

ベテランのコンサルタントの先生からすれば、以下の解説は間違っているものだと思われるかもしれませんし、物足りないと思われるかもしれません。浅学非才を省みずに、私自身の考えることを述べたいと思います。

実際に短期経営計画を作成することになりましたら、当社のコンサルティング支援をご利用ください。

経営計画とは?

経営計画とは、社長が会社をどのようにしたいのかを明文化した計画のことです。経営計画は、予算と方針で構成されます。

予実管理

予算とは、予定となる金額のことです。1年後の売上目標が、例えば10億円という金額であれば、経営計画の中ではその10億円のことを売上予算といいます。将来に得たい利益も、計画の中では利益予算と言われます。予算は、経費だけのことではありません。

予算を立て、方針を示したら、その方針に従って事業活動を行います。そして、予算と実績と比較します。予算と実績を比較する管理のことを予算実績管理、略して予実管理といいます。

予実管理によって、社長や経営陣が示した方針が正しいものであったのか、誤っていたのかを判断することができます。方針が間違っていたと感じたら、予算はそのままに方針を変えていくことが大事です。

方針の出し方や変え方にはコツがありますが、それについては、別の機会に述べたいと思います。

短期経営計画とは?

短期経営計画とは、自社の1年間の経営計画のことです。短期ということは中期や長期もあります。

短期経営計画に記載される内容は、1年後に実現する具体的な内容にすべきことはもちろんのこと、1ヶ月毎にフィードバック分析をして、予算の実現の具合を見て、すぐに方向転換ができるようにすべきものです。

また、短期経営計画を含む経営計画を実現させるのは、社長の陣頭指揮の基、社員が実現させていくものです。そのため、社員にとってのモチベーションの源泉となるものも含まれているべきでしょう。

すると、その構成は次の4種類のものを基本として作成すると良いと思います。

  • 自社が目指していること(経営指針)
  • 1年間の売上目標と利益目標(1年後の損益計算書)
  • 12ヶ月の売上・利益目標
  • 売上・利益目標を実現するための方針や計画

長期経営計画や中期経営計画について

ちなみに長期経営計画は、社長の考えが及ぶ最長期の経営計画になります。10年先のことを計画できるのであれば、長期経営計画は10年間の計画になります。3年先を長期とすることも可能です。10年ですと、少し先のものですので、中間として3年先や5年先の中期経営計画を作成します。

経営計画を立てるときは未来からの逆算で考えるものです。ですので、長期経営計画から逆算して今期1年間の短期経営計画を作成することになります。

ともあれ、初めて経営計画を作成される社長は、経営計画の作成に慣れていませんから、まずは短期経営計画を作成し、経営計画の立て方やその実現方法に慣れていっても良いと思います。

もちろん、長期経営計画から作成したいとお考えであれば、そのようにしていただいてもかまいませんし、30年先といった超長期経営計画とも言える計画を作成してもかまいません。

長期になればなるほど、計画の内容は漠然としたものになります。

長期・中期経営計画と短期経営計画の関係については、コラム「経営計画の種類」をご覧ください。

それぞれの項目の名称について

上記の4つの項目の名称は、暫定的に記載したものです。名称は、社内で意味が通じるものであれば何でも良く、馴染みのある名称で呼んだら良いと思います。

売上・利益目標のことを「販売計画」、販売方針を「経営方針」と称しているところもあります。短期経営計画のことを「短期事業計画」と称している企業もあります。それらの名称の定義がなされ、社内の人たちが用語を共通で理解していれば良いのです。

当社としては、それらの名称はクライアント企業様の名称に合わせるようにしていますが、このコラムでは便宜上、上記のような名称で呼ぶことにいたします。

以下、短期経営計画の4つの項目について解説いたします。

自社が目指していること

最初に、自社が目指していることを示します。それが経営計画を実現させるための根拠になり、これが正しいものであれば、社員が経営計画を受け入れてくれて、計画が実現する可能性が高まります。

「自社が目指していること」とは?

経営計画を作成してもその根拠がなければ、成り行き経営をしてしまいます。利益目標を「何としても達成したい」という強い意思があり、初めてそれが実現されるものです。

例えば、「この借金が返せなければ当社が破綻する」と思ったら、そのための計画は何が何でも達成しようとするはずです。それぐらいの熱意で取り組んでいただくための根拠を立てることが大事です。

自社が目指していることは、もちろん社長が目指していることです。短期経営計画にて明文化される「目指していること」は、1年後にわが社がどうありたいのか、どうあるべきなのかです。

これが、社長都合の目指すもの、社長の自我を満たすためのものであれば、社員はやる気が出てきません。反対に、世のため人のため、社会のため、お客様のために、我社が1年後にどうなっているべきなのか。その結果、社員への還元がどうなのかを示すことができたら、社員はやる気が出る可能性があります。

とある自我丸出しの社長が経営している会社がありました。その会社は、まるで社長が遊びたいために社員を働かせているような状態でした。社員のモチベーションは、売上高目標で管理されており、それを達成したら給料も上がっていくようになっていました。

ところが、その会社は社員が定着しなくて困っていました。

社員は、何のためにその会社で働いているのかを考えたときに、その第一義的な目標が「売上高目標の達成」であれば、最初は良いかもしれませんが、やる気が継続するものではありません。

社員の多くは、お給料があればそれに越したことはありませんが、「誰かのお役に立つ」ということを第一義的な目標としたいと考えています。そのため、我社がなぜ経営計画を実現するべきなのかを明確にすることが大事です。それが世のため人のためになる内容であれば、チャレンジングな計画でも社員が鼓舞されて共にがんばってくれるようになります。

社長の言動が一致しているか?

言葉として目指している内容と、社長の本心が一致していて、初めて社員の心に響くものです。心が響いた社員は、それが伝搬していき、会社が一体感を持って目標に向かって行動ができるようになります。

社長の言動が一致しない場合、例えば言葉では「お客様の幸福のために」と言っていたとしても、本心では「接待ゴルフで遊びたいから」といった自己中心的な思いがあると、すぐに社員たちは見抜いてしまい、「どうせ社長が遊びたいだけだろう」と思ってしまうので、経営計画の実現に前向きになれず、一体感も出ません。

社長の言動が一致することは、とても大事なことです。

また、できれば熱意溢れる発想や行動ができるようなものを立てたいものです。社員が奮い立つようなキャッチコピーを作成する会社もあります。

1961年、世界最高峰のオートバイレース「マン島TTレース」で伝説的な勝利をした本田技研工業は、その年に鈴鹿サーキットの建設に着手しました。そして翌年、本田技研工業の創業者である本田宗一郎(1908~1990)の陣頭指揮の基、ついに四輪自動車の開発に着手しました。

そのときに本田宗一郎が発したキャッチコピーは、「四輪の地図を塗り替えようではないか」。何とも奮い立たされる強烈な言葉です。

その後、F1に日本企業として初出場し、1年半後には初優勝。数々の強引な経営判断を実施していく中で、奇跡的な成功を重ねていき、世界的な自動車メーカーになっていきました。

経営とは、不可能への挑戦の連続です。社長の本気度が社員に伝播し、奇跡と思われるようなことを実現してしまうのです。

社長が目指しているものが、とてもチャレンジングなもので、社長の実力と相まっていたら、社員は「あの社長ならやりそうだ。達成しそうだ。」と考え、社員が鼓舞されると思います。

1年間の売上目標と利益目標(1年後の損益計算書)

「自社が目指していること」が実現した姿を金額で表したものが、1年間の売上目標と利益目標になります。それらは、損益計算書と同じ形態で作成されます。

期末に作成される損益計算書は過去1年の成績が数字になったものです。経営計画の損益計算書は、未来に実現したい損益計算書になります。

損益計算書の内容

損益計算書の内容をご覧ください。損益計算書は、過去1年間の成績が書かれたものです。次のような項目があると思います。

  • 売上高
  • 製造原価
  • 売上総利益
  • 販管費
  • 営業利益
  • 営業外損益(営業外収益、営業外損失)
  • 経常利益
  • 特別損益(特別利益、特別損失)
  • 当期純利益

売上高からさまざまな費用や損失が引かれ、利益が加算されていった残りが純利益です。その他にも税金等の金額などが記載されていると思います。それらが調整されて、税引き後の純利益が出てきます。

1年間の利益目標の立て方

利益は「売上高から原材料費や外注費を引いて・・・」と計算していくことで求められますが、経営計画は得たい利益から逆算して売上高目標を考えます。つまり、上記の項目を下の数字から逆に考えていきます。

一番下の数値は純利益です。1年間で得たい純利益を記載して、順に上側の数字を考えて入れていきます。

ここで、特別損益は、何か特別な損益があれば計算に入れたら良いと思いますが、「台風の影響で事務所を修理しないといけなかった」といった突発的なことは予想できませんので、突発的なものはゼロとして予算を立ててください。

最後に売上高が算出されます。これが、売上予算になります。

この計画を立てるときに大事なことは、あまりにも事業活動がマイナスでない限り、「純利益や営業利益がプラスの計画を立てること」です。

いくらの純利益を得たいのか?

得たい純利益から逆算で作成していくわけですが、どれだけの純利益を設定したら良いのかが疑問になることでしょう。

その金額は、社長が考える経営方針によって異なります。

今まで、純利益がいつもマイナスになる企業で「借金を返済したい」ということであれば、最低でも借金の元本の返済ができるような純利益に設定したいものです。

他にも「内部留保として、現預金を3年後までにいくら貯めておきたい」と考えるのであれば、第1年目としてその1/3が残るような純利益を設定することでも良いでしょう。

このように、利益ばかりを求めているようであれば、「社員がついて来てくれるか心配だ」と思われたかもしれません。「自社が目指していること」でも述べましたが、社長が目指すものに、根拠があれば良いと思います。その根拠として、「自社の財務状況を安定化させて、サービスの向上をし、もっとお客様のお役に立てる会社にしたい」という内容が考えられます。

12ヶ月の売上・利益目標

次に12ヶ月の売上・利益目標を作成します。売上目標は、12ヶ月の表になったもので、月次の売上高目標の合計、月次の商品カテゴリ毎の売上高目標、月次の粗利益目標が一覧になったものです。

例えば、次のような表です。

第4期売上・利益計画4月5月6月・・・合計
月次売上目標10,00010,00010,000・・・120,000
商品1売上高6,0006,0006,000・・・72,000
利益率30%1,8001,8001,800・・・21,600
商品2売上高3,0003,0003,000・・・36,000
利益率35%1,0501,0501,050・・・12,600
商品3売上高1,0001,0001,000・・・12,000
利益率40%400400400・・・4,800
月次粗利益目標3,2503,2503,250・・・39,000
粗利益率32,5%32,5%32,5%・・・ 

表の内容は、決まった形式はありません。小企業では、ご自身でしか見ないと思うので、ご自身で分かりやすいものを作成したら良いと思います。例えば、商品毎の売上高目標の下側に実績を入れられる空欄を入れても良いと思います。

この表の作成方法を手順に沿ってご説明します。

月次の売上高と粗利益の目標を作成

では、この表にどのような数字を入れていったら良いのか、具体的に説明したいと思います。

先ほど、1年間で得たい最終利益から逆算して粗利益と売上高を算出しました。まず粗利益と売上高をそれぞれ12分割して、月次の売上高目標に記載します。上記の表では、「月次売上目標」と「月次粗利益目標」の2箇所です。

この数字が埋まれば、営業担当者の毎月の販売目標を決めることができます。自動車の販売店では、営業担当者は販売台数が目標となっていることが多いです。このように、販売単価が決まっている商品であれば、営業担当者には販売数量を目標としても良いです。

それぞれの行の一番左側には、合計金額を記載します。Excelなどの表計算ソフトを用い、SUM関数で合計を算出してもかまいません。

ここで、「12ヶ月を単純に割って良いのか?」と疑問になられた方もいらっしゃることでしょう。ほとんどの会社では、単純に12ヶ月で割った数字を月次予算とします。

売上高に季節変動のある商品もあることと思います。季節変動のある商品については、後ほどご説明いたします。

商品カテゴリの分け方

商品カテゴリの分け方は、事業内容によってさまざまな分け方があります。例えば、

  • 商品のカテゴリ毎
  • 事業内容毎
  • 店舗毎
  • 営業担当者毎

どれが正解というものはなく、自社で最も都合の良い分け方で良いです。店舗経営をしていたら、店舗をカテゴリにしたら良いでしょう。店舗数が多い場合は、エリアで絞っても良いと思います。

ここで大事なことは、経営計画では細かく分け過ぎないことです。せいぜい4~5種類ぐらいまでに留めておくと、計画が立てやすいです。細かく分けたい場合は、経営計画とは別に、それに基づいた販売計画を作成すると良いでしょう。

月次の売上高目標を商品カテゴリに振り分ける

次に、月次の売上高目標を商品のカテゴリに振り分けます。

例えば、オフィス用品を扱う企業であれば、月次の売上高目標が1,000万円だったとして、商品群に文房具、什器、コピーサービスがあったとします。「文房具販売が200万円、什器販売が500万円、コピーサービスが300万円」という具合です。

金額の数値は上3桁で作成してください。例えば、1,538,223円だったとしたら、上3桁で1,540,000円を設定します。

経理が扱う金額はピッタリ合っていることが大事ですが、社長が気にすべき目標数字は、2,000円くらい違っても事業経営を左右するものではないので、ざっくりとしていてかまいません。

季節商品の場合の売上高目標

季節変動のある商品やサービスを扱っている企業であれば、月別の売上目標や利益目標の設定をどうすべきか迷うことでしょう。

実のところ、季節変動があったとしても、そのまま12ヶ月で割って月次の売上予算としても良いです。

パナソニックの創業者、松下幸之助(1894~1989)先生は、例えば家庭用ヒーターの月次の販売目標を、年間の目標を12ヶ月で割って各月に割り振ったと聞いたことがあります。

この分割方法は面白いと思いました。確かにヒーターは秋から冬にかけて売れるものですが、春先から夏にかけ「売れないとは限らない」のです。ヒーターの販売における固定観念を捨て、「どうしたら春や夏でも売れるのか?」と考えることもできます。また、春や夏に売れなかった分を秋や冬で回復させることもできるので、結局は同じことになります。

とは言うものの、家庭用ヒーターの月次の売上目標は、夏も冬も同じ目標値であれば気持ち悪くなるものです。そこは、細かな数字や過去の傾向性にとらわれることなく、「閑散期は50万円、繁忙期は150万円」という具合に、2~3段階の売上高目標を設定したら良いと思います。

次に、おせち料理や経理処理代行のように、年間でとある日数に集中する商品やサービスは、集中する月のみの売上高目標を設定してもかまいません。

商品毎の利益の計算

商品毎の月次の売上高目標を決めたら、それに利益率を掛けて、それぞれの商品カテゴリ毎の利益目標を計算します。それらを合計したものが、月次の利益目標と合致するかを考えながら、利益率を調整します。

利益率は、前年のものを参考にしながら設定します。

もちろん、利益率を高めなければ、どうしても利益目標に達しない場合も出てきます。その場合は、1年後や月次の売上目標を修正したり、利益率を高めるなどして調整してください。

利益率を高めたい場合は、そのことを経営方針に記載します。

売上・利益目標を実現するための方針や計画

最後に上記の月次売上・利益目標を実現するための計画や方針を作成します。

経営計画がうまく実現させられない会社、経営計画を立てても成長しない会社は、売上・利益目標を実現するための計画や方針が無い企業がほとんどです。売上・利益目標を実現するための計画や方針は、とても大事です。

売上・利益目標を実現するための方針と計画とは?

売上・利益目標を実現するためには、方針とそれらに付随する計画が必要になります。

月次売上・利益目標があっても、それを実現させるのは社長と社員です。社長の陣頭指揮の元、社員と一体となって目標達成のために行動します。

社長はどのように行動したらいいのか分かっていいたとしても、社員は具体的には分かりません。そこで、方針を示してあげるのです。売上・利益目標を実現するための方針は、「その方針に従って行動をすれば、売上高や利益の目標が実現できる」という具体的な内容のものを作成します。

具体的でないところは、社員が勝手に判断して行動してしまう可能性があるので、社長の経験にならず、社員の仕事が属人化して、会社の成長を阻害する場合があります。方針に記載されていないことは、社長に相談するという方針も決めておいた方が良いです。

方針の内容

売上・利益目標を実現するための方針は、次のようなもので構成され、多岐に渡ります。これらはあくまでもサンプルですが、他にも細かな方針を作成する場合があります。

  • 販売方針
    • 対象顧客の方針
    • 営業範囲
    • 重点販売品目
    • 販売チャンネルの方針
    • 商品の訴求方法
    • 契約金額や値引きの範囲
  • 製造方針
    • 原材料調達の方針
    • 外作/内作の方針
    • 設備増強の方針
    • 商品開発・改善の方針
  • 人材と資金の方針
    • 要員の方針
    • 資金運用の方針

とても項目が多いですが、自社の規模や事情に合わせて選んでいただけたらと思います。例えば、製造業でなければ原材料の調達の方針は必要ありませんし、社員が数名の会社であれば各人が今まで通りの配置のままだと思うので要員の方針は必要ありません。

これらの方針を簡単に解説いたします。

販売方針

「対象顧客の方針」は、商品やサービスを販売する対象顧客はどのような企業や人にするのかを方針として具体的に決めます。

次の「営業範囲」は、対象顧客とも関連することですが、営業エリアを決めます。あまりにも遠いところまで商圏とするならば、対象顧客が多くなりますが、販売の生産性が悪くなります。その範囲を明確にしておかないと、営業担当者が自身の営業成績を達成するために、無理して自社から遠いところの顧客から受注を取ってくる可能性があるからです。

重点販売品目は、新製品などの特に販売したいものを決めておきます。単純に「利益率が高い商品を売る」という方針も良いですし、今は需要が無かったとしても将来の主力商品となりそうなものを重点的に販売しようと試みることもあり得ます。

「販売チャンネルの方針」は、自社での直販や商社を通じた販売といった、販路をどのような割合にするかの方針です。新規の販路開拓も含まれます。製造業であれば、いずれは自社で販売をすることを重要視すべきですが、売上高を確保するために商社への訪問を増やす方針もあり得ます。

商品の訴求方法は、どのように商品を訴求していくかの方針です。特にWeb戦略が大事になります。

「契約金額や値引きの範囲」は、契約金額の上限と下限、値引きの範囲を決めます。受注の範囲に上限を決めることは、とても贅沢のように思います。しかしあまりにも高い金額の案件を受注すると、自社総出で対応しないといけなくなる場合があります。すると、次の案件の受注ができなくなるので、売上高が安定しなくなり、会社経営を危うくする場合があるからです。

製造方針

「原材料調達の方針」は、調達先や調達金額の方針です。「外作/内作の方針」は、外注するのか内作するのか、またはその比率を方針として決めます。

「設備増強の方針」は、設備をどのようにするのかです。もちろん、設備の増強が必要なければ、この方針は作成しなくても良いです。

「商品開発・改善の方針」では、読んで字のごとくです。商品開発が必要であれば、その方針を明確にします。商品の改善も同様です。商品開発や改善は、自社都合であってはならず、必ずお客様や競合他社といった市場の変化や、市場からの要請をつかんで行うべきです。そういったことからも、少し大きな会社であれば、マーケット分析の方針や社員への協力要請が必要となる場合もあります。

人事と資金の方針

「要員の方針」は、営業担当や生産担当の人数をどう振り分けるのか、新たに採用するのかを決めます。採用するのであれば、どのような人材を採用するのかも方針を決めます。

「資金運用の方針」は、売上高の計画が作成されたら、それに伴って資金需要も決まります。売上高の目標や各種方針が決まってくると、どの部分にどのくらいの資金が必要となるのかが明確になります。資金が足りないと予想される場合は、資金調達の方針を決めます。ここで作成される短期経営計画を銀行に持っていくことで交渉がやりやすくなります。

これらのことを具体的に決めて、営業担当者や調達部門、製造部門などに方針を示し、この方針通りに事業活動を行ってもらいます。

この他にも、経営計画が実現したら、協力してくれた社員に金銭報酬を出すなどの何かインセンティブを設けて、それを方針として明確化しても良いと思います。また、方針としてではなく12ヶ月の売上・利益目標を作成するときに、労働分配率を明記しても良いと思います。

経営計画や方針に付随する計画

付随する計画には、主に次の4種類があります。

  1. 販売計画
  2. 設備計画
  3. 要員計画
  4. 資金計画

各種方針に基づいて具体的に行動するための計画が立てられます。この計画は、いつ誰が何をどのように、どれくらいするのかを定量的に決めます。もちろん、進捗や達成度合いをフィードバック分析できるように、KPIを設定しておくことが大事です。

他にも、新商品開発をする場合は、それを社長直轄のプロジェクトとして別途計画を立てます。

以上、短期経営計画の作成方法を具体的に述べてきました。ここで述べた内容は、あくまでもサンプルですので、会社によっては名称が違ったり、内容も大きく異なったりする場合があります。

その辺りは、いろいろと工夫をして、自社にしっくり来るものを探り当ててください。しっくりくるものが出来上がったら、それは自社のノウハウになるはずです。

短期経営計画が出来上がったら、それを社員に共有して協力を要請します。その方法は、また別の機会に述べたいと思います。

さて、初めて短期経営計画を作成される方は、上記の内容を読まれても「無理だ」と感じた方もいらっしゃることでしょう。もし宜しければ、当社にて短期経営計画の作成をご支援させてください。

コンサルタントがアドバイスをしたとしても、初めて作成するときは、じっくり考えるので、3~4日ほどかかると思います。しかし、一度出来上がってしまったら、毎年はその数字を更新するだけですし、新商品ができたとしても商品の項目が1個増えるだけですので、1~2日ほどで完成させることができます。

ただし、会社の規模が大きくなり、壁に当たったら、今までの経営計画をガラガラポンで立て直すことも必要になります。

経営計画を初めて立てられる社長は、ぜひ当社の支援をご依頼ください。ご連絡をお待ちしております。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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