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FTAの活用でFMEAが効果的に!FMEAとFTAの関係と活用方法

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FTAの活用でFMEAが効果的に!FMEAとFTAの関係と活用方法

FMEAをより実効性のある手法にするためには、FTAの活用が不可欠です。

不具合は単一原因ではなく、複数の原因が重なって発生することが多く、これを可視化できるのがFTAです。

この記事では、FTAの基本定義と考え方を整理しながら、FMEAとの関係と具体的な活用方法を解説します。

さらにFTAと「5回のなぜ?」との使い分けを解説しつつ理解を深めます。

FMEAとFTAの関係とは何か

FMEAは、想定される故障モードとその原因・影響を整理し、未然防止につなげる手法です。一方、FTA(Fault Tree Analysis)は、ある事象を起点に「なぜそれが起きるのか」を論理的に分解していく分析手法です。

FMEAが原因を広く洗い出すのに対し、FTAは原因を深く掘り下げる役割を持ちます。したがって両者は競合するものではなく、補完関係にあります。FMEAで重要な事象を特定し、その事象に対してFTAを適用することで、より確実に真因へ近づくことができます。

FTAの基本定義と用語

FTAとは、「トップ事象(Top Event)」と呼ばれる問題事象を起点に、その原因をツリー状に分解する手法です。原因同士の関係は、主に「ANDゲート」と「ORゲート」で表現されます。ANDゲートは「複数条件が同時に成立したときに発生」、ORゲートは「いずれか一つで発生」を意味します。

また、これ以上分解できない原因を「基本事象(Basic Event)」と呼びます。FTAによる分析では、基本事象にたどり着くまで原因を細かく分析します。

これらの用語を正しく理解することで、「どの条件が重なったときに不具合が発生するのか」を論理的に説明できるようになります。

なぜFMEAにFTAが必要なのか

製品や工程が高度になるほど、不具合の原因は単純ではなくなります。FMEAを導入して効果を得るためには、複雑に絡み合う原因の分析を深く行うことが大切になります。

例えば、ある部品の破損は、「負荷が大きい」だけではなく、「繰り返し使用」「材料のばらつき」「取り付け状態」といった複数の原因が重なって発生することがあります。FMEAだけでは、これらを個別の原因として捉えがちですが、FTAを使うことで「どの組み合わせで発生するのか」を明確にできます。

この点が、FTAを活用する最大の価値です。単なる原因列挙から一歩進み、発生条件を具体的に捉えることが可能になります。

FTAの具体事例:ストリング切断の場合

例えば、テニスラケットのストリング(ガット)の切断を考えます。トップ事象を「ストリングが切断する」と設定します。FTAで分解すると、「高い張力」「繰り返し打球」「摩耗の進行」といった原因が挙がります。

ここで、「高い張力」だけでは切断せず、「繰り返し打球」と「摩耗の進行」が加わることで切断に至る、といった関係を「ANDゲート」で表現できます。また、「打つ場所が悪い」といった単発の衝撃は「ORゲート」で表現されます。

このように整理することで、対策の優先順位や有効性が明確になります。

「5回のなぜ?」との使い分け

FTAと「5回のなぜ?」は、どちらも原因を追求する手法ですが、使い方が異なります。「5回のなぜ?」は、一つの原因を単線的・直観的に深掘りするのに適しています。特に工程におけるトラブル対応では、迅速に原因を特定するために有効です。

一方、FTAは複数の原因の関係を整理するのに適しています。したがって、現場での日常的な改善活動では「5回のなぜ?」を活用し、再発防止や設計段階の検討ではFTAを活用する、といった使い分けが重要です。

なお、「5回のなぜ?」を補うツールとして「特性要因図(魚の骨)」があります。

FMEAにFTAを組み込む進め方

実務では、まずFMEAで故障モードと影響を整理し、重要度の高い事象を特定します。次に、その事象をトップ事象として、FTAにて原因に分解します。このとき、「ANDゲート」と「ORゲート」を意識して、事象と原因の関係性を整理することがポイントです。

最後に、明らかになった原因に対して対策を検討し、FMEAへ反映します。

この流れを繰り返すことで、分析の精度が高まり、実効性のある未然防止が可能になります。手法を単独で使うのではなく、連携させることが重要です。

まとめ

FMEAにFTAを組み合わせることで、不具合の原因をより具体的に捉えることが可能になります。FMEAが広く原因を整理し、FTAがその関係を深く掘り下げることで、分析の精度は大きく向上します。また、「5回のなぜ?」との使い分けにより、現場と設計の両面から問題解決が進みます。

重要なのは、それぞれの手法の特性を理解し、適切に使い分けることです。それが、FMEAを実務で機能させる鍵となります。

FMEAを導入したけれども、クレームや設計変更などが減らない企業は、FMEAの構築にFTAを導入してみてください。トラブルの未然防止ができるだけでなく、FMEAの良さが今までよりも深く理解できることでしょう。

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この記事の著者

村上豊

製造業改善コンサルタント
村上 豊 (Murakami Yutaka)

名古屋大学工学部、修士課程卒業後、トヨタ系列の電装を担う大手メーカーに30年間従事。製造部門のみならず、国内工場の工場長や英国の新工場立ち上げをも担当する。コンサルタントとして独立後、さまざまな製造業種の企業を支援し、5S活動の理論に基づいて工場の人材育成、生産、保全、品質、製造技術の改革に取り組む。人の能力を引き出し高めるマネジメントで、多くの製造工場の改善・改革、カルチャーづくり、理念経営を支援。

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