社長の夢実現への道

経営理念を作成する目的は?

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経営理念を作成する目的は?

社長が経営理念を作成するキッカケはさまざまですが、目的には正しい目的と間違った目的があります。

経営理念を作成する目的は、もちろん正しいものかどうかが大事です。

そして、立派な経営理念を作ろうとされますが、経営理念が立派なものであればあるほど、社長の覚悟が問われます。

もし、間違った目的で経営理念を作成してしまったら、その経営理念が正しい内容であったとしても、すぐに忘れ去られ、浜辺で作られたお城のように、崩れ去ってしまいます。

このコラムでは、社長が経営理念を作成しようとしたキッカケをご紹介しつつ、間違った目的で経営理念を作成してしまうパターンをご紹介いたします。

経営理念の書籍を読んでいると、意味や名称、作り方がバラバラで混乱することと思います。そういった方にもご覧いただきたいと思います。「経営理念とは?社長のための経営理念作成浸透マニュアル」と併せてご覧ください。

経営理念を作成するキッカケ

今まで、経営理念を作成した社長と何人も出会ってきました。その社長が、どういったキッカケで経営理念を作成しようと考えたのか、次の3つが多いです。

  • 経営セミナーで「経営理念を作成しなさい」と言われたから
  • いろいろな経営書を読んで経営理念の必要性を感じたから
  • 憧れの経営者が経営理念の大切さを述べていたから

どのようなキッカケであったとしても、会社の業績を回復させたり、会社を成長させたりすることを目的として経営理念を作成することと思います。

経営理念を作成し浸透させることで、社員が社長の思惑通りに仕事をしてくれるようになると期待することと思います。その思惑が間違ったものであれば、間違った経営理念ができます。反対に思惑が正しいものであれば、正しい経営理念ができます。

「間違った思惑」ででき上った「間違った経営理念」ですと、もちろん会社の社員同士の人間関係がムチャクチャになる場合もありますし、社長と社員の人間関係が崩れてしまうこともあります。経営理念が全く機能しないで、ムダになってしまうこともあります。

当社では、経営理念を作成しようとしている社長に、「正しい経営理念で、かつ本物の経営理念を作成してください」とアドバイスしています。正しい経営理念とは、内容が正しいものであることです。本物の経営理念とは、社長自ら経営理念の実現に向けて、率先して取り組むことができるものです。

正しい経営理念の作り方を学ぶ前に、正しい思惑で経営理念を作成することが大事です。

小企業でよくある経営理念作成の間違った目的

社長が「自社は小企業であるが、中企業に成長させていきたい」と考えたときに、すべからく経営理念が必要となります。小企業とは、従業員数30人くらいまでの会社です。それを10倍くらいに成長させたいという場合です。

自社の経営理念としてどのようなものを掲げたら良いのか、社長は勉強会や書籍などで経営理念についてお勉強をされるのですが、どうやら間違った経営理念を作成して、会社をダメにしてしまう場合もあります。

間違った目的の代表例は、

  • お客様や社会ではなく自社都合の経営理念
  • 社員を働かせるための経営理念
  • 社長の自己中心的な考えを覆い隠すための経営理念
  • 会社の見栄えを良くするための経営理念

これらの間違った目的に共通することは、社長都合の経営理念であることです。もちろん、こういった経営理念は浸透しません。浸透しない経営理念については、「社長が原因で経営理念が浸透しないパターンと対策」もご参照ください。

それぞれ、解説をいたしますが、要するに社長の自己中心的な考えが問題となります。思い当たるようなことがあれば、襟を正し、気を引き締めていただきたいと思います。

お客様や社会ではなく自社都合の経営理念

自社都合の経営理念とは、自社が利益を得ることを中心とした内容の経営理念です。会社では、しっかりと利益を得ることは大切なのですが、その利益は「100%お客様からしか得られない」ということを無視した経営理念が、自社都合の経営理念です。

会社が利益を増やすために必要なこと

どのような人でも、幸福を求めて活動しています。人は、幸福を求めて自由に考え、ある範囲内で自由に行動をすることが許されています。自社もお客様も同様です。

お客様が何かの商品やサービスを購入するときは、意識してかしないでか、自分にメリットがあるのかどうかを考え、そのメリットに対する対価は妥当なのかを考えます。

自社がお客様の期待に応え、商品や役務を提供したら、お客様から対価が得られます。それによって会社に売上高が得られ、会社が生み出す付加価値や生産性に応じて利益が残ります。

自社が増収増益をするためには、お客様から自社のことを気に入ってもらったり、自社が提供する商品や役務を選んでもらったりすることが大事です。

経営理念を自社都合で解釈することもある

いろいろな経営理念を見ていると、その中に「売上最大、経費最小」というものが含まれている場合があります。この本質は顧客マインドに行き当たると思いますが、企業によっては、そういった深い意味を理解しないで、表面的に「売り上げが最大になるように、経費が最小になるように、自社都合で行動する」ということがあります。

社長が、そのような浅い考えでこの経営理念を掲げてしまったとしたら、お客様無視の経営が行われる可能性があります。

また、社長が「お客様第一主義」と言っていても、社員が自社都合で経営理念を解釈してしまう場合もあります。社員は、基本的に社長に従って行動をするわけですが、社長の顧客マインドが弱く、いつも「売上」とか「利益」と連呼していたら、社員が経営理念を曲解して、顧客マインドを無視して売上と利益を得るためだけに行動をする場合があります。

社員が経営理念を間違って理解した場合は、社長がそれを正すことができなければ、その会社の経営理念は、自社都合のための経営理念であることと同じです。

その結果、お客様が離れていき、売上高が下がり、反省をして経営理念の間違いに気が付くことになります。

社員を働かせるための経営理念

小企業の社長が経営理念を作成する目的として、「社員を働かせるため」というものが少なからず見受けられます。これは、社長都合の経営理念です。お気持ちはわかりますが、そのような経営理念を社員が受け入れることは、まずありません。

本音と建前が異なる経営理念

一見すると正しい経営理念を提示していて、社長の言動は表面的には「お客様のため」「社会のため」「社員の幸福のため」と述べていたとしても、本音として社員を働かせるために経営理念を作成するパターンです。

経営理念には正しいことが書いてあるので、これを大義名分として社員に働いてもらいたいと考えるのですが、社長の本音としては、「社員が熱心に働いたら、会社に利益が出る。」と考えています。

このような、表向きは徳のある経営理念であったとしても、本音では社員を働かせるためであれば、社長はまるでお面をつけて見栄えを取り計らっているようなものです。

社長が経営理念を説明できなかったり言動が違ったりする

そのような社長は、お客様のためや社会のために会社が存在していることを、自分の口から説明ができない場合が多いので、そういった社長は、経営理念の作成をコンサルタントに丸投げしたり、浸透を幹部社員に丸投げすることが多いです。

大義名分を語ることに対しては口がうまくても、普段の言動が経営理念と異なっている社長もいます。

そういった会社の会議では、経営理念の内容とは全くことなる成果主義的な考えだけが求められることが多いです。経営理念の浸透を開始された社員は、「お客様のことを考えて働きなさい」と教えられても、経営会議では拝金主義とでも言うべき評価によって叱責があり、混乱極まりない状態になります。

そのような経営理念は、社長自らが率先して実践することはありませんから、社員はその本音を見抜いて、経営理念を受け入れることはありません。「類は友を呼ぶ」ということで、心ある社員は辞めていき、間違った考えの社員ばかりになり、会社が傾くことになります。

そういった間違った経営理念を掲げ、言動が一致しない社長だと、社員がついて来ないことが世の常です。社員がついてくるとしたら、「将来的に独立起業したい」といった、何か別のインセンティブがあるのでしょう。

社長の自己中心的な考えを覆い隠すための経営理念

会社が小さなうちは、ほとんどの会社で自分の生活費と経費がごっちゃになっていることが多いと思います。そのような私物化された会社の実情を、美辞麗句で飾られた経営理念で覆い隠すようにすることです。

小さな会社は公私混同が当たり前!?

社員が、終業時刻を超えて働いてくれたときに、社長が「会社でご飯を炊いて食べよう」として、そのご飯代が経費になるかどうかは、判断が分かれるところです。魚屋を経営している社長が、仕入れで自動車を使用することは経費になります。その自動車で魚釣りに使ったら、その自動車のガソリン代やメンテナンス費は、どうなるでしょうか?

「魚釣りをすることで、魚のことを知ることができ、魚屋の経営に活かすことができるのだ。」と言っても、誰でも「それは趣味だ」ということが判るので、苦しさがあります。

小さな会社では、このような生活費と会社の経費の境目の問題があります。この公私混同の状態が、会社の成長過程でボトルネックとなることが、よくあります。

会社の実情を隠すための経営理念

会社が成長してくると、社長が「自分のための会社」という考えから「公のための会社」という考え方に、会社の扱いを変えていく必要があります。その過程で、どうしても欲を取り去ることができない社長が、自ら立てた経営理念と対決をするとき、意思の強さが計られるときが来ます。

意思の強さを発揮し、経営理念の実現を選んだ社長は、会社を立派なものにしていくことができます。

反対に、先ほどお面の話をしましたが、自分の欲の部分を覆い隠しながら、表面的には立派な考えを持った社長として見せたいがために、立派な経営理念を作成する社長がいます。

立派な経営理念を掲げている会社は、一見すると立派な会社に見えることがありますが、社長の意思の強さによって、単なる美辞麗句なのか、本物の経営理念なのかが分かれます。

「ごまかし」をしている会社で働く社員は?

経営理念が単なる美辞麗句となってしまった会社は、社長の言動が一致しないことはもちろんのこと、社員は「自分たちは、社長がゴルフで遊んだり、飲みに行ったりするために働かされているのだ」、「社長は経営理念に掲げられているように、『お客様のため社会のために働きなさい』と言っているが、社長は遊んでいるではないか」と社員が思うようになり、社員の人心が離れていってしまいます。

そういった社員は、仕事に対する意欲が下がってしまい、社長からすると「能力がない」とか「働きが悪い」と見えてしまいます。能力が低く、働きの悪い社員は、社長からの評価が低いため、会社を去っていくことになります。

その社長の中には、自分の言動を改めないで、「社員が辞めても、また雇ったらいいのだ」と開き直っている人もいます。

「会社の成長は仕組みだ」と書かれている経営書は多いですが、会社が仕組みで回っていたとしても、会社が伸びない理由がここにあります。

会社の見栄えを良くするための経営理念

社長は、経営者セミナーや業界の会合などに出ています。その中で、立派な社長がいると、嫉妬の一つもしてしまいます。

経営者セミナーの中には、社長の間違ったプライドやマインドセットをズタズタにして、反省してもらって、社長に正しい考えを持ってもらうためのセミナーもあります。そのような経験をされた社長は、「自社もいずれは立派な会社にしたい」と考えます。

立派な会社にしたいことは良いことなのですが、マインドセットを変えることは時間がかかります。そこで自分の自尊心を高め、見栄を張りたいために、立派な経営理念を作成することがあります。

社長が社会貢献を意識し始めている場合もある

経営理念に見栄えの良いことが書いてあり、社員がその経営理念に基づいて仕事をしていたら、対外的に立派な会社に取り繕うことができます。それを目指すことを目的として経営理念を作成するパターンです。

そういった社長の中には、利益の一部を寄付したり、社員が社会活動をしたりして立派な行為をしている方もいらっしゃいます。自社が公の会社であることを経営理念に掲げて、それを実現しようと努力されている社長もいらっしゃいます。

立派な経営理念を掲げることを、社長ご自身への戒めとしている方もいらっしゃいます。

今現在は立派な会社でなかったとしても、立派な経営理念を掲げそれを実現するための方針を取り続けるのであれば、いずれはそれが実現することでしょう。

見栄のための経営理念のままでいた方が良い場合がある

会社の見栄えだけを考えて立派な経営理念を作成されたのであれば、やはり見栄の部分が見え隠れするので、どうしても社長が変にギラギラしている部分があります。その辺りの社長の自己中心的な考えが社員から見透かされて、会社が大きくなることはありません。従業員数が30人くらいの会社までにはなることが多いと思います。

実は、立派な経営理念を掲げ、会社が成長してしまったら、社長が仕事に対する意欲が下がり、遊びに走ってしまう場合があります。会社がなまじ大きくなってしまい、会社の推進力となる社長の意欲が低下してしまったら、今まで問題とならなかったことが大きな問題になることもあります。例えば、社員の不正に気が付かなくて、ニュースを賑わせる会社もあります。

そういったことで、社長の性格や意思力によっては、立派な経営理念をかかげない方が良い場合もあります。

もし、小規模から中規模の会社に成長させたいのであれば、もう一段の社長の進化が必要となります。

経営理念を作成する目的は総じて「立派な会社をつくるため」

経営理念を作成する目的は、総じて述べるならば「立派な会社をつくるため」です。どのような会社が立派な会社なのか、どういった経営理念を作成したら立派な会社になるのか述べたいと思います。

会社は社長の想い一つで変わる

多くの会社は、規模が零細企業から小企業、中企業と成長していきます。最終的にどのような会社にしたいのかは、社長の想い一つです。

もちろん、「大きな会社にしたい」と考えているだけでは、大きな会社になるわけではありません。会社の成長段階に合わせて、社長の考えも立派なものに進化させていく必要があります。

その進化は段階があり、それが会社の「成長の壁」となることも多いです。考え方の成長のために、会社が一度、どん底まで落ちていってしまうことも、倒産させてしまうこともあります。

会社を大きくするためには関わる人を幸福にすること

大きな会社になればなるほど、お客様や社会から要求されるレベルが高くなります。会社の事業規模に合わせて、会社が立派な会社に進化していくことが大事です。

一般的に、人は幸福を求めています。人は何でもって幸福なのかは、人それぞれです。自分が幸福になりたいと思っていて、何をしても良いのかと言えばそうではありません。他人も幸福を求めているので、人と人の間でトラブルが発生したり、企業間では競争や淘汰が出てきてしまいます。

さて、社長が「自社を大きくしたい」と考えたとしても、なかなか大きくならない理由は、人との関係にあります。自社で働く社員は幸福を求めていますし、お客様や競合他社も幸福を求めているわけですから、社員を幸福にしながらお客様を幸福にし、競合他社に競争で勝つことによって、会社が大きくなっていきます。

社長は、事業を通じてどれだけ多くの人を幸福にしたいのか、その志が経営理念に反映され、それが会社の将来の大きさの限界になります。

事業規模が大きくなると強力な競合他社が現れる

事業規模が大きくなると、競合他社もよりお客様や社会を幸福にしようとする強力な企業が出てきます。

例えば、パパママ・ストアを経営していたとして、「多店舗展開しよう」と行動すると、大手FC店が競合として台頭してきます。もし目標が大きなものであれば、大手となる競合他社に戦いを挑むことになる場合もあります。

そして、自社と競合他社のどちらが、より社員やお客様を幸福にできるかが競われるようになります。そのようにして競争に勝つことができたら、会社が大きくなっていくのです。

社長がどれくらい多くの人たちを幸福にしたいのか、その目指すものや本気度によって、将来の会社の規模が決まると言っても、過言ではありません。会社をもっと大きくしたいのか、現状維持をするのか、競合他社からの競争を避けるのか、それとも負けるのか。それも社長の想い一つです。

経営理念が社長自身のやる気に火を点けるものか?

会社の事業規模を大きくできるかどうかは、社長ご自身の目指すものや本気度が関連していることをお伝えしました。目指すものや本気度についてもう少し述べたいと思います。

変えて良い考えと変えるべきでない考え

社長が目指すものには、コロコロ変わるものと、変わらないものがあります。毎日の細かな作業レベルのものは、コロコロと良いものに変えていくことが大事です。しかし、社員からすると、「毎日コロコロと変えられたらたまったものではない」と思われてしまいます。

ときどき社長からの相談で、「社員から『方針がコロコロ変わって困ると』と言われるが、どうしたものか?」と訊ねられることがあります。私は、「コロコロ変えたものが会社にとって最善のものであるならば、コロコロ変えても良い」とお伝えしています。

とは言え、コロコロ方針が変わっては、社員がたまったものでないことには変わりありません。そこで、変えて良いものと変えてはいけないものを用意すべきです。

変えてはいけないものは、会社が目指すものと、それを実現するための基準です。そして、目指すものや基準に沿っているのであれば、その中で考えうる最善な方法を選ぶことを、カルチャーとすべきです。

変えてはいけないものは社長のやる気に火を灯すもの

その変えてはいけないものは、社長のやる気に火を点けるものです。それは経営理念の一部と言っても良いと思います。

会社は、社長の想い一つで最終的にどうなるのかが決まることを述べましたが、社長のやる気でも決まるとも言えます。

小企業の社長は、会社の最高権力者ですから、社長にやる気があるのであれば、誰も反対することはできません。反対する人がいたとしても、その人は最終的に従うか、会社を去るかのどちらかになります。社長に何か目指すものが見つかり、やる気に火を灯すものが発見されたら、全社員でその実現を目指していくことになります。

その目指すものをありありとイメージしたものが、社長個人としての未来ビジョンです。それを実現するために、会社をどのように運営していったら良いのか、人材がどのように考えて行動すべきなのかを示したものが、経営理念になります。

経営理念が社長自身の言動を戒めるものか?

経営理念は社長のやる気に火を灯すものであると同時に、社長自身の言動を戒めるものであることが大事です。間違った経営理念の解説で社長の意思の強さについて言及しましたが、経営理念は社長自身が意思の強さを発揮できるものであることが大切です。

会社を倒産させる根本原因は「慢心」

経営理念に大きな目標が掲げてあり、社長がその実現を本気で目指そうとしているのであれば、社長は小さな成功で有頂天になってはいられません。

企業に何かあれば、すべて社長の責任であると言われています。一倉定先生は、「郵便ポストが赤いのも、電信柱が高いのも、すべて社長の責任だ」と述べられています。これは、会社の内部のことだけでなく、外部で起こったことも、すべて社長の責任と考えるべきだという戒めです。

社長に非はなくとも、社員の不正によって辞めていく社長は、後を絶ちません。

さて、会社が倒産しそうになった根本原因を探っていると、ほとんどの場合において「社長の慢心」が原因です。慢心とは、おごり高ぶることです。そこから「わが社は大丈夫だ」といった正常化バイアスの発想や行動といった油断が生まれ、会社が危機に陥ることが多いのです。

経営理念には、そういった社長の慢心を止める効果が期待されます。

社長自らが経営理念を作成し、それに従うこと

では、どのように経営理念を活用して、社長自身の慢心を止めるのか。それは、社長自らが、自分で作成した経営理念を何度も何度も見返して、自分を戒めてください。社長を戒められるのは、ある意味で自分自身だけからです。

社長はワガママな存在だと思います。私自身もワガママだと思います。そのワガママな社長は、誰の言うことを聴くことができるのか。最終的には自分自身しかありません。社長も人間ですから、お客様から叱られると、「この野郎」と思う社長は多いことでしょう。しかし、お客様に文句を言ったところで、売上高や利益は増えません。

経営理念は社長自らが作成するものですから、社長が経営理念に従って行動することは当たり前のことです。社長自らが経営理念に従って行動するものでなければ、社員の誰が経営理念に従うのでしょうか?

経営理念の浸透は、経営理念研修や学習会をしたら浸透するのも事実ですが、社長の背中を見て育つ人材が本物の人材であることを、肝に銘じてください。

社長が目指す事業規模は?

社長のやる気に火が灯る未来ビジョンを描けたら、それが実現したときの事業規模はどのようなものでしょうか?

その事業規模の大きさに達するかどうかは、チャレンジしてみないとわかりませんが、将来の自社が最大化した状態です。例え、その事業規模が世間的に小さなものであっても、誰も否定できるものではありませんので、ご安心ください。

事業規模を大きくすることだけが社長にとっての幸福ではない

さて、経営理念の必要性について述べたいと思います。もし、社長が描いている未来ビジョンが、自社を零細企業から小企業までの事業規模で維持して、自分や社員の幸福を求めるものであれば、正しい経営理念は必要ないと考えます。

ある程度付加価値の高い商品や役務を提供し、社員には一般的な待遇をして、仕事の仕組みができていたら、小企業ではそれで十分に経営が成り立つと思います。

さて、「そういった会社は立派ではないのか?」と言われると、私は立派であると考えています。なぜなら、仕事を生み出し、少ない人数であっても社員をかかえ、一定数のお客様から支持されているわけですから、それは世間一般からすると立派なことなのです。

大きな事業規模を目指したいと考える場合

社長の中には、小さな事業規模では満足できない人もいらっしゃいます。「もっと多くの人を幸福にしなければ、満足できない」というお考えの社長は、もっと立派な会社を目指していただきたいと思います。

社長が、小企業から中企業に経営規模を大きくしていくためには、より多くの人たちを幸福にしないといけませんし、競合他社の攻勢に太刀打ちして、勝利していかなければいけません。そのために、競合他社よりも多くの人たちを幸福にできる、立派な会社になっていく必要があります。

そこで、多くの仲間とともに多くのお客様を幸福にしていかなければいけませんが、その基準となるものが経営理念です。そして、社長が強い意思を持ち、言動が経営理念と一致させることで、社員は社長に納得してついて行けます。

事業規模が大きくなったときの会社のイメージは?

では、どういった会社になれば、社長として満足ができるのでしょうか。それを目指していくために、将来の事業規模が大きくなった状態の企業の姿を、ありありとイメージをすることが大事です。それをイメージ化したものが、未来ビジョンです。未来ビジョンを実現するための指針となるものが経営理念です。

また逆に、経営理念が実現した姿が、未来ビジョンにもなります。社長がどのような経営理念を作成するのか、その内容によって未来ビジョンが異なります。

未来ビジョンの内容によって、会社の事業規模に応じて、どういった会社が社員やお客様、社会から受け入れられるのかが異なります。会社が大きくなれば、要求される会社の品性などのレベルが上がっていくので、目指す事業規模によって、目指すべき立派な会社のイメージが異なってきます。

経営理念を作成するときは、未来ビジョンの内容と経営理念の内容がリンクするものをつくることが大切です。

立派な会社像を実現するための方向性や人物像の指標が経営理念

正しい経営理念を構成する4つのパーツ

さて、経営理念にどのような内容を記載すれば、正しい経営理念となるのでしょうか。当社では、「正しい経営理念は、4つの要素で構成されるもの」と定義しています。その要素とは

  1. 基本理念
  2. 未来ビジョン(企業ビジョン)
  3. 経営指針
  4. 行動指針

立派な会社のイメージは、社長の性格によって異なります。まずは、「社長が何を目指しているのか」です。今は小さな会社であっても、「いずれは世のため人のために大きな貢献ができる会社にしていきたい」という気持ちを込めて経営理念の一言、IngIngが基本理念と呼んでいるものを作成すると良いでしょう。

経営理念に描かれる社員の理想像は、人間性と仕事能力の高さを兼ね備えた人物です。自社が理想とする人間像は、どういった人間性を持った人物なのか。また仕事能力の高さはどういったものなのかを明確化します。それが、経営理念の要素の一つである、行動指針になります。

また経営陣は、社長に代わって大義名分に基づいた経営判断をしていくことだと思います。それをシンプルな言葉で箇条書きにしたものが、経営指針です。

そのようにして、会社の目指すものや基本的な考え方がまとめられた経営理念を作成し、社長自ら実践し、社員に浸透させることによって、社員が質の高い事業活動をしていけるようになります。その結果、立派な会社に成長していきます。

これら4つの構成要素については、「機能する正しい経営理念とは?経営理念の構成要素」をご参照ください。

以上、経営理念を作成しようとするキッカケ、経営理念を作成する目的について、間違った目的と正しい目的について述べました。

小さな会社にとっての経営理念は、社長の考えそのものです。社長の考えが経営理念になります。自己中心的な考えで経営されている社長は、正しい経営理念を無理やり作成して、社員の人心が離れていくよりも、経営理念を作らない方が良い場合もあります。社長が心を入れ替えて、世のため人のため、お客様のためを中心とした考えを持ち、それを一生続けていくことを誓ったときが、経営理念を作成する本当のキッカケだと思います。

どういった目的で経営理念を作成すれば良いのか、経営理念の内容を考える前にぜひともお考えいただきたいと思います。経営理念づくりの参考になれば幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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