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FMEAの定期見直しのポイント

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FMEAの定期見直しのポイント

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モード影響解析)は、製品や工程の潜在的な不具合を事前に予測し、未然防止を実現するための品質手法です。しかし、FMEAを導入した多くの企業では、FMEAを一度作成した後、そのまま更新されないケースが見られます。それによって、FMEAが機能しにくくなることもあります。

なぜなら、時間が経つにつれて設計や工程は変化し、実際の製品や現場の状況とFMEAの内容が一致しなくなります。また、新たなリスクも生まれるからです。この状態では、FMEAは単なる書類になり、品質改善に役立たなくなってしまいます。

本来FMEAは、設計や工程の変化に合わせて継続的に更新されるべきものです。新しい知識や経験を反映しながら内容を改善していくことで、FMEAは企業の技術知識を蓄積する重要な仕組みになります。定期的な見直しを通じて、FMEAを常に現実と一致させることが重要です。

この記事では、設計変更やトラブル対応などの実務の中でFMEAを更新し、現場で活用される「生きた資料」として運用するための具体的な見直しのポイントを解説します。

設計変更・工程変更のタイミングで見直す

FMEAを見直す最も基本的なタイミングは、設計変更や工程変更が行われたときです。例えば、部品仕様の変更、材料の変更、製造設備の変更、新しい工程の追加などが行われると、潜在的なリスクの内容も変化します。

しかし実際には、設計変更や工程変更が行われてもFMEAが更新されないことが少なくありません。その結果、FMEAは現実の設計や工程と乖離し、実務で活用されなくなり、形骸化していきます。

これを防ぐためには、設計変更や工程変更の手続きの中にFMEAの確認を組み込むことが重要です。変更内容によって新しい失敗モードが生じる可能性はないか、既存の対策は有効か、といった観点で見直しを行います。このような運用を行うことで、FMEAは常に実態と一致した状態を維持することができます。

トラブルやクレームを反映する

FMEAを見直すもう一つの重要な機会は、トラブルやクレームが発生したときです。市場クレームや工程不良は、実際に起きた失敗の事例であり、FMEAにとって非常に貴重な情報です。

例えば、想定していなかった失敗モードや、予想以上に発生頻度の高い不具合が明らかになることがあります。このような情報をFMEAに反映することで、分析の精度は次第に高まっていきます。逆に、トラブルの原因分析を行っても、その内容をFMEAに反映しなければ、同じ問題が繰り返される可能性があります。

トラブル対応やクレーム対応の経験を組織の知識として蓄積するためにも、原因や対策をFMEAに追加し、必要に応じて評価を見直すことが重要です。

定期的なレビューを行う

FMEAは、問題が発生したときだけ見直すのではなく、定期的なレビューを行うことも重要です。

例えば、新製品開発の節目、設計レビューのタイミング、年次の品質活動などの機会を利用してFMEAの内容を確認します。定期的に見直すことで、分析の漏れや評価の妥当性を再確認することができます。

また、製品や工程を長く運用していると、新しい知見や改善アイデアが生まれることがあります。これらを製品や工程に取り入れるときに、FMEAに反映することで、より実態に即した分析になります。

定期的なレビューは、FMEAを継続的に改善するための重要な活動です。こうした仕組みを組織の品質活動の中に組み込むことで、FMEAは常に更新される実践的なツールになります。

チームで見直す

FMEAの見直しは、個人ではなくチームで行うことが望ましいとされています。製品や工程には、設計、製造、品質、保全など様々な視点があります。ある部門では気づかないリスクも、別の部門の視点から見ることで初めて明らかになることがあります。そのため、複数部門のメンバーが参加し、意見を出し合いながらFMEAを見直すことが重要です。

また、チームで議論することで、製品や工程に対する理解が深まり、潜在的な問題への気づきも増えます。このプロセス自体が組織の学習につながります。

FMEAは単なる分析ツールではなく、組織の知識を共有し、技術力を高めるための活動でもあります。

技術知識を蓄積しFMEAを「生きた資料」にする

FMEAを有効に活用するためには、それを日常で活用し、技術知識を蓄積して「生きた資料」として運用することが重要です。多くの企業では、FMEAは作成後に保管され、日常の設計や改善活動とは切り離されてしまいます。しかし本来FMEAは、設計や工程改善を考えるための思考ツールです。

設計変更、工程変更、トラブル対応、改善活動などの情報を継続的に反映することで、FMEAは企業の技術知識を蓄積する重要な資産になります。過去の経験や改善の記録が整理されて共有され、FMEAに反映できていれば、次の開発や工程設計の際に同じ問題を繰り返さずに済みます。

FMEAを継続的に更新し、日常の品質活動の中で活用することで、未然防止の仕組みが組織に定着していきます。

まとめ

FMEAは一度作成すれば終わりではなく、設計変更や工程変更、トラブルやクレームの対応、定期レビューなどの機会を通じて継続的に見直すことが重要です。こうした活動を通じてFMEAは現実の設計や工程と常に一致し、企業の技術知識を蓄積する「生きた資料」となります。

定期見直しの仕組みを組織に組み込むことで、企業は問題が起きてから対応する組織ではなく、問題を未然に防ぐ組織へと成長していきます。それこそがFMEAを活用する最大の価値と言えるでしょう。

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この記事の著者

村上豊

製造業改善コンサルタント
村上 豊 (Murakami Yutaka)

名古屋大学工学部、修士課程卒業後、トヨタ系列の電装を担う大手メーカーに30年間従事。製造部門のみならず、国内工場の工場長や英国の新工場立ち上げをも担当する。コンサルタントとして独立後、さまざまな製造業種の企業を支援し、5S活動の理論に基づいて工場の人材育成、生産、保全、品質、製造技術の改革に取り組む。人の能力を引き出し高めるマネジメントで、多くの製造工場の改善・改革、カルチャーづくり、理念経営を支援。

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