ほとんどの企業では、ホームページを制作する理由は、「お客様からのお問い合わせや受注につなげたい」といった集客を期待してのことでしょう。
ホームページ集客の効率を高める手法の1つにランディングページがあります。ランディングページとは、簡単に述べると「そのページを見ただけで、製品やサービスの良さを伝え切り、集客につなげるページ」のことです。
ランディングページでは、BtoCの派手なデザインのランディングページを思い浮かべますが、BtoB営業のためのランディングページは、そうではありません。
このコラムでは、中小企業にとって集客効果の高いBtoB営業のためのランディングページについてご説明いたします。
「当社はBtoBのオーダーメイド品や特注品を扱っているので、ランディングページでは集客できない。」とお考えの方は、目から鱗のことでしょう。ぜひご参考になさってください。
BtoBランディングページでよくある勘違い
当社では、BtoBランディングページ制作で、かなりの集客実績がありますが、ご提案のときにお客様がおっしゃることで、多い勘違いは
当社の製品は特殊品なものだから、ランディングページでは売れない
というものです。当社の見解では、特殊品ほどランディングページで売れるものですから、その固定観念を払拭してさしあげるのに時間がかかって困ることもあります。
他にも次のような典型的な、よくある勘違いがあります。
- BtoB営業では、ランディングページが不向きである。
- ランディングページは、チャラチャラしたデザインなので、当社には不向きである。
- ランディングページは、SEO対策が弱いので、そもそもアクセスを増やすためにコストがかかりすぎる。
- 当社の製品は直接営業でないと販売ができないので、ランディングページ制作は意味がない。
以下の記事をご覧になられて、それらの勘違いを改めていただき、集客の可能性を検討していただけたらと思います。
ホームページで集客するための2つのハードル
ホームページ経由での成果得るためには、次の2つのハードルがあります。この2つのハードルをどれだけ超えられるかが、集客数に影響します。
- アクセス数のハードル
- コンバージョンのハードル
アクセス数のハードル
アクセス数のハードルとは、「どれだけホームページのアクセス数を増やすか?」です。
単純計算ですが、ホームページのアクセス数が2倍に増えたら、ホームページ経由での集客数も2倍に増やすことができます。
ホームページのアクセス数を増やす方法は、いくつか種類がありますが、中小企業のBtoB集客で主な方法としては、次の2種類になります。
- リスティング広告
- SEO対策
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!でネット検索した検索結果画面に、「広告」が表示されることが多いと思います。その広告のことです。
SEO対策とは、日本語では「検索エンジン最適化」と言って、ネット検索したときに自社のホームページを上位ヒットさせる技術のことです。
どちらの方法でもホームページのアクセス数を増加させることができますが、一長一短あるので、それらを組み合わせて行うことが理想的です。
コンバージョンのハードル
コンバージョンのハードルとは、「ホームページにアクセスした人が、自社にお問い合わせしたり資料請求したりする頻度」のことです。コンバージョン(CV)は、日本語で「転換」ですが、ホームページのアクセスが集客に転換することです。
コンバージョンの割合のことを、コンバージョン率(CVR)と言います。例えば、ホームページの月間アクセス数が1,000回あったとして、お問い合わせ数が10回であれば、コンバージョン率は1%ということになります。
BtoB営業でのコンバージョンの種類には、主に次のようなものがあります。
- お問い合わせメール
- 電話
- 資料請求
- 見積依頼
- 商品説明の面談
どれを自社のコンバージョンに設定するかは、会社の戦略によります。どのような戦略を取るにしても、ほとんどの中小企業ではお問い合わせメールと電話は必ずコンバージョンとして設定しています。
何か製品を扱っている場合には、資料請求をゴールに設定した方が良いです。また、製造業であれば、見積依頼をゴールにすると良いと思います。この他にも、オーダーメイドの依頼や試作依頼なども、コンバージョンとして考えられます。
当社では、コンサルティングの無料相談やセミナーの申し込みをコンバージョン・ポイントにしています。
何をコンバージョンとした方が良いのか、企業の事業内容や組織の事情によって異なりますので、ご相談ください。
BtoBとBtoCのランディングページの違い
ランディングページと言えば、派手なデザインで、「今すぐ購入!」といったバナーが多用されているものをイメージする方も多いことでしょう。
しかし、BtoB営業のランディングページでは、このような訪問者に購入を迫るようなデザインにはいたしません。ランディングページに見慣れている私自身、購入を迫られるようなBtoB営業のランディングページを見たら、ドン引きしてしまいます。他の人であれば、なおさらのことでしょう。
派手なデザインのランディングページは、BtoCの製品やサービスを販売しているものがほとんどだと思います。BtoB営業のランディングページは、販売している製品やサービスの性質に合わせたデザインにすることが多いので、派手なデザインにはしないことが多いです。
ここで、BtoBとBtoCのランディングページの違いを表にまとめたいと思います。
BtoB営業 | BtoC営業 | |
---|---|---|
デザイン | シンプル | 派手 |
ターゲット層 | 企業 | 個人 |
決裁者 | 訪問者の上司 | 訪問者本人 |
コンバージョン | お問い合わせや資料請求など | 購入 |
デザインの違い
BtoBランディングページは、BtoCランディングページと比較してシンプルなデザインになります。
後ほどご説明いたしますが、ランディングページ制作の最初に、ターゲットとなる顧客を想定します。どのような人に見てもらい、どのように行動してもらいたいかを考えて、デザインを決めます。
次に説明するように、ターゲット層は企業で働く人ですので、ランディングページを見てくださる方のTPOに合ったシンプルで分かりやすいデザインが望ましいです。
ターゲット層の違い
BtoCランディングページのターゲット層は個人ですが、BtoBランディングページでは企業です。
個人向けと企業向けのランディングページでは、もちろん構成内容が大きく異なります。
企業の場合は、複数の人が製品の購入やサービスの利用を検討し、相見積もりを取ることが多いので、相見積もりの中に入るための要素や、比較検討しやすい情報などを掲載することで、成果に結びつきやすくなります。
コンバージョンの違い
BtoCランディングページでは、コンバージョンは「購入」が多いと思います。決済システムを導入し、その場で購入できるようにします。
BtoB企業での商取引は、消耗品や什器といった普段から利用しているものは別として、基本的にすぐに購入することはありません。そのため、BtoBランディングページのコンバージョンは、業種にもよりますが、できれば資料請求を設定しておきたいところです。
資料請求してもらって、資料を見て検討していただき、いずれ購入してもらえるようにしておくことがおすすめです。
BtoB集客で効果の高いランディングページの構成
BtoBとBtoCのランディングページ比較から、BtoBランディングページの構成は、どのようなものが理想的か見えてきたと思います。
当社では、BtoBランディングページの実績はたくさんございますが、今まで集客効果の高かったランディングページの構成をご紹介いたします。
もちろん、業種やターゲット層、貴社のご事情などによって、ランディングページの構成が異なります。ここでご紹介する構成は、あくまでも参考材料としてお考えください。
BtoBランディングページの基本構成
当社では、BtoBランディングページの基本構成を次のように設定しています。おおよそ、この構成で集客力が高まります。
- ファーストビュー
- 自社製品・サービスのメリットと強み
- 製品・サービスの機能
- 導入の流れ
- よくあるご質問
- ごあいさつ文
- コンバージョン・ポイント
これを基本構成として、ターゲット層が知りたい情報は、自社が伝えたい情報など、さまざまなパーツを組み合わせていきます。
大手企業の製品やサービスを紹介するのであれば、大手企業の信頼性があるので、それほど濃い内容の構成にする必要はありません。しかし、中小企業であれば信頼性が低い分、製品やサービスの説明をしっかり書きこまなければなりません。
そのため、これらの内容を文章化していくと、かなりの文章量になります。
工作機械のランディングページ構成例
基本構成を応用して、工作機械を販売したい場合のランディングページの構成は、次のようなものにすることが多いです。
- ファーストビュー
- 自社製品のメリットと強み
- 製品・サービスの機能
- 製品スペック
- 加工例
- 導入の流れ
- よくあるご質問
- ごあいさつ文
- コンバージョン・ポイント
BtoBランディングページの基本構成に製品スペックと加工例が追加されています。
BtoBランディングページ制作の流れ
BtoBランディングページを実際に制作する場合の流れをご紹介いたします。
当社のBtoBランディングページ制作の流れ
ホームページ制作会社やクリエイターによって、流れは異なると思いますが、当社では次の流れで制作しています。
- ターゲット層の想定
- ペルソナ分析
- 検索キーワード分析
- 競合ホームページ/ランディングページ分析
- SEO対策の強度や費用対効果を検討
- ランディングページの構成/デザイン
- 文章作成
- コーディング
- 最終チェック後に公開
- 検索順位解析
それぞれの項目の検討事項
1.ターゲット層の想定
最初に、製品やサービスを必要としているターゲット層を想定します。どのような企業が、どのような理由で製品やサービスを求めているのかを明確にします。具体的に検討する場合は、マーケティングの3C分析のCustomerとCompanyを行います。
2.ペルソナ分析
ペルソナとは、ホームページを閲覧してもらう対象者のことです。2番目のペルソナ分析では、自社製品をネット検索で探す人を想定して、その人が知りたい情報は何か、どのような情報を掲載したら離脱せずにお問い合わせまでしてもらえそうかなどを検討します。このときの分析手法は、カスタマージャーニーです。
しかし、生産、販売、提供などの社内体制が整っていない企業をコンサルティングする場合、バリューチェーンを検討することもあります。そこで発見されたボトルネックを解消するように、プロジェクト計画を立てていただきます。
3.検索キーワード分析
検索キーワード分析では、対象となるペルソナがネット検索で用いそうな検索キーワードを調査します。この調査結果は、ネット検索経由で製品やサービスがどの程度売れそうか費用対効果を分析する材料となります。
4.競合ホームページ/ランディングページ分析
次に、競合ホームページや競合ランディングページを分析します。競合他社が販売する製品やサービスでマーケティングの3C分析を行い、自社の強みや弱みを検討し、製品やサービスの改善点を検討します。改善点があれば、これもプロジェクト計画に盛り込みます。
5.SEO対策の強度や費用対効果を検討
次に競合ホームページやランディングページのSEO強度を分析します。自社ランディングページやホームページ全体をSEO対策して、競合ホームページよりも上位ヒットさせられそうか、どの程度の強度でSEO対策をしたら上位ヒットさせられそうかを検討します。このときに、フェルミ推定で費用対効果を検討しつつ、利益計画やSEO対策実施計画を立てます。
6.ランディングページの構成/デザイン
これらの分析結果を考慮して、ランディングページの構成やデザインが決まります。また、ホームページ全体の改善が必要となる場合もあります。
7.文章作成
ランディングページの構成やデザインが決まれば、文章作成に入ります。文章作成は苦手な方が多いので、当社の担当者がヒアリングをして、原稿を作成していきます。文章を作成している中で、構成やデザインを変更する場合もあります。
製造業のお客様の中には、「ホームページの中に、製品の性能や試験結果などの数字を掲載しないと売れないのではないか?」と言われることがありますが、それはターゲット層の想定によって盛り込まれる文章の内容が異なってくることにご注意ください。
技術者が購入する場合には、そういった数値を掲載しておく必要があります。決裁者が社長の場合には、数値を掲載することはムダで、会社の信頼性や支払い条件などを掲載しておいた方が良いです。
8.コーディング/9.最終チェック後に公開
デザインと文章が出来上がれば、それを公開用のデータに変換する作業をいたします。その作業のことをコーディングと言います。コーディングができたら、テスト用URLでご確認いただき、問題なければ公開いたします。
10.検索順位解析
公開後は、そのまま放置していてはいけません。目標と立ててランディングページを制作したわけですから、フィードバック分析を行います。具体的には、検索順位の動向やアクセス数、コンバージョン数(CV数)などをチェックして、SEO改善が必要だと感じたときは、それを実施いたします。
また、BtoBランディングページの集客効果を高めるために、コンテンツマーケティングという施策を組み合わせて行います。
SEO対策に強いランディングページ
ときどき「ランディングページはSEO対策に弱い」と勘違いされている方もいらっしゃるので、SEO対策に強いランディングページの制作方法をご説明いたします。
SEO対策が弱くなるランディングページのパターン
さまざまな条件によって異なりますが、SEO対策の基本は、簡単に述べるならば「文章量(情報量)を多くすること」です。
Googleは文字数の多さと検索順位の関連性を否定していますが、当社でさまざまな実験を行った結果、やはり文章量の多いページの方が、上位ヒットしやすいという傾向がありました。その傾向は、今現在も同様です。
BtoCランディングページでは、派手なデザインであることは、先ほど述べたと思います。派手なデザインのホームページは、どうしても画像が多くなります。画像が多い分、文章量が少なくなり、SEO対策が弱くなってしまいます。
SEO対策に強いランディングページの制作方法
SEO対策に強いランディングページの制作方法は、文章量を多くすることです。
当社が制作する多くのBtoBランディングページでは、文章量が多くなります。理由は、ランディングページの訪問者は、製品やサービスの説明を求めている人が多いからです。ランディングページにすべての説明を入れてしまうと、相当な文章量になります。
相当な文章量になると、デザイン性が崩れてしまうので、ランディングページの構成に工夫が必要です。また、SEO対策とデザイン性を両立させのにも工夫が必要となります。
ランディングページのアクセス数を増やす方法
ランディングページのアクセス数を増やす方法は、直接的には上記のリスティング広告とSEO対策です。ランディングページそのものにSEO対策を行う方法以外にも方法があります。それは、「コンテンツマーケティング」と「SNS」の活用です。
コンテンツマーケティングとは、簡単に説明するならば、「さまざまな検索キーワードでの上位ヒットを狙うために、読み物のページを量産すること」です。コンテンツマーケティングでは、ランディングページとは異なる読み物ページを見てもらい、ついでにランディングを見てもらう、間接的にアクセス数を増加させる戦術です。
SNSは、主にXやFacebookがあります。SNSにランディングページをついでに見てもらえるようなコメントを書き込む戦術です。
直接的な方法だけでなく、コンテンツマーケティングやSNSの活用といった間接的な方法を組み合わせて、ランディングページのアクセス数を総合的に増やしていくことが、集客数の増加にとって大事です。
中小企業にとって集客効果の高いBtoBランディングページの構成や、SEO対策についてご説明いたしました。BtoBランディングページの制作をご検討中の方、BtoBランディングページを制作したけど集客ができていない方にご参考になれば幸いです。
集客力の高い中小企業向けBtoBランディングページの制作なら、実績豊富なチームコンサルティングIngIngにお任せください。また、ランディングページ制作を含むSEO対策をも考慮した集客ホームページ制作についてもお気軽にご相談ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。