コーチングでは、実現したいことを明確にするために、さまざまな質問をします。クライアントの中でも、質問されることに慣れていない人は、答えが出にくいことがあります。
次のような、人生の本質に迫る質問は、クライアントの思考が停止してしまうことがあります。
- 一生のうちに実現したいことは何ですか?
- 夢は何ですか?
- 経営資源が何でも手に入るとしたら、どのようなことを実現したいですか?
もし、クライアントが思考停止してしまったときには、後ほどご紹介する魔法の質問をお試しください。
思考停止した人に有効な魔法の質問
先日、とある会社の社長に、コーチングをさせていただきました。そのときに、会社をどのようにしていきたいのか、本質的なことを聞いたのですが、答えが出ませんでした。
1つ目の質問と返答
会社をどのようにしたいですか?
コロナ前の売上高に戻したいですね。
2つ目の質問と返答
なるほど。コロナ前の売上高に戻したいのですね。では、理想的には、どのようにしたいですか?
理想はどうしたいか・・・(10秒ほど悩んで)・・・思いつきませんね。
ここで、オウム返しをしつつ理想について尋ねたところ、クライアント社長は思考停止してしまいました。そこで、3つ目に魔法の質問を繰り出しました。
3つ目、魔法の質問と返答
もし思いつくとしたら、理想はどのようなものですか?
もし思いつくとしたらですか? そうですね・・・、コロナ前のときよりも10倍ぐらいにはしたいですね。
クライアントは「思いつかない」と述べているのに、コーチが「もし思いつくとしたら何ですか?」とおかしな質問をしています。すると、思いつかなかったものが思いついて、会社の規模を10倍にしたいと理想とお答えになりました。
この質問は、日本語としておかしな内容ですが、このように理想を聞いて思考停止してしまったときに、たいへん効果的です。クライアントの理想の状態が出せない場合は、ぜひお試しください。
理想が言えた後は?
このコーチング・セッションでは、クライアント社長はがんばって思考を働かせて、10倍の売上高というチャレンジングな目標を述べました。
クライアント社長は、コロナ前の売上高に戻すことで精いっぱいにもかかわらず、「10倍の売上高なんて実現できるのだろうか?」と心配になっているはずです。
ベテランのコーチは、当たり前のことと思いますが、クライアントが思考停止状態から限界突破し、理想が言えた後の正しい展開と、やってはいけない展開があります。
理想が言えた後の正しい展開
ここで、クライアント社長のエネルギーが尽きてしまっていたら、このままチャンクアップしていっても、また思考停止してしまう可能性があるので、「10倍の売上高は実現できそうだ」と確信を持ってもらってセッションを終了し、次回以降に続きを話してもらうと良いと思います。
クライアントのエネルギーが続くようであれば、出しつくすまで、チャンクアップしていくことが常套手段となります。
理想が言えた後にやってはいけない展開
やってはいけない展開は、10倍の目標をチャンクダウンしていくことです。なぜなら、10倍の目標は、クライアント社長にとって本当の理想とは限らないからです。
もし、10倍の目標が本当の理想でなかったとすると、クライアント社長は心に情熱の火が点り切らないうちに、チャンクダウンしていくことになる可能性があるからです。
コーチは「クライアントが限界突破した」ということで、それをクライアントにとって最上位の理想とはみなさない方が良いです。クライアントの限界突破したところが、本当のスタートラインです。
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この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。