社長の夢実現への道

中小企業が売上高を2倍にする方法

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中小企業が売上高を2倍にする方法

世の中を見ていると、成長企業は毎年の売上高が2倍に成長していくことが、当たり前のように起きています。

売上アップを目指しているのにもかかわらず、売上高が伸びていない企業は、事業構造に何か問題があります。

この記事では、中小企業で売上高を2倍にすることを目標として、そのための考え方や当社のコンサルティング支援での点検箇所などをご説明いたします。

売上高を2倍にするための計算

売上高を2倍にする方法は、次の式に基づくと考えやすいです。

  1. 売上高 = 客数 × 客単価
  2. 売上高 = (新規顧客 + リピート客) × (単価 × 販売数量)

1つ目の式では、売上高を2倍にするためには、客単価がそのままですと客数を2倍にすればよいです。反対に、客数が一定であれば、客単価を2倍にできるように提案ができたら良いと思います。客数と客単価の両方を均等に増加させたとすると、それぞれ1.4倍にすればよい計算になります。

2つ目の式は、1つ目の式の「客数」を「新規顧客 + リピート客」に、「客単価」を「単価 × 販売数量」に分解したものです。リピート客のある商売をされている方であれば、客数は新規顧客とリピート客の合計になります。また、客単価は商品の単価に販売数量を掛けたものになります。

これらの項目をどのように増やすのか、その組み合わせで売上高が2倍になるようにすれば良いはずです。

今までリピート客が少ないようであれば、リピート客の数が増えるように施策をします。また、新規顧客がゼロであったならば、それが増えるように施策をします。単価が今まで通りであれば、単価を上げられるように提案営業をしたり、商品の付加価値を高めたりすることが大事です。

販売数量は、お客様1人当たりの販売数量になるので、たくさんの商品を買ってもらえるように施策ができるかもしれません。

数字の上では、このように簡単に考えることができますが、実際に施策を行い、売上高を2倍にするためには、いろいろと検討しないといけません。その具体的な検討内容や施策内容について、詳しくご説明したいと思います。

なぜ売上高を2倍にしたいのか?

売上高を2倍にしたいと考える社長に、まず訊ねることは、「なぜ売上高を2倍にしたいのか?」ということです。

売上高目標を2倍に設定したら社員が辞めていかないか?

売上高を2倍にする理由が、社長の自己中心的な理由であったならば、売上高が2倍になっても社員のお給料が増えないばかりか、社員の仕事量が増えてしまうので、社員は反発すると思います。その究極が、社員が全員辞めていってしまうことです。

そうなると、売上高を2倍にするどころか、会社の存続が危なくなってしまいます。

売上高を2倍にすることで、社員にどのようなメリットがあるのかを明確にし、売上高を2倍にするための協力を要請することが大事です。社員に対するメリットとしては、次の2つのことを掲げることが大事です。

  1. 大義名分
  2. お給料の増加

大義名分とは、自社の地域社会、業界、国、世界などへの貢献です。社員は、自分が取り組む仕事に意味を考える人が多いものです。自社の商品やサービスが、誰にどのように貢献しているのかを明確にすることが、社員のやる気に繋がります。

また、売上高が2倍になれば仕事量が増えますが、その増えた分に応じてお給料が上がるようになれば、社員のやる気に繋がります。また、社員が増えて今いる社員の中からリーダーに成長していく人も出てくると思います。スキルアップによって、地位とさらにお給料が上がるようにしてあげることが、お給料が上がるまでの大変な時期を乗り切る社員のモチベーションにもなります。

利益を2倍にしたいのか?

零細企業であれば、売上高よりも利益を2倍にした方が良い場合があります。なぜなら、社長お一人で働いている場合もありますし、従業員がいた場合でも人数が少ないので、生産性が高められないために、2倍の売上高の仕事量をこなすことが難しい場合があるからです。

小企業の中で「中企業に成長させたい」とお考えであれば、利益よりも市場占有率が優先される場合があります。市場占有率を高めるためには、おおざっぱに述べると売上高を高めることと同義ですので、売上高を2倍にすることを考えた方が良いです。

零細企業であれば、売上高よりも利益が2倍になった方が、社長のお給料や会社の安定度につながるので、売上アップではなく利益アップを狙った方が良い場合もあるのです。

零細企業における利益アップの基本は、顧客の絞り込みと高付加価値商品の開発です。

売上高が2倍で良いのか?

売上高を2倍にすることは、会社にとって大きな負担になることがあります。場合によっては、大きなイノベーションを必要とする場合もあります。今のリソースのままで売上高を1.5倍にできる方が幸せな場合もあるからです。

また、社長によっては大志をお持ちの方もいらっしゃいます。そういった方であれば、売上高を3倍や10倍を狙っても良いわけです。3倍や10倍は1~2年といった短期間で達成することは稀ですので、逆算で長期計画を立てることが大事です。

いつまでに2倍にしたいのか?

零細企業で、「何年か先に2倍になればいいな」という程度であれば、売上高を2倍にする期限を決めなくても良いですが、大志をお持ちの社長や、倒産の危機にある社長は、のんびりしていられません。特に倒産のリスクがある場合には、売上アップが急務です。

売上高を2倍にして倒産のリスクを避けるパターンとしては、「生産性の競争になり始めた場合」と「自社の商圏内に新しい競合他社が入り込んできた場合」です。

生産性の競争の場合、スケールメリットを出していかなければいけませんので、売上高を高めることが急がれます。特に、新しい技術によって生まれた産業は、一瞬でウワッと企業数が増えるのですが、数年~10年後には生産性の時代に入ります。その傾向が出たときに、売上高を年々に倍々で増やすぐらいの覚悟と実力がないと、その業界では生き残れません。

この場合は、緊急性を要するので「いつまでに2倍にしたいのか?」と言うよりは、「いつまでに2倍にすべきなのか?」です。

また、自社の商圏内に新しい競合他社が出現してきているのであれば、今すぐに対抗手段を打たないといけません。新しい競合他社のために、いつ売上高が激減してしまうのか分かったものではないからです。売上高が激減する前に手を打たなければなりません。

新しい競合他社が入り込んだ隙を埋め、市場占有率を高めて、できれば新しい競合他社を排除し、これからも新しい競合他社が入ってこられないようにすることが基本戦略となります。

売上高が2倍になったときの市場に対するリスクは?

売上高が2倍になれば、会社が成長して安定するように思われるかもしれませんが、新しいリスクが生まれる場合があります。それらのリスクも想定して、対応していかなければ、倒産の憂き目に遭いかねません。

サービス低下による信頼失墜のリスク検討

売上高が急激に増えて2倍になると、仕事量が2倍にならなかったとしても、仕事量が増えてしまうことは予想できます。それによって社内が混乱して、良いサービスができなくなったときに信頼を失ってしまうリスクがあります。

「仕事量が増えたら、社員を雇ったらいいではないか」と簡単に思われる社長もいらっしゃることでしょう。しかし、人を雇っても、すぐに戦力になりません。店舗経営をされているのであれば、単純計算で店舗数が2倍に増えるので、店長の数を2倍に増やさないといけないので、社員育成が追い付かない可能性もあります。

そういったことも検討しながら、どのようにして売上高を2倍にするのか総合的に戦略を立てることが大事です。

大手競合他社の尾を踏んでしまうリスクの検討

売上高が2倍になると、それまでは気にしていなかった大手競合他社が動き出すことがあります。

ライオンが木陰で休んでいたとして、草食動物が静かに餌を食べていたら気付かれることはありませんが、その前をウロチョロと走り回るようになると、すかさず飛び掛かられてしまいます。それと同じように、大手企業に目をつけられてしまったら、自分の縄張りを荒らされることを防ぐために、容赦なく攻撃されるものです。

市場分析は顧客の分析だけでなく、競合他社の分析も大事です。自社の商圏内にどういった企業があり、どの地域でどれくらいの市場規模を持っているのか。自社のランクはどの程度なのかといったことを調べます。自社よりも大手企業が対抗してくる可能性やそのリスク、対抗策などを検討しながら、売上高をどのように高めていくのかを考えるのです。

売上高を2倍にするために何か施策中のものはあるのか?

当社にコンサルティング支援が要請されたときには、たいていの企業様では売上アップを計るために、新商品を開発していたり、営業部門の社員教育をしていたりと、何らかの手を打たれていることが多いです。

そういった施策中のものの中で、明らかに売上アップをしそうなものは続けてもらい、無駄になりそうなものや何らかのリスクのあるものは、いったん止めてもらいます。そして、売上高を2倍にする計画の中で必要だと感じるものは、時が来たら再開します。

売上高を2倍にすることは、全社で取り組む内容ですので、集中が大事です。各部門で施策内容は異なりますが、順番通りに1ずつ集中して取り組むことが大事です。

今までの取り組んできたことがあったときに、「今まで、せっかくやってきたから」という理由は退けて、いったん止めることが大事です。そして計画や方針を立てて、再開させるべきものは再開させたらよいのです。

事業構造に売上アップを止める原因はあるか?

企業によっては、今まで売上高が横ばい続きであったとしても、1~2年ほどで売上高を2倍にすることができる場合があります。それが可能かを検討するために、事業構造に問題がないかを検討します。

具体的には、次の項目について洗いざらい問題を出します。

  • 対象顧客に問題はないか?
  • 商品の価格に問題はないか?
  • 商圏を広げ過ぎていないか?
  • 商品構成に問題はないか?
  • 原材料に問題はないか?
  • 商品の製造に問題はないか?
  • 商品の見栄えに問題はないか?
  • 売り方に問題はないか?
  • 商品の提供方法に問題はないか?
  • 会社の仕組みに問題はないか?
  • 人員配置に問題はないか?
  • 新規開発の方向性に問題はないか?
  • 資金面に問題はないか?

これらの内容は、経営方針によって定められているものですが、それらが明確に定められていない場合には、社長が方針を明確にできていなかったり、見落としていたりして、売上高の伸びを抑制していることがあります。

これらの項目について解説いたします。

対象顧客に問題はないか?

世の中にはいろいろな業種の会社がありますが、それぞれ対象としている顧客が異なります。企業によって、顧客を明確に定義しているところもあれば、あいまいにしているところもあります。

社長がお一人で営業をしている零細企業であれば、顧客を明確に定義することは、できればやった方がいいですが、定義していなくても良い場合が多いです。社員数が増えてきて、社員が直接的、もしくは間接的に営業活動をするようになってきたら、顧客を明確にした方が良いです。

さて、定義した顧客に問題があり、自社の強みが活かされずに、売上アップを抑制していることがあります。

例えば、当社であればWebマーケティングに強い会社ですので、当社にホームページ制作のご依頼をいただく場合、売上アップを狙っている企業様に導入してもらえると、強みが発揮されます。場合によっては2~3年で売上高を2倍に伸ばすことも可能です。

もし、当社が対象顧客を「ホームページ制作したい企業」と、漠然と定義していたとしたら、どうでしょうか?

ホームページ制作の売上高の増大を見込んでも、市場が大きくなるので、価格競争に巻き込まれてしまいます。有名企業と比べると、市場占有率や認知度が低いこともネガティブ要因となって、価格競争に勝てず、労力の割に売上高が伸びないことでしょう。

自社の強みが発揮でき、大きな貢献ができる顧客を対象としていない場合には、その絞り込みをして、販売方針を見直すことが大事です。

商品の価格に問題はないか?

商品の価格が競合他社よりも割高であれば、割高でも購入してもらえるための理由が必要です。しかも、その理由はお客様都合での理由でなければならず、自社都合の理由で値上げをしたら、お客様から振り向いてもらえません。

例えば、八百屋さんが2件あったとしましょう。1件目では、野菜を100円で売っていたとします。2件目では120円で売っていたとします。

120円の野菜が、見た目でかなりの大きさに見えたり、100円の野菜よりも明らかに美味しそうに見えたら、120円の方を購入してもらえるかもしれません。同じような商品であれば、もちろん、顧客は100円の野菜を買います。

また、自社の規模に対して値段が高すぎるもの扱っている場合、売上高が伸びない場合があります。

例えば、10人の会社で1台1億円の工作機械を製造していたとすると、その機械を製造するために社員全員が取り掛かり、他の仕事ができなかったとしたら、他の顧客の仕事を断ったり、納期を伸ばしたりして、他のお客様にご迷惑をかけてしまうので、信頼を失ってしまいます。また、工作機械の部品を仕入れて納品するまでの仕掛期間が長くなり、大口の在庫を持つことになるので、経費の割合も増えてしまいます。

このように、自社の規模に対して1件当たりの売上高が高い場合には、売上高を増やすことが難しくなる場合があります。

商圏を広げ過ぎていないか?

企業によっては、商圏を広げ過ぎているために、売上高が増やせないところもあります。対象顧客の定義付けにも関連することです。

商圏が広いと、それだけ営業担当者や納品の移動時間が多くなり、顧客にサービスをする時間が減ったり、生産性が悪くなったりします。それによって、売上高を落としている場合があるのです。

例えば、零細企業のときは、とにかく会社が生き残ることや、社員にお給料を払うことが大事ですので、どのような仕事でも無理して受注する傾向があります。そして、リピートするように良いサービスを提供します。

そのお客様がリピートしてしまうと、会社の成長時に足かせとなってしまう場合があります。

とある外壁塗装の企業で、営業担当者に適切に営業エリアを指示していないために、自社から遠くのマンションの外壁塗装を受注してしまい、大赤字になった企業がありました。その受注は大型案件だったのにもかかわらず、最終的には大幅な赤字になったそうです。

社長は、自社の商圏を方針として打ち出し、営業担当者に徹底した方が良いです。

商品構成に問題はないか?

商品構成の問題としては、商品のカテゴリごとのアイテム数が少なすぎたり、カテゴリを増やし過ぎたり、商品の編成に問題があったりして、売上アップを止めている場合です。

業種にもよりますが、お客様は商品を選んで買う傾向があるので、商品のカテゴリごとのアイテム数が少ないと売れない商品があります。例えば、スーパーマーケットに並んでいる豆腐の種類や、コンビニに並んでいるグミの種類はどれくらいあるのか、数えてみたら驚くはずです。そのように、「枯葉も山の賑わい」で一定の種類を置いておいた方が売れる場合があります。

また、反対にアイテム数が多すぎた場合は、経営の生産性が落ちてしまうので、結果的に市場競争力を低下させて、売上高が伸びないこともあります。

商品のカテゴリを増やすと、それだけ顧客が増えて、売上高が増大しそうに思うことがあります。例えば、家具の販売店であれば、テーブルや椅子、棚、こたつなど、あらゆるカテゴリの家具をそろえるパターンです。

カテゴリを増やすことは、大型の売り場のある店舗であれば問題はありません。それぞれのカテゴリで、数アイテム取りそろえることができるからです。しかし、小さな店舗ではそうはいきません。

先ほど、お客様は選んで買う傾向があることを述べましたが、商品のカテゴリを増やし過ぎてしまったら、それぞれのカテゴリでアイテム数が少なくなり、売れるものも売れなくなってしまい、在庫切れで機会損失を生み出すことにもつながります。

また、商品のカテゴリが増えてしまうと、何でも屋になり、零細企業では在庫切れや顧客フォローができなくて信頼を失い、売上高が伸びないこともあります。

売上高を伸ばすためには、零細企業であればあるほど商品のカテゴリを減らし、専門性を高めていくべきです。

原材料に問題はないか?

飲食店では、原材料の良さが提供する商品の品質に直結します。そのように、原材料の良し悪しが売上高に直結する業種の場合は、原材料の見直しを検討します。

長くお取引をしている仕入先があれば、お互いに甘えが出てくるので、他社が高品質で低価格な原材料を販売していたとしても、長くお付き合いをしている業者から仕入れ続けることがあります。売上高を2倍にするために品質を高めるべきであれば、原材料の見直しを検討すべきです。

工作機械を仕入れて販売している商社をしていて、売上高を2倍にしたいのであれば、工作機械の品質に問題がないかを検討します。廉価な商品を販売している企業であれば、市場動向を確認しつつも、少し高性能な工作機械を仕入れて、テスト販売することも検討します。

商品の製造に問題はないか?

原材料が良かったとしても、製造の腕前に問題があれば、競合他社よりも製品としての品質が悪くなり、売上高を増やせない場合があります。飲食店であれば、味に相当する部分です。

製品の品質が高いと、それだけリピートする割合が増えて、客数が増えるわけです。

商品の見栄えに問題はないか?

商品の見栄えでも売上高に影響します。店舗経営であれば、陳列されている商品の見栄えが良ければ、見ている人の期待感が高まり、売上につながりやすくなります。

見ている人が購入につながる割合を「コンバージョン率」と言います。見栄えが良いとコンバージョン率が高まり、客数を増やすことができる場合があります。

また、商品によっては、提供するときのラッピングも見栄えが大事になることもあります。

売り方やPR方法に問題はないか?

売上高が増えない理由として、売り方やPR方法に問題がある場合もあります。

例えば、同じお店が2店並んでいて、片側は愛想の良い店員さん、もう片側は愛想の悪い店員さんであれば、もちろん愛想の良い店員さんの方の商品を買いたいと思うことでしょう。

顧客が商品を購入する理由は、価格や品質など多くのパラーメータを検討して比較しますが、売り方もその一つです。

また、いくら良い商品を開発したとしても、その存在や良さを顧客が知られなければ売れません。商品の存在や魅力を知ってもらう方法の検討も大事です。

当社のコンサルティング支援で、ホームページを刷新したところ、2年後に売上高が2倍以上に伸びたクライアント企業様もあります。

商品の提供方法に問題はないか?

商品の提供方法に問題があり、売上高を落としている場合もあります。商品の提供方法としては、ラッピングや配送方法や提供する時間帯、タイミングといった内容です。

納品が2日の企業と3日の企業があったとしたら、同じ品質・同じ価格のものを購入するとなると、急いでいたら2日で提供してくれる企業から購入します。

そういった提供方法を検討して、競合他社が当たり前のようにできていることは、自社でも行えるようにした方が良いです。特に顧客が求めているサービスで、自社が劣っていることがあれば、改善することが大事です。

会社の仕組みに問題はないか?

調達、製造、見栄え、提供方法の問題について検討しましたが、それらを改善し、誰でも高品質な仕事ができるようにすることが「仕組み化」です。

仕組み化をする場合に、よくある勘違いがあります。それは、成果の平均を出して、平均以下の仕事をしている人を平均以上の成果を出すように仕組み化をすることです。正しくは、もっとも成果を出す人のやり方を基準として、それを仕組み化することです。

誰でも高いレベルの仕事ができるようになれば、売上高が増えることは当たり前のことです。そして、もっとも成果を出している人は、その方法で成果を出せているわけですから、それを誰でもできるようにしたら良いのです。

そして、零細企業や小企業では、仕組みの基準を決められる人は社長です。社長が率先して仕組み化に協力することが大事です。社長に仕組み化をしていく意思がなければ、仕組み化ができないのです。なぜなら、社長が決められたことを守れずに例外をつくる最たる人物だからです。

例外がたくさんある企業は、その分だけ生産性が悪くなります。社長は、なるべく例外をつくらずに、標準化すべきものは仕組みに取り入れるようにしてください。

人員配置に問題はないか?

人員配置とは、どの部門に何人配置するのかを検討することです。人材配置は、分業による適材適所が基本です。

零細企業や小企業では、社員は何でもできる人であることが大事ですので、適材適所はある程度は考えても、何でもできることが大事です。

どこの部門に何人配置するのか、人員配置の人数は、社長の得意分野に関連する場合が多いです。開発の大好きな社長は、開発部門や製造部門に人員を多く配置する傾向があります。営業が得意な社長は、営業部門の人員をそろえる傾向があります。それがアンバランスになっていることで、売上高を落としている場合もあります。

また、横の連携ができていない企業では、営業部門が暇なときは製造部門が忙しくなり、逆に営業部門が忙しい場合は製造部門が手隙になるといったこともあります。中小企業では、部門ごとに責任権限を与えるのではなく、会社全体の一員として部門間の連携を行い、営業部門が手隙のときは製造部門を手伝ってあげるくらいの連携があっても良いと思います。

新規開発の方向性に問題はないか?

売上アップのためには、新規開発が大事になることは、多いことと思います。新規開発をすることに問題はありませんが、その方向性に問題があることが多いです。

まず新規開発をする前に、既存商品の分析を行って、既存商品の改善を先に行なった方が良いか、それとも新規開発が必要なのかを検討します。どちらにしても、開発部門のリソースが取られるので、どちらかに集中することが大事です。

また、新商品を開発する場合には、多品種化をするのか多角化をするのかを検討した方が良いでしょう。

企業によっては、オーダーメイドを扱っていて、新商品開発を常に行っているところもあります。例えば、スクラッチのシステム開発をしている企業がそれです。

顧客からの依頼でオーダーメイドをする企業は多いことと思います。ところが、オーダーメイドは規格化されていないので、企画から販売までのリードタイムが長くなります。すると、そこに多くのリソースが割かれることとなり、他の仕事がおろそかになってしまう場合もあります。

余計なオーダーメイドをしている企業では、それらを標準化するための新規開発も検討することが大事です。また、なるべくサブスクリプションモデルの新商品を開発できないか検討することが大事です。

資金面に問題はないか?

いろいろな問題についてご説明いたしましたが、どれも資金あっての問題解決です。資金面に問題があり、大胆な手が打てない場合もあるので、売上高を2倍にするための施策内容に応じて、資金調達が大事になります。

資金調達には、いくつかの手法があります。

今ある手持ちの予算を増収増益しやすい方策に投入して利益を生み出し、その利益をさらに大きな費用のかかるものに投資していく方法が、もっとも安全な方法です。この方法ですと時間がかかります。

銀行調達をする場合には、経営計画書や経営方針書、プロジェクト計画書を作成し、銀行の担当者に納得していただけるようにすることが大事です。

売上高を2倍にするための具体的方法の検討

上記の問題を踏まえ、フェルミ推定で売上高を2倍にするための方法を検討します。検討された方法は、短期経営方針やプロジェクト計画としてまとめます。

具体的方法を検討するための市場調査

売上高を2倍にするために、まず市場調査が大事です。市場調査は顧客と競合他社、自社の3つを分析します。

競合他社の分析は、顧客のニーズやウォンツ、シーズです。ニーズは、顧客が求めている価値のことです。ウォンツとは、ニーズを満たしたい理由です。例えば、「自動車が欲しい」というニーズがあれば、そのウォンツは「自家用車で家族旅行をしたい」といったものです。シーズとは種ですが、まだニーズになっていない潜在ニーズのことです。

中小企業ではニーズやウォンツを狙い、シーズには手を出さないことが基本となります。シーズを狙い、新しい市場を創ったとしたら、それだけ独占ができるかもしれませんが、大手競合他社がその市場にうま味を感じたら、資金力でウワッと出て来られてしまいます。そうすると、価格競争におちいって、生産性の低い中小零細企業は太刀打ちができなくなります。

市場を調べるときに、自社の商圏内の全体の市場規模を予想することはとても大事です。売上高を2倍にできる市場やニーズがなければ、2倍にすることはできません。その場合は、自社の強みによって、商圏を広げるか、多角化を検討します。

競合他社の分析では、競合他社が提供できている価値と売上高、もしくは市場のランクを分析します。競合他社が提供できている価値を自社でも提供できるようになったら、それだけで売上高が増大することもありますし、その価値提供に打って出るときに、自社と競合他社のランク差が大きいと、慎重に打ち出すことが大事です。

そのようにして、顧客と競合他社を調べて、自社と比較して、何が足りないか、何を強化していくべきかを検討します。

売上高を2倍にするための方法に制約はあるか?

売上高を2倍に増やしていくための良策を発見したとしても、自社の制約によってその良策が行えない場合があります。

例えば、親会社の商品を販売する子会社が、売上高を2倍にしたいと考えたとします。子会社が、親会社が製造している商品しか売ることができなかったら、他に売れ筋の商品が仕入れられたとしても、現在の商品は変えられません。その場合には、親会社に競合商品と自社商品の比較と市場分析を親会社の経営陣や開発陣に伝え、自社商品を改善してもらうことが大事です。

しかし、親会社の経営陣や開発陣を説得できなくて、それすらできない場合もあります。そういった制約の中で、どのようにして売上高を2倍にしていくのかを考えなければならない場合もあります。

どの方法を組み合わせて売上高を2倍にするのか?

いろいろな制約がある中で、何を改善していけばよいのか、どのような新商品を開発していったらよいのか、それらを組み合わせて売上高が2倍になるように検討します。

その場合、フェルミ推定で予測しながら検討することが大事です。具体的には、次のようなことです。

  • 店舗数を2年かけて1店舗増やし、2年後には売上高を1.5倍にできる。
  • 得意先回りの頻度を2倍に増やしたら、1年後には売上高を1.3倍にできる。
  • 市場調査から既存商品の性能を10%高めることで販売数を20%ほど増やせる。開発に半年ほどかかるので、販売数が20%増やせるのは1年後だ。
  • 既存商品を他業界に転用できるように改良して、販路を広げることができ、特約店を3社増やすことができる。
  • 増やした特約店の取引で、1年後には1.5倍の売上高にできる。
  • 顧客にアンケートを取って改善点がないかを検討し、リピート率を50%に高める。

こういった内容を検討して、目標期間内で売上高が2倍になるように、やるべきことを決めます。

やるべきことが決まれば、それを経営方針としてまとめます。経営方針の内容は、上述した問題の内容に沿ったものになります。そして、社長命令として全社員に方針通りに実施してもらえるようにお願いをします。

経営方針ができたら、誰がいつまでに何を実施するのか、順序を決めて行います。

施策方法の中には、新商品開発といったプロジェクトとして立ち上げるべき案件も出てきます。そういった案件は、プロジェクト計画を立てます。

実施内容のフィードバック分析

誰がいつまでに何をするのかが決まり、実施に入ったら、定期的に慎重をフィードバック分析することが大事です。

フェルミ推定で売上高を2倍にする方法を検討しましたが、その方法が合っているのか、間違っているのか、予定通りなのか、予定通りでないのかを検討することによって、後の経営方針の転換に役立てることができるからです。

会社で月次決算をしていたら、社長は売上高の傾向をつかむために、月次の売上高の移動累計を取るようにしてください。何かの施策を開始したときに、その施策内容が正しければ、移動累計のグラフが上向きになります。反対に、施策内容に間違いがあれば、移動累計のグラフが横ばいか、下向きになります。そのようにして、すぐに施策内容が正しいのか、間違っているのかがわかります。

移動累計の詳細は、「売上高が下がる傾向をいち早くつかむ方法」をご覧ください。

施策内容が正しいと判断されたら、それをもっと良くできないかを検討します。また、間違っていると判断されたら、すぐに元の状態に戻すべきか、それとも間違っている箇所を改善していくのかを検討します。

売上高が2倍を達成しそうになったら次にどうするのか?

社長に自信が出てきたら、さらなる売上アップを目指す場合があります。さらに売上アップを目指す場合は、実は容易に行える場合があります。なぜなら、「何をしたらどれくらい売上が上がるのか」を把握できているからです。また、多くの経営の書籍で、さまざまな壁についても検討されているので、過去から学ぶことができるからです。

このまま続けていったら3倍、4倍と伸ばせそうか?

今の人員のままで売上高が2倍になっていたら、それ以上の売上高の増大のためには、人員を増やすことが必要になると思います。生産性の向上だけでは限界があるからです。

その場合にぜひとも検討していただきたいことが、「外作ができないか?」ということです。

外作をすると、過渡期の生産量を外注すれば、自社の固定費の増大を抑えることができます。また、外作ができる業者が増えたら、自社で社員を募集して育てるよりも早く、さらなる売上高の増大に対応できるようになります。

そのようにして、なるべく社員をふやさないで、できれば今の人員のままで売上高を3倍、4倍と増大させられそうかを検討してください。

固定費が増えてしまったら、それだけ小回りの利かない会社になってしまう恐れがあります。固定費をなるべく減らして、市場の変化に対応できる会社を創り上げることが、さらなる売上高の増大につながります。

ナンバー1を目指したいと考えた場合

社内に売上高を増大させていくための仕組みができ、さらなる売上高の増大の自信がついたら、企業の安定のためにもナンバー1を目指してください。何のナンバー1を目指すのかは、社長に芽生えた志によります。

例えば、地域ナンバー1、技術力ナンバー1、美味しさで日本一などといった目標をかかげます。

ナンバー1企業になったら、売上高が安定するようになるのですが、そのためだけにナンバー1を目指すのではありません。社員のやる気のためにナンバー1を目指すのです。

今までの売上高を増やす方法は、ナンバー1企業の真似をして追いかけることで、それが実現していました。

売上高が増大してしまったら、さらに売上高を伸ばすためには、ナンバー1企業の追従だけでは実現できなくなります。そこで、ナンバー1企業を目指すのです。

そのためには、自社が社長のための企業から公のための企業に成長していくという、社長のマインド変革も必要となります。また、ナンバー1になるためには、自社に経営理念と新技術の開発や導入が必要となります。

以上、中小企業で売上高を2倍にするための方法をまとめました。これらを具体的に検討していくことは、おそらくは社長お一人では難しいことと思います。そこで、当社にてご支援をさせていただけたらと思います。

売上高を2倍にするための大義名分を立て、短期経営計画や経営方針を策定し、社内の事業構造をイノベーションしつつ、ホームページを改修して、2年後に売上高の2倍を目指します。

まずは、無料の体験コンサルティングをご利用ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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