従業員数が10~20人ほどの中小企業では、ホームページ制作はたいてい社長が対応してくださいます。
会社の規模がそれ以上に大きくなってくると、社員の一人にホームページ担当をさせることもあります。
そういった社員の人は、ホームページの知識はあっても、制作の知識までは持ち合わせていないことがほとんどのことと思います。
この記事では、そういった担当者に抜擢された社員の方が、最低限知っておいてもらいたいホームページ制作に関する基礎的な知識についてご説明いたします。
ホームページの成否が、ご自身や会社の運命をも左右することがあります。その成否は、担当者の知識レベルに左右されるのです。
ここに記載されていることを暗記するほどに理解することをおすすめします。
最初にホームページの用語を覚える
簡易的なホームページを制作する場合は、外部業者に委託し切って制作することは可能です。その間、あまり専門用語は出てこないと思います。
しかし、集客力の高いホームページを制作する場合は、たくさんの専門用語が出てきます。ホームページに関する用語、SEO対策に関する用語、マーケティングに関する用語などです。場合によっては、経営に関する用語も出てきます。
後ほどご紹介する、ホームページの目的レベルが高くなると、打ち合わせで出てくる専門用語の種類も多くなります。
その打ち合わせの中で知らない用語が出てきたら、その都度、制作会社はお客様に対して用語解説を挟むために、打ち合わせの時間が圧迫されてしまいます。打ち合わせの時間が用語解説だけに取られてしまい、ホームページ制作が進まないこともあります。
特に、電話やオンラインでの打ち合わせのときに、知らない用語があると、解説が難しくなります。メモを見せながらの解説が難しいからです。
また、用語の意味を曖昧な理解のままで打ち合わせが進んでいくと、制作会社との意思疎通がうまくいかなかったり、間違った意味で捉えられたりして、出来上がったホームページが思っていたものと異なることもあります。
そのようなことから、ホームページ担当者になったら、最初にホームページに関する専門用語を覚えるようにしてください。また、業者との打ち合わせで判らない用語が出てきたら、その意味を業者に尋ね、しっかりメモするようにしてください。その用語をまとめることで、自分だけでなく自社にとってのノウハウにもなります。
最低限知っておくべき用語がまとめられた「ホームページ用語解説」をご参照ください。
取組の前にホームページを刷新する目的を明確にする
ホームページ制作を社長から依頼されたら、自分の考えだけで制作したら良いのではなく、社長のご意向に沿ったものに刷新する必要があります。
企業がホームページを刷新する場合、必ず目的があります。デザインを変えたいだけなのか、集客をしたいのかといった、さまざまな目的があります。
そこで、社長の本音を引き出すことが大事なのですが、その前にご自身が「ホームページで何が実現できるのか?」を、出来るだけ細かく知っていなければいけません。その知識の範囲が、ホームページを制作しての成否を分けます。
中小企業がホームページを制作する4種類の目的
その目的レベルには、おおざっぱに次の4段階のレベルに分けられます。
- 目的レベル1.名刺代わりにホームページを持ちたい
- 目的レベル2.自社の認知度を高めたい
- 目的レベル3.ホームページ経由で新規顧客獲得をしたい
- 目的レベル4.ホームページ経由での新規顧客獲得はもちろんのこと、しっかり利益が出るようにしたい
中小企業の社長が、社員にホームページの刷新を命令するときは、社長がこの4つのレベルのうち、どのレベルのホームページを所望しているのか、明確に述べてくれない場合が多いと思います。
目的レベルが高くなると、ホームページ制作の難易度も高くなります。
目的レベル1.名刺代わりのホームページを持ちたい
目的レベル1は、名刺代わりにホームページを持ちたいという理由です。
会社を起業したら、誰しも名刺くらいは持ちます。最近は、少し進化して「ホームページくらいは持つ」ということが当たり前になりました。営業活動をしたときに、ホームページすらない企業は信頼に値しないとみなされてしまうためです。
この目的レベルを期待している社長は、自社ホームページを持てば安心できるかと言えばそうではなく、競合他社のホームページのデザインを気にしていることが多いです。競合他社よりも、魅力的なホームページを制作することが大事になります。
目的レベル2.自社の認知度を高めたい
この目的レベルでは、次の2種類のお考えを持つ社長がいらっしゃいます。
- ホームページのアクセス数を増やしたい
- 自社をブランディングしたい
自社の認知度を高めたいから、自社ホームページのアクセス数を増やしたかったり、自社をブランディングしようとします。
ホームページのアクセス数を増やす方法は、当社が推奨する方法はSEO対策ですが、SNSに投稿したり、リスティング広告を出したり、YouTubeチャンネルを持ったりと、さまざまな方法があります。
SEO対策について
SEO対策とは、特定の検索キーワードでネット検索したときに、自社ホームページを上位ヒットさせるための手法です。SEO対策の方法は、何か決まった方法があるわけではなく、施策レベルによって施策内容が異なり、手間や費用も異なります。
1つだけの検索キーワードで上位ヒットさせる場合と、複数の検索キーワードで上位ヒットさせる場合とでは、施策方法が異なります。また、SEOキーワードによって上位ヒットさせるための難易度が異なるため、それによっても施策内容が異なる場合があります。
どのようなSEO対策を行うのかは、どれだけアクセス数を増やしたいのか、予算や時間などのリソースとの兼ね合いで決めると良いと思います。
ブランディングについて
また、自社のブランディングを考えている中小企秒の社長は、たいていブランディングの意味を間違って理解しています。例えば、「かっこいいデザインのホームページを作成すること」をブランディングと称していることが多いですし、自社のロゴを刷新することをブランディングと称していることさえあります。
広告代理店の社長ですら、勘違いしていることもあったので、本当に困ります。
その社長に、「社長、ブランディングの意味が違っていますよ」とお教えしても、反発を食らうだけですので、社長の思惑通り、かっこいいデザインのホームページを制作するように心がけた方が良いです。
社長が会社の認知度を高めたいと考える理由は、会社の顧客数を増やすためです。会社の顧客数を増やすために、会社の認知度を高めることを考えるのですが、実のところ認知度を高める施策が、そのまま顧客数が増えることにはつながらない場合が多いです。
目的レベル3.新規顧客を獲得したい
社長に会社の認知度を高める理由を尋ねると、社長の返答はもちろん「新規顧客の獲得のためだ」と答えられることでしょう。社長からすると、「変なことを訊ねるものだ」と首をかしげてしまうことと思います。
ですので、ホームページ担当者としては、社長から目的レベル2「会社の認知度を高めたい」ということを聞いても、真っ当に「Yes」と返事をしてはいけないのです。Yesと返答をしつつも、「認知度を高めて、新規顧客を獲得したいということですね?」と、相づちをしてください。すると、社長は「そうだ」ということになります。
ホームページ制作の目的が新規顧客の獲得となると、認知度を高めることとは施策内容がより複雑になります。
目的レベル1のホームページを制作すること、目的レベル2のアクセス数の増加施策に加え、目的レベル3では自社が販売する商品やサービスの魅力を伝えることが必要になります。
単にホームページを制作するだけではなく、ホームページのアクセス数を増やす必要があります。そして、アクセス数を増やすだけでなく、アクセスしてきてくれた人が、自社の商品やサービスに興味を持ってもらえないといけないわけです。
目的レベル4.増収増益させたい
目的レベル4は、会社の増収増益です。「ホームページを制作することで、増収増益させることは可能なのだろうか?」と疑問になられる方は多いです。
もちろん、そのようなホームページを制作できる業者に出会う機会は、ほとんどないため、そのように思われても不思議ではありません。しかし、それができる業者は、実際に存在します。
会社の増収増益は、ホームページを制作することだけでは実現が難しく、さまざまな経営判断を要します。ですので、ホームページ担当者の責任権限の範疇を超えることがとても多いです。できれば社長ご自身がホームページ担当者となられ、自ら陣頭指揮を執って会社をイノベーションさせていくことが大事です。
そういったことから、ある程度大きな会社で担当者任せになるよりは、どちらかと言えば小企業くらいの規模の会社の方が、私としては増収増益させやすい企業だと言えます。
とは言え、社長はお忙しいものですから、社長が陣頭指揮を執りつつも、ホームページ担当者を別途置き、その者に細かな作業をさせていった方が良いと思います。
その担当者は、会社の増収増益を間近で実践して体験することになるので、ホームページの知識だけでなく、マーケティングやマネージメント、お金の動き、商品やサービスの改善、収益を上げるための仕組み化など、経営にとって重要なことをさまざま体験することができます。つまりは、将来の経営担当者に育成することもできます。
どの目的レベルでホームページを制作すべきか?
どの目的レベルでホームページを制作するのかは、社長の経営判断によります。
この4種類のレベルを社長にお伝えすると、ほとんどの場合は3番か4番を希望されますが、その本気度は、社長によってまちまちです。
つまり、3番か4番のホームページは欲しいのだが、そのようなホームページは費用が掛かり過ぎることが予想されるので、1番や2番で良いとお考えのこともあります。また、「ホームページで集客ができるはずがない」と先入観を持っているために、1番や2番のホームページを欲しがっていたとしても、本音は3番か4番であることも多いです。
ホームページ制作の担当者に抜擢された方が最初に行うことは、社長にどのレベルのホームページを制作すべきなのか、うまく聞き出して言語化し、目的を明確にして企画としてまとめることです。
できましたら、ホームページ制作会社を決めて、そこに相談するのではなく、当社のようなコンサルティング会社を参謀役として入れて、社長が納得できる企画書をまとめていった方が良いことは確かです。
中小企業の社長は、考えがコロコロと変化することが多いので、企画書にまとめ上げて、承認を得ることが大事です。これがないと、ホームページ担当者だけでなくホームページ制作会社も、社長の朝令暮改にまいってしまうことがあります。
自社にとって本当に必要なホームページの内容を考える
ここで、欲しいと思っているものと、本当に必要なものが異なる場合があることをご説明いたします。「このようなホームページが欲しい」と思っていたとしても、それが自社にとって必要なホームページかどうかを、ご検討ください。
格安ホームページが自社にとって必要なホームページか?
ホームページ制作を相見積もりに出したときに、「安いところに依頼しよう」ということで業者を決めたならば、ヒアリングや原稿作成の費用が入っていないこともあると思います。目的レベル1のホームページでは、そのような場合がほとんどです。
例えば、5ページほどの小規模なホームページを制作するときのページ構成は、次のようなページ構成になります。
- トップページ
- 商品・サービスページ
- 会社概要
- プライバシーポリシー
- お問い合わせフォーム
このホームページを外注しようとすると、値段の安い業者では10万円もかからないところもあると思います。打ち合わせはすべてオンラインで、電話対応なし。ホームページのデザインの選択肢は少なく、写真を提供してもらうスタイルだと思います。
ここで、先ほどご説明したように、社長が求めるホームページの目的によって、ホームページの内容が大きく異なります。お客様がお望みの格安ホームページが、本当にお客様が必要としているホームページなのかを分析する必要があります。
単に「こちらで言った通りに制作してもらいたい」というものであれば、格安で制作してくれるところに依頼すると良いでしょう。
そうではなく、希望するホームページが本当に自社にとって必要なホームページなのかを検討したい場合は、当社のようなコンサルティング会社にご依頼いただいた方が良い場合があります。
格安ホームページを求めていた企業が100ページ以上のホームページを制作した事例
ここで、「10ページほどの簡単なホームページを制作してもらいたい」と当社にご依頼のあった企業様が、結局100ページ以上制作し、売上高を2倍以上に増やした事例をご紹介します。
お客様との打ち合わせで、ホームページ集客の可能性についてご説明しつつ、深くヒアリングしていくと、「実は、新規顧客獲得ができないという経営課題があり、それが解決できるのであれば、Web集客コンサルティングを依頼したい」と、ワンランク上位のご支援に発展しました。
ご支援では、とりあえずガチガチにSEO対策された10ページを制作しておき、少しずつページを量産していって、2~3年かけて100ページ以上にページ数を増やしていきつつ、製品ページを1ページずつ充実化させていきました。そのお客様はホームページ経由での売上高が、以前と比べて50%を占めるようになりました。業界は閑散期を迎えていたコロナの時期にも、ホームページ経由で注文が入っていたそうなので、とても感謝されました。
まとめますと、自社で「このようなホームページを作りたい」と考えていたとしても、それをそのまま「はいはい」と制作する、格安の制作会社を選ぶのか。それとも、当社のようにお客様にとって本当に必要なものをコンサルティングで導き出して、経営課題をも解決していくという、お客様が考えもしなかったアイデアが盛り込まれたホームページを制作するのか。そこに、社運の分かれ道があるのかとも思います。
ホームページ制作のざっくりとした流れを把握する
ホームページ制作のざっくりとした流れを、ホームページの目的別にご説明いたします。ホームページの目的レベルによって制作方法が大きく異なるのですが、間違った認識をしている方も多いので、しっかり把握しておいてください。
目的レベル1.名刺代わりのホームページを持ちたい場合
名刺代わりのホームページを制作する場合には、ホームページ制作会社を選ぶ基準は価格の安さです。「ホームページは、多少のデザインの違いはあっても、どこに発注しても同じだ」と考える方が多いと思われていると思いますが、この目的レベルであれば、価格の安いところに発注することが得策だと私も思います。
価格の安いホームページを制作するときの流れは、おおよそ次の手順になります。
- ホームページの希望を伝えつつ、原稿と写真を提供
- 制作会社はそれを元にデザインを作成
- デザインが承認されたらHTML・CSSコーディング
- 出来栄えをチェックして公開
自社でお知らせの投稿をしたい場合には、WordPressというシステムでホームページを制作すると思います。その場合は、WordPressの操作方法を後で教えてもらい、後は自社でホームページの投稿や編集を行います。
商品や増えたり、画像の差し替えをしたりといった、大幅な修正があれば、制作会社に依頼するという流れです。
目的レベル2.SEO対策でアクセス数を増やしたい
先ほど、自社の認知度を高める方法はいくつもあることをご説明しました。SNSに投稿したり、リスティング広告をしたい場合には、名刺代わりのホームページ制作の流れで事足ります。
SEO対策をしてホームページのアクセス数を増やしたい場合の流れは、少し手順が異なります。
- 検索キーワード分析
- SEOキーワードの選定
- ホームページデザイン
- SEO原稿作成
- デザインが承認されたらSEOコーディング。もしくはコーディングされたものをSEO修正
- 出来栄えをチェックして公開
上位ヒットさせたい検索キーワードの数が多ければ多いほど、ホームページの設計や文章作成の難易度が高まります。
公開された後は、そのまま放置されるパターンと、継続して丁寧に上位ヒットさせていくパターンがあります。SEO対策は何かのスイッチをONにしたら上位ヒットするような、単純なものではございませんので、継続的に上位ヒットさせるための施策を行うことをおすすめします。
目的レベル3.新規顧客を獲得したい
新規顧客の獲得を目的とする場合には、リスティング広告かSEO対策のどちらかを行うことが必須となります。当社では、SEO対策を推奨しています。
SEO対策をしてもすぐに上位ヒットするものではないので、ご予算があれば、成果が出てくるまでの間、リスティング広告で集客をする方法もございます。
新規顧客獲得のためには、SEO対策を導入する場合の制作の流れに加え、どのような新規顧客をどのように集客するのかを設計するための流れが入ります。ざっくりまとめると、次のような流れになります。
- 既存の商品・顧客分析
- 検索キーワード分析
- 検索マーケティング分析
- SEOキーワードの選定
- サイト構造設計
- SEOと集客を両立させた原稿を作成
- ホームページデザイン
- ランディングページデザイン
- デザインが承認されたらSEOコーディング。もしくはコーディングされたものをSEO修正
- 出来栄えをチェックして公開
- SEOページの継続的追加
- アクセス・検索順位解析と改善
ここでのポイントは、ホームページ制作をする前にマーケット分析を行い、顧客や顧客が求める価値を明確にすることが大事です。また、ホームページ公開後は放置するのではなく、継続的に更新や改善を加えていき、納得のいく頻度で新規顧客獲得数ができるようにホームページを成長させます。
目的レベル4.増収増益させたい
ホームページ制作を通じて、会社の増収増益をさせたい場合は、目的レベル4の内容に加えて、増収増益のための施策を加えます。ここまで来ると、ホームページ制作と言うよりは、経営コンサルティングの領域です。
ホームページ制作の流れは目的レベル3と同じになりますが、次のことが加わります。
- 営業の仕組み化や販売体制の見直し
- 販売ツールの充実化
- 商品やサービスを改善しての高付加価値化
- 顧客フォロー体制の見直し
- 新規事業の立ち上げ
- ホームページ担当者や営業・販売担当者の育成
ここまでの支援に踏み込めるホームページ制作会社は、本当に稀だと思います。
HTML・CSSコーディングは手間がかかることを理解する
ホームページを制作するということは、自社のPR文章や製品画像などが、ブラウザでデザインされた状態で表示されるようにプログラミングすることです。このプログラミングのことを、「コーディング」と呼んでいます。
コーディングには、HTMLコーディングとCSSコーディングがあります。
HTMLコーディング
文章や画像は、そのままですとブラウザは何のデータか理解できないので、HTMLという記述方法のフォーマットで、HTMLタグを使って文章や画像をホームページのデータにコーディングします。このことを、HTMLコーディングと言います。
HTMLタグの種類は、<p>や<h1>、<section>などたくさんあり、それぞれ意味があります。よく使用するものは35種類ほどです。HTMLタグを使って、ホームページの設定を行っていきます。
中小企業のホームページ担当者であれば、その35種類のHTMLタグの意味と正しい使い方を把握しておいてください。また、SEO対策や集客を目的とするホームページを制作したい場合は、35種類の把握は必須条件です。
ホームページ制作会社によって、HTMLタグの使い方が異なる場合があり、間違った使い方をしている業者も存外多いのです。当社がSEO対策のお仕事を頂いたら、ホームページのHTMLタグの使われ方を確認しますが、上位ヒットしないホームページはすべからくHTMLタグが正しく使用されていません。
「ロゴにはこのタグを使い、この見出しにはこのタグを使う」という具合に、HTMLタグを正しくコーディングすることで、検索エンジンがホームページに記述された内容を正しく認識してくれるようになります。その結果、ホームページが上位ヒットしやすくなります。
例えば、ホームページの左上に表示されるロゴに使用するタグは何が適切でしょうか?
大半の制作会社では、ロゴに「h1タグ」を用いると思います。当社では、「divタグ」を用いています。この意味が解ることが、SEO対策の最低限の条件の一つと言えます。理由を知りたい方は、「SEO対策を考慮したh1タグの使い方」をご覧ください。
CSSコーディング
ホームページは、HTMLコーディングを行い、ホームページの設定をしたり文章に意味を持たせたり、画像を挿入したりしつつ、デザイン性を高めるために装飾をしていきます。見出しや画像の配置など、ページに装飾を加えるときには、HTMLではなくCSSという記述フォーマットのデータを作成していきます。CSSは、「カスケード・スタイル・シート」の略です。CSSのデータ作成のことを、CSSコーディングと言います。
CSSの作成は、「文字の大きさ」や「隙間の広さ」、「背景色」、「罫線」といったものを装飾していくために、プロパティと言われるものを入力していきます。
ページ数分だけホームページのコンテンツを作成
ホームページ制作では、ほとんどの場合、大量のページを制作します。トップページで1ページ、商品ページが商品の数だけ制作するなら例えば20ページ、会社概要で1ページ、お問い合わせフォームで1ページ・・・、という具合に複数のページを制作します。
中小企業のホームページ制作では、私どもがよく対応させていただくケースでは、50~100ページほど制作することが多いです。
ホームページのコンテンツは、1ページで1つです。50ページあるホームページを制作する場合は、HTMLファイルを50個制作する必要があります。
それらの装飾データであるCSSは、50ページで共通で使用できる部分が多いので、ファイル数は2~3個程度になります。
ホームページ制作は時間がかかるものと理解する
ホームページは、何かボタンを押せばパッとできるものではなく、手編みのセーターのように時間がかかるものなのです。ホームページ担当者は、そのことをご理解いただき、ホームページ制作会社に無茶な千本ノックをなさらないでください。
ホームページ制作会社の事情を正しく理解することで、自社に利益をもたらしてくれるパートナーになってくれる可能性があるからです。
HTMLやCSSのコーディングの方法をざっくり理解する
HTMLやCSSのコーディングを行う方法ですが、当社では主に「TeraPad」や「Sublime Text」といったテキストエディタを用いています。テキストエディタを使って、1ページずつ、1文字ずつコードを入力していきます。
このページのHTMLソースをご覧ください。このページの文字が書かれていないところを「右クリック」して、表示されたメニューの中の「ページのソースを表示」をクリックします。すると、このページのHTMLソースが表示されます。
このようなものを1文字ずつ入力していって、ページが1つ制作されます。50ページ制作するときは、このようなページを50ページ分制作します。ホームページ制作を依頼するときに、「値段が高い」とかおっしゃる方もいらっしゃいますが、このソースを1文字ずつ入力して制作するとなると、何時間も何十時間も何百時間もかかることを考慮していただけたらと思っています。
実際にページを制作する場面では、50ページを制作するときに、HTMLソースを1文字ずつ全て書き込んでいくわけではなく、ヘッダーやフッターの共通している部分は、コピー&ペーストして量産していきます。それでも、ホームページを1つ仕上げるためには、多大な時間がかかります。
そのように時間のかかる作業を担ってくれる制作会社をねぎらう気持ちがあると、制作会社側の担当者はやる気が出るものです。
ホームページ制作の中でもっとも時間のかかる作業が何かを理解する
ホームページ制作でもっとも時間のかかることは、デザインやHTMLコーディングではなく、原稿作成です。
ホームページ業者に、制作を委託しても、原稿は基本的に自分たちで作らないといけません。名刺やパンフレットを渡されたところで、そのままの内容のホームページを制作することはできるかもしれませんが、原稿や写真を提供してもらわないと、それ以上のものを制作できないのです。
以前に、お客様にホームページ制作のご依頼をいただいたときに、お叱りをいただいたことがありました。
それは、「おたくはコンサルティング会社であり、ホームページ制作会社なのだから、ホームページの内容を私に提案してもらいたい。ヒアリングで原稿を作成するとは何事だ。当社のことをすべて把握できているものだと思ったのに、ガッカリした。」というものでした。
私は霊能者ではないので、初めてお会いした方と少し話をして、パンフレットを渡されたくらいで、お客様の事業内容やサービス内容の詳細、強み、商圏、売上目標などを、霊感やインスピレーションによって把握することはできないのです。
そのお客様のご支援は、丁重にお断りしました。
ホームページの文章は、競合他社のホームページを参考にして作成することも可能ですが、それですと当たり障りのない文章になり、自社の強みや良さが表現されることはありません。少なくとも新規顧客獲得を目的とするならば、原稿作成は丁寧にヒアリングをしながら1字1句丁寧に作成していくことが大事です。
原稿を1字1句丁寧に作成していく場合、50ページほどのホームページを制作するためには、原稿作成に打ち合わせが100時間ほどかかるものとお考えください。
ホームページ原稿の作成方法を理解する
ホームページ原稿の作成方法は、制作会社によってやり方が異なり、さまざまな方法があると思います。主な作成方法をご紹介します。
- 自社で作成する
- 原稿作成を専門とするクリエイターがネット検索で調べて作成する
- ChatGPTを代表とするAIが作成する
- 制作会社の担当者がヒアリングをして作成する
どの方法で原稿を作成するのかは、一長一短あります。外注費を格安に抑えたい場合は、自社で制作されると良いと思います。
残りの3つは外注する方法ですが、2番目と3番目は、自社の原稿を他人やAIに任せてしまっても良いのか、会社のルールやコンプライアンスによると思います。
もっとも真っ当な方法が、4番目の「ヒアリングによる原稿作成」です。時間と手間がかかりますが、完全にオリジナルの原稿を作成できますし、ヒアリングしてくれる人がSEO対策のプロであれば、上位ヒットしやすい原稿を作成してくれます。
ただし、4番目の方法はとても時間と労力、コストがかかりますし、ヒアリングしてくれる人の質問に答えられる人物が対応しないといけません。集客や増収増益を目的とするホームページを制作する場合は、経営判断を要するような質問も出てきます。繰り出される質問に耐えかねて、断念する人もときどきおられます。
そのような一長一短があります。
以上、中小企業でホームページ制作担当になった社員が知っておきたい基礎知識について述べてきました。ホームページの成否は、よいホームページ制作会社に依頼することですが、ホームページ担当者が知識をどの程度のレベルで習得できているのかによって、制作会社の良し悪しを見分けることができます。そして、ホームページ成否次第で、ご自身や会社の運命をも左右する場合もあります。
たまたま選んだ制作会社が自社にマッチしていて、自社にとって理想的なホームページを制作できたら万々歳です。しかし、ホームページ制作会社の選択をミスした場合は、社長からホームページの造り直しが命令される可能性もあります。
ホームページの作り直しは、ホームページの代金やその手間が無駄になるだけではありません。
もし、競合他社に当社のような企業が支援に入っていたら、自社の顧客がどんどん奪われていってしまって、じり貧になっていく可能性だってあるのです。
数年前、当社がホームページ制作や経営改善などを支援した企業で、売上高が急激に増え、競合他社が1社倒産し、コロナ不況期に一人勝ちしてしまったところもありました。
ホームページ制作の担当者に選ばれた人が、自社の問題や課題を見極め、ホームページ制作を通じて事業内容や業績を大幅に改善できたとしたら、社長から絶大な信頼を得ることもできると思います。
ホームページ制作の目的レベルが「新規顧客を獲得したい」、「増収増益させたい」というものであれば、ぜひ当社にご相談ください。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。