社長の夢実現への道

営業利益を増やすメリットと方法

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営業利益を増やすメリットと方法

会社の経営で出てくる利益には、いろいろな種類があります。その一つに、「営業利益」があります。

営業利益とは、後ほど詳しくご説明いたしますが、簡単に述べるならば「本業で得られた利益のこと」です。

会社を経営していると、当然のことですが、利益を出さなければいけません。会社は、利益を出すことで、社員にお給料が払え、お客様に良い商品やサービスを提供し続けることができ、社会貢献ができ、会社を存続させることができます。

その利益の基本が営業利益です。

このコラムでは、会社の利益の中で、「営業利益」と言われる利益の意味をご説明しつつ、中小企業において営業利益を増やすために、何をしたらいいのか、またそれぞれの方法での注意点をご説明いたします。

営業利益とは?

営業利益とは、会社を経営している中で、「本業で得られた利益」のことです。月次や年次で、「営業利益がどれだけ出ているのか?」ということが、本業で効率よく経営ができているのかの成績となります。

営業利益の計算

さて、営業利益をもう少し詳しくご説明するために、売上高から考えてみたいと思います。

売上総利益の計算

お客様に商品やサービスを提供すると、その代金を頂くことができます。商品を販売したり、サービスを提供したりしたら、その代金を請求することができ、債権者となります。現金を回収するまでの間は、売上高として計上されますが、売掛金となります。

売上高を得たとしても、その金額がすべて利益ではありません。商品を製造したり提供したりするために社員が働いていますし、商品の原材料を仕入れたりもしなければいけません。

そういった製造に関わった原価を差し引いた金額が付加価値と言われ、付加価値分の利益のことを、売上総利益や粗利益と言います。

売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価

営業利益の計算

さて、会社には製造に直接かかわる人材だけでなく、営業スタッフや総務などのスタッフもいます。また、広告宣伝をしたり、ホームページを制作したりと、販売のための費用がかかります。より良い商品やサービスを開発するための研究費もかかります。

売上総利益から、そういった販売費及び一般管理費(販管費)と言われる費用を引いて残ったものが、営業利益です。

営業利益率は、営業利益を売上高で割ったものですが、この割合が大きい会社は、「効率良く事業経営ができている」と言えます。

営業利益=売上総利益(粗利益)-販管費

経常利益の計算

営業利益から、営業活動以外の営業外収益や営業外費用を増減したものが、経常利益です。営業外とは、本業とは別の収益や損失のことです。

経常的なものではなく臨時的な利益としては、土地の売却、不動産投資や株式の配当などがあります。もちろん、不動産企業や投資企業では、営業外収益とはなりません。臨時的な損失としては、台風で工場の壁が壊れたときの修理費、不動産の管理費なというものです。

営業外収益や営業外費用と、特別利益や特別損失の違いは、経常的な収益や損失なのか、それとも臨時的な収益や損失なのかで異なります。

営業利益と経常利益の違い

営業利益は、本業での最終利益です。経常利益は、本業以外の収益や損失を計算に入れたものです。

もちろん、営業利益が黒字であることが本業の経営で成功していることを意味しているので、ここを黒字にすることは大事です。しかし、最終的な利益となる経常利益が赤字では、結局のところ会社全体で赤字なので、これが続くと事業が行き詰まってしまいます。

営業利益が赤字であったとしても、経常利益で黒字になっていたら、それはそれで社長としてリスクを考慮して投資をした結果、会社全体として黒字にしたということになります。

とは言うものの、営業利益が赤字のまま何年も続いているとなれば、これも問題だと言わざるを得ません。

例えば、飲食店のビルを保有し、本業である飲食店の営業利益が赤字だったとして、他のフロアーをテナント貸しして経常利益が黒字だったとします。そういった場合は、もしかしたら本業を不動産に変更して、赤字の飲食店の店舗を閉鎖して、別の人に貸した方が良いかもしれません。

営業利益が増えるメリット

「営業利益が増えてしまったら、税金が増えてしまうではないか」と言われることがあります。「税金を払うぐらいなら、何かにお金を使ってしまって、利益を減らした方が良い」ということです。

そういった考えもありますが、私は税金が増えても良いのではいかと考えます。なぜなら、内部留保ができるからです。

会社が倒産するときというのは、流動負債が支払えなくなったときです。流動資産としての現金があれば、流動負債の支払いで困りにくくなります。

一定量の現金があると、社長の心は平穏でいられますし、平穏な社長の前では、社員も平穏でいられます。平穏であれば、未来志向になれるので、ますます会社が安定し発展させていくことを考えることができるようになります。それが、本来の社長の仕事です。

そういった現金は、「銀行から借りて準備したら良い」ということも聞きますが、緊急で現金が必要になったときに、銀行からすぐに借りられたら良いのですが、そういった都合の良い場合ばかりではありません。

営業利益が増やしていき、銀行がお金を貸しやすい体質にしていくことも大事だと思います。

営業利益を増やすための基本

利益を増やすためには、売上高を増やして費用は損失を減らすことです。営業利益も同様です。

営業利益とは、先ほどご紹介したように、本業で得られた最終利益のことです。売上高から製造原価を引き、販管費を引いた残った利益が営業利益です。

営業利益が黒字になっていると、本業で利益を出したことになります。反対に営業利益が赤字ですと、それが続くようであれば、本業で失敗していることになります。

営業利益を増やすためには、売上総利益を増やして、販売費および一般管理費(販管費)を減らすことです。

売上総利益を増やす

営業利益を増やすための基本は、売上総利益を増やすことです。売上総利益とは、先ほどご説明したように、売上高から製造原価を引いたものです。

例えば、小売店であれば、100円で仕入れたものが150円で売れたら、付加価値は50円です。製造業であれば、100円で仕入れた原材料を、30円の製造原価をかけて製品に仕上げ、200円で売れたとしたら、70円が付加価値となります。

この付加価値の総合計が売上総利益です。

売上総利益を増やすためには、次の3つの方法があります。

  • 販売数量を増やす
  • 仕入れ原価を下げる
  • 付加価値を高める
  • 生産性を上げる

販管費を減らす

売上総利益から販管費を引いたものが、営業利益です。販管費とは、販売費と一般管理費を合わせたものです。販管費を低く抑えることができたら、その分だけ営業利益を増やすことができます。

販管費には、広告宣伝の費用や営業活動にかかった費用があります。経理部や人事部などで働いている人材の人件費もあります。テナントビルを利用している地代家賃や光熱費などもあります。

こういった費用を減らすことで、営業利益を増やすことができます。

販管費を減らす効果

販管費を減らすことができたら、その金額分だけ、営業利益を増やすことができます。

例えば、販管費を100万円減らすことができたとしましょう。すると営業利益が100万円増えます。これは、売上総利益が100万円増えたことと、数字的には同じ内容です。

売上総利益を100万円増やそうとしたら、販売数を増やしたり、製造原価を下げたり、付加価値を高めたりと、高度な努力が必要となります。

ムダに使用されていた販管費を減らすと、手っ取り早く営業利益を増やすことができるので、営業利益を増やすために最初に検討されることが販管費を減らすことです。

販管費を削減することの弊害

販管費が減らすと、売上高が下がったり、事業活動の効率が下がったりして、営業利益を増やすどころか、逆に減ってしまう場合があります。

販管費には、販売費と一般管理費があります。

例えば、販売費の一つである「広告宣伝費」を削減したとしましょう。すると、お客様の数が減ってしまい、売上高が下がることがあります。これでは、販管費が下がっても売上高自体が減ってしまっては、事業の縮小になってしまいます。

また、一般管理費を減らすことで、その作業分が製造部門の人たちにしわ寄せが行き、生産性が下がってしまうこともあります。

緊急事態のときはともかくとして、金額面だけを考慮してコスト削減するのではなく、事業活動全体のバランスを考えてコスト削減をしたり、事業活動の生産性の向上で結果的に販管費を減らしたりすることが大事です。

営業利益を増やす具体的な方法

経常利益を増やす方法は、基本的には事業活動の生産性を高めることが大事ですが、その具体的な方法はいくつもあります。ざっと思いつくことを述べたいと思います。

  • 営業力を高める
  • 広告宣伝の効率を高める
  • 商品の原価率を下げる
  • 商品の市場競争を高める
  • 無駄な出費を抑える

これらについて簡単にご説明いたします。

営業力を高める

営業利益を増やすためには、コスト削減と売上高を増やすことです。売上高を増やすためには、営業力を高めることです。

営業には、新規顧客と既存顧客の2種類の営業があります。新規顧客獲得は、Web集客の検討をお勧めしています。

既存顧客は、すでに顧客になっていただいたお客様ですので、販売がしやすいと思います。

既存顧客による売上高を伸ばす方法は、自社を思い出してもらえる割合を増やすことと提案力を高めることです。

自社を思い出してもらえることの基本は、お客様にお会いすることと、成果を出すことが大事です。提案力を高めるためには、お客様の立場でお客様のお困りごとは何かを考えることが大事です。

商品の原価率を下げる

商品の原価率を下げることで、商品が売れたときの利益を大きくし、営業利益を増やす方法もあります。

原価率を下げるときに注意すべきことは、商品の品質を下げないことです。商品の品質が下がってしまったら、売上高を下げてしまう可能性があるからです。

例えば、飲食店で原価の安い商品を仕入れるようになって、料理の味が変わったり落ちてしまったりしたら、お客様が離れていってしまいます。

原価を下げつつ、商品の品質が上がるようにする検討も大事です。

商品の市場競争力を高める

同じ商品を販売し続けていたら、いずれは売上高が下がり続けていきます。「将来的に営業利益を増やす」という長期的な視野で考えると、研究開発を行って、商品の市場競争力を高めていく必要があります。

研究開発の方向性はコスト削減の研究だけではない

とあるお弁当屋さんで、「お弁当の価格を下げたら売上高が増えて、利益が増えるのではないか」と、お弁当の値段を下げるだけの研究をしていた企業がありました。

その企業は、研究の甲斐あって、お弁当の価格を10%ほども下げることに成功しました。その結果、売上高も比例して10%下がってしまったのです。結局、営業利益は微減してしまいました。

研究開発の方向性は、コスト削減だけではないことをご理解ください。中小企業の場合は、どうやったら値段を高くしても売れるのかという「高付加価値商品」の研究の方が大事です。

そのお弁当屋さんは、巨大なエビがドンと入った価格が倍のお弁当をテスト販売したところ、そちらの方がたくさん売れるようになり、売上高や営業利益をアップさせることに成功しました。

研究開発の方向性

研究開発はさまざまな研究があります。その研究は、明らかに自社の売上高を高めたり、市場占有率を高めたりするための、さまざまなことをが含まれます。主には、次のようなことがあります。

  • 市場や競合他社の動向分析
  • 効果的な広告宣伝の開発
  • 商品・サービスの品質向上
  • それらの提供速度の向上
  • 生産性向上

研究開発費の金額はバランスが大事

研究開発費の増大によって、一般管理費が増えて営業利益を下げてしまいます。

将来の収益を見込んでの「社運を賭けての開発」というものであれば、一時的に営業利益が赤字になったとしても、研究開発に取り組まなければならない場面もあります。社運を賭けた開発が続けば、会社は危なくなります。反対に、研究開発をしなければ売上高は目減りしていく一方です。

このバランスが大事です。

費用をかけない方法で研究することも可能

とにかく営業利益をプラスにしたいという、短期的な目線では、大きな研究ではなく、小さな研究もあります。例えば、商品の弱みを改善したり、強みを伸ばすような工夫をしたり、提供の方法を改善したりといったものです。

このように、あまり研究開発費をかけずに、売上高を伸ばすことも可能です。

無駄な出費を抑える

営業利益を増やしたいときに、最初に考えるべきところは無駄な出費です。

先日、ふとビルの屋上を見ると、以前まであった大きな看板が無くなっていました。特定の業界に携わっている人であれば、誰もが知っている世界企業の名前が大きく入った看板だったのですが、「これも無駄と言えば無駄なのに、なぜ看板が必要なのか?」と思っていました。

その会社の社長が今年に交代されていたので、広告宣伝の無駄を徹底して無くすことを決定されたのでしょう。

さて、誰しも無駄があるといやなもので、経営者であればなおさらです。「無駄は削減すべきだ」と考えることは大事ですが、ここでの注意点は、無駄と思えるものに対して「別の人の目線では本当に無駄か?」を考えることです。

例えば、社長がゴルフに行くところを、たまたま社員が見ていたとしましょう。社員からすると、「会社の利益が減っているときに、ゴルフに行くとは、なんと無駄なことか」と考えるかもしれません。しかし、社長はゴルフで営業をしており、「ゴルフで出会った人と新規事業を始めることになった」ということであれば、それは無駄ではなく投資になります。

無駄の削減では、社長は経理担当者とバトルをすることもあります。社長からすると投資でも、経営担当者からすると無駄に見えることもあります。

経理担当者は、場合によっては「社員の給料もコストだ」と考えてしまう場合があるからです。

営業利益が増えたらどうするのか?

営業利益が増えたら、それで喜ばしいことですが、すべてを現金で持っていてももったいない話です。

会社というものは、何もしなければ営業利益が少しずつ減っていったり、営業利益がプラスでも経常利益でマイナスになったりする可能性があります。

それを防ぐために、社長が安心できる一定額の現金を持っておき、余剰分で策を講じるとよいと思います。

長期的視野で研究開発を

製造原価や販管費などのコスト削減で、営業利益が出やすくなりますが、それも行き過ぎたら、反対に余計にコストがかかってしまう場合があります。

コストばかりが気になる「コスト病」は、目先のことばかりを考えている社長が罹りやすい病でもあります。社長であれば、誰しもコストが下がったら喜びますが、コスト病に罹った社長は、他の費用が増大したとしても、コスト削減ばかりが気になります。

経営はバランスですので、目先のコストだけでなく、長期的な売上高や利益の増大を目論むことも大事です。何より、会社はコスト削減よりも、経営理念の実現が大切です。

営業利益が増えたら、次の2つのことにお取組みください。

  • 研究開発
  • 設備投資
  • 将来の特別損失を減らす

この3つの中で、優先的には「研究開発」と「設備投資」を行うべきですが、パンデミックに備えるなどの、将来の特別損失を減らすための検討や施策も大事です。

研究開発

ピーター・ドラッカー先生(1909~2008)によると、「利益は未来のコスト」と言われています。まったくその通りです。

利益があれば研究開発ができ、研究開発を行うことで、将来のコストをさらに生み出すことができます。

もちろん、その研究開発によって売上高や利益が増大することが大事です。そのため、研究開発は、「やりたいことを研究する」のではなく、「マーケティング分析に基づいて研究科発をする」というスタンスが大事です。

中小企業の社長は、「これが売れる」という直観的なインスピレーションで研究開発をする方が多いと思います。そういった直感的なアイデアのものが、売れる場合もありますが、売れる理由は、一つは運、もう一つは普段から研究をしていることです。

研究開発の方向性としては、今の時代は「スピードアップ」がポイントです。

製造に1日かかっていたものを半日で提供できないか。お客様への見積書の提出に2日かかっていたものを、1日で出せるようにならないかなど、スピードアップのための研究開発が基本だとお考えください。

設備投資

売上高を維持したい場合は、設備の減価償却分の設備投資を、毎年続ける必要があります。

そして、減価償却期間以上に設備が使えたら「運が良かった」という具合で、設備投資が増えていくと、会社も伸びていくことになります。

利益が出て、「今まで社員にボーナスが出せなかったし、給料を増やしてあげられなかったけれども、社員に報いてあげられる。」ということで、お給料として出ていってしまったら、急に設備が壊れてしまったときに生産がストップしてしまい、利益が減ってしまいます。すると、せっかくお給料を高めてあげたのに、それが出せなくなってしまいます。

設備投資もバランス良く行ってください。

将来の特別損失を減らす

利益が出てきたら、将来に発生し得る特別損失を予想し、それを減らせるように施策をすることはいかがでしょうか?

そういった事態に備えて、出来る限り特別損失が出ないように講じたり、想定したりします。

どこの企業でも、パンデミックのときは、特別損失だらけだったと思います。これからは、首都直下型地震や富士山の噴火も予想されています。南海トラフによる大地震も間近に発生するのではないかと言われています。

そういった事業継続マネジメントシステム(BCMS)を構築しておくことも、将来の特別損失を減らすために必要なことと思います。

以上、営業利益の意味と、営業利益を増やす方法をいろいろと述べてきました。

営業利益が黒字であることは、会社を経営される社長であれば、当たり前のことです。もし、営業利益の赤字が続くようなことであれば、「経営ができていない」ということにもなります。営業利益を黒字にして増加させていき、立派な会社を目指していただきたいと思います。

当社は、経営コンサルティングの会社です。中小企業向けに、営業利益をどのように増やしていくべきなのかを、入念にプランニングするコンサルティングを承っております。お気軽にご相談ください。

また、もし「広告宣伝の無駄を削減し、集客効果を高めたい」、「効果的なWeb集客をしたい」とお考えになられたら、ぜひ当社のWeb集客コンサルティングをご利用ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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