社長の夢実現への道

小企業で入社したての新入社員に教えるべきことリスト

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小企業で入社したての新入社員に教えるべきことリスト

新入社員は覚えることがいっぱいです。会社としても、教えることがいっぱいです。

大企業であれば、新入社員に仕事を教える仕組みができていますが、小企業や零細企業では、それがありません。

大企業では、人材が育つ仕組みがつくられたので、大企業になったのだと思います。

人材が育つ仕組みのない小企業では、新入社員教育のマニュアルやテキストは存在しないことがほとんどです。新人育成を任せられた社員によって、教育方法はバラバラです。誰に育てられるかによって、育ち方が異なりますが、それは運によって大きく左右することになります。

新入社員が会社に定着せず、1~3ヶ月ほどで辞めていくことに悩んでいる社長もいらっしゃいます。そういった会社では、まず間違いなく新入社員教育マニュアルや資料が整備されていません。小企業や零細企業では、気の利く優秀な人を欲しがるところですが、そういった人は、自分の成長を求めて他の企業に転職してしまいます。

新人育成の担当者が社長である零細企業では、多くの社長が新人に行き当たりばったりで仕事を振っています。まずは、新人にやってもらいたい、習得してもらいたい仕事内容を、リスト化して渡してあげてください

この記事では、零細企業や小企業が、新入社員に対して、最初に何を教えたら良いのかを考察したいと思います。ここに記載されている内容を貴社なりに考え、リスト化するだけで、そのまま新人教育内容になると思います。そのリストに解説を加えるだけで、新入社員教育のテキストになると思います。

会社が目指していること

どんなに小さな会社であったとしても、会社には目指していることがあるはずです。目指していることは、おおよそ次のことに集約されると思います。

  • 自社の事業内容
  • 社会貢献やお客様の利益
  • 売上高や利益の目標

自社の事業内容

会社全体の事業内容を知り、自分に与えられる仕事がどのような位置づけなのか、その全体像を、新入社員は知りたいと思います。

そこで、自社の事業内容とは、扱っている商品やサービスはもちろんのこと、関連企業があればその企業との関わりも伝えるべきです。

新入社員教育をしている人材の中には、「見ていたらわかるだろう」とか、「いずれわかるだろう」と考える人もいます。しかし、全員が見たらわかるとは限りません。

会社が事業規模の拡大を目指すのであれば、限定的な仕事しか把握できない人材ではなく、会社全体について考えて行動ができる人材に育ってもらいたいはずです。

社会貢献やお客様の利益

会社は、狭い意味では事業活動を行うために存在しています。大きな意味では、お客様や社会に価値をもたらすために存在しています。そして、価値をもたらしているから、会社の存在が許されているのです。

新入社員はもちろんお給料のために働くのですが、それでも自分の存在理由を考えたいと思っている人がほとんどです。社員は仕事によって生活が成り立ちます。そしてお客様のお役に立つことで、仕事になっています。事業内容と目指している数値目標、方針のみを伝える企業も見受けられますが、自社の存在意義から話してあげてください。

その存在理由を新入社員に伝えることで、新入社員は愛社心を持つようになります。愛社心を持った人材が、自社の目的の達成のために、考えて行動してくれるようになります。少なくとも、その考えが根付くことで、目指していることの実現に向けて考えてくれるようになります。

会社全体として目指していることは、社長の口から、ことある毎に伝えるべきだと思います。

ただし、社長の言動が常に一致していることが大事であることは、述べるまでもありません。

売上高や利益の目標

新入社員が仕事を覚えていく中で、「自分がどの程度の仕事ができたら会社に貢献できているのか」を気にする人もいます。そういった新入社員は見込みのある人材だと思います。

「社員の仕事は、与えられた仕事をこなすこと」と言われたら、確かにそうなのですが、それにはレベルがあります。自分がどの仕事レベルが要求されているのか、零細企業から小企業の規模であれば、社長自ら新入社員に伝えることが大事です。

会社で働く社員には、何らかの目標達成が求められることが多いのですが、自分自身の仕事が経営の数字にどのようにつながることを教えておかないと、単なる作業員を増やすだけになってしまいかねません。

また、人によっては「お金」に対してネガティブなイメージを持っている人もいます。「会社が社会貢献を目的としているのであれば、なぜ利益を求めるのか?」と考える人もいます。

そういった考えを持っている人もいるので、「会社が良い商品やサービスを提供することは、社会貢献になる」ということと、「事業を維持するためには利益が必要である」ということを教え、利益を得ることでより大きな社会貢献につながるという社会貢献と利益の統合を教えることが大事です。

仕事の一般常識

新入社員には、仕事の一般常識に長けた人もいます。いえ、一般常識を完璧に身に付けている人はいません。そこで、念のためですが、仕事の一般常識を一通り教えることが大事です。

  • コミュニケーション方法
  • 仕事の覚え方
  • パソコンの利用について

コミュニケーション方法

コミュニケーション方法は、勉強し始めると奥が深いものです。ここでは、新入社員に絞った最低限度のコミュニケーションを教えるべきものは、次の通りです。

  • 挨拶の仕方
  • 電話の取り方
  • 名刺交換の方法
  • お客様との会話の仕方

もし会社に行動指針があるのであれば、これらのコミュニケーション手法を行動指針に基づいて作成しましょう。行動指針から、これらのコミュニケーション方法が導き出せない場合は、行動指針に不備があるとお考えください。

仕事の覚え方

新入社員は、大量の知識を身に付けないといけません。そこで、あらゆることをメモして覚えることが基本となります。メモして覚えることを教えてあげてください。

また、新入社員教育の資料を作成し、そこにメモをしていけるようにして、新入社員が自分独自のマニュアルを作成していけるようにしたら理想です。

目で見て、耳で聞いて、メモしたものが、知識として定着しやすくなります。教えられた内容を経験することで、「なるほど」ということで、知識が定着します。

仕事内容を何も教えないで、勝手に経験して覚えていける人は、よほどの人材です。小企業には、そういった人材は、「まず来ることはない」とお考えください。

スケジュール管理の仕方

スケジュール管理は、手帳かスマホで行うことが一般的です。それぞれ独自でスケジュール管理の仕方があるので、それを上司がいちいち新入社員に教えることは、あまりしないことでしょう。

そこで、社長や上司は、どのようにスケジュール管理をしているのか、新入社員に参考として教えることは可能です。

スケジュール管理は、うっかりミスを防ぐことが大事です。例えば、お客様との大事なお打ち合わせを、うっかりミスで失念してしまってはいけません。スケジュールを記載するときに、うっかりミスを防ぐためのコツを教えてあげることが大事です。

パソコンの利用について

どのような新入社員でも、パソコンの使い方は知っていることでしょう。パソコンの電源の入れ方や切り方、メールの仕方、ワープロソフトや表計算ソフトの使い方は、常識として覚えていることと思います。それらのことが常識でない場合もあります。

ソフトウェアの活用方法は、会社によって異なります。職場によっては、特殊なソフトウェアを利用しているところもあります。

また、会社によってはMacのパソコンしかないところもあります。すると、Windowsのパソコンしか使用したことのない新入社員であったら、Macのパソコンの電源の入れ方すらわからない場合もあります。「Macの電源の入れ方もわからないのか。なんとダメな人材を雇ってしまったのか。」と考える人もいるようで、電源の入れ方といったくだらないことで、新入社員に無能の烙印を押してしまい、新入社員の能力を活用できない会社も実際にあるのです。

新入社員によっては、早く認めてもらいたいため「自分は知っているのだ」としったかぶりをして、後で痛い目に遭う場合もあります。

パソコンの使い方は、「常識だ」と考えないで、「新入社員には、一通り教えることになっている」というルールとチェックリストを作り、最初から教えていき、新入社員の能力を測ることも大事です。

自社の常識やルール

新入社員が同業他社からの転職の場合、採用した社長は前職で獲得したノウハウを活かすことを、期待すると思います。しかし、前職で獲得したノウハウは良いものだったとしても、身に付けてきた常識が間違ったやり方の場合もあり、その常識が、自社の常識に合わないこともあります。

自社の常識やルールとして最低限教える基本的なこと

自社の常識やルールとして、最低限教える基本的なことは、次のようなことです。このリストは、あくまでも私の考えですので、自社に合わせてカスタマイズしてください。

  • 社員の顔と名前
  • ノートPCとデータの扱い
  • Eメールの仕方
  • 建物設備の使い方
  • 事務機器の使い方
  • 備品・消耗品の扱い
  • 主要取引先の名前と対応
  • 休憩時間の過ごし方
  • 個人の携帯電話の扱い
  • 交通費などの請求の仕方
  • 残業や出張について

これらのことを一覧にして、主要ルールを箇条書きにして印刷し、それを渡してあげるだけでも、新入社員は仕事を覚えるストレスが減ると思います。

新人の指導で、ときどき聞かれることが「こんな常識もわからないのか」という叱咤の言葉です。常識は、教えられて初めてわかるものです。もし、自社に常識があるのであれば、その常識をリスト化して、新人にはそれを一つずつ持っているのかを確認した方が良いです。

先輩社員との距離感の取り方

新入社員は、早く会社の雰囲気に馴染むようにするために、先輩社員の方々と仲良くしようとするはずです。

先輩社員は、新入社員に積極的に話しかけて、早く会社に慣れるようにする人が多いのですが、中には馴れ馴れしく話しかけられることを嫌う人もいます。

そういった個別の先輩社員の方々との距離感の取り方を、個別に教えてあげると良いでしょう。

社員の顔と名前を最初に教えることになりますが、そのときに新入社員が判りやすいように、既存社員それぞれがどのような専門性を持っているのかをリストにして渡してあげられたら親切だと思います。

既存社員には、新入社員との接し方をルールにして共有することはもちろんのことです。初めて新入社員の担当になった人の中には、恥ずかしさというか、上がってしまって、新入社員に冷たく接してしまったり、過剰に接してしまう人もいます。新入社員に接するルールがあれば、それを防ぐことができます。

自社の方針

自社の方針には、会社全体の方針と部門毎の方針があります。営業部門の方針、生産部門の方針など、いろいろな方針があります。事業内容が複数ある会社では、事業毎の方針もあると思います。

営業部門の例をご紹介します。

優秀な営業スタッフを雇いたいとお考えの会社は多いことでしょう。そこで、「自社で能力を発揮してもらいたい」と思って口説き、前職で優秀な営業スタッフを引き抜いて雇ったとします。能力を買われた営業スタッフは、社長から「当社は営業能力が低い。だから営業の仕方を教えてもらいたい。」と言われたりします。

ところが、その新人営業スタッフが、「前職ではこうだった」と言って、自社に合わないような強引な営業をやり続けることがあります。そして、「これは社長命令なのだ」と思って、既存スタッフに推奨していきます。

そうすると、お客様から会社の評判を落としてしまい、その営業スタッフは成績が達成されたとしても、会社全体では売上高が落ちてしまうこともあります。

このケースのトラブルを防ぐためには、新入社員のときに「お客様との信頼関係が優先される」と方針を打ち出すべきです。

いずれ自社をイノベーションさせていくとしても、方針がないとこのようなケースがあります。自社の方針を最初に教えることが大事です。

もちろん、この方針は、経営計画に基づいた方針であることが望ましいです。

業界での一般常識

特に昔から存在している業界では暗黙のルールがあります。例えば、「クリニックや病院は、集患のための広告やチラシを出さない」ということが常識としてあったりします。

また、「あの会社の社長とは要注意」というものもあります。例えば、展示会などで競合他社の社長と出会ったとしましょう。その社長は、敵対意識が強くて、すぐに他社を怒鳴りつけるような人もいます。そういった人と展示会などで出会ってしまったら、あまり目を合わさないで、軽く会釈する程度で素通りした方が良いのですが、知らないで名刺交換などしようとしたら大変です。トラウマをつくってしまう場合もあります。

業界での一般常識として、競合他社との付き合い方、御取引先との付き合い方、お客様との接し方など、さまざまな場面で存在することをリスト化してください。

新入社員に期待すること

最後に新入社員に教えることで、「期待すること」があります。どういった社員になってもらいたいのか、どういった成果を出してもらいたいのかを、時系列で表すと良いでしょう。

時系列は、次の3種類で良いと思います。

  • 3ヶ月以内に覚えてもらいたいこと
  • 1年後に達成してもらいたい段階
  • 3年後までに達成してもらいたい段階

新入社員で3ヶ月は、あっという間に過ぎ去っていきます。そこで、3ヶ月後には社長と面談をして、さまざまなことを質問したり、フィードバックしてあげると良いでしょう。また、次の3ヶ月の目標を示してあげると良いと思います。

3年後までに達成してもらいたい段階は、会社の3年後のビジョンに合わせて、どのようになってもらいたいのかを示すと良いと思います。

小さな会社では、次の能力が問われると思います。

  1. 自社の常識を理解する人材
  2. 言われたことを素直に実行できる人材
  3. 自ら学習して成長していける人材

このコラムで示すような新入社員教育の資料がない場合には、このことも述べておいた方が良いと思います。

以上、小企業が新入社員に最初に教えるべきことを、ざっくりとですがリスト化いたしました。この次に教えることは、部門別での役割や具体的な仕事内容に入ります。そのマニュアルも別途必要であることは、述べるまでもありません。

こういった資料が出来上がると、社員の中から「自分が新入社員を教えても良い」と名乗り出てくる人が出てきます。そういった人は、将来の幹部候補です。

別の機会に、新入社員教育の仕方や、新入社員教育マニュアルについて述べたいと思います。

それと、具体的なことですが、新入社員に指示を出す場合には、必ずメモに書いて、そのメモを解説するように指示を出すようにしてください。すると、新入社員が会社独自の専門用語を覚えていく速度が早まり、ミスも少なくなり、戦力化が進みます。

新入社員が会社に定着せず、1週間や1ヶ月ほどで辞めていくことに悩んでいる社長、新入社員教育のテキストを作成したいとお考えの社長のお役に立てたなら幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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