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新人社員が仕事を早く覚えられる教え方

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新人社員が仕事を早く覚えられる教え方

新人社員を早く育てる方法は、一言で述べると「新人の上達度合いに合わせて丁寧に育てること」です。

中小企業でよくあるのが「見て覚える」というものです。「見取り稽古」とも言われます。

昭和の職人技を教える時代であれば、見取り稽古で良かったかもしれませんが、今では「新人を放置している」と言われかねません。また、見取り稽古では新人は育ちにくいので、新人を教える仕組みができている企業に、あっと言う間に負けてしまうことでしょう。

このコラムでは、学卒の新入社員が、仕事の作業が早くできるようになるための育成方法をご紹介いたします。見取り稽古もご紹介しますが、当社でやっている見取り稽古は一味違って効果的です。

新人社員が何を身に付けたら「育った」と言えるのか?

学卒で入社してきた新人社員と、中途採用の新人社員とでは、期待するものが異なります。

学卒の新人社員は、挨拶の仕方や名刺交換の仕方、手帳の活用、メモを取る習慣など、仕事の基本から教えていく必要があります。それらが身に付いたら、観察力や洞察力、体系化する能力、仕事全体の流れをつかんでもらうようにします。

中途採用の社員は、仕事の基本ができていることが前提で、自社に足りない能力か労働力を補うためかに雇うことになります。自社の仕事の仕方やカルチャーに慣れてもらい、早く仕事の全体の流れをつかむように育成します。

また、中途採用であっても、まったく異なる業種の企業から転職してきた場合は、挨拶などの基本以外は、新卒と同じように育成する必要があります。前職で、観察力や洞察力、体系化する能力、仕事全体の流れをつかむ力は、新卒の新人社員より備わっていると思うので、能力のある人材は早く仕事に慣れると思います。

どちらにしても、新入社員が「仕事を覚えた」という状態は、ルーチン化された作業を、先輩に相談することなくこなしていけるようになった状態です。そのような状態では、作業内容を自分で考えて、成果を出しつつも最小の量力で行えるように工夫ができることも含まれていると思います。

以下、新卒もしくは異なる業種の企業から転職してきた場合に、仕事を早く覚えてもらうための方法をご紹介いたします。

新入社員研修で育成する

最初に新人教育の定番である新入社員研修についてご説明いたします。

新入社員研修のメリット

中小企業でも、社員の育成で、研修を取り入れている企業は多いことでしょう。研修では、体系化された内容を学ぶことになります。

体系化されたものを体系的に学ぶと、欠けている知識を補えたり、研修内容を後輩に教えるのがうまくなったりします。体系化された知識は、全体が網羅されていて、教えてもらえる内容が順序立てられているからです。研修には、そのような効果があるのです。

効果は受講者のやる気に影響

体系化された新入社員研修を受けた人は、ほとんどの人が受け身なので、身に付かないことがほとんどです。1週間もしたら、どのような内容の研修だったか、覚えていない人もいることでしょう。研修の内容を振り返ることができれば、研修の内容が活きてきません。

上司によっては、「研修をしたから、育成ができた。あとは社員の問題だ。」と、育成の意味を勘違いしている人もいるので、ご注意ください。

また、社員が自発的に「この研修を受講したい」という能動的でないと、研修の効果がかなり下がります。

上司がうまく研修のPRを

当社のお客様で、リーダーコミュニケーション研修を社員全員に受けてもらうようにしているところがあります。もし、研修の受講者が「自分はコミュニケーションがうまい方なので、このような研修は必要ない」と思っていたら、研修の効果が落ちてしまうことでしょう。

研修の内容を定着させるためには、強制的にではなく、社員が自発的に学び直す工夫が必要です。上司は、部下に研修のPRがうまくできるようになることで、部下の研修効果を高めることができます。

部下を指導する立場の方で、「コミュニケーション研修を受講したことがない」という方は、できる限りコミュニケーション研修を受けられた方が良いです。経験上、「自分はコミュニケーション研修など必要ない」と思っているのであれば、そのように思っている人ほど研修が必要であることが多いです。

当社でもコミュニケーション研修を開催しております。詳細は、こちらのページをご覧ください。

効果的な見取り稽古で仕事を覚えてもらう

見取り稽古は、冒頭でご説明しましたが、「見て覚えろ」というものです。先輩がやっている仕事の作業を見て覚えるというものです。

昔ながらの見取り稽古では、まさしく見て覚えて、覚えていなければ厳しい指導があったようです。

昭和3年(1928年)、本田技術研究所の創立者、本田宗一郎が自動車修理工場「アート商会浜松支店」を21才で起業したとき、東京で身に着けた一流の技術力と価格の安さで、たちまち人気店となりました。浜松のエジソンとまで言われたその技術を覚えたいと、たくさんの丁稚奉公が来るようになりました。

本田宗一郎は、自身が丁稚奉公に出ていたときは、師匠から頭を殴られながら仕事を覚えていきました。本田宗一郎は、その教え方を踏襲し、奉公人に見取り稽古しただけでなく、頭を殴られながら教えました。

その教え方は酷いもので、ほとんど教わらない人にやらせてみて、できなければ殴るというものでした。教え方のあまりにも激しさに辞めていく人が多く、夜逃げする人もいたぐらいでした。

しかし、本田宗一郎から技術を教わった人たちは、一流の自動車修理工として独立できました。

当時は、そのような教え方が当たり前でしたが、現在では問題となることは必至です。

ともあれ、「自分たちは見取り稽古で仕事を覚えた」という先輩は、後輩を同じように教えてしまうものなのです。教えるときに殴らないまでも、見取り稽古だけであれば、新人社員はなかなか育ちません。なぜなら、先輩がしている作業の意味がわからないからです。

当社がおすすめする効果的な見取り稽古とは?

そこで、新人社員を見取り稽古させるときに、先輩が何を考えて今の作業を行っているのか、考えたことを独り言のようにブツブツと言いながら行うのです。これが、とても効果的な見取り稽古となります。

例えば、ホームページ制作でHTMLコーディングをするのであれば、「この場所はH2タグが入るので、divタグよりもsectionタグの方が良いな」というような独り言を話しながら作業を進めるのです。新人社員に、その作業を見ながら、大事だと思った独り言をメモしてもらいます。先輩は、部下がメモしている所を確認したら、メモし終えるまで待ってあげてください。

先輩によっては、「苦労して覚えた自分の技術を、簡単に人に教えたくない」と考え、後輩にイジワルする先輩もいます。上司は、部下を育成することの大事さを、先輩社員に新人指導を依頼したときの指導要領書に基づいて、その先輩社員に伝えてあげてください。

効果的な見取り稽古のメリット

すると、先輩が何を考えて今の作業を行っているのかがわかるので、新人社員は作業のコツだけでなく、判断基準も覚えることができ、仕事を圧倒的に早く覚えることができるようになります。

新人社員を教えている先輩は、その時間帯はほとんど仕事にならないこともありますが、この方法ですと新人社員が早く作業を覚えることができるので、先輩も自分の仕事に早く戻ることができるようになります。

質問させて育てる

部下に「わからないことは何でも聞いてください」と言っても、部下は何を聞いたらいいのかわかりません。このことにご注意ください。

部下に何か仕事を依頼する場合は、上司である自分に対して、次の質問をするように教えてあげてください。

  • この仕事の目的は何ですか?
  • この仕事のゴールは何ですか?

これらの質問は、かなりレベルの高い質問です。これらの質問によって、部下は仕事の全体像をつかむことができるようになります。部下の仕事能力は、全体像が分かってから伸びることがあります。

質問の仕方を教えるときには、質問例も教えてあげるようにしてください。過去に部下を育成したときに聞かれたことや、教える対象者がミスをしやすい場所を質問例として挙げられたら、教え上手の上司です。

行動指針の「あいうえお」で育てる

行動指針の「あいうえお」とは、行動指針の中で特に大事な項目を5つに絞り込んで、語呂合わせでわかりやすい言葉にしたものです。

例えば、「あ=あいさつは笑顔と礼節で『おはようございます』『こんにちは』」といったものです。

このような単純なものであれば、新入社員でも覚えやすいので、早く仕事の基準を覚えることがえきます。

行動指針の「あいうえお」の詳細は、こちらのページをご覧ください。

新規企画にチャレンジさせて育てる

ある程度、仕事ができるようになって、責任感も出てきたら、何かの新規企画にチャレンジしてもらうと、さらに成長するようになります。

初めて企画を作成するときは、上司と対話をしながら企画を練っていくことが大事です。そして、過去の企画書を参考にしながら、部下なりに作成してもらうと良いでしょう。

最初の企画は、使い物にならないと思います。上司は忙しいので、その企画を、「ダメだ」の一言で突き返す人がいますが、部下は何が良くて何が悪いのかが分かりません。最初のうちは、何がダメだったのかを丁寧に説明してあげるようにしてください。

そして、企画のやり直しのときには、単に「やり直し!」とだけ言うのではなく、「この部分をこのようにしたら、もっと良い企画ができる」という具合に、良い企画ができるようにアドバイスして導いてあげることが大事です。

例えば、作成された企画が経営理念から外れている箇所を発見したら、経営理念を見せつつ、「企画のこの部分が、経営理念のこの部分から外れているから、一つのアイデアとしてこのように変更したらどうだろうか?」と指導すると良いでしょう。

丁寧に説明してあげることで、企画の考え方が伝わっていき、部下が上司に代わって企画を作成してくれるようになります。そのようにして、部下が育ち、部署の成績も上がっていくことでしょう。

コーチングで育成する

部下の仕事能力が高くなり、より高度な仕事にチャレンジするようになってきたら、部下の育成にコーチングが効果を発揮します。部下育成でコーチングを行うときは、基本的に1on1で対応します。

コーチングとは、「質問をして答えを誘導するのでしょう?」と勘違いされている方が多いのですが、傾聴や承認、質問などのスキルを活用して、相手をゴールに導くことです。

高度なコーチングの技術を身に着け、熟練してくると、部下があたかも自分で答えを導きだしたかのように感じ、高いモチベーションで自発的に仕事をするようになります。

部下の育成方法の研究

人は育てられた通りに人を育てようとするものです。性格にもよりますが、丁寧に育ててもらった人は、部下を丁寧に育てようとしますし、叱咤しながら教えてもらった人は、部下を叱咤しながら教えようとするものです。

また、丁寧に育てようとしても、その育て方が部下にとって最適な方法だとは限りません。つまり、部下を丁寧に育てようとすると、人によっては「バカにされている」と感じてしまうこともあるのです。

叱咤しながら教えたり、丁寧に教えたりすることも、部下によって使い分ける必要があり、一律の方法で育てることには限界があります。

自分一人で育ってしまった天才型の人は、人を育てられない場合もあります。部下を育てられる人物になるためには、苦労しながら部下の育て方を研究する必要があります。

新人育成での心得

新人育成を任されたら、最初は張り切って教えていくのですが、仕事を覚えるのに時間がかかり、少しずつ面倒になってくることがあります。教えても感謝されないし、自分の仕事が進まないし、何もメリットを感じないこともあります。

そういった新人育成での心得をご紹介いたします。箇条書きにすると、次の通りです。

  • 新人の育成は想像以上に時間がかかることを知る
  • めんどくさがらない、イライラしない
  • 丁寧に育成すると必ず自分に見返りがあると信じる

以上、新人社員を早く育成する方法をご紹介いたしました。新人社員が仕事の作業をなかなか覚えられなくて困っている方は、ぜひお試しください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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