社長の夢実現への道

社員とアルバイトの仕事は何が異なるのか?

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社員とアルバイトの仕事は何が異なるのか?

最近では、同一労働同一賃金と言われるようになりました。コンビニやスーパーマーケットの仕事を外部から見ていると、社員スタッフとパートスタッフの労働の差が感じられなくなってきているようにも見えます。

会社によっては、例えば物流企業であっても、社員スタッフとパートスタッフが同じような作業に追われていることもあります。

正社員を採用したいと考えていても、懐事情からアルバイトスタッフを雇うこともあると思います。その場合も、もともと正社員にしてもらおうと考えていた作業を、アルバイトスタッフに任せることになります。

「社員は発注業務があるのだ」ということですが、それもルーチンにすればアルバイトスタッフでも可能となります。

小さな会社の社長であれば、スタッフから「社員とアルバイト(パートタイマー)では何が違うのか?」と問われることもあるかもしれません。

そのときに、適切に答えることができなければ、同一労働同一賃金となり、いろいろとトラブルが起こって、経営を圧迫する可能性があります。

この記事では、社員とアルバイトの仕事は何が異なるのかを、明確にしたいと思います。

すべて当てはまるとは思いませんが、何かの参考になることを祈念いたします。

責任の差

よく、社員とアルバイトの仕事の差で聞かれることは、「責任の差」と言われることがあります。仕事によっては、責任の差があると思います。

責任の差とは?

「社員に責任があり、アルバイトスタッフには責任がない。」と言われることがあります。

例えば、作業責任者を社員スタッフがしていて、何らかの作業をアルバイトスタッフが行っていたとしましょう。作業でミスがあったときに、責任者である社員が叱られることは考えられます。

この例での差は、「責任の差」と言うよりは、「怒られ役の差」ということになります。

アルバイトスタッフには、言われたことを言われた通りに行なうことが仕事のように思われるかもしれませんが、すべての作業を明確に命令することはできませんので、アルバイトスタッフであっても社員から指示されていないことも考えて働くことが求められます。

考えて働くのであれば、アルバイトスタッフであっても、その行動に責任が伴うはずです。

アルバイトスタッフは責任が無いのか?

日本最大のテーマパークでは、スタッフの9割がアルバイトスタッフであると言われています。そこで働くスタッフの誰もが、お客様に楽しんでいただけるように工夫をしています。責任を与えられているというよりは、「責任感で仕事をしている」と言えます。

責任感は、公務性とも言えます。

企業によっては、店舗経営をしているところもあります。その中には、パートスタッフであっても、店長に任命されている人もいます。そういったスタッフには、パートスタッフだからと言って責任がかからないわけではありません。

店舗を任された以上、その場に居て、お客様のご対応をしないといけませんし、トラブル対応にも迫られることもあると思います。業務の改善なども求められるかもしれません。

社員やアルバイトスタッフといった役職に関係なく、すべての人が責任感を持って働き、社員に責任権限が与えられているのではないでしょうか。

マニュアルづくりをするかどうかの差

社員とアルバイトスタッフの差として、「マニュアルづくりの差」というものもあります。

マニュアルづくりの差とは?

社員とアルバイトスタッフは、普段から同じ業務を行っているのですが、社員がマニュアルを作成し、アルバイトスタッフがそれに従って作業をするというものです。社員のみにマニュアルづくりや、マニュアルの改善の権限が与えられており、アルバイトスタッフはそれに忠実に行動します。

その作業の中で予期せぬトラブルが発生したら、社員がマニュアルを見直し、トラブルが起こらないようにマニュアルを改善します。アルバイトスタッフには、改善された内容が共有され、その瞬間から新しいマニュアルに従って作業を行います。

このような差は、大手量販店では当たり前になっていることと思います。

社員がマニュアルを改善する場合、その方法が示されたマニュアルに基づいて、マニュアルを改善します。

このマニュアル化は、「社員が仕事を生み出し、アルバイトが実施する」ということにもつながります。この階層を築くことで、会社は事業規模を拡大させることができます。

私が20代前半で学んだ「マニュアルづくりの差」

私が最初に勤めた会社を辞めたのは23歳のときでした。19歳で高校を卒業して働きはじめ、21歳の頃には何人もの新人を指導した経験がありました。

それまでの部署では、新人育成マニュアルといったものは無く、先輩が独自に始動していて、その厳しさに辞めていく人も多くいました。

そういった中で、「新人が覚えるべきこと」をマニュアルにまとめて指導し、「平野に新人を指導させたら1年で一人前になる」とまで言われました。21歳で年上の部下を何人か育成しましたが、とても苦労したことを覚えています。

さて、部署を移動して内勤になったのですが、そこでもクリエイティブな発想を発揮し、社内改革に取り組みました。その部署では、私が考えるイノベーションは必要なかったようで、改革に失敗し、23歳でリストラ対象となってしまいました。

そのときに次長をしていた人から、イジメではありませんが、退職の雰囲気を勧告され、辞表を出しました。その次長から退職の1週間前に、社員とアルバイトの差は「マニュアルづくりの差だ」と教えてもらい、今まで何度もそのことを考えてきました。

「マニュアルづくりが出来る」ということが何を意味するのか?

仕事のマニュアルを作成できるということが何を意味するのか、ご説明いたします。その差は、やはり社員とアルバイトの差を決定づけるものになります。

マニュアルを正しく作成できるということは、仕事で成果を上げる方法を知っていて、それを実践でき、誰かに教えることができるということを意味します。また、仕事全体を鳥瞰し、他者との連携をも手に取るようにわかるような、仕事の把握の仕方ができることを意味します。

つまり、普段の業務としては社員とアルバイトスタッフは同じことを行っているのですが、社員は上司から与えられた成果を出すための方法を考え、実践し、失敗して改善し、成功パターンを開発します。開発された成功パターンをマニュアル化して、誰でもマニュアル通りにすれば成果が出せるようにします。

もちろん、マニュアルに不備があるはずですので、アルバイトスタッフがマニュアルの不備に気が付いたら、社員にフィードバックします。マニュアルには、「何が不備なのか?」も明確に記載することが大事です。

マニュアルを使って教えられたスタッフは、新人が入ってきたら同じように教えることをするので、誰でも一定の成果が出せるカルチャーが出来上がります。

マニュアルの階層

マニュアルにはいくつかの階層があります。その階層を大まかに述べるのであれば、次の3階層になります。

  • 経営マニュアル
  • 業務マニュアル
  • 操作マニュアル

この3つは、階層になっています。最上位階層の経営マニュアルは、経営指針の解説です。経営担当者が、社長に代わって経営判断をするときに使用するマニュアルです。経営指針は、内容が抽象化されていることが多いので、経営マニュアルで補完します。(経営指針の意味を知りたい方は、「経営指針とは?経営理念との関係や浸透方法」をご参照ください。)

次の階層の業務マニュアルは、誰もが業務で成果を出せるようにするためのマニュアルです。業務マニュアルが作成されていく会社が、伸びていく会社です。上司が部下にマニュアル作成を指示するときは、業務マニュアルの作成を求めます。しかし、業務マニュアルづくりは、実は上司の仕事です。

操作マニュアルは、機器の操作マニュアルです。レジの操作や、注文の仕方といったマニュアルになります。「マニュアルを作成しろ」と上司から指令を受けたときに、一般社員が考えるのがこの操作マニュアルです。

それぞれのマニュアルには責任者がいて、その人が責任を持って、誰でも成果が出せるようにマニュアルを作成し、改善していきます。

操作マニュアルは、一般社員やアルバイトでも作成ができるものです。上司が指導しながら作成すると、マニュアル作成を担当した人はイジメに遭っているかのような感覚に陥る場合があります。なぜなら、何度も何度も作り直しを要求されるからです。

何度も何度もマニュアルの創り直しをしている中で、上司の考え方を学ぶ面もあります。イジメに遭っているように思えることもありますが、上司が尊敬できるならそれに耐えて、上司の考えを学び、上司と考えを同じくできるサポーターになれるように成長することを目指してください。

上司と一般社員の差

では、上司と一般社員の差は何でしょうか?

社員からすると、普段上司がどのような仕事をしているのか見え難いものです。上司の社員に対する対応を見ていると、社員からすると頼りないものに見えることもあります。しかし、上司にはさらに上の上司や経営幹部がいて、上の上司や経営幹部が、今の上司をその役職に抜擢したはずですから、何か評価されるものがあるのです。

ここでも、「責任の差」と言ってしまえば、それまでかもしれませんが、「業務の目的や目標を明確にすること」と「それを実現するためのマニュアルを作成すること」の差だと思います。

上司は、社長や経営幹部からさまざまな経営目標や方針などが出されます。その経営目標や方針などから、各部署の業務に適用していきます。そして、上司が部下の結果責任を負うため、目標達成の進捗を確認します。

他にも業務内容の差は、会社によって差があると思いますが、上司と一般社員の差は、この辺りのことでしょう。

新規事業の立ち上げについては、経営幹部や社長が中心人物となって行いますが、ここで試行錯誤しながら成功パターンを編み出していきます。その成功パターンがマニュアルになって、部下に降ろされていき、最終的にはそのマニュアルに従ってアルバイトスタッフが行動をします。

社長と上司の差

では、社長と上司の差は何でしょうか?

社長は会社の全責任を背負っていると言えるのですが、何の責任を背負っているのかと言うと、次の項目になります。

  • 会社の目的や目標を明確にすること
  • 社員が成果を出せるようにすること
  • 事業活動を通じて社会に貢献すること
  • 利益を出して未来に投資すること(経営資源の配分を考えること)

これらを明確にまとめたものが、経営理念になります。ですので、経営理念は「何か一言で」というわけにはいかず、いくつかのパーツに分かれます。当社の経営理念コンサルティングでは、基本理念、未来ビジョン、経営指針、行動指針の4つを作成することを基本としています。

社長は経営理念を立てて、それを実現するための経営計画や事業計画を立てます。上司は、社長からそれを受取って、それに基づいて各部署の目標や方針を立てます。社員はその方針に従って業務を行います。

上に立つものが数値的な責任を持ち、下位のスタッフほど実施責任を持つことになります。

以上、社員とアルバイトスタッフの差について述べました。結局のところ、「社員は仕組みを創ってマニュアル化し、アルバイトスタッフにマニュアル通りに実施してもらう」ということが、社員とアルバイトスタッフの差です。

ご参考になったでしょうか?

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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