社長の夢実現への道

社長が原因で経営理念が浸透しないパターンと対策

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社長が原因で経営理念が浸透しないパターンと対策

当社では、経営理念コンサルティングと称して、経営理念の策定だけでなく、浸透のご支援もしています。

そのときに経験してきた、社長が原因で経営理念が浸透しないパターンをまとめました。

そのパターンには、細かく分けると14種類あります。その内容には、当たり前のことも述べていますが、その当たり前のことができていない場合も散見されます。

もし、経営理念が浸透しないことでお悩みであれば、次の14種類のパターンをご確認ください。簡単にですが、対策も記載しております。

後出のコラム「社員が原因で経営理念が浸透しないパターンと対策」と併せてご覧ください。

経営理念を浸透させて、立派な会社を目指される社長のご参考になれば幸いです。また願わくば、当社のコンサルティングを利用してみたいと思って頂けたら、なお幸いです。

1.経営理念が完成して満足してしまっている

一つ目は、経営理念が完成して、社長が満足してしまい、浸透について何もしないパターンです。

経営理念策定に全精力をつぎ込み、最高のものが出来上がり、満足する社長は多いはずです。気持ちはわからないわけではありません。

当たり前のことですが、経営理念は完成して額縁に入れてオフィスに飾ったら勝手に浸透していくものではありません。

経営理念を浸透させること

経営理念は浸透させようとしてください。経営理念は繰り返し述べることが大切です。

普段から社員に経営理念を語ったり、昼休みに社員と昼食をしながら経営理念の解説を行ったり、経営理念研修を定期的に行い、経営理念浸透を社長自身のプロジェクトとして実施してください。

自慢話は繰り返さないこと

年配の社長の中には、自慢話を繰り返ししてしまう社長もあります。ご自身で給料を払っているので、少しなら経営の知識として役立つので、自慢話をしてもよいでしょう。

しかし、自慢話を繰り返して話すようなら、徳を失っていく恐れがあります。せっかく繰り返すなら、経営理念や未来ビジョンの話を繰り返した方が良いと思います。

2.経営理念浸透のための一歩が踏み出せない

社長が経営理念を策定し、浸透させようとしても、なぜか一歩が踏み出せないパターンです。

経営理念の浸透を行うと、社員から反発があるのではないか、社員が辞めてしまわないかといった不安によって、一歩が踏み出せないパターンと、普段とは異なる仕事を一切したくないという社長のパターンがあります。

自分が社長なのですから、社長命令として経営理念浸透を行えば良いのですが、立派な経営理念ができ、浸透プランができ、研修を用意し、準備万端でも実施できない社長がいます。

このパターンの場合の対策は、「一歩を踏み出してください」としか言いようがありません。

3.経営理念浸透を従業員やコンサルタントに任せ切りにしている

経営理念の浸透は「自分の仕事でない」と考えている場合も、経営理念は浸透しません。一つめの満足してしまったパターンの延長の場合や、経営理念について社員に語ることが恥ずかしかったり苦手だったりして、従業員やコンサルタントに経営理念の浸透を任せ切りにするパターンです。

なぜ任せきりで経営理念を作ったらダメなのか

経営理念は、会社の中でもっとも上位概念となるものです。これには、社長も従わなければなりません。そうしないと浸透しないからです。

では、社長以外の人が作った経営理念を、社長自ら取り組むことができるでしょうか?

ムリなはずです。ですから、会社の最高責任者である社長が、経営理念を作らなければなりません。

経営理念浸透のプロジェクトリーダーになることも社長の役割

経営理念の浸透を、社員やコンサルタントに支援を求めることは大事ですが、経営理念浸透のプロジェクトリーダーは社長自身で行うことが大切です。

なぜなら、経営理念の意味をいちばん深く理解している人は、社長ただ一人だからです。

4.経営理念に哲学がない

経営理念に哲学がなければ浸透しません。

哲学がない経営理念の例

例えば、経営理念として「いいものを、どんどん安く」というものを掲げていたとしましょう。

このような経営理念は、時勢が変われば、安売りができなくなって経営理念を変えなければなりません。経営理念はそのような軽いものではなく、哲学が感じられるものでないと、浸透しにくいです。

経営理念に「わが社の存在目的」が見いだせない場合も、哲学のない経営理念だと言えます。

最近では、パーパスという言葉が流行っているようですが、存在意義と同義で、会社の社会貢献の部分を表します。

また、経営理念の実現を給料に結び付けたがる社長もいますが、社員には「給料を出すから働け」と言われているように聞こえますので、この場合も経営理念に哲学がないと言えます。

経営理念に社長の哲学を盛り込むこと

社長は会社の中でもっともすぐれた人材のはずです。社長の経営判断は、社長自身の人生観や哲学、あるいは宗教観、人生経験で得た教訓、市場分析の結果、会社の事情など、さまざまな智恵や情報に基づいて行われます。その経験から経営哲学として社長に蓄積されていきます。

哲学と言える内容は、「事業を通じての人々への貢献」が含まれたものです。松下電器(現パナソニック)の創業者である、松下幸之助(まつしたこうのすけ、1894~1989年)氏が提唱した、「水道哲学」がまさしく哲学です。

経営理念は、その経営哲学をまとめたものになっていると、社員は経営理念の実現に使命感を感じて、経営理念を受け入れようとする気持ちが生まれます。

社長自身の哲学を見出す方法

哲学が含まれた経営理念を策定したい場合は、社長一人でじっくりと考えてまとめていく方法が一般的かもしれませんが、とても時間がかかります。場合によっては、10年ほどかかることもあります。

また、経営理念を作りたい社長が集まって、ワークショップ形式で行われるものもありますが、哲学の薄いものになりがちです。

そこで、当社のような高度な質問力のある経営理念コンサルタントの支援を受けることで、半年から1年ほどと、かなり早く作成できます。

5.経営理念がコロコロ変わる

経営理念がコロコロ変わるようだと、社員は混乱してしまいます。経営理念がコロコロ変わるようだと、社員は経営理念を信用しなくなります。

場合によっては真逆に変わることもあります。経営理念の哲学とも関連しますが、先ほどの例で述べた「いいものを、どんどん安く」という経営理念は、時勢によって「はやり、高級・高付加価値の商品を販売しよう」となったら、社員はどう思うことでしょう。

経営理念は社長の哲学や変わらぬ想いが込められたもので、コロコロ変わるものではありません。

経営理念はコロコロと変えてはいけませんが、経営判断は時勢に合わせてコロコロと変えても良いです。その場合は、社員によくよく説明して、「今のわが社にとっては、こちらの方針でいく方が良いのだ」と決定を下すようにしてください。

6.社員が仕事のやる気を出す動機付けにならない内容である

経営理念が実現したときのことを考えると、そこに社員自身の明るい未来がイメージできなかったらいかがでしょうか。

社員は生活の安定と向上を考えて、今の会社で働いています。また、仕事の中に生きがいを感じたいと願っています。経営理念の実現が、会社の規模を縮小させるものであったり、社会貢献にならない事業をしたりするものなら、たいていの社員は人間性を失っていくことでしょう。

経営理念の実現には、社員の助力がなければ実現できないことでしょう。それならば、経営理念には、それが実現したら社員のやる気が出るような内容であるべきです。

7.浸透には時間がかかることを認識できていない

経営理念の浸透には時間がかかるものです。それを理解できていない社長の多くは、社員にダメ出しをしたり、叱咤したり、評価を下げたりすることがあります。

その結果、社長が経営理念の浸透をあきらめたり、社員が辞めていったりして、経営理念が浸透しません。

経営理念に哲学が込められたものであれば、それを理解して仕事に活かすことができるようになるまでには、優秀な社員でも1年以上の時間がかかります。ましてや、カルチャーになるまでには、少なくとも数年はかかります。

社長は、経営理念の浸透には時間がかかることを認識し、じっくり何度も何度も、あきらめずに浸透させるための施策を行ってください。

8.経営理念の浸透方法を間違っている

毎朝、経営理念を唱和する浸透方法

経営理念を毎朝唱和している会社があります。「昔からそのようにやっている」ということで昭和の時代の浸透方法をそのまま踏襲しているのだと思いますが、社員からは「宗教だ」と思われるパターンです。

私は、経営理念の唱和がダメだとは思っていません。それが先代から続く立派な経営理念で、昔から唱和することがカルチャーで、それによって経営理念が浸透しているのであれば、それは良いことだと考えます。

新規で経営理念を策定したばかりの企業であれば、唱和する経営理念が本当に正しいのかも疑問です。唱和することに何の意味があるのかも疑問です。そのような疑問から、唱和することに反発する人が出て、事業経営が難しくなることもあります。

もし、すでに毎朝唱和し始めたのであれば、まだ一歩を踏み出せない社長よりは優れていると思います。経営理念の唱和を社員が受け入れてくれたなら、社長は社員から尊敬されていることと思います。

しかし、社員は経営理念を唱和するだけでは、経営理念に込められた深い意味を理解することは難しいと思います。経営理念に込められた深い意味が理解できないと、経営理念を仕事に活かすことができません。

社員をお金で釣る浸透方法

また、経営理念の実現をお金で釣るような経営理念の浸透方法も間違っていると言えます。

経営理念の達成に貢献した社員は、高い評価が得られるようにすることは、当たり前のことですが、それだけだと社員の人間性が失われてしまいます。

当社の浸透方法

経営理念の浸透方法は、さまざまな方法がありますが、当社のコンサルティング支援している企業には、経営理念が完成したら、選抜された経営幹部を対象に経営理念浸透研修を開催していただいています。

経営理念を半年から1年ほどかけて経営幹部に経営理念に込められた深い意味を理解してもらい、経営理念に基づいて仕事をしてもらうようにします。その後に、経営理念発表会を経て、全社員に経営理念研修を行います。このように、手順を踏んで段階的に行っていくことが、正しい浸透方法です。

経営理念の浸透は、会社にとって最重要プロジェクトですので、経営理念浸透のプロジェクトリーダーは、もちろん社長が着任します。

経営理念の実現に貢献した社員は、高評価が得られ、給料を人よりもたくさんもらえるようにすることは当然のことです。それ以上に社会貢献ができていることを評価するように、社員の良心と勤勉性が評価されるものにすべきでしょう。

9.経営理念に心がこもっていない

経営理念に心がこもっていない場合にも、経営理念が浸透しません。社長自身が経営理念を浸透させようとしても、経営理念についての熱意を伝えることができないパターンです。

心がこもっていない経営理念のパターンは、1.社長が深く考えずに経営理念を作ってしまった場合、2.経営理念の策定を誰かに任せて社長が自ら作っていない場合、3.先代社長が策定した経営理念を現社長が理解していない場合があります。

どの場合でも、社長自身が深く考えて心のこもった経営理念を策定しなおすことです。3番目の先代社長が策定した経営理念を作り直すときは、その経営理念をベースにして作り直すことをおすすめします。

10.社長が経営理念に愛着がない

社長が経営理念に愛着がない場合にも、経営理念が浸透しません。

不思議と社員は、社長が策定した経営理念にどれだけ愛着があるかを読み取る能力があります。

社員は、「社長の愛着がない経営理念を信用して、その通りに行動して良いものだろうか」と心配になります。愛着のない経営理念ですので、経営理念がコロコロと変わる恐れもあります。

愛着のない経営理念を持ってしまうパターンは、経営理念に心がこもっていない場合と同じです。つまり、社長が深く考えずに経営理念を作ってしまった場合、社長が自ら経営理念を策定していない場合、先代が策定した経営理念を現社長が理解していない場合です。

社長自らが、愛着のある経営理念を策定しなおすことです。

11.社長自ら経営理念を解説できない

経営理念の浸透では、社長がプロジェクトリーダーを務めることを述べました。その社長が経営理念を自ら解説できないのであれば、社員に浸透するでしょうか。

社長自ら経営理念を解説できないパターン

社長自ら経営理念を解説できないパターンは、社長が話し下手な場合と、経営理念に問題がある場合があります。

社員は、社長が話し下手であることを知っています。その社長がいっしょうけんめいに経営理念について語ろうとすると、社員に伝わるものです。経営理念を解説しようとする熱意が大切です。勇気を出して話すようにしてください。

経営理念に問題がある場合のパターンは、これも経営理念に心がこもっていない場合と同じです。社長自身が深く考えて心のこもった経営理念を策定しなおすことです。

解説しやすい経営理念をつくる

深く考えられた経営理念は、とても重厚感のあるものになります。また、その経営理念を補足するような内容を含め、冊子になっている会社もあります。それぐらい練り込んでいただけると、理に適った経営理念になり、解説もしやすくなると思います。

経営理念は、一言だけで表現されることがありますが、そのような一言のことを、当社では「基本理念」と呼んでいます。経営理念が基本理念の一言だけであれば、これは解説が難しいことでしょう。経営理念を浸透させるためには、基本理念を含む4つの要素を策定することをおすすめします。経営理念の構成要素については、「経営理念の構成要素」をご覧ください。

12.経営理念の実現を本気で考えていない

社員が仕事のやる気を出す動機付けにならない経営理念であったら、浸透しないことを述べましたが、経営理念は、会社の最終的な姿を現した全社目標(企業ビジョン)が導き出されるものになっているはずです。

全社目標が示されたら、社員はやる気になることでしょう。しかし、社長が経営理念の実現を本気で考えていなければ、経営理念の実現はほぼ不可能です。やる気になった社員ほど、やる気が失せてしまうことでしょう。

社員の中で、やる気を失わなかった人がいたとして、その人が優秀であれば、「この社長のもとではダメだ」ということで、優秀な社員が辞めていってしまうことでしょう。そのように、社長が経営理念の実現を本気で考えていない場合、優秀すぎる社員は、会社を去っていくものですが、その時期を早めてしまう恐れがあります。

対策は簡単です。経営理念の実現に向けて、社長自ら取り組む姿勢を社員に見せることです。そのための第一歩として、経営理念発表会を開催し、社長の決意を述べると良いでしょう。すると、社員に経営理念を受け入れる自覚も生まれてきます。

社長が狂ったぐらいに経営理念の実現に熱心に取り組むことが理想です。そうでなくても、社員から「社長は努力をしている」と思われるようなぐらいは、最低でも取り組む必要があります。

13.社員を働かせるために経営理念を作成した

社長の「社員が働かない」という悩みから、「社員を働かせるためには経営理念が必要だ」という考えで経営理念を作成したパターンです。これは、割と多い話です。

社長は治外法権

社員を働かせるための経営理念ですから、もちろん社長は治外法権です。経営理念に描かれた未来ビジョンは、社員が自ら達成し、社長は見ているだけです。そのような、社員を働かせるための搾取のような経営理念に、社員は従順になれるでしょうか。

そのようなことは、社員の気持ちのわかる社長であれば、当然知っていることでしょう。ところが、中には知っていてもそのように振舞ってしまう方もいらっしゃいます。

経営理念は社長自身を働かせるためにある

まずは、経営理念の存在理由は「経営理念は、自分自身を働かせるためにある」と、マインドセットしてください。

人の考えはなかなか変えられなくても、自分の考えはすぐに変えられます。もし、社員を働かせるために経営理念を作られたのであれば、社長ご自身を働かせるための正しい経営理念に作り直してはいかがでしょうか?

「自分一人で経営理念を作ると、自分に甘いものができてしまう」とお感じの社長であれば、ぜひ経営理念コンサルティングをご利用ください。コンサルタントが、社長に質問しながら、前向きな言葉のみで紡いだ、感動する経営理念ができることでしょう。

14.社長の行動が経営理念と一致していない

社員を働かせるための経営理念の延長ですが、社長の行動と経営理念が一致していない場合は、経営理念は浸透しません。

言動が一致しない経営理念の例

例えば、経営理念に「顧客を大切にする」と書かれていたとしましょう。ところが、営業会議で社員の営業成績が悪いときに、「顧客を騙してでも仕事を取ってこい」と命令したらどうでしょうか。

このように、経営理念にはない社内ルールを、社長自ら作り出してしまうパターンです。

社員は、「経営理念に従ったらよいのか、社長の命令に従ったらよいのか」と混乱してしまい、結局は社長が作った社内ルールを優先するようになり、経営理念は浸透しません。

社長自らが経営理念に従って行動すること

まずは、正しい経営理念ができたのであれば、それに自信をもってください。もし、自信が出ないようであれば、経営理念の練り込みが甘い可能性があるので、もう一度、入念に確認してください。当社では、この確認作業のコンサルティングを承っていますので、そういった外部サービスを利用することも一つの方法です。

社長は、経営理念に対して謙虚になり、自分で策定した経営理念を会社の最上位概念として位置づけ、社長自らが経営理念に従って行動を行うようにしてください。

まず、経営理念の策定を誰かに任せることなく、社長自ら取り組むようにしてください。経営理念を会社の最上位概念として、社長自ら従うことができるような正しい経営理念が完成したら、経営理念をコロコロと変えることもありません。

経営理念が浸透するために社長の責任で行うべきこと

経営理念が浸透しない14のパターンについて述べました。経営理念が浸透するために、社長の責任で行うべきことをまとめると、次のようになります。

  1. 経営理念を浸透させる努力をすること
  2. その経営理念は自分自身で、愛着あるものに創り上げること
  3. 経営理念には哲学や会社が成長した姿、社会貢献を盛り込むこと
  4. 社長がプロジェクトリーダーとなって、社員に時間をかけて浸透させること
  5. 経営理念の浸透では、社長自ら語ること
  6. 経営理念の実現には、社長自ら本気で取り組むこと

いかがでしょうか。経営理念が浸透しないことでお悩みの方は、ぜひこれらのことをチャレンジなさってみてください。

もし、経営理念の浸透に自信のないようでしたら、当社の経営理念コンサルティングがあります。ご連絡をお待ちしております。

この記事の著者

関山淑男

経営理念コンサルタント
関山 淑男 (Sekiyama Toshio)

経営理念の構築・浸透とビジネスコーチングのスキルに親和性があることに気づき、研究や実績を重ね、経営理念コンサルタントとしてのスキルを確立していく。社長としての経営経験や赤字企業の業績回復支援の経験から掴んだ教訓、ピーター・ドラッカー先生や一倉定(いちくらさだむ)先生などの経営理論を融合させ、独自の経営理念コンサルティング・メソッドを開発。

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