社長の夢実現への道

経営理念を自分一人で作ることができる社長の条件

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経営理念を自分一人で作ることができる社長の条件

先日、とある社長に、経営理念コンサルティングのPRをしていると、「経営理念は社長が一人で作るものだ」とアドバイスをいただきました。「経営理念は社長が作らないと意味が無い」というわけです。

まったくその通りだと思います。

経営理念は理想的には社長が一人で作るべきなのですが、零細から小企業までの社長は正しい経営理念を作ることができない人が圧倒的に多いことが現状です。

経営理念をつくることができ、それが機能することで、中企業以上に成長します。

しかし、大志を抱き奮闘して10年、20年と経過しても、中企業まで到達できていない場合には、正しい経営理念が正しく浸透させられていないことが原因であることが多いのです。

そういったことで、当社の支援実績からしても、初めて経営理念づくりに取り掛かる場合や、経営理念を作っただけで機能していない場合には、誰かに手伝ってもらうことは必要なのではないかと考えます。

初めて経営理念を作成するときに、一人で作成でき、その経営理念に基づいて会社を成長に導くことができたとしたら、その社長は天来の才能をお持ちだと思います。

この記事では、そのような天来の才能を持つ社長はどういった人なのか、条件をまとめたいと思います。

経営理念が機能すると会社はどうなるのか?

経営理念が機能すると、会社で次のようなことが起こります。

  • 社員が会社に将来性を感じるようになり、定着しやすくなる
  • 会社にさまざまな基準ができ、混乱が減り、あらゆる部門の生産性が上がる
  • 全社員が立派に育つ(全員ではないが・・・)
  • 立派に育った人が、新入社員を立派に育てようとするカルチャ―が生まれる
  • 経営担当者が会社全体の目標を理解し、その実現に向けて自分の部門のことを考えるようになる

会社が目指しているものにもよりますが、基本的に会社は成長していきます。

そういったことが起こらなければ、経営理念の内容に問題があるのか、それとも経営理念の浸透のさせ方に問題があるのかのどちらかです。

経営理念が機能するためには、本物で正しい経営理念を作成し、正しく浸透させることが大切です。

正しい経営理念の内容とは?

正しい経営理念とは、全方位的に網羅されている経営理念です。何をもって全方位的と言えるのかと言いますと、次のことが導き出されるものです。

  • 会社が何を目指しているのか、何を実現しようとしているのか、何に責任を背負おうとしているのかがわかる
  • それを実現するための経営での考え方や哲学が盛り込まれている
  • 全社員の働き方や自己実現の方法が盛り込まれている

経営理念と言えば、何か一文や一言を表す用語でもありますが、それは会社によって定義が異なります。当社では、正しい経営理念は次の4つのパーツで構成されているものであると考えます。

経営理念の構成要素
経営理念の構成要素
  1. 基本理念
  2. 未来ビジョン(全社目標)
  3. 経営指針
  4. 行動指針

基本理念が一言で言い表したものです。未来ビジョンは、基本理念が実現した姿を明文化したものです。全社目標は、最終的な到達点です。経営指針は、それらを実現するための経営判断をするための考え方、哲学です。行動指針は、仕事で成果を出すための考え方や行動の仕方をまとめたものです。

これらの内容の解説は、「経営理念の構成要素」をご覧ください。

上記の項目が含まれていなければ、部分的にはできていても機能しませんから、正しい経営理念とは言えません。

正しい経営理念をお一人で作ることが出来る社長の条件

では、正しい経営理念をお一人で作ることが出来る社長の条件をご説明したいと思います。

上記の全方位的な経営理念を社長お一人で作成されるわけですから、条件は次のことをすべて満たす社長です。

  • 会社が目指しているものを普段から社員に語っている
  • 開発、生産、営業、人事、経理・財務といった各部門の経営担当者向けに、その目指すことを実現するために、ご自身がどのような基準で経営判断をしているのか、箇条書き風に説明することができる
  • 自社社員の人間像のあるべき姿を、社員に語り、浸透させようとしている

要するに、高い志を持ち、その実現のために精進し、酸いも甘いもさまざまな経験を経て教訓をつかみ、考えていることを言語化でき、会社を立派に成長させた社長です。

これらの条件に合致する人は、おそらく書籍を読み、セミナーに参加され、さまざまな人間ドラマを経験し、会社の栄枯盛衰を経験され、相当勉強されていることと思います。しかし、勉強だけでは足りません。その学んだことを自分の血肉にしたものを経営理念にまとめていき、自分で作成した経営理念が「本当に正しいものなのか?」という実証を経て、正しい経営理念が生まれます。

会社全体の目標を実現させ、会社が立派に成長するためには、社長は開発や生産、営業、経理、人事などについて精通している必要があります。作業は社員にやらせてかまいません。それらの部門がバランスを保ち、成長していくためのマネジメントが必要です。社長はそのことに精通している必要があります。

このように、正しい経営理念を作成し、会社を立派に成長させるためには、各部門を包含する経営哲学を持っている必要があるのですが、多くの零細企業の社長は、技術に偏りがあったり、営業に偏りがあったりして、各部門を包含する考えがなかなかできないことが現状です。

そもそも、社長ご自身の経営スタイルに偏りがあることすら認識されていない方も少なからずいらっしゃることから、当社では「小さな会社の社長のためのセミナー」を定期開催しています。誰でもご参加しやすいように格安で提供しているので、成長意欲のある零細企業の社長は、ぜひご参加ください。

社長一人で経営理念を作り切りたい人はどうしたらいいのか?

その方法は、立派な経営理念を掲げて大成された名社長の経営理念をそのまま利用させていただき、会社の成長に合わせて段階的に取り入れ、自社に合わないところを変更や付け足しをし、経験を積んでいくことです。

尊敬できる経営者であることが大切です。なぜなら、経営理念は社長よりも上の存在だからです。尊敬できない人のものをまるまる真似しても、それに従うことができないので、上に置くことができないからです。

なぜ社長の上に置く必要があるのか。それは、社長が経営理念に従って自らを律していなければ、社員に示しがつかないからです。経営理念は社員を働かせるために存在するのではなく、会社全体を良くするために存在しているのですから、社長自ら経営理念に基づいた立派な社長にならないといけないわけです。

冒頭で、「本物で正しい経営理念」という言葉を使いましたが、そういったことで、本物の経営理念とは、社長の事業活動に対する情熱を奮い立たせ、社長自らが率先して経営理念に従って経営判断や行動ができる経営理念のことです。

経営理念を経営理念コンサルタントと作る場合

社長一人で作れない場合は、経営理念コンサルティングの支援を受けることになります。

経営理念コンサルタントに依頼して間違った作り方をされた企業の事例

とある大きな企業の経営幹部の方から、経営理念コンサルタントがどのようにして経営理念の作り方を支援するのかを教えていただいたことがあります。

その方によると、要するに「経営理念コンサルタントが、クライアント企業の歴史を調べ、社長や社員にヒアリングし、一言を作成するのだ」と言っておられました。

「2~3年前に、名のあるコンサル会社に依頼して作成してもらった」という経営理念を見せていただいたのですが、「事業活動を通じて、地球の持続的な成長をささえられる会社になり、社会のために貢献する」といったような内容でした。

この内容から未来ビジョンや行動指針などは見えてきませんから、社員や取引先の心を感化する力はありません。社長の熱弁や他のパーツで補完する必要があります。

その経営理念の感想を聞かれ、「どうだ、素晴らしだろう?」と来たので、私は顔を引きつりながら、「素晴らしいですね」といちおう声を合わせておきました。

このように、他人に作ってもらった経営理念は、社長ご自身が心から受け入れられるのであれば良いと思います。しかし、自分の会社で、他人が作成した経営理念を受け入れることなど、できるはずがありません。いえ、社長が全責任を背負って経営するのですから、社長ご自身で何を目指して事業活動を行うのかを決めるべきです。経営理念は、社長自ら作成することによって、事業活動に対する情熱を掻き立てて、経営理念の実現に向けて率先して行動ができるようになるのです。

社長は二代目のどちらかと言えば若手で、先代の元でバリバリに働いてこられた経営幹部が、二代目社長に「経営理念をつくるべきときだ」ということだったようです。社長にお会いしていませんので、本当のところは分かりませんが、経営幹部ご自身でコンサル会社を探し出し、ジャイアニズムを発動させて作らせたものと思われます。

息子さんの二代目社長が会社を引き継いだときのアルアルのエピソードでしたが、この記事をご覧になられている皆様は、このような無駄遣いは避けてください。

経営理念コンサルタントに依頼して正しく作る方法

初めて経営理念を作成しようとする社長は、経営理念コンサルタントによる質問攻めの導きに遭いながら、まずは未来ビジョンを考えていくと良いと思います。未来ビジョンが出来ると、やる気がみなぎってくる社長が多いからです。

質問としては、「何が実現できたら嬉しいですか?」とか、「社員にはどうあってほしいですか?」、「なぜ起業されたのですか?」といった質問ですが、熟練の経営理念コンサルタントは社長が心を開きやすいように丁寧に訊ねてくれて、その返答をうまく言葉を変換して、納得のいく言葉を紡ぎ出してくれます。

未来ビジョンが明確になると、社長のやる気が出てきます。社長のやる気が出てくると、事業活動もうまく行き始めます。優秀な経営理念コンサルタントは、そのやる気を維持させてくれます。なぜなら、社長のやる気が出ているときに、良い言葉が引き出せるからです。

会社の発展には、何よりも社長のやる気が大切です。社長のやる気が、会社の成長をけん引するのです。

社長のやる気を引き出すために、まず社長の願望を明確にし、それを経営理念に明記します。社長が苦労しながらも会社経営をしている理由を明確にするのです。願望が明確になると惰性で働く社長はなく、理想実現に燃える社長が生まれます。

また、経営理念には経営指針や行動指針などといったパーツで、その願望の実現方法を明確にし、「これなら実現できる」という確信を得ていただきます。すると社長は、さらにやる気が出てきて、「経営理念をすぐにでも浸透させなければならない」となるのです。

経営理念が浸透すれば、社長が理想とする社員が育ち、成長企業に生まれ変わります。

次に、未来ビジョンの次に経営指針の作成に入ります。この段階で、経営理念の根幹となる基本理念の概案はすでに出来上がっていますが、経営理念コンサルタントと面談を繰り返すと、さらに良い言葉が出てきますから、完成はまだです。「完成した」と思っても、1~2週間したら「何だかしっくり来ない」と感じる場合もあるので、練り込みを続けます。

経営理念コンサルタントは経営全般に精通しているので、それを実現するための包括的な考え方のベースがあるので、それを社長ご自身の言葉に変換します。経営理念は社長一人で作るのではなく、経営コンサルタントといっしょに言葉を紡ぎだしていく方が良いです。

そして行動指針ですが、これをまともに作り始めると、おそらく2~3年ほどかかってしまいます。そこで、当社の行動指針テンプレートを用い、足りないものを付けたして自社に合わせて変更して、自社オリジナルなものに作り変えます。すると半年~1年ほどで行動指針ができます。

行動指針は、会社の事業規模が小さい場合には、いきなり全ての内容を出すのではなく、小出しします。いきなり立派な行動指針を出されたら、そこまで成長できていない社員が「私にはムリだ」と拒否するからです。一度拒否されると、「今まで通りで、成果が出ているからいいじゃないか」となり、なかなか受け入れなくなります。

社長の指導の下、行動指針を全社員が少しずつ学び、実施していく中で、運営上の都合が悪くなるケースや矛盾が乗じるケースがあります。そういったところは、行動指針を一部つくり変えて、変更した部分を浸透せます。

さて、正しい経営理念の全体像できたら、未来ビジョンに基づいた中長期経営計画、それを実現するための経営方針を作成します。未来ビジョンから、実現が不可能かと思えるものはさておき、5年や10年で実現できそうなことを段階的に分け、それを財務三表の数字で表して期限を決めると、中長期経営計画の完成です。

それらを明文化し、経営担当者に共有し、各部門の部門長や経営担当者がそれぞれの目標を社長といっしょに立てます。部門長や経営担当者に作成してもらい、社長が添削して考え方を示して再提出させる方法でも良いと思います。

以上、経営理念を一人で作ることが出来る社長の条件について、その難しさをお伝えしました。

稲盛和夫先生の経営理念を調べると、最初の経営理念は中村天風先生の教えをそのまま流用されているようでした。それを実際に活用し、会社経営をしている中で、変更すべきところは変更し、そのまま活かすべきところはそのままにして、仏教理論や解説を付け加えるなどして、京セラフィロソフィーが出来上がったようです。

経営理念を初めて作成したいとお考えの社長は、せひ当社の経営理念コンサルティングをご利用ください。

ご支援させていただいた社長からは、「自分一人だと、このような納得のいくものは出来なかった」とか、「一人で作っていたら経営理念は一生完成しなかった」といったお声をいただいております。

経営理念づくりの支援を依頼する場合は、社長と経営理念コンサルタントとの相性が大切です。まずは、2時間無料面談をお申込みください。経営理念コンサルタントが、会社のご事情を伺いつつ、経営理念づくりや浸透のプランをご提案いたします。

経営理念コンサルティング

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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