中小企業では、売上高の増大や下請けからの脱却を狙って、ブランドや自社商品をつくることを考える段階があります。ブランディングに成功したら、会社はもう一段の成長があります。
ブランディングを行いたいと考えている企業では、自社ホームページを自社のブランド名でSEO対策したり、ブランドの専門ホームページを制作しようとされる傾向があります。
しかし、ブランディングの正しい方法を知らないが故に、それらの施策が無駄になったり、ホームページ経由での集客数を減らしたりする可能性があります。
また、ブランディングでなく集客を優先し、検索数の多さだけでSEOキーワードを決めて上位ヒットさせられ、ホームページのアクセス数が増えたとしても、それが自社にとって幸せなのかと言えば、そうとも言えない場合もあります。
この記事では、ブランド名でSEO対策をしようと考えている企業様向けに、SEOキーワードの選び方を、事例を交えてご説明いたします。
トップページのタイトルに入れるべきSEOキーワードは?
とある建築機械を開発されたクライアント企業様にて、SEO対策のご支援をさせていただいているのですが、そのお客様のエピソードや事例を交えて、「どのような検索キーワードでSEO対策すべきか?」ということをお考えいただけたらと思います。
突然のトップページのタイトル変更依頼
そのクライアント企業様では、ご担当者様と定期的に打ち合わせを重ね、ホームページで集客ができるための企画を進めていました。
ある日、ご担当者様からお電話をいただき、「社長命令で、トップページのタイトルを変更してもらいたい」というご依頼をいただきました。社長命令ですので、すぐさまトップページのタイトルを変更させていただきました。
このクライアント企業様は、特殊な機械を開発した技術力のある企業で、「自社開発した機械の名称をトップページのタイトルにしてもらいたい」というものでした。ご担当者様に理由を確認すると、「社長の意向として、自社ブランドを打ち出したい」とのことでした。
「自社名でネット検索してきた人に対して、機械の名前を見せたい」ということでしょうか?
トップページのタイトルをいきなり変更してしまったら、せっかく上位ヒットしていた検索キーワードでの順位が下がってしまうことがあります。すると、アクセス数が減り、集客数も相対的に減ってしまう可能性があります。
トップページのタイトル変更は、SEO対策に大きく影響するのですが、理由はともかく、社長命令であれば仕方がありません。
しかし、その会社の社長のご意向も理解できます。苦労して開発した特殊な機械で、特許も取り、ご自身で機械の名称(ブランド名)も決めたのですから、愛着は相当なものです。また、それを主力商品として販売促進し、会社の業績アップの起爆剤にしたいとも考えています。
ここで、SEOキーワード選びは「集客を優先すべきか、それともブランド名を知らしめることを優先すべきか」ということですが、会社の状況によって異なります。また、両立させることも可能です。
トップページのタイトルと会社の規模や目指すものの関係
建設業には機械類や金具、工法など、本当にたくさんのブランドが存在します。私がいつも面白いと思うブランド名は、「〇〇太郎」や「〇〇君」です。真面目な名称としては、「〇〇工法」というブランド名というよりは、カテゴリ名やジャンル名もあります。
地盤改良をしている会社でも、その工法には本当にたくさんの種類があります。例えば、「回転杭工法」という羽根のついた鋼管杭を支持層までねじ込んで地盤を補強する工法があります。回転杭工法は、鋼管杭工法の一種であり、鋼管杭工法は広い意味で地盤改良の一種です。
ホームページのタイトルに、「回転杭工法」を用いるのか、「鋼管杭工法」を用いるのか、はたまた「地盤改良」を用いるのかによって、自社が何を目指しているのかを表しています。
回転杭工法のニッチトップを目指すのであれば、トップページのタイトルにSEOキーワードとして「回転杭工法」を入れるべきです。また、会社が回転杭工法以外の鋼管杭工法を扱うようになれば、トップページに「鋼管杭工法」を入れるべきです。
そして大手企業になれば、鋼管杭工法以外にも地盤改良の方法を扱っていると思います。そうなると、「地盤改良」をトップページのタイトルに使用すべきです。
このように、会社の規模や会社が目指しているものによって、トップページのタイトルに入れるべきSEOキーワードが異なります。
工法名での検索回数と集客の関係
さて、ネット検索で上位ヒットさせて集客したい場合は、どのような検索キーワードで上位ヒットさせるのかによって、集客数が異なってきます。
検索される回数(検索ボリューム)の多いキーワードで上位ヒットさせることができれば、基本的には相対的に集客数も多くなります。反対に検索回数が少なければ、競合他社は少なくなるので集客数も少なくなります。
ここで工法のブランド名で上位ヒットさせることが得策であるかどうかです。つまり、ブランド名によっては、知名度が低すぎて、まったくネット検索されていない検索キーワードでは、いくら1位にできたとしても、集客数はゼロになり、SEO対策に費用をかける意味がなくなります。
では、先ほどの例の「回転杭工法」などの検索回数を、Googleキーワードプランナーで調べてみましょう。Googleにて月間検索回数は、次のように出ました。
- 回転杭工法=110回
- 鋼管杭工法=480回
- 地盤改良=5,400回
「回転杭工法」で上位ヒットさせることができたら、月間アクセス数はおそらく10回ほどになります。「鋼管杭工法」であれば、50回ほどになります。「地盤改良」であれば、500回ほどになります。
「回転杭工法」は、とても検索回数が少ないので、集客はほとんど無いと見て良いと思います。せいぜい2~3カ月に1件ほどの割合でお問い合わせがある程度の検索回数です。
最低でも「鋼管杭工法」、できれば「地盤改良」といった検索回数の多いカテゴリ名で上位ヒットさせて、回転杭工法を知らない人にもホームページを見てもらえるようにしたいものです。
SEOキーワードにブランド名を選ぶべきか集客を選ぶべきか?
ここで、どのような検索キーワードを選ぶのか、その基準を考えたいと思います。SEO対策は、集客のために行います。どのような検索キーワードを選ぶのかによって、集客数に影響してきます。
検索キーワードを選ぶ理由別に解説いたしますので、自社に合った検索キーワードをお選びください。
会社名で検索した人にブランド名を知ってもらいたい
自社名を知っている人が、Googleなどの検索エンジンでネット検索したときに、その検索結果にブランド名を表示させたいというものです。
既存顧客を対象としたPRであれば良いかもしれませんが、新規顧客獲得のためであれば、
これは、はっきり言えばナンセンスです。
会社名でネット検索する人は、ブランド名を知っている人がほとんどでしょうし、ブランド名を知らない人であったとしても、会社のホームページを開いたら、そのブランド名が書いてあるからです。
ブランド名でネット検索した人を集客したい
ブランド名の認知度によって、集客ができる人数が異なってきます。これは、先ほどご説明した通りです。
ブランド名がオリジナルなもので、他社が使用していない名称であれば、上位ヒットが可能です。先ほどの「回転杭工法」であれば、いろいろな会社が提唱している工法ですので、上位ヒットさせるためにはSEO対策が必要となります。
もっと多くの集客数を獲得したい場合は、もっと検索回数の多い検索キーワードでのSEO対策を行うべきです。
カテゴリ名でのSEO対策
カテゴリ名であれば、検索回数が多いのである程度の集客効果が見込めることが多いです。ところが、検索回数の多い検索キーワードは、競合ホームページも上位ヒットを狙っているので、「自社ホームページは上位ヒットさせられるのか?」を検討すべきです。
もし、競合ホームページのSEO強度が高い場合には、上位ヒットさせられませんので、せっかくSEO対策してもムダになります。
反対に競合ホームページよりも上位ヒットができるのであれば、その費用対効果を検討して、SEO対策すべきかどうかを決めます。
先ほどご説明した「回転杭工法=110回」であれば、せいぜい2~3カ月に1件ほどの割合でお問い合わせがある程度の検索回数ですが、「地盤改良=5,400回」で上位ヒットさせられたら、月20件ほどのお問い合わせがあると予想されます。
この20件のお問い合わせから、成約率を掛けると受注件数になります。仮に成約率を1/4とすると、受注件数は月5件となります。この5件が多いのか少ないのかは、受注ができるキャパシティから決めると良いと思います。
受注件数が思ったよりも多い場合は、競合ホームページが弱い「鋼管杭工法=480回」といった、カテゴリ名を絞った検索キーワードでSEO対策した方が良いです。
ロングテールSEOによる集客
企業によっては、「カテゴリ名でのSEO対策で集客もしたいが、ブランド名でも上位ヒットさせたい」というご要望もあります。そういった場合は、どちらかを選ばずに、両方の検索キーワードでSEO対策をすれば良いです。
また、カテゴリ名で上位ヒットさせられたとしても、それでも満足できる集客効果が得られない場合があります。
先ほどの例では、「SEOキーワード『地盤改良』での、月5件の受注件数では足りない」とか、「『地盤改良』では受注件数が多いけれども、『鋼管杭工法』では少ない」といった具合です。
そういった場合は、「地盤改良」や「鋼管杭工法」といった単ワードだけでなく、「地盤改良 施工」や「鋼管杭工法 業者」といったたくさんの種類の複合キーワードでSEO対策を行うと良いでしょう。
このような、たくさんの複合キーワードでSEO対策をおこなう手法のことを、ロングテールSEOといいます。
たくさんの検索キーワードでのSEO対策は、費用がとても高くなるように思われがちですが、当社のロングテールSEOは、コンテンツSEOという格安で効果的な手法で対策するので、費用面で有利です。
ブランド専用のホームページを別途制作する場合
ブランド名で上位ヒットさせたい場合は、既存の自社ホームページ以外に、ブランド専用のホームページを別途制作することも考えられます。
この場合、メリットとデメリットがあるので、それを考慮して決めます。
メリットとしては、ブランド名のドメインを取得しての新規制作なので、ホームページを制作しやすいですし、ホームページに訪れた人にとって見やすいホームページになります。もちろん、ブランド名でのSEO対策がしやすいです。
デメリットは、ホームページが分散されるのでドメイン毎のページ数が少なくなり、SEO対策のスケールメリットが得られないことです。SEO対策して上位ヒットしやすいホームページは、ページ数の多いホームページです。
また、ホームページの数が増えるので、管理が煩雑になります。
これらを考慮すると、SEO対策による集客を優先するならば、できれば既存の自社ホームページにブランドの特設ページを設けることをおすすめします。
以上、SEO対策を行うときのSEOキーワードの選び方として、検索数で選ぶべきか、それともブランド名にすべきかを述べました。ブランド名でSEO対策をしようと考えている企業様、どのような検索キーワードでSEO対策すべきか迷っている方のご参考になったことと思います。
検索回数の多い検索キーワードで上位ヒットさせるだけが、効果的なSEO対策ではないこともご理解いただけたことと思います。どのような検索キーワードでSEO対策するのかが最適なのかは、事業規模や自社が目指すものなども考慮する必要があります。
SEO対策で集客をお考えの企業様は、ぜひ当社にご相談ください。当社のSEO対策のご提案は、入念に検索市場分析や費用対効果を検討します。
貴社からのSEO対策のご相談をお待ちしております。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。