製造業改善改革いろは

90%以上の社長が知らない5S活動の本当のメリット

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90%以上の社長が知らない5S活動の本当のメリット

多くの工場で、5S活動の導入・定着化で成功できないのは、コラム「5S活動はなぜ定着しないのか、5つの理由と対策」でも取り上げたように、経営トップの覚悟ができていないことが第一の理由です。

なぜ、経営トップの覚悟が出来ていないのでしょうか?

それは、5S活動の本当のメリットを経営トップが理解していないからだと思います。それは、5S活動での本当のメリットを享受した体験がないことが、主要な原因と思われます。

今まで、コンサルティングをさせていただいた90%以上のクライアント様にて、5S活動の本当のメリットをご存知ではありませんでした。

一般的な5S活動のメリット

工場に5S活動を導入したときの一般的なメリットは、次のようなことがあります。

  • 歩留まり率が高まる
  • 生産性が高まる
  • 品質が向上する
  • 故障や事故が軽減する

これらは、確かに5S活動の結果得られるメリットですが、実はレベルの低いメリットなのです。製造業を営む企業にとって、もっと効果的なメリットが他にあります。そのメリットのことを、このページでは「本当のメリット」と呼ぶことにします。

5S活動の本当のメリット

では、5S活動の本当のメリットとは何でしょうか?

それは、5S活動は、ルーチン的な事業活動や日常業務と異なり、成功体験を積むのに絶好な条件が備わっていることです。

小さなことであったとしても、成功体験を積むことは、人が自信をつけて成長していくために必要なことです。5S活動を継続して行うことで、成功体験を積み、自信をつけて、生長していくことができます。つまり、「ヒト」という会社の財産(経営資源)が増えることにつながります。

このことは、工場で働く従業員だけのことではありません。経営トップや経営幹部にも言えることなのです。

経営トップや経営幹部は、事業活動で成功することはあっても、そう容易なことではありません。事業環境はますます対応が難しいものとなっているからです。現在は、会社での仕事は、市場の変化しやすさ、不確実性、複雑性、不明確であいまい、といった環境の中で、従業員一人ひとりが成功体験を積むことは至難なことです。

そこで、経営トップや経営幹部が自ら5S活動に取り組み、小さな成功体験を肌で実感していくことをご提案いたします。

5S活動の特徴

5S活動はだれでもが取り組める

本当のメリットを詳細にお教えする前に、5S活動に正しく取り組む場合の、その特徴をご紹介します。


  1. 5S活動は、仕事に必要なスキルやノウハウ、経験がなくても、新入社員でもアルバイトでも、だれでもが取り組める。
  2. 5S活動の仕組みができていたら、指導がなくても独力で活動できる。
  3. そのため、達成感や充実感が大きい。
  4. 小さな改善であれば、短期間で完結するので、種類の違う幅広い体験が積める。
  5. 汗を出し知恵を出せば、費用をかけなくてもある程度の成果は出せる。
  6. 後工程やお客様に影響しないテーマを選べば、低リスクで取り組める。
  7. 人との連携の仕方、付き合い方を学ぶ良い機会となる。

5S活動の特徴から見えてくる本当のメリット

5S活動は、誰でも取り組めて、成果を出しやすいことから、次のメリットが得られます。

  1. 全社員が仕事に自信が持てるようになる。
  2. 全社員が創造力や提案力が身に付く。
  3. 全社員がチャレンジ精神を身に着ける。
  4. 会社の組織力が向上する。

これらをまとめると、5S活動の本当のメリットは、一言で「人の成長」です。5S活動に取り組んだ全社員が、自ら考えて行動できる人材に育っていきます。そうなると、会社は活気が出るしかありません。

経営トップや経営幹部も5S活動に取り組むべき理由

5S活動に取り組んでみてください

誰でも5S活動で一経験積むことができるならば、それは、経営トップや経営幹部も例外ではありません。経営トップや経営幹部が5S活動に積極的に取り組むことによって、製造現場に本気度が伝わりますし、経営トップや経営幹部の成長につながります。

そして、「5S活動の導入・定着化」最大ネックの解決へ、大きな一歩となるでしょう。

5S活動が、経営トップや経営幹部の個人にとってもメリットがあることを、以下チェックします。

営業力のアップ

日頃、営業関係で工場の外での業務が多い経営幹部さんにも、5S活動の経験を積むことができます。5S活動には、特別なスキルも必要ないので、時間を捻出しさえすれば、容易に体験できます。さらには、工場の現場を知ることができるので、そういった知識が営業活動に役立ちます。同様に、経営トップや他の経営幹部さんにとっても、同様にメリットがあるでしょう。

企画遂行力のアップ

いくら能力の高い経営幹部であっても、プロジェクトや業務で、仲間に頼らずすべて独力で、一仕事かたづけることはまずできないでしょう。

企画系の経営幹部であれば、例えば、「PDCAを適度に回すマネジメント力が必要になる」といった、マネジメントに関する5S活動のテーマを選べば、活動内容をバカにすることはできないものです。

PDCAを回し成果を出すことは、本質的に必ず達成感や充実感がえられるものです。自分の分野と違うことに取り組むので、自信もつくでしょうし、何よりリフレッシュし、新たな発想が得られるようになるかもしれません。

仕事の時間効率を高められる

5S活動は、短い時間や少ない日数で体験できるので、多くの5S活動に取り組めることができます。

もっと大切なこととして、経営トップや経営幹部さんは、日ごろ、まとまった時間を確保することは困難なはずです。そういった中で、適切なテーマを選択すれば、十分活動が可能となります。

なるべく時間を作ったり、短時間で改善活動に取り組めるようにするための知恵が身に付きます。

創意工夫の大切さを再認識できる

経営トップや経営幹部さんは、権限があるため、ものごとをお金で解決することができます。もちろん、中には、汗や知恵を出すことを重視する方も少なくはないと思います。

5S活動に取り組むことで、「仕事は、チエをだすこと、創意工夫することが大切である」と、再認識できるよい機会となります。

製造現場のことを理解できる

5S活動では、経営トップ自ら製造現場に入りますので、現場のことをよく理解することができます。

そのときに、班長さんなどの現場リーダーと相談しながら、アドバイスにも真摯に聞く耳をもっていて、取り組むテーマの選択に留意してください。

そうすれば、現場に不慣れな人が5S活動に取り組んでも、トラブルのもとになることは、私の経験からいってもまずありませんので、ご安心ください。

従業員とのコミュニケーションが取れる

5S活動で製造現場に入ると、直接現場の従業員と接するよい機会となります。従業員から何か変わったことは無いか聞いたり、従業員に経営理念のことやわが社の未来ビジョンのことを話す機会にしても良いと思います。

人間学を学べる

製造現場に入るときは、少なくとも、「現場がやっている仕事の邪魔になることは絶対にさける」ための気配りや配慮が必要です。前もって班長さんから班員さんに丁寧に趣旨を伝えておいてもらうという、いわゆる根回しが有効です。

普段現場に出たこともないような経営幹部さんが、急に現場で5S活動を始めると、それだけで白い目で見られます。邪魔者として扱われる可能性が十分にあります。

ただ、いくら根回ししておいてもそれだけでは不十分なのです。最後に問われるのは、「従業員に対する目線」です。「上から目線」、「従業員を自分より下に見ている」といった状態では、従業員は直ちに見抜きます。

経営トップや経営幹部が、従業員と同じ高さの目線に自然になれるようになることは、「人間学を学ぶ良い機会になる」という意味で、私は、このことを最大のメリットと考えています。

ちなみに、トヨタ自動車では、従業員とのコミュニケーションは、経営トップや経営幹部にとっては、人間学の常識になっています。

製造業であれば、事務所と工場が離れていて、従業員とのコミュニケーションが少なくなることが多いものですが、トヨタ自動車でも人間学を努力して身につけるべきと心がけていることを、老婆心ながら追記しておきます。

経営トップや経営幹部が5S活動実施の覚悟を

以上、5S活動の本当のメリットをご紹介いたしました。ここで述べたことは、実際に経験されないと、なかなか腑に落とすことはできません。5S活動の本当のメリットをご納得いただけたら、とにかく、「5S活動の導入・定着化」の覚悟をすることです。

まずは、製造業改善改革いろはのコラムや、5S活動のことが書かれた本を読んで、活動に取り組んでみてください。その後に、5S活動に関する問題点や課題が出てきたら、製造業改善コンサルティングをご依頼ください。

今後、国内の製造業は、生産性向上だけでなく人材の育成がおこなわれなければ、さらに国際競争力を失ってしまいます。人材の育成にも、5S活動は効果的です。多くの製造業の企業様が、5S活動の本当のメリットをご実感され、日本の製造業が盛り返すことを切に願います。

製造業改善コンサルティング
村上豊

製造業改善コンサルタント
村上 豊 Murakami Yutaka

製造技術をベースに、製造業や物流倉庫の生産性を高め会社に利益を出しつつ、現場のリーダーを育成するコンサルタントです。チームコンサルティングIngIngでは、世界中の管理技術や会社経営の手法を参考にしながら、オリジナル理論の構築を担当しています。

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