この記事では、経営理念の作り方をご紹介いたしますが、その前に確認しておきたいことがあります。
それは、「経営理念は、機能して初めて作った意味がある」ということです。機能する経営理念は、浸透させなければ機能するかどうかわからないかもしれませんが、経営理念コンサルタントであれば、そのことを見抜くことができるので、ご安心ください。
では、経営理念コンサルタントの支援を受けながらの経営理念の作り方を、次の目次に沿ってご説明いたします。
経営理念コンサルタントの種類は?
最初に、経営理念コンサルタントは、役割によって2種類に分類されることをご紹介しておきます。それは、次の2つです。
- 経営理念の策定を支援をするコンサルタント
- 経営理念の浸透を支援するコンサルタント
この2つの中で前者、経営理念の策定を支援をするコンサルタントは、実はとても少ないのです。少ない理由は、成果を出すための難易度が高いからです。
後者の、浸透を支援するコンサルタントは、経営理念の浸透のみを支援してくれるコンサルタントです。
もし社長が、後者のコンサルタントに「わが社の経営理念を作りたいのですが」と相談すると、多くの場合が「それは社長の仕事です。一般的な方法はこうです。」とだけアドバイスされるだけで、「経営理念ができてからご相談ください。」という具合に突き返されることもあると聞きます。
ですので、経営理念の策定を支援してもらいたい場合は、前者のコンサルティングに対応してくれるコンサルタントに相談することです。
ちなみに、当社の経営理念コンサルタントは、両方に対応しています。
なお、このコラムは前者の策定を支援するコンサルタントに依頼した場合の方法となります。
機能する経営理念とは?
では、実際に経営理念の作り方をご説明する前に、機能する経営理念についてご説明いたします。
「経営理念が機能する」とは、経営理念づくりや経営理念浸透を通じて、次のような効果を得ることです。
- 全従業員に会社の目指していることが明確に伝わること。
- 社長をはじめ全従業員の、仕事に対するやる気を引き出すこと。
- 経営幹部が経営判断に迷ったとき、社長の判断を待たずに正しく判断ができるようになること。
- 従業員が仕事で高い成果を出せるようになること。
経営理念は抽象化された一言のように思われますが、このような成果を得るためには、一言だけでは不可能でしょう。当社では、そのような一言のことを基本理念と名付けています。(経営理念用語の解説は経営理念の用語解説をご覧ください。)
経営理念を作るとき、経営理念コンサルタントは、社長が策定した経営理念によってこれらの効果が出せるかどうかを判断します。
そして、効果が出せるもので、できる限り少ない言葉で、完結に作成していくことが大切です。そのように作成されれば、経営理念の浸透が容易になるからです。
機能する経営理念の構成
経営理念は、次の4種類のパーツで構成されることによって、機能する経営理念になりえます。つまり、経営理念コンサルティングでは、次の4種類のパーツを策定します。
- 基本理念
- 企業ビジョン(全社目標)
- 経営指針
- 行動指針
基本理念とは、経営理念全体を抽象化された一言で表したものです。企業ビジョンとは、将来の会社像をイメージできるもので、段階的に策定されることが多いです。全社目標とは、企業ビジョンの最終形態です。
10年後、場合によっては30年後の企業ビジョンを実現するためには、ビジョンが実現した姿を明文化する必要があります。企業ビジョンの明文化は、細かな数値まで考える必要はなく、抽象化されたものでかまいません。それが、長期経営計画になります。それを5年後~10年後までは数値目標にします。
経営指針は、基本理念や全社目標達成のために、経営幹部が経営判断をしていく上での指針です。行動指針は、社長をはじめ全従業員がそれ従って仕事をするものです。そうすることで、仕事の成果が高まり、良き経営判断を行い、会社が成長して企業ビジョンが達成されていきます。
これら4つの項目がそろって正しい経営理念となります。この経営理念が練り込まれたもので、社長のモチベーションを爆上げしていくものが、本物の経営理念です。正しくて本物の経営理念が「機能する経営理念だ」ということになります。
これら4種類の名称は、社長のしっくりくるものに変えていただいてかまいません。
また、経営理念コンサルティングのクライアント企業様の業種によっては、これら4種類にクライアント企業様オリジナルのものを加えることがあります。例えば、学校であれば経営理念に基づいて教育方針を策定することがあります。
経営理念の策定順序
当社の経営理念コンサルティングによる経営理念策定の順序ですが、上記4種類の中で、最初に基本理念から策定します。
基本理念の策定
経営理念コンサルタントは、コーチングの手法を活用しながら、社長の心の奥底にある使命感を呼び起こし、それを基に基本理念を策定します。経営理念コンサルタントは、社長に対して適格かつ効果的な質問をしていきます。社長はその質問にリラックスして答えていくだけです。
経営理念コンサルタントは、高レベルなコーチングが行えるため、ご自身から利他の気持ちや積極的な言葉が出てくることに驚かされ、やる気に満たされる方が多いです。
本物の基本理念ができると、社長自身の心が揺り動かされ、その気持ちが従業員の深い感動や共鳴を引き起こし、会社の空気感が変わってくることを実感される方が多いです。
経営指針と行動指針の策定
その後は、企業ビジョン(全社目標)を策定したいところですが、ほとんどの社長が未来についてイメージできないことが多いため、経営の悩み相談をしつつ経営指針、行動指針の順で作成します。
企業経営をしていると、悩みが多いことでしょう。その悩みの多くは、従業員のことと売上のことです。売上は従業員がもたらしてくれますので、結局は人が問題です。
従業員の成果を高めてもらうためには、機能する経営理念が必要となります。しかし、悩みが多い社長は、現状のことばかりが気になって、未来のことがイメージできないことが多いです。
つまり、経営理念が完成しません。
そこで、全社目標や企業ビジョンを策定する前に、経営の悩み相談をしつつ経営指針や行動指針を策定するのです。
企業ビジョン(全社目標)の策定
行動指針が出来上がる頃には、経営理念が完成すると悩みが消えていくことを理解され、少しずつ経営の悩みがなくなっていきます。すると、会社の未来をイメージできるようになり、企業ビジョンや全社目標を策定できるようになります。
それでも悩みが消えずに、企業ビジョンや全社目標がイメージできない社長には、経営理念の浸透を先に行っていただき、従業員が成果を出し始めて未来がイメージできるようになるまで待つこともあります。
経営理念の浸透
経営理念は策定するだけでなく、浸透させることによっても会社が大きく変化していきます。経営理念浸透研修を行うために、次のようなツールの作成も、経営理念づくりの一部として大切なことです。
- 経営理念解説書
- 経営理念浸透のためのワークシート
経営理念解説書は、経営理念の意味や解説が書かれたもので、経営幹部が従業員に対して従業員教育を行うためのテキストになります。
まずは、社長自ら経営幹部に対して経営理念の解説を行います。経営理念コンサルタントは、そのサポートを行います。
経営理念を学び、実践を開始した経営幹部は、従業員への経営理念浸透研修を担当します。そのときに、ワークシートを活用します。
経営理念ができたら、次に経営理念に基づいた経営計画の策定に入ります。経営計画の策定方法については、別の機会で述べたいと思います。
以上、経営理念コンサルタントによる経営理念の作り方をご説明いたしました。貴社の経営理念策定のご参考になれば幸いです。
この記事の著者
経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)
国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。