社長の夢実現への道

小さな会社を経営理念で発展させるための条件とは

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経営理念をつくるタイミングは従業員数が増えてきたとき

小企業の社長は、「経営理念なんて必要ない」とか、「経営理念ではメシは食えない」といったことを聞くことがあります。ところが、大きな会社では、すべからく経営理念を掲げています。

このことから、会社の成長に経営理念が関係していることが、仮説として成り立ちます。

私が経験してきた中で言えることは、経営理念を策定して成長する会社には、条件があります。

そもそも経営理念は必要なのか?

経営理念の条件を考える前に、経営理念の必要性について考えたいと思います。経営理念の必要性を感じていない社長は、経営理念を策定するタイミングを見誤ってしまい、会社の成長を止めてしまう可能性があるからです。

すでに経営理念が構築されて、それが正しく機能し、立派な会社に成長している会社の社長は、経営理念の必要性をお感じのことでしょう。

小さな会社の社長の多くが、経営理念の必要性を感じていないのか。

それは、経営理念には、「機能する経営理念」と「機能しない経営理念」があることに気づいていないからです。

機能する経営理念は、正しい内容の経営理念であり、なおかつ社長のモチベーションを爆上げしてくれる本物の経営理念でもあります。

小さな会社の社長に聞くと、経営理念を必要だと感じている方は半数以下です。必要性を感じている方であったとしても、会社の経営理念を具体的に考えたことはない方が多いです。また、経営理念を考えたり作ったりした社長では、作った経営理念が本物かどうか気になっている方が多いです。

このように、経営理念の必要性を感じている社長は小さな会社ほど少なく、経営理念は必要だと感じていても、機能する経営理念を完成させた方は少ないため、経営理念の必要性を疑問に思っている方が多いことでしょう。

機能する経営理念の効果とは

機能する経営理念があると、次の効果があります。

  • 社長の使命感に火を灯し、燃えるような願望を持たせる
  • 会社が目指すべき方向を明確にする
  • 社長と従業員の絆を深める
  • 従業員の熱意や仕事の実力を高める

それぞれを簡単に解説いたします。

1. 社長の使命感に火を灯し、燃えるような願望を持たせる

まず、1番目の「社長の使命感に火を灯し、燃えるような願望を持たせる」という機能ですが、社長が経営理念を読み返しただけで、やる気がふつふつと漲ってくるものでなければ、機能する経営理念とは言えません。

現在、経営理念を掲げていらっしゃる会社で、社長ご自身で経営理念を読み返したときに、ふつふつとやる気が出てこないものであれば、機能する経営理念になっていないか、経営理念が形骸化している可能性があります。

2. 会社が目指すべき方向を明確にする

2番目に会社が目指すべき方向を挙げました。経営理念には、会社が目指すべき方向が明確になっていなければなりません。これは、会社が存在する目的でもあります。このことを、当社では基本理念や企業ビジョン(全社目標)に盛り込むようにしています。これを共有することで、全員の方向性が統一されます。

3. 社長と従業員の絆を深める

3番目は、社長と従業員の絆を挙げました。機能する経営理念には、会社が公器的な組織を目指すことが盛り込まれます。それを社長が本気で取り組むとき、従業員もそれに共感し、社長と従業員の間で絆が生まれ、社内な一体感の空気で包まれるようになります。

経営理念を構築して浸透すると、社長は経営理念に基づいて判断をするようになります。社長の突発的な思いつきやイライラ感などによって従業員が振り回されるようなことがなくなります。

4. 従業員のやる気や仕事の実力を高める

4番目に、従業員の熱意や仕事の実力が高められることを挙げました。機能する経営理念には経営指針や行動指針が盛り込まれています。それらに従って判断や行動することによって、会社に成果をもたらし、会社の理念実現に向かって貢献ができるようになります。

そうすると、従業員の人事評価が高まるので、正しく評価された従業員は熱意が高まります。また、会社の成果に貢献する従業員は、仕事の実力が高まっていると言えます。

経営理念が必要な会社

今まで経営理念を構築したことがなく、私自身が「そろそろ経営理念が必要だ」と思われる会社は、次のような条件の会社です。

  • 従業員数が20名を超えてきている
  • 会社をもっと成長させたいが、伸び悩んでいる

従業員数はアルバイトやパートタイマ―で働く方を含めての人数です。1つ目の条件が、経営理念が必要となってくるタイミングです。

2つ目の条件は成長意欲です。会社の規模は社長の器によって決まると言われています。もちろん、チームコンサルティングIngIngの規模も、私の器によって決まるということです。もし、会社を成長させる意欲がない場合には、現在の会社の規模を維持していくと良いはずです。それには、経営理念は必要ありません。

はやり、社長の考えが、「従業員数が増えてきて、会社を成長さえたいが、伸び悩んでいる」という場合には、経営理念が必要となる条件を満たしていると思います。

会社に経営理念が必要となるタイミング

従業員数が20名を超えてきたら、経営理念をつくるタイミングであることを述べました。企業から従業員数が増えていくまでの過程で、経営理念の必要性が理解できます。

1. 一人社長や親族・友人に手伝ってもらう段階

会社を立ち上げたときは、社長お一人か、経理などを奥様が手伝っておられる場合も多いことでしょう。資金がある会社であれば、最初から数名の従業員をかかえてのスタートを切られる社長もいらっしゃいます。

初期に雇う従業員は、多くの場合が親族や社長の古くからの知り合いです。こういった方であれば、社長は気持ちを伝えやすいため、社長は、彼らにあまり細かな指示を出さなくても、社長の気持ちを忖度して仕事をしてくれることが多いです。

そのため、この段階では明確な経営理念は必要なく、仕事のやり方を教える中で、自然に経営理念の原型が伝わっていきます。

2. 一般採用する段階

会社がさらに成長してくると、従業員を一般採用するようになります。今まで社長とご縁の無かった方が会社に入社するようになります。その人たちは、会社や社長のことは、ほとんど知りません。従業員が増えてくると、従業員とのコミュニケーションが希薄になります。

そういった方は、社長の気持ちを理解して仕事をしようとしますが、親族や社長の古くからの知り合いよりも、思った通りに働いてくれないものです。そのイライラ感を、親族をしかりつけるように伝えてしまったら、すぐさま辞表を出す従業員も出てきます。

また一般採用された従業員の中には、初期メンバーと軋轢が生まれやすくなります。初期メンバーのマネジメント能力が向上していなければ、入社したばかりの優秀な従業員の使い方を誤ってしまう可能性があります。

このように、会社が従業員の一般採用をするようになると、社内に人間関係のトラブルが多くなります。つまり、一般採用するタイミングが、経営理念を策定するベストなタイミングです。

正しい経営理念を浸透させるメリット

機能する経営理念は、正しい内容のものであることを先ほど述べました。正しい内容の経営理念のことを、当社では「正しい経営理念」と定義しています。正しい経営理念を構築して会社に浸透させると、さまざまなメリットがあります。

社長のみならず従業員全員のさまざまな判断を、経営理念に基づいて行うことができるようになります。従業員は、社長に代わって自分で判断して仕事ができるようになります。

社長としては、今まで思ったことが従業員に伝わらなくてイライラしていたものが、きれいさっぱり無くなり、スッキリした気持ちで仕事に打ち込めるようになります。親戚だろうが友達だろうが、一般採用で入った従業員だろうが、経営理念に基づき、目標達成に貢献できている人が評価されるようになります。つまり、人事評価の公平性も出てきます。

すると、社内の人間関係が改善されていくことはもちろんのこと、社長が仕事に専念できるようになるので、会社の成果が高まるようにもなります。

正しい経営理念が策定できる社長の条件

正しい経営理念を策定するためには、社長に条件があります。

  1. 社長が成長志向であること
  2. 公器な会社を目指していること
  3. 社長が仕事で成功するための要素を知っていること
  4. 機能する経営理念の構成要素を知っていること

1. 社長が成長志向であること

最初に社長の成長志向を挙げました。会社をこれ以上成長させたくないとお考えであれば、経営理念は必要ありません。今まで通りに仕事をこなして行ったらよいものと考えます。

そうではなく、社長に志があり、達成した目標があるならば、正しい経営を構築することができます。

2. 私利私欲を抑え公器な会社を目指していること

公器な会社とは、社長が私利私欲を抑え「世のため人のため」と考えて仕事に取り組むことです。このことが、従業員が会社のために働く大義名分になり、従業員のやる気につながります。

社長の私利私欲が強ければ、いずれ会社の成長は止まります。従業員が「なぜ社長のために働かなければならないのか」と反発が出てくるからです。そうなると、従業員は自分の給料以上の仕事をしなくなってしまい、社内にムリ・ムダ・ムラが発生して、会社の成長が止まるのです。

3. 社長が仕事で成功するための要素を知っていること

3番目に、社長が仕事で成功するための要素を知っていることを挙げました。正しい経営理念には、経営幹部や従業員が、どのように判断しどのように行動すべきかが含まれています。それを盛り込むことで、従業員が育ち、社長に代わって判断や行動をしてくれるようになります。

経営理念の中に仕事で成功するための要素を盛り込み、会社オリジナルの経営哲学や経営指針、行動指針などに昇華されます。

4. 機能する経営理念の構成要素を知っていること

4番目に経営理念の構成要素について挙げました。経営理念は何なのか、社是や社訓とは何なのか、行動指針とはどのようなものなのか、またどのようなものを構築すれば、正しい経営理念になるのかを知っていなければ、無論のこと正しい経営理念を構築することはできません。

正しい経営理念の構成要素は、別のコラム「経営理念の構成要素」をご覧ください。

なるべく時間をかけずに正しい経営理念を完成させるために

社長一人で正しい経営理念を完成させるためには、とても時間がかかり、出来上がった経営理念が正しいものかどうかを検証する時間もかかります。場合によっては、10年もの時間をかけてつくられる社長もいるほどです。

そのため、経営理念コンサルタントに経営理念の構築の支援をしてもらうことをおすすめします。経営理念コンサルタントは、社長一人で経営理念をつくるよりも圧倒的な時間の早さで、正しい経営理念を構築することが可能です。

もちろん、支援を依頼する経営理念コンサルタントが、本物の正しい経営理念を構築させられる能力があるか、社長自身での見極めが必要となります。

経営理念コンサルタントの中には、数回のヒアリングで手早く経営理念をつくってしまう方もいると聞きます。

手早くでつくられた経営理念では、一時的に社長の情熱に火を灯し、従業員を感化すことができても、企業ビジョンを実現するための具体的な仕事の哲学が盛り込まれていないため、機能しないことでしょう。

そのような練り込みの甘い経営理念では、正しい経営理念とは言えません。

例えば、当社の経営理念は「泥中の花」です。

当社の従業員は、この一言を浸透させようとしても、従業員からは「私はいったい何をどう判断し、行動したらいいのですか?」と聞かれることでしょう。

手早くつくられた経営理念は、経営理念が機能するための構成要素をすべて満たされていないことでしょう。そのような経営理念は機能しにくいので、それも正しい経営理念とは言えまん。

IngIngの経営理念コンサルティングご案内

当社の経営理念コンサルティングでは、ビジネスコーチングの手法を活用し、社長に適切な質問を出しながら、それに応えていただくことで、経営理念を策定していきます。

経営理念は、社長自らが策定してこそ、意味があります。本物の経営理念の策定には、とても時間がかかりますが、経営理念コンサルタントがじっくり時間をかけてヒアリングをしていきます。ですので、当社の経営理念コンサルティングでは、提案をすることがあっても、社長の意思を大切にします。

経営理念が機能するための構成要素である、基本理念、企業ビジョン(全社目標)、経営指針、行動指針を練り上げ、それを一冊の冊子にすることが多いです。また、それに基づいた経営理念浸透研修の貴社オリジナル教材を作成します。

経営理念コンサルティングの支援によって出来上がった経営理念は、会社が目指している方向や、社長が学んできたことや経験してきた経営哲学が盛り込まれており、会社にとって最高の従業員育成ソフトとなります。社長が経営理念に従順になる姿を見て、社員に経営理念が浸透していきます。

このコラムを読まれた社長様が、正しい経営理念を構築し、正しく浸透させ、活気ある優良企業に育てられることを切に願います。

経営理念コンサルティング

この記事の著者

関山淑男

経営理念コンサルタント
関山 淑男 (Sekiyama Toshio)

経営理念の構築・浸透とビジネスコーチングのスキルに親和性があることに気づき、研究や実績を重ね、経営理念コンサルタントとしてのスキルを確立していく。社長としての経営経験や赤字企業の業績回復支援の経験から掴んだ教訓、ピーター・ドラッカー先生や一倉定(いちくらさだむ)先生などの経営理論を融合させ、独自の経営理念コンサルティング・メソッドを開発。

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