社長の夢実現への道

技術系社長の営業でありがちな売れない理由と正しい営業方法

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大きな会社の創業社長を調べていると、一般的にそのほとんどが、技術系社長です。私が調べた企業がたまたまそうだった可能性もありますが、技術系社長が大企業をつくりやすいことを感じている人は、多いことでしょう。

その技術系社長が起業し、零細から小企業に成長し、中企業に成長し、大企業になっていく過程で、もちろんさまざまなイノベーションがあります。

それぞれの段階で、技術系社長がどのようなことを勉強し、どのように変革しなければいけないのか異なります。

その中でも、零細から小企業に成長するときに、技術系社長が身に着けるべきことが、営業スキルです。

技術力があればあるほど、製品が売れるように思いますが、営業力がそれに反比例してしまい、思ったほど製品が売れないのです。技術力に自信があればあるほど、営業がヘタになる場合が多いのです。

私も技術系からスタートした社長の端くれですが、このコラムで記載していることは、私が悩みに悩んでたどり着いたノウハウです。

このコラムでは、技術系社長が営業に弱い理由や、克服するポイントなどをご説明いたします。

製品を詳しく説明しているのに、なぜか理解してもらえない。その理由とは?

技術系社長が素晴らしい製品やサービスを開発し、営業を開始するのですが、なぜか売れないことを、フィクションも交えて解説いたします。

想定は、60歳前後の年配の技術系社長です。今までずっと技術畑にいて、すばらしい技術を引っ提げて起業したパターンです。定年間近で、退職金で起業する人もいます。志が高く、「自分の技術を世の中に広めたい」と考えています。

自信のある製品・サービスなのになぜか売れない

技術系社長は、創業時に自らの知識や能力を活かして素晴らしい製品やサービスを開発し、自信を持って営業に回ります。素晴らしい製品やサービスにもかかわらず、誰も相手にしてくれないことが多いのです。

見込み客に営業しに行っても、なぜかすべての営業先で断られてしまいます。

たまたま製品を気に入ってくださった方からは、製品の改善を依頼され、「お客様のご要望に合わせる」ということを学び、お客様のご要望に合わせて改善して持っていきます。しかし、苦労した割に、安い金額で買い叩かれてしまいます。

社長はそれにもめげずに、「こんなに良い製品なのだから、もっと売れるはずだ」「わかってくれる人がいるはずだ」ということで、また営業活動を開始します。そして、また同じことの繰り返しです。

お客様は、製品の話を熱心に聞いてくれているのに、製品を購入してくれない。

今現在、そういった悩みはござませんか? また、営業先で、このようなことを感じたことはございませんか?

サンプル品を渡しても購入してくれない

そこで技術系社長は工夫をします。薬品などのメーカーであればサンプルを置いていったり、工作機械のメーカーであればテスト加工したりします。

100円ショップで容器を購入して、いくつかサンプル品を作成して配りますが、それでもお客様は購入してくださいません。

誰かにアドバイスを求めると、「配った数が少ないのだ」ということで、サンプルの配布数を100個、200個と増やしていきます。

ところが、たくさんのサンプルを配ったのにもかかわらず、相変わらず注文どころか、お問い合わせすら来ません。

たまにお問い合わせが来て、営業しに行っても、また断られてしまいます。

大手企業にノウハウだけ盗まれて契約に至らない

そのようにしていると、大手企業から「貴社の製品に興味がある」ということでお問い合わせが入ることもあります。そして、さっそくサンプル品を持って、新幹線に乗って出かけます。

そして大手企業は、技術系社長の話を、メモまでしっかりしながら、熱心に聞いてくれます。そして、「こういった場面で売れそうだ」とか、「このような顧客に提案ができる」と、自社に代わって販売してくれそうなことを言い、情報を引き出してきます。

その打ち合わせの後、追加のサンプル品もお送りしますが、半年ほど音信がなく、契約に至りません。その矢先に、同じような製品が大企業から発売されていることがあります。そしてなぜか、大手企業が販売すると、たちまち売れてしまうのです。

後々気が付くことは、大企業に手渡したサンプルを大手企業の研究所が分析し、特許をかいくぐって同等の製品を開発してしまっていたことです。

技術系社長の場合は、ペラペラと話してしまう傾向があるので、新製品を開発したいと考えている企業からすると良い情報源となってくれるのです。

技術系社長の営業が断られる理由

これはあくまでもフィクションですが、同じような経験をされた零細の技術系社長は多いことでしょう。

技術系社長の営業が断られる理由は、一言で「話し過ぎてしまうこと」です。

自分の技術に陶酔してしまい、「自分が陶酔するものは相手も気に入って当然だ」と勘違いし、相手が技術を理解するまで話し続けてしまうのです。

これは、自慢話と同様のまったく興味のないことを延々と聞かされる、質の悪いタイムイーターです。

自慢話をされる社長は、「このような教訓の得られる良い話は、何度聞いても良い」と考えて何度も話をされます。

技術系社長が話し過ぎることは、少し質が違って「自分の技術はとても難しい内容なので、理解しにくい。自社製品が売れるためには、相手が技術を理解しなければいけない。」と勘違いしています。

そして、話し過ぎることが癖になり、誰にでもお構いなしに技術の話をし始めてしまいます。

自分がされて嫌なことを、訪問先で行う技術系社長

技術系社長は、自分がされて嫌がられることを、訪問先の相手にしてしまっていることを、肝に銘じてください。

自分の言いたいことだけを伝えていないか?

技術系社長は、自分の言いたいことだけを自慢げに、30分も1時間も説明してしまいます。よくある話の内容は、次のものです。

  • 製品の技術の原理
  • 開発エピソード
  • 自社実績の詳細

これらの内容は、相手に質問をして、相手が聴きたいと思ってから話す内容です。

聞かれもしないことを、延々とペラペラと話し始めたら、「また始まった。かわいそうだから10分ぐらいは聞いてあげよう。」と思われてしまいます。そして、10分後に会話を止めるタイミングを失って30分以上経過し、追い返す方法を考えるようになります。

30分くらい経過したら、話した内容を忘れてしまうのか、「相手はまだ理解できていない」と思うのか、原理解説の第2ラウンドが始まる場合もあります。

製品の良さが伝わっている人に対しても、また原理から開発エピソードから、自社の実績の詳細から話し始める人もいます。「もうわかっているから」と会話を止められたときは、社長のことを信頼してくださっている方なのですが、何度も延々に聞いてくださる方は、うんざりさせてしまい、営業に失敗します。

もしかしたら、自分から「購入してください」と言えないため、相手が「購入したいです」と言うまで繰り返しているのかもしれません。

これを読まれている技術系社長も、同様の営業をされ、うんざりした経験があるはずです。例えば、資産運用や保険の営業担当が来て、延々と話し始めた経験はないでしょうか?

それと同じことをしているのです。

お客様と知識の多さを競っていないか?

技術系社長の悪い癖で、ときどきあることですが、相手に知識があった場合です。

その場合、「こちらの方が、知識が上であることを相手に認めさせないと、営業が成功しない」と勘違いして、トークバトルが繰り広げられます。その結果、相手を言い負かして、営業は失敗します。相手の立場や、自社製品のことはそっちのけで、技術力バトルが繰り広げられます。

その結果、当然ながら専門でやっている技術系社長の方が、知識があるものですから、相手を滅多切りして、「どうだい」と満足気にやっています。その結果、営業に失敗するのです。

当社の例ですが、私自身がWeb集客コンサルティングの営業をしている中で、ホームページの知識を持った人がときどきいます。お客様が「自分はホームページの知識があるのだ」と、私を試すかのように、鉈を振りかざしてくるのです。

そういった方には、私はあえて「知識をお持ちで凄いと思います。ぜひその知識を聞かせてください」と、少し負けてあげるようにしています。そのような知識のある方を味方に付けられたら、私のいないところで社内営業してくれるので、受注しやすくなります。

ちなみに、鉈を振りかざすことを止められない方には、「そのような知識をお持ちの方がいらっしゃるのに、なぜ私が呼ばれたのでしょうか?」と訊ねるようにしています。

自己中心的な営業

営業は、相手の立場に立って行われないと、成功しにくいものです。そのことを知っているのにも関わらず、自分が営業する側になると、ついつい話し過ぎてしまいます。それは、相手のことを考えていない営業ですので、自己中心的だと言えます。

技術系社長の場合、「こんなに素晴らしい技術なのだから、相手のためになっている」と勘違いしていることがあります。

営業では、相手の立場に立ち、相手が利益を得られるように提案することが大事です。

お客様が製品を欲しいと思ったときの反応とは?

とある営業コンサルティングをしている技術系社長がいました。その社長が見込み客に対して営業をした後の反応を訊ねたことがありました。

そのときに、社長は「お客様が話を一生懸命聞いてくれた」とおっしゃいました。そして、「お客様はどのような反応をしていたのか?」と質問すると、「良い製品だ」とか、「素晴らしい技術ですね」とか、繰り返しおっしゃっていたというのです。

そのように、一見好反応だったのにも関わらず、一つも売れませんでした。

実は、「良い製品だ」とか「素晴らしい技術だ」と繰り返していたということは、裏を返せば「早く帰ってほしい」ということなのです。日本人は、はっきりと「必要ない」と言ってくれずに、なんとも難しい反応をするものです。

もし、その製品を本当に欲しかったら相手は値切ってくることが多いです。「いくらだったら買うのになぁ」とか、「もう少し安くならないか」といった反応をしてくるのです。

お客様が本当に知りたいこととは?

顧客が本当に知りたいことは、製品の原理や構造などといった技術のすばらしさではありません。製品やサービスが持っている機能やメリット、ベネフィットです。

機能やメリット、ベネフィットについて、冷蔵庫を例に少し解説いたします。

機能とは?

機能とは、製品が持っている働きのことです。冷蔵庫の機能は、「食べ物や飲み物を冷やすこと」や「氷を作る」といった、客観的な事実が機能です。

消費者が冷蔵庫を購入する理由は、冷やす機能を持っているからです。

この機能を持っている製品を探している人はどういった人かを考えたら、自ずと顧客が誰か分かります。

メリットとは?

メリットとは、製品が持っている機能から感じられる直接的な利益のことです。このメリットは、人によって異なります。

冷蔵庫であれば、「食材を長期保存できること」や「飲み物を美味しい温度で保存してくれること」、「手軽に氷を使える」といったことです。冷蔵庫は、さまざまなメリットがあります。

製品を購入する場合、そのメリットを得たいから購入するのです。

そして、もう一つ忘れてはいけない、全製品に共通するメリットがあります。それは、「手軽に」という時間短縮です。

冷蔵庫は、「手軽に長期保存ができる」、「手軽に美味しい温度にしてくれる」というメリットがあります。その結果、時間短縮のメリットが得られるのです。

ベネフィットとは?

ベネフィットとは、機能やメリットから得られる恩恵、間接的な利益のことです。

冷蔵庫であれば、「毎日買い物に行かなくて良い」とか、「帰宅したらすぐに料理ができる」、「美味しいデザートを好きな時間に食べられる」といったベネフィットがあります。

製品が欲しくなる理由はメリットからなのですが、メリットだけでなくベネフィットを訴求することによって、使用している状態をイメージでき、購入につながりやすくなります。

営業トークの基本は、これら3点が基本となります。いくら技術力があるからと言っても、これらの根拠となる技術について、相手は製品に興味のない段階では知りたいとも思っていないのです。

お客様が知りたくないことを、30分も1時間も語ってはいけません。ぜいぜい3分で話すようにしてください。

直接営業での営業力を高める方法

技術系社長が営業力を高める方法をご説明いたします。この方法は、少し熟練が必要ですので、すぐに成果が出せるかわかりませんが、これに慣れてきたら今まで断られ続けてきたことが嘘のように契約が取れるようになるはずです。

営業トークのコツ

営業トークのコツは、「要するに何の製品なのか?」を一言で伝えることが大事です。

当社のWeb集客コンサルティングの営業であれば、「要するに、貴社の営業を24時間365日行い、自動的に集客してくれるホームページを制作します」という具合です。

なぜそのようなことが言えるのか、理由や根拠を聞かれたら、それに答えたら良いのです。

当社では、「口は一つ、耳は二つ」という語句を、当社のコンサルタント向けの行動指針の一つに入れていますが、営業でも同じです。

営業トークの基本的な流れ

営業トークは、次の流れがベースとなります。後ほどご説明いたしますが、それを15分以内で話すことができたら理想です。

  • 製品の外観やスペック
  • 機能やメリット
  • 強み
  • 導入方法
  • 価格

これらが伝われば、相手は購入のための最低限の情報です。

強みについては、勘違いされている社長が多いので、少しご説明いたします。強みとは、顧客が求めている価値の中で、自社のみが与えられる価値のことです。詳細は、「自社の強みとは?会社の強みの見つけ方」をご覧ください。

これら5つの項目の中に、技術の原理や開発エピソード、自社の実績などの説明が入らないことにご留意ください。それらは、あくまでもこの5つの内容の付属品なのです。

5つの説明が終えたら、クロージングです。クロージングとは締めくくりの意味ですが、営業活動で最後のご発注の確認になります。トークの内容としては、決まり文句のようなもので、「製品のご購入検討はいかがでしょうか?」と訊ねたら良いです。

問いかけとYes-Yes法による営業トーク

営業トークのときに、必ず質問や問いかけを入れると良いです。人は質問されると、その質問にとっさに応えようとする性質があります。

例えば、「当社の製品にご興味はございますか?」とか、「集客にお悩みはございませんか?」といった具合です。

営業での質問や問いかけで私がよく利用している、「Yes-Yes法」という方法があります。Yes-Yes法とは、1つ目の質問にYesと言いやすい質問をします。次に、それに関連するYesと言いやすい質問をします、その後に製品を質問で訴求します。

例えば、「集客にご興味はありませんか?」と聞かれた社長は「Yes」になります。次に、「手間なく自動的に集客ができたら良いと感じませんか?」と来ます。すると、これも「Yes」でしょう。最後に、「それが実現できる集客ホームページの提案を聞いてくださいませんか?」と来ます。すると「Yes」となります。

最初に、「集客ホームページにご興味がございませんか?」と聞いても、「興味ございません」で終わることでしょう。しかし、Yes-Yes法であれば、不思議と興味が出てしまうのです。

これは、先ほどのベネフィットからメリット、そして機能を持つ製品の説明へと、一瞬で提案営業したのです。

製品やサービスの詳細は、お客様にご興味が出てから行えば良いのです。

相手の課題を聴き出す質問力が提案力につながる

Yes-Yes法は、少し高度な質問かもしれませんが、他にもいろいろな質問の仕方がございます。そして、この質問力が、提案力につながるのです。

製品の説明をする前に、相手のベネフィットやニーズを聴き出すことが大事です。そして、聴き出したベネフィットやニーズを満たす機能を持った製品であれば、話を聞いてもらえるはずです。

また、製品を説明する前に、「製品の提案を聞いてもらえませんか?」と質問して、相手がYesと言ってもらえたら、相手は話を聞くことを承認したわけですから、話を聞いてもらいやすくなります。

質問力のベースにあるもの

営業トークの中での質問は、とても有効であることをお伝えしましたが、質問ばかりされると、相手から嫌がられたり、うんざりされる場合もあります。

先ほど自己中心的な営業トークについてご説明しましたが、自己中心的に質問をしても同様です。質問力が高いと、相手が心地よく返答してくれ、相手は知らず知らずのうちに製品の魅力を感じるようになります。

質問力を高めるためのベースにあることは、「傾聴」と「承認」です。

傾聴とは、身体を傾けて相手の話を熱心に聴くような状態です。相手の話を聞くのではなく、傾聴するのです。そして、相手を認めるのです。

相手の話を傾聴し、承認することで、相手は「理解された」とか「尊重された」と感じます。実際に、相手を理解し尊重しないと、相手の話を傾聴することはできません。そして、理解してもらえ尊重されたと感じた相手は、話を聞いてもらえるようになるのです。

もちろん、傾聴の奥には「相手を尊重する」気持ちが大事です。そうすることで、質問力が高まります。

質問力を鍛える方法

傾聴と承認ができ、効果的な質問が繰り出せる能力を鍛える方法は、コーチングスキルを習得することです。

コーチングスキルと営業力の関係については、「コーチング基礎スキルで営業の提案力をアップする方法」をご覧ください。

コーチングスキルを身に着けるためには、今までの癖をなくして、新しい癖を身に着けなければいけません。そのためには、繰り返し繰り返しトレーニングをする必要があります。

その方法は簡単です。つまり、「コーチングスキル」という技術ですので、後天的に身に着けることができるのです。

コーチングスキルを身に着け、自然と質問ができるようになったら、それが一生もののスキルとなります。コーチングスキルは、自動車の運転のように、学んでトレーニングし身に着けてしまえば、繰り返して学ぶ必要はございません。

当社では、営業トークの土台となるコーチングスキルを習得するための研修をご用意しています。ぜひご利用ください。

わかっていても、ついつい話し過ぎてしまう社長の場合

「話し過ぎてはいけないことを知っている」という社長もいらっしゃることでしょう。わかっていてもついつい話し過ぎてしまう社長はどうしたら良いのでしょうか?

それは、自分自身に話し過ぎないようにするための仕掛けをつくることです。いくつか、仕掛けをご紹介いたします。

名刺やチラシを置いてすぐに帰るぐらいの表敬訪問をする

1つ目は、表敬訪問についてです。表敬訪問とは、「お取引き先に対して、用事はないが訪問する」というものです。

もちろん、表敬訪問の裏側には「製品を売り込みたい」という気持ちがありますが、そこはグッと堪えて、表敬訪問だけをするのです。発注する権利を持った人が不在の場合は、名刺とチラシを置いていったら良いです。

お客様に会うために、「何か会うための理由が必要だ」とおっしゃる方がいらっしゃいます。その通りだと思います。アポなしで会いに行って、「近くまで寄ったから」と言えば良いのです。それが理由です。

手作りクッキーを持って表敬訪問した女性社長

BtoBビジネスをされている女性社長で、お客様への表敬訪問ができなくて困っていた方がいました。なぜ、表敬訪問ができなかったかと言うと、「行く理由が思いつかなかったから」でした。

そこで、年末のご挨拶と称して、手作りクッキーを持っていくことをご提案しました。もちろん、100円ショップで購入した小さなビニール袋とかわいいリボンを付け、クリスマスのシールを貼ってです。

今まで、クッキーを自分で作ったことのない社長でしたが、「他に方法が思いつかない」ということで、ネット検索やYouTube動画などで作り方を調べて、がんばってクッキーを作られました。

お客様にメールでアポを取り、「練習で作ったクッキーです」ということで持っていったところ、思いのほか好評だったようです。4~5人と会う予定でしたが、訪問した部署にいた人たち15人ほどとあいさつができ、今までお会いしたことのなかった人とも会えて、コミュニケーションが取れたそうです。

次回に訪問するときの理由は、「近くで用事があったので、ついでですが寄らせていただきました」とまた手作りクッキーを持っていくそうです。「この作戦で、他の部署にも訪問して仕事をもらいたい」とのことで、張り切っておられました。

お客様のところに訪問する場合、「売り込まなければ、お客様のところに行った意味がない」と考える社長がいらっしゃるかもしれません。しかし、売り込みに行っても買ってもらえなければ、営業訪問であってもムダになります。

買いたくもないものを、何時間も粘られて話されても困らせて、「もう来なくて良い」と言われたら終わりです。それよりは短時間で切り上げて、お客様から「また来ても良い」と言われることが大事なのです。

そして、何度か表敬訪問している間に、「そういえば、あの製品を購入したいのだが」と言われるようになります。そのタイミングを待つのです。そして、そのタイミングが来たときに、社長の顔を1番に思い出してもらえるようにするのです。

滞在しても「15分だけ」と決めておく

営業に慣れていない技術系社長の場合は、「訪問してお会いする時間が長ければ長いほど良い」と思っている方がいらっしゃいますが、それは勘違いです。

買いたくもないものを延々と説明されたことがある方であれば、それを思い出してください。

表敬訪問の意味は、製品が必要になったときに1番に思い出してもらえることなので、1回の時間の長さよりも、回数が多い方が良いのです。

スマートフォンに15分タイマーを入れておいて、15分経過してアラームが鳴ったら、「お客様からお電話なので、そろそろ失礼します」と帰ったら良いのです。

売り込みは次回以降

表敬訪問をしているときに、お客様に「次回来たときは、この製品の説明を聞いていただいても良いでしょうか?」と質問してみてください。

もし、「いいよ」ということであれば、次回に説明させてもらったら良いのですし、「いや、今日聞きたい」とおっしゃる稀有な方であれば、今から説明させてもらったら良いと思います。

表敬訪問は、あくまでも見込み客に製品を売り込むのではなく、知り合いになる気持ちで話すことが大事です。そのうち、相手が製品に興味があるのかを見抜く技術を身に着けることができます。

また、何度も会ってある程度深く知り合えたら、ご紹介もしてもらえます。だから、製品を売り込むのではなく、知り合いになる程度の営業で良いのです。

15分以内に説明ができる練習をする

製品の良さを伝えるのは15分です。15分で話す内容は、あらかじめ決めておいて、話す練習をすべきです。

「15分も、セリフを見ないで話ができない」という具合に、決まった時間の話が苦手な人は、説明用の資料を持っていったら良いと思います。その資料の流れに沿って、10分で話ができるようにしたら良いと思います。

そして、資料の内容に興味を持ってもらえたら、相手から質問がいくつも出てくると思います。そのときは、質問の内容から逸れないようにしながら、手短に質問された内容にお答えします。

製品に興味のあるお客様であれば、反対に質問されるので、「いつの間にか気が付いたら2時間ほど説明をしていた」ということになります。そして、相手は知りたいことを知れたので大満足です。

見込み客でない人にどのように売り込むべきか?

よくお会いできる人、例えば知り合いの社長や、訪問営業を何度も言って知り合った人には、どうしたらいいのか、ご説明いたします。

ここまでお読みになられた方はお気づきだと思いますが、見込み客でない人には、売り込んではいけません。必要ないものを売り込んでも、何度も断られてしまうだけです。

そこでおすすめしたい方法が、「この製品を必要としている人はいませんか?」とか、「この製品やどうやったら売れると思いますか?」といった、相手に売り込むのではなく、アドバイスを求めるのです。

すると、売れるためのアドバイスをしてくれたり、場合によっては、「よし、今度伝えておいてあげるよ」という具合に、自分でなくても営業してくれる人が出てきたりします。

紹介された方に営業に行く場合は、そのご紹介者の方からその場で電話を入れてもらえたり、いっしょに行ってもらえたりしたら理想的です。

提案する相手に恵まれない場合はどうすれば良いのか?

ここまでのご説明は、提案する相手がいて、その相手に会いに行くことを前提としたものです。製品やサービスの性質によっては、相手に恵まれず、集客に苦労する場合もあります。当社のような経営コンサルティングであれば、訪問営業の効率が悪いので、他の仕掛けが必要になります。

集客ホームページが効果的

その中で特におすすめの仕掛けが、集客ホームページです。

先ほど集客ホームページのことを少し述べましたが、集客ホームページ制作に成功すれば、それこそ「24時間、365日、休みなく営業し続けてくれる優秀な営業マンを手に入れたことと同じ」になります。

「集客ホームページには、何を記載するべきか?」ということですが、上述したような機能やメリット、ベネフィットを基本として、5つのポイント、強みなどを盛り込んだ製品ページを作成します。そして、技術系社長の得意な、お客様のところで話して断られ続けた、自社の技術について掲載します。

ホームページの場合は、お客様は必要のない情報であれば「戻る」ボタンや「×」ボタンをクリックするだけですので、たくさんの技術情報を掲載しても問題ございません。

営業トークで問題となるのが、「タイムイーターだったこと」なのです。ホームページの場合は、主導権がお客様にあるので、情報量が多いほど集客効果が高まるのです。そして、情報量が多いと、たくさんの検索キーワードで上位ヒットさせることができ、アクセス数をさらに増やすことができます。

ホームページのアクセス数が、見込み客に会った回数と同じ意味になります。お会いした人の中から、何人かが製品やサービスに興味を持ち、お問い合わせをしてきます。

集客ホームページは技術系社長と相性が良い

集客ホームページは、技術系社長と相性がとても良いのです。

今まで、お客様からさんざん断られ続けた原因である技術情報を、思う存分書いて、ホームページに掲載し続けることができます。そうすると、集客効果が高まるのです。

文章を書くのが苦手な方は、当社のようなホームページ用の文章作成代行をしている業者に依頼して、社長が話しまくれば良いと思います。当社のスタッフは、全員コーチングスキルを習得しているので、うまく質問をして、魅力のある文章を次々と作成していくことができます。

集客ホームページ制作がうまくいけば、そのお問い合わせの多くを、「帰社の製品を購入したいのですが、見積もりをしてもらえませんか?」というものになります。そうすると、後は金額が合うかどうかだけになるので、営業がとても楽になります。

当社の徹底した検索市場分析、入念な集客戦略、強力なSEO対策を行う集客ホームページ制作サービスについては、集客ホームページ制作をご覧ください。

以上、製品力があるのになぜか売れない技術系社長のための営業方法、営業トークについて述べてきました。技術系社長は、ついつい自分が開発した技術について話し過ぎてしまう傾向があり、それが営業の大きなボトルネックになっているということでした。

ここでご紹介した内容は、「当たり前のことだ」と思われるかもしれませんが、当たり前のことができたら売れるようになるものです。

もし、この当たり前のことを、「自分の当たり前にしたい」とお考えの方がいらっしゃいましたら、当社の営業コンサルティングをご利用ください。帰社製品・サービスの機能、メリット、ベネフィット、強みを発見し、それを訴求するための営業資料や営業トークの作成をご支援いたします。もちろん、ロールプレイングで自分の当たり前にするように練習もいたします。

また、当社のクライアント企業様同士の交流もございますので、そこで自社製品をPRする練習の場にしていただけたらと思います。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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