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本社と支店を内線化するVPN接続によるIP電話とは?

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本社と支店を内線化するVPN接続によるIP電話とは?

会社に支店が出来たときは、本社と支店で外線を利用して電話を頻繁にすることと思います。

外線を利用すると、電話した頻度や通話時間の長さによって、電話代がかかってきます。

この記事では、本社と支店の2拠点の電話代を下げたいとお考えの企業に、VPNを利用したIP電話を導入して内線電話で接続する方法やメリット、工事業者の選び方などをご説明いたします。

VPN接続を利用したIP電話を導入することで、拠点間の電話代を固定のインターネット代だけに抑えることが可能です。つまり、拠点間の電話回数が多い場合は電話代を下げられる可能性があります。

もちろん、IP電話を導入すると導入費用がかかりますが、拠点間の電話代が2~3万円に上る場合には、それを考慮してもVPN接続によるIP電話の導入を検討した方が良いと思います。

当社から何かを販売しようとする記事ではありませんが、一つの知識としてご覧ください。

IP電話とは?

IP電話とは、インターネット回線を利用した電話のことです。IPは、「インターネットプロトコル(Internet Protocol)」の略で、インターネット上でデータのやり取りをするために取り決められた標準規格のことです。

IP電話は、電話の音声データをインターネットで送受信ができるデータに変換して、インターネット回線を利用して電話ができるようにする手法のことです。

IP電話機

電話の音声データをインターネットで送信ができるデータに変換したり、受信したデータを音声データに変換したりするためには、専用の電話機を接続します。その電話機のことを、「IP電話機」や「IPフォン(アイピーフォン)」と言います。

IP電話機は、通常のビジネスフォンと同じような形状をしていますが、LANケーブルを接続できる端子が付いています。

IP電話機は、音声データをLANで送受信ができるデータ(イーサネットフレーム)に変換してくれます。よく「パケット」と言われるデータがありますが、そのデータです。社内LANに接続されたIP電話機同士なら、内線電話が可能となります。

IP電話で本社と支店の間を内線電話接続する場合は、本社のLANと支店のLANを接続してあげたら良いのです。その接続方法はいくつかありますが、VPNを利用することをお勧めします。VPNについては後ほどご説明いたします。

SIPサーバー

主装置に組み込まれたSIPサーバー(LANケーブルが刺さっている基盤)

また、IPフォンで外線電話を受けることもできます。その場合は、外線電話のデータをインターネットのデータに変換する専用のサーバーを導入します。その専用サーバーのことを、「SIPサーバー(シップサーバー)」と言います。

この写真は、ビジネスフォンの「主装置」と言われる装置のカバーを開けた中身を写したものです。SIPサーバーは、基盤になっていて、水色のLANケーブルが刺さっている基盤です。写真のように、外線を受けたい拠点のビジネスフォンの主装置に組み込みます。主装置の中に、SIPサーバーの基盤を差し込んで、LANケーブルを接続し、設定するようになっています。

SIPサーバーを設置する場所は、例えば、本社と工場が離れた場所にあり、工場の外線電話を本社で受けて、工場に内線転送する場合には、SIPサーバーは本社にのみあれば良いです。

そうすると、工場には外線電話が必要ありませんので、外線電話の契約や外線電話を1番目に受けるスタッフを削減できます。つまり、トータルで電話にかかるコストを削減できます。

本社と支店を内線接続するVPN接続

本社のLANと支店のLANを、インターネット回線を経由して同じLANであるかのように接続する方法として、VPN接続があります。

VPN接続とは?

VPNとは、「バーチャルプライベートネットワーク(Virtual Private Network)」の略で、インターネット回線に仮想のLAN回線を通して、あたかも会社のLANに直接接続されているかのようにLAN回線を利用できる方法です。

つまり、本社と支店のLAN回線をVPNで接続して、同一のLAN回線として認識させることができたら、本社と支店でIP電話機を利用して、内線電話が可能となります。

VPN回線の特徴

VPNを利用すると、2重のパスワードによって安全にLANに接続ができるため、特別な工作がなければ、IP電話機のデータが外に漏れることは、まずございません。

通常の電話は、外部回線を利用しているので、自社の音声データが外部に出ていることになります。外線電話を安心して利用しているのは、電話会社の良心にゆだねているからです。

インターネット回線は少し心配なところもあります。大事な会話の内容が、外部に漏れやすいかもしれません。

しかし、VPN接続されたIP電話であれば、音声データが2重のパスワードで守られるので、情報漏洩の可能性が低くなります。拠点間電話をセキュアに行うならVPN接続がおすすめです。

VPN接続を利用したIP電話工事について

VPN接続を利用したIP電話工事の流れと、注意点をご説明します。

VPN接続を利用したIP電話開通までの流れ

本社と支店でVPN接続しでIP電話による内線が利用できるまでの流れは、次の通りです。

  1. IP電話機を設置して、IPアドレスを設定し、内線電話ができることを点検する
  2. 両方の拠点にVPNルーターを設置し設定し、VPN接続ができることを点検する
  3. IP電話機で拠点間の内線電話が可能かを点検する
  4. 外線電話を受ける拠点にSIPサーバーを設置・設定し、IP電話機から外線がかけられるか、外線を受けられるかを点検する

IP電話工事の注意点

IP電話を導入するときに、本社や拠点のLAN回線の回線速度も点検します。会社のLAN回線の速度が遅い旧型の機器やLANケーブルを利用している場合は、通信速度の遅さを感じる場合があるからです。

このときに、スイッチングハブとスイッチングハブ同士を接続するLANケーブルを最新のものにします。

一昔前のスイッチングハブやLANケーブルは、1000BASE-Tと言って最大通信速度が1Gbpsのものが主流でしたが、今ではその10倍の10GBASE-Tが主流になってきております。IP電話を導入するときに、LANを上位の規格のものに更新することもご検討ください。

ノートパソコンのLANポートは最新のものにできない場合があるので、古い回線と共有にできるタイプのLANの規格を利用することが大事です。IP電話機や社内で使用しているコンピュータのLANの規格を考えて、LANの更新工事も同時に行うと良いでしょう。

外線電話の点検を行うため、工事は業務終了後や休日に行なうことが望ましいです。

支店の数が増えたらどうなるのか?

本社と支店の間でのIP電話による内線化を述べましたが、拠点が3ヶ所以上の場合はどうなるのかをご説明いたします。

結論から申しますと、「3ヶ所以上の拠点は、接続はできますが、費用対効果が合わない」です。その理由は、3拠点にビジネスフォンを導入するときの初期費用がかかり過ぎることです。

インターネット回線の契約を、さらに高速なものにしようとしたら、それだけ高い料金の契約になります。そして工事の費用もかかってしまいます。毎月の3拠点のイーターネットの固定費と、3拠点の内線電話代が削減できる金額とを天秤にかけると、よほどのことが無い限り、インターネットの固定費の方が高くなるはずです。

3拠点の場合は、別の方法を検討した方が良いです。VPN接続によるIP電話は、コストパフォーマンスからして2拠点までが理想です。

VPN接続のIP電話でよくある質問Q&A

IP電話を検討されている企業から、よくある質問にお答えしたいと思います。

VPN接続のIP電話を導入すると毎月の電話代はどうなるのか?

外線を利用していたら、今までの通りの外線の費用がかかります。IP電話で内線通話をするときの通話料や、IP電話を毎月利用するときの利用料金はかかりません。

しかし、IP電話を導入したときの何らかの月額費用が発生する契約をしていたら、その費用がかかります。例えば、IP電話機をリースやレンタルで導入したときには、その料金がかかります。

後ほどご説明しますが、IP電話機は最新のものである必要はありませんので、IP電話機の導入は中古品を検討しても良いと思います。

VPN接続のIP電話の音質はどうか?

通常のLANの使用状況であれば、まったく問題ないと思います。

ただし、LAN回線で重たいファイル転送を行っている場合には、IP電話の音声パケットが届きにくくなり、携帯電話の電波が弱いときのような現象が起きる場合があります。

重たいファイル転送とは、ファイルサーバーを冗長化していて、データのバックアップを取っているとか、VPN経由で重たいデータのやり取りをしている場合です。

そういった場合は、LANの機器にもよりますが、特別な操作で音声パケットが優先的に転送されるように設定することも可能です。

インターネット回線は遅くならないか?

もちろん、VPN接続をすると、その分だけインターネット回線の容量を消費することになるので、インターネット回線は遅くなります。

しかし、本社や拠点に在中している社員数が数十名程度であれば、内線電話を常時使用しているわけではありませんし、VPN回線経由で内線電話をしているときに、「インターネットが遅いな」と感じることは、ほとんどありません。

IP電話よりも、大容量のデータ送受信をしている方が回線速度が遅くなったように感じやすいです。

別の方法で通話料を固定料金にできないか?

拠点間の通話料を固定料金にする方法は、別の方法でも可能です。VPN接続をするよりも、別の方法を選んだ方が、電話代としては安くなる場合も多いです。

VPN接続を利用すると、電話以外のメリットがあります。例えば、次のようなメリットです。

  • 拠点間のファイル共有や、外出さきからファイルアクセスをセキュアにできる
  • 拠点間でのオンライン会議をセキュアに行える

IP電話の導入コストを下げる方法

気になるIP電話の導入コストですが、導入にかかる費用について見ていきましょう。

VPN接続機器やIP電話機の調達費用

IP電話機を導入する場合は、中古の電話機を購入すると、導入コスト削減ができます。IP電話を導入したいときは、中古のIP電話機の導入提案をしてくれる業者を選べば良いと思います。

また、SIPサーバーも中古品があります。

SIPサーバーは、IP電話機に付いてくるものですので、中古のIP電話機を購入するときに、SIPサーバー付きのものを選びます。

業者によっては、中古品の保証をしていないところもあるので、そういった企業にIP電話の導入をお願いしたら、新品のもので新製品のものを導入してくれます。新品のものは壊れにくかったり、最新の通信技術を利用していたりと、何かと良い面があることを強調してこられると思います。

しかし、IP電話やSIPサーバーは、物理的に壊れることが少ないものですので、中古品でも良いと思います。また、10年ほど前の通信技術のものでも、現在のものとそん色は感じられません。

しかも、最新のものはブラックボックスのようなもので、カスタマイズ利用しにくいものが多いです。

「中古品を導入して壊れてしまったらどうなるのか?」と心配の方もいらっしゃることでしょう。業者によっては、中古品のIP電話機やVPNルーターをストックしていて、緊急時に素早く対応してくれている業者もあります。例えば、こちらの業者などがそうです。

こういった良心的な業者を探すことが大事です。

VPNやIP電話の工事費用

VPNやIP電話の工事をする場合には、それらの機器の購入代だけでなく、工事費がかかります。工事費は、業者によって異なりますが、大手企業であれば下請け業者に依頼することが多いと思います。

格安で良い工事をしてもらおうとしたら、下請け業者を探し出して、直接依頼することです。業者によって、機器の在庫などのサービス内容が異なりますが、どこの業者が工事をしても、得られる結果はほぼ同じだからです。

そして、工事費には出張費が含まれます。ですので、なるべく現場から近い業者を選ぶことが大事です。

拠点間が離れている場合には、その両方に同じ業者のスタッフが入る必要があるので、その場合は仕方がありません。本社か支店かどちらかの拠点に近い業者に依頼しましょう。

以上、VPNを利用して本社と支店を内線電話で接続する方法や業者の選び方などについて、ご説明いたしました。

本社と支店の間で、外線電話を通じて頻繁に電話を掛ける場合は、VPN接続によるIP電話を導入すると、電話代を飛躍的に下げることができます。

さらに、VPNを利用することで、本社と拠点でそれぞれファイルサーバーやNASを設置しなくても良くなるメリットもあります。

拠点間の電話代が下げられないか検討している社長のお役にたてば幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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