社長の夢実現への道

正しい商品数の削減方法とは?間違って赤字にしてしまった事例

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正しい商品数の削減方法とは?間違って赤字にしてしまった事例

先日、店舗販売をしている会社の社長からご連絡をいただき、「赤字になって困っている」とのことで、ご相談に乗らせていただきました。

2020年は、新型コロナの影響で売上高が下がっていました。2021年に入り、知り合いの経営者に相談したところ、「不況のときは、商品数を絞り込み、専門性を出した方が良いのだ。」とアドバイスをもらい、「そうか」ということで、取り扱っている商品(5品目ほど)の中から強みの商品1品目に絞って広告を出し、他の広告をすべて止めることにしました。

しばらくすると、絞られた1つの品目のみは売上は横ばいのままで、その他の品目は、売上高が急転直下してしまいました。

社長は「最初は売上高が下がっても仕方がないし、補助金もあったのでなんとかできる」と考えていました。ところが、半年以上経過しても売上高は回復せず、当社へのご相談となりました。

確かに、専門性を出すことで顧客ロイヤリティが高まり、売上高アップにつながりやすくなるように思います。しかし、今回のケースでは赤字になってしまいました。

その原因は何だったのでしょうか?

商品数を絞り込む場合、赤字にならない正しい方法とはどういったものでしょうか?

次の目次に沿ってご説明いたします。

最初に行なった緊急対策のアドバイス

まずは、資金繰りについて確認しました。資金繰りは、今の売上高のままだと数か月は問題ないとのことで、安心しました。

次に行なった緊急対策のアドバイスで、すぐさま、他の商品の広告を再開してもらいました。社長はすぐさま社員に指示を出し、ネット広告やSNSでの広告を再開されました。

売上が下がった原因は、競合店の進出や顧客ニーズの変化などではなく、新型コロナの影響でした。今までは、強みでない商品についても、ネット広告やSNSの広告宣伝で集客が充分にできていました。つまり、「顧客が求めている限り、広告を続けることで客足が戻ってくるだろう。」と予想しました。

ついでにWeb集客が弱かったので、ご予算を立てていただき、修正させていただきました。

赤字の原因を分析

そもそも、商品数の絞り込みは好不況に関係なく、いつも考えておくべきことだと思います。しかも、正しく行う必要があります。

商品数を削減するかどうかは、外部環境と社内体制の状況によります。商品数が多すぎてデッドストックが増えている状況であれば、デッドストックの在庫を減らし、商品数を減らす作戦は、あり得ると思います。

今回の社長のご相談では、1つの品目に絞り込んで広告を出し、他の商品の広告はすべて廃棄しましたが、浮いた費用を1つの品目に割り当てていませんでした。浮いた費用を1品目の商品の広告宣伝に費やしていたら、客数が増えた可能があります。

仮に、1品目の商品に広告を絞って全資金を投入したとしても、客数が増えにくいこともあります。広告の方法によっては、いくらお金をかけても、集客力が飽和してしまことがあるからです。

広告宣伝も、一度にすべての広告を止めるのではなく、段階的に広告を別のものに移行していくなど、テストを行っていくべきでした。

イノベーションの意味は?

イノベーションは、日本語では「革新」と言われるものですが、イノベーションの正しい方法は、ピーター・ドラッカー先生の説明にある「体系的廃棄」から察することができます。

体系的廃棄とはどういった意味なのでしょうか。それは、

優先順位を決めて、順番に廃棄していくこと。

今回のご相談では、広告をすべて一度に廃棄してしまい、その費用を他の広告につぎ込むこともしなかったことが売上高ダウンの原因でした。広告宣伝をイノベーションしたのではなく、単に広告を止めただけでした。

今回のご相談では、「商品を絞り込む」ということを「広告を止める」ということと捉えていたため、商品自体を捨ててしまわなかったことは不幸中の幸いです。

イノベーションで成功するためのポイントは、捨てて空いたリソースを別のものに充てることです。その充てるところは、もちろん収益力のある主力商品、もしくは将来性のある商品です。

正しい商品数の削減方法

商品数を絞り込む場合の正しい方法は、イノベーションの意味が解れば簡単です。

商品数が多くて、他の商品を売ることのボトルネックになっている商品を探し、廃棄していくのです。ボトルネックによって機会損失が起きている場合、それをイノベーションしていくのです。

売れ筋商品のフェイス数が増えると、他の商品が圧迫されます。そのときに、売れない商品を仕入れないようにします。

店舗の棚に商品を並べて販売している場合は、売れ筋商品はいつも在庫切れになっているようであれば、在庫数を充分に確保するようにします。そして、フェイス数を増やします。

イノベーションは、顧客のニーズなどの市場を考えることから始めるのが基本です。

広告宣伝の場合も同じです。顧客のニーズをつかんでいる、収益力のある主力商品や将来性のある商品を集客すべきなのですが、他の広告宣伝をすることによって、集客すべき商品の広告ができない場合には、イノベーションさせていく必要があります。

どの商品をイノベーションさせるかは、商品の売上高の移動累計を取り、売上高の高い順に並べます。すると、イノベーションすべき商品が分かります。

顧客のニーズから考えることが基本だと述べましたが、他にもあります。ヒントは、ドラッカーが説いている「イノベーション7つの機会」です。

その後とまとめ

今回のご相談では、イノベーションの意味と方法の知識不足が原因で、広告宣伝の方法に失敗していました。また、知り合いの経営者に相談し、それを素直?に実践したところ、売上高が下がってしまったということでした。

社長は広告宣伝を再開し、少しずつ顧客数が戻りつつあり、来月には月次決算で黒字に戻ることでしょう。

会社経営では悩みがたくさんあります。その悩を誰に相談することがベストしょうか。アンケートを取ると、多くの社長が「知り合いの経営者に相談する」と答えます。しかし、本当は誰に相談したいのかを聞くと、専門家に聞きたいそうです。

専門家に相談していれば、経営の悩みに対してどのように対処すべきなのか、フレームワークを持っていますし、その使い方を知っているので、正しい方法を導きだすことができます。

「経営者は勉強が大切だ」と言われる方は多いことでしょう。しかし、知識を正しく使えないと、このようなことになります。

経営の基本をしっかり勉強したいと思われた方は、ぜひ小さな会社のためのセミナーにご参加ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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