社長の夢実現への道

経営理念浸透プロジェクトのリーダー適任者は誰か?

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経営理念浸透プロジェクトのリーダー適任者は誰か?

経営理念を作成したら、次にその浸透にかかります。

経営理念の浸透では、社員に経営理念の内容を伝えたら終わりではないことは、誰しもご存じのことでしょう。自社の経営が理念に基づいて行われるようになったら、ひとまずの完了です。

経営理念の浸透は、経営理念の作成よりもさらに時間がかかります。

小学生のときに、掛け算の計算を繰り返して練習して覚えていったように、経営理念も繰り返し学習を必要とします。経営理念に基づいて仕事ができるようになるまで、朝礼や勉強会などを通じて、全社員が何度も何度も学習します。

その結果として、経営理念に基づいて仕事をする企業風土を作っていきます。

このように、経営理念の浸透は、会社全体のプロジェクトとして実施させて、時間をかけてでも会社を理念経営にしていく必要があります。

この経営理念浸透プロジェクトは、誰かが担当しなければいけませんが、その中で選ばれる人は、次の目次にある5種類の人材の誰かが抜擢されます。

それぞれで経営理念浸透の担当をしたときの、メリットやデメリット、注意点などをご説明いたします。ここから、誰がプロジェクトリーダーとして適任者なのか、ご検討ください。

社長

1人目は社長です。経営理念は社長が精魂込めて作成したものですので、社長自らがプロジェクトリーダーとなって、経営理念の浸透を行うパターンです。

社長がプロジェクトリーダーをするということは、社長ご自身が「経営理念の浸透はとても大事なことだ」と認識しておられると思いますし、「会社を理念経営にしたい」という強い意思がおありのことと思います。

会社が仕組みで動いている状態であれば、社長の仕事はほとんどが未来についての仕事をしていると思います。そういった中で、「経営理念の浸透」は会社の運命をも左右することですので、社長が自ら取り組むということは、大賛成です。

社長が経営理念の浸透をするときに、もっとも気になることは、「社員が成長するまで耐えられるかどうか?」です。

経営理念の浸透は、会社を長期に渡って優良企業に成長させていこうとするプロジェクトです。社員に経営理念が浸透して、経営理念に基づいて仕事ができるようになるまでには、何年も時間がかかる場合があります。

経営理念の浸透を本格的に行う場合には、経営計画や事業計画、人事考課までも経営理念に基づいてつくり変える必要が出てきます。

それらを一度につくり変えてしまったら、経営理念の崇高さに耐えられない社員が辞めていってしまい、会社が立ち行かなくなってしまいます。

そこで、経営理念の浸透はゆっくりと、そしてしっかり着実に行っていかなければいけません。

そういったことで時間がかかることに耐えられるか大切になります。

社長の側近

会社の規模が100人以上になってきたら、社長のブレインとして働いている側近がいると思います。会社の規模がさらに大きくなり、社長がクリエイティブには足りていたら、側近が数名もいる会社もあると思います。

そういった社長の側近が、経営理念浸透のプロジェクトリーダーをすることがあります。社長は、それを見ていて、何かあったら対応するという具合です。

社長の側近が次期社長に指名されることもあるので、「経営幹部を育成したい」という理由で、側近にプロジェクトリーダーを依頼することもあります。確かに、経営理念浸透を担当した社員は、経営幹部として育ちやすいです。

経営理念浸透プロジェクトでは、さまざまな業務があります。この場合、経営理念浸透業務の範囲が、社長がプロジェクトリーダーをする場合と比較して、限定しないといけなくなります。

経営理念の内容を一番把握しているのが社長です。社長の側近が経営理念学習会を行ったら、社長が解説したときと比較して、経営理念の解釈が甘くなっていたり、微妙に解釈が異なっていたりします。

そうすると、社長が意図した経営理念が伝わらないので、経営理念が正しく浸透しなかったり、正しく浸透するのに時間がかかったりします。

できれば、社長ご自身がプロジェクトリーダーをして、社長の側近がアシスタントをする方が良いと思います。

各部門の部門長

会社にいくつかの部門がある場合、それぞれの部門長が、部門に所属する社員への経営理念浸透のプロジェクトリーダーをすることもあります。

この場合も、社長の側近がプロジェクトリーダーをする場合と同様に、経営理念の解釈が甘くなったり、間違って解釈したりします。しかも、その度合いが酷くなります。

社長の側近であれば、いつも社長と共に仕事をしているので、経営理念の解釈を社長に尋ねることができます。しかし、各部門の部門長は、いつも社長といるわけではなく、たいていは定例会議のときに顔を合わせるぐらいです。

経営理念の浸透は、まず経営幹部から行いますが、そのときに部門長にも社長自ら経営理念の解説をします。しかし、1~2回程度、経営理念を解説したぐらいでは、部門長は経営理念に込められた意味を深く理解できていないはずです。

各部門の部門長が部門毎の経営理念浸透プロジェクトリーダーをする場合は、部門毎の経営理念学習会のときに、社長も自ら登壇し、経営理念の意味を社員に直接語り掛けた方が良いです。

総務部の担当者

社長が経営理念を策定し、総務部の担当者がプロジェクトリーダーとなるパターンです。大きな企業では、このパターンで経営理念の浸透が行われる場合があります。社長が、「経営理念の浸透はさまざまな部門との連携が必要なので、総務部が行うものである」と勘違いしているパターンです。

社長から依頼された総務部の担当者は、経営理念の浸透について深く理解している人は一人もいないので、外部のコンサルタントに依頼することになります。

コンサルタントと言っても、それぞれ個性があるので、自社との相性が出てきます。

そこで、自社に合った人を見つけるために、セミナーに参加してみたり、外部講師として呼んで話をしてもらったりして、会社の幹部たちに研修をしてもらいます。その中から、良さそうな人を選んで浸透を依頼する流れが多いと思います。

やる気のある若手社員

経営理念の浸透で、やる気のある若手社員にプロジェクトを実施させている企業もあります。

そういった企業では、経営幹部や部門長が、経営理念をお遊戯のように見る節があります。

確かに、経営理念の中に記載されていることは、仕事にとっては当たり前のことが多いです。経営幹部にとっては、「今更、なぜ私達がこのような基本的なことを学ぶ必要があるのか」と思う人もいます。

しかし、会社で部下が基本的なことが出来ていなかったら、経営幹部に問題があるのです。つまり、経営幹部が出来ていないことを、部下が素直にできるはずがありません。

経営理念という会社にとって根幹となるものを、若手社員に任せてしまって、本当に会社を立派なものに変える気があるのかと疑ってしまいます。

経営幹部が自ら経営理念に基づいて経営判断をし、仕事をするようになって、社員がその背中を見て成長していくものです。そのようにして成長した社員が、自社にとって次世代を担う社員になっていくのです。

若手社員に経営理念を浸透させてしまうような経営理念は、社長の本気度が足りない経営理念ですので、作り直す必要があると思います。

コンサルタント

会社が大きくなってくると、たいていコンサルタントを雇っていることでしょう。企業によっては、コンサルタントが常駐しているところもあります。

コンサルタントは経営理念浸透の担当になれない

コンサルタントは、人前で話すことが仕事でもあるので、社長からすると「話し上手なコンサルタントに、経営理念学習会を開催してもらいたい」と考えることもあります。

社長が経営理念浸透のプロジェクトリーダーをしているのであれば、コンサルタントが経営理念学習会の講師をしても良いと思います。部門長が各部門のプロジェクトリーダーを担当するときのように、社長が学習会に顔を出すことも行います。

企業によっては、経営理念浸透のプロジェクトリーダーに、コンサルタントを指名し、一切を任せてしまう場合があります。これでは、経営理念が浸透しなかったり、経営理念が浸透したら会社が崩壊したりする可能性があることを、ご理解ください。

経営理念浸透のプロジェクトリーダーは、率先して経営理念を実施し、社員に背中を見せて仕事をしていくという、社員にとって模範とならなければいけません。

会社にとって外部の人間であるコンサルタントは、自社で働いていないので、自社の模範になれるわけがないのです。

期間限定で社員になったコンサルタントが担当した場合

仮にコンサルタントが期間限定で経営幹部として入社している場合であったとしても、経営理念を浸透させてコンサルタントが解雇されたら、その後は社長や経営幹部が経営理念浸透を担当しなければいけません。

それまで社長や経営幹部が経営理念の内容や浸透方法を勉強し、経営理念に基づいて仕事をしていなければいけません。そうしないと、コンサルタントが去った後は、社員に正しく浸透させられないことでしょう。

そうすると、社員は経営理念に違和感を覚え、志ある社員から会社を去っていくことになります。

そのようなことから、そのコンサルタントが、経営理念浸透の難しさを知っているようであれば、プロジェクトリーダーをご辞退するはずです。

経営理念コンサルタントが一時的に担当する場合

中には例外もあります。経営理念の浸透を始めて行う会社で、社長は経営理念浸透を担当したいのですが、何から手を付けたら良いのか分からない状態の場合です。

試行錯誤で経営理念浸透を行っていった場合、うまくいくようになるまで、何度も失敗を繰り返して、とても時間がかかると思います。そこで、経営理念コンサルタントに経営理念の浸透を依頼することになります。

経営理念コンサルタントが期間限定で、社長に代わってプロジェクトリーダーを引き受け、経営理念浸透の業務フローを固めていったら、社長にフェードアウトしながらバトンタッチしていきます。

経営理念コンサルタントは、自社の経営理念のことを熟知していて、経営理念浸透の勉強会や研修の講師としても上手いのですが、いつまでも依存してはいけません。

以上、経営理念浸透のプロジェクトリーダーに相応しい人材はどういった役職の人なのかをまとめました。

だれがプロジェクトリーダーを担当するとしても、社長ご自身がリーダー的存在でなければいけないことが、ご理解いただけたことでしょう。

やる気のある社員、ならびにコンサルタントには、基本的に経営理念浸透を任せることは、基本的に避けてください。

一時的に経営理念コンサルタントにプロジェクトリーダーを委託する場合は、社長がコンサルタントを補佐すると良いでしょう。そして、社長がコンサルタントの技術を盗み、自らがプロジェクトリーダーになれるように、バトンタッチしていってください。

当社が、貴社の経営理念浸透のコンサルティング支援ができたら幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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