社長の夢実現への道

製造業はPRで「何でも製造できます」では集客できない理由と解決策

投稿日: / 最終更新日:

製造業のPRで「何でも製造できます」では集客できない理由と解決策

Web集客や営業コンサルティングのご支援で、機械部品メーカーや電子部品メーカー、冷凍食品メーカーなど、製造業のお客様を何十社かご支援してきました。その中で、「オーダーメイドを提供している」というメーカーでは、「貴社は何ができるのですか?」と質問したら、必ずと言ってよいほど、同じことを言われます。それは、

「当社は、何でも製造できます」

というものです。何でも製造できるということは、とてもすごい技術を持っていらっしゃいます。「何でも製造できるということは強みだ」とさえ思います。当社は、そのような素晴らしい技術を、ぜひWebで訴求して、売上アップに貢献したいと思います。

ところがです。

その言葉があるがゆえに、集客できていないという逆説があります。「何でもできる」という言葉では集客ができない理由と、集客ができる言葉をお伝えいたします。自社のPRにご活用ください。

冷凍食品メーカー様からのWeb集客のご相談

冷凍食品メーカー様からのWeb集客のご相談

とある冷凍食品メーカー様から、Web集客のご相談があり、ホームページ制作をさせていただいたときの事例です。コンビニのお弁当やお惣菜、居酒屋のチェーン店で出される料理などで利用されている冷凍食品を製造されている企業様でした。

営業方法と言えば、長年の実績があり、おそらくバイヤー情報で、噂を聞いて新規のお問い合わせをいただくという営業スタイルでした。ところが、インターネットの普及により、少しずつ確実に顧客が減りはじめ、当社にご相談がありました。

そのお客様では、営業部長にご対応していただいたのですが、営業部長曰く「うちは何でも製造できる。ご相談いただいたらレシピを開発する。」というものでした。

中小の製造業の「何でもできる」は本当に強みか?

製造業の中小企業で、大手企業からの無理難題をこなしてきた企業ほど、提案のときに「何でもできます」とおっしゃられることがよくあります。

「何でもできる」ということは、素晴らしいことです。技術力のあることを証明している言葉でもあります。

そして、「何でもできます」という言葉から、自社の技術力という魅力を感じてもらい、注文につなげないということも理解できます。

私からの一つの提唱なのですが、まず『「何でもできます」ということは、本当に強みでしょうか?』ということを述べたいと思います。

強みとは?

まず、あなた様がご納得いただけるように「強み」という言葉の定義を、したいと思います。

「強み」というものの反対は「弱み」です。どのような企業でも、強みと弱みを持っています。

では、何でもって「強い」と言え、何でもって「弱い」と言えるのでしょうか?

それは、比較です。では、何と比較しているのかと云いますと、競合他社です。競合他社とは、自社の商圏の中にいる、自社と同じ価値を提供できる企業のことです。

では、価値は誰が求めているのでしょうか?

それは、明らかにお客様ただ一人です。お客様が求めている価値を提供できなければ、企業は成り立ちません。価値を提供できではじめて、利益が得られる可能性が出るあるのです。

つまり「強み」とは、お客様が求める価値の中で、自社のみが提供できる価値のことです。

市場というものは、競合他社と自社で、顧客の奪い合いをしています。「顧客の創造」という言葉もありますが、それは新しい価値を生み出すことです。

「何でもできる」という価値が強みとなる条件

「何でもできる」ということが強みとなる条件は、次のすべてを満たす場合です。

  1. 「何でもできる」ということを顧客が求めている
  2. 競合他社で「何でもできる」という企業がない

ここで重要なことは1の『「何でもできる」ということを顧客が求めている』という条件です。顧客が求めていなければ、強いとならず、独りよがりとなるのです。ここの部分を焦点として、記事を進めたいと思います。

とある製造業の企業があったとします。その企業が製造しているジャンルは、競合他社がいなかったとします。そうしたら、その企業が提供するものが、すべて強みです。

そういった条件が成り立つパターンは、おおよそ地方の企業か、オンリーワンのノウハウを持っている企業のことでしょう。

そういった特殊な条件が当てはまるのであれば、「何でもできます」ということは強いです。それ以外の、競争にさらされている一般的な企業での話をしたいと思います。

「何でも製造できます」では集客できない理由

外食でカレーを食べたいときには、どこに行きますか? またラーメンを食べたいときにはどこに行きますか?

普通の人であれば、答えは「カレー屋さん」や「ラーメン屋さん」と答えることでしょう。

では、なぜ「ファミリーレストランに行きたい」と答えなかったのでしょうか?

その答えが、「何でも製造できます」だと集客ができない理由です。

集客のポイントは「カレー屋理論」

どこのファミリーレストランでも、カレーはとても美味しいです。でも、カレーを食べたいときには、なぜかカレー屋さんに行きたくなります。それは、なぜでしょうか?

理由は、専門性です。

専門性が高ければ、「美味しいだろう」という期待感があり、多少値段が高くても購入してしまうのです。ただし、本当に美味しいと感じなければ2度目はありませんが。

製造業でも同じです。「何でもできます」だと、専門性を感じないので、ファミリーレストランの美味しいカレーと同様に扱われてしまいます。カレーの存在はメニューを見て気が付きますし、値段を見て「高い!」と一蹴されてしまうのです。

このように、顧客が専門性のある企業を求めるように行動する理論のことを、当社では「カレー屋理論」と言っています。マーケティングの世界では、ポジショニングやセグメントなどと言われます。

ファミリーレストランとカレー屋では、どちらも美味しいカレーを提供していても、それぞれ性質が異なるので、対象顧客も異なります。中小の製造業は、中小企業なりの性質を出すことで、市場競争に勝つことができるのです。

中小の製造業が成長する道は専門性

専門性を絞り込んでブランディングし、ブランディングができたら広げていく「砂時計戦略」

もし専門性を高めたら、「市場が小さくなって売上高が下がってしまうではないか」と心配される社長もいらっしゃいます。

しかし、現実はその真逆なのです。

専門性を絞り込むと知名度が上がります。つまりブランディングができるのです。すると、顧客は知名度の低い業者よりも、知られている企業の方が安心して依頼できます。

ブランディングができたら儲けものです。つまり、ブランドを活用して、横展開ができるのです。専門性を絞り込んでブランディングし、ブランディングができたら広げていく戦略を、当社では「砂時計戦略」と呼んでいます。この戦略は、ランチェスターの法則に基づいて行われます。

ブランディングができていない状態で、ファミリーレストランのように多品種化したり、「何でもできる」と営業したりしていたら、競合他社は何でもできる大手企業になってしまいます。すると価格競争力やサービス力、知名度などで負けてしまうのです。

「何でも製造できます」は考えることを放棄した姿

「御社は何ができるのですか?」と聞かれて、「何でもできます」と答えることは、相手から「これを製造できますか?」という提案がない限り、注文がありません。

相手に何を求めるのかを依存する発言と言えますし、自社で考えることを放棄した姿でもあります。

仕事でも何でもそうですが、「これをやってほしい」と言われたら、それをやれば良いだけなので、簡単です。「これをコピーしておいて」や「封筒を10枚購入しておいて」と言われて動くことと同じことなのです。

しかし、「考えて動いてもらいたい」と言われると、考えるという行為が必要で、しかも自分が考えたアイデアが、相手にとって求められているものなのか、相手の立場で考えなければ受け入れてもらえません。

考えることは、知識、熟練、慣れ、発想力、体力など、さまざまなことが必要なので、疲れてしまいます。人間は、できれば考えて行動することを避けます。

例えば、仕事から帰宅されたら、何を考えて行動しているでしょうか? お風呂に入ったり、ご飯を食べたり、おそらく何も考えずに自動操縦のように行動するのではないでしょうか?

家庭ではともかく、仕事では考えて動くことが大事です。何かの行動には、必ず意味があります。それを考えて行動するだけで、思考の訓練になります。

集客のポイントは提案力

集客のポイントは提案力

さて、誰しも深く考えることには、精神力というか体力というかパワーを使いますし、時間もかかります。お客様も同様に、考えることが苦痛だったり、考える時間がなかったりと思っているはずです。

漠然と「このようなものが欲しいな」とアイデアを出しても、何か別のことに取り組んだ瞬間に、そのアイデアは消え去ってしまいます。アイデアをまとめるとなると、果てしない時間がかかるのです。

そういった中で、自分に代わって考えて提案してくれる企業があったらどうでしょうか?

提案力は、技術に対する知識や経験が必要なことは述べるまでもありませんが、お客様が求めているものが何なのかを聴き出すことが、提案力の大きな要素です。聴き出す力のことを、質問力と言い換えることもできます。

質問力を身に着けて、お客様が求めているニーズを探り出し、そのニーズに応えられるという価値を提案すれば、「何でもできます」とPRするよりも、圧倒的に集客ができます。

このように、営業担当や社長を含むリーダーには、提案力というコミュニケーション能力が必要とされています。コミュニケーションの必要性を感じた企業は、中小企業であってもリーダーコミュニケーション研修を取り入れるところが増えてきました。当社でも、しばしば新規の企業様からご依頼をいただくこともあります。

提案力につながる「質問力」を身に着ける方法

提案力につながる「質問力」を身に着ける方法には、マインドとスキルがあります。

質問力を高めるマインドとは?

質問力を高めるマインドは、ただ1点を挙げるとするならば、「相手の立場で考えること」です。相手が何を欲しているのか、それを知りたいという欲求です。

そして、相手の立場で考えるためのマインドとは、「貢献マインド」です。お客様に貢献できることの喜びをもって、お客様に接することで、相手は重要なことですら話してくださいます。

そして、「自社の技術が、お客様に必ず貢献できるはずだ」と信じることです。この自社を信じる気持ちのことを、自信と言います。

相手に貢献したいという気持ちで、相手の立場で考え、自信を持って接することです。

質問力を高めるスキルとは?

質問力を高めるマインドに、質問のスキルが合わされば相乗効果で質問力が高まります。質問のスキルで基本となるものは、「コーチングのスキル」です。

コーチングのスキルを活用すると、相手が心を開いてくれて、本音で話してくださるようになります。コーチングのスキルを営業に用いることで、相手に商品やサービスを押し売りすることなく、相手の満足度が高まる提案ができるようになります。

コーチングとは?

では、コーチングとは何でしょうか?

誰しも、コーチングというものがあることを聞いた人は多いことでしょう。大手企業では、新入社員研修やリーダー研修などでもコーチングを学ぶ機会が増えました。

コーチングの基礎スキルである、傾聴や承認、質問のスキルを組み合わせるだけでも、相当な提案力を身に着けることができます。

コーチングが使いこなせている状態とは?

しかし、傾聴や承認、質問のスキルの存在を知っていても、それらのスキルをうまく使いこなせているかどうか、自分ではわかりにくいものです。

もし、引き合いがあったときに、相手が何でも話してもらえているようであれば、コーチングができている状態だと言えます。

質問力を高めるマインドとスキルを合わせて提案力を高め、自社の専門性や強みがお客様に貢献できるところを提案できるようになると、営業力が高まり、利益率も高めることができることでしょう。

提案力を高めるために、まずはコーチングの学び直しから始めることはいかがでしょうか?

コーチング講座のご案内

コーチングのスキルを使いこなすためには、たくさんの練習が必要です。何度も練習をして、コーチングのスキルを使用することが当たり前になるぐらいに練習して、初めて身に着けたと言えます。

そして、このスキルが身に着いたら、それがクセとなるので、自動車の運転のように自由自在に使いこなすことができるようになり、一生ものの価値となります。

コーチングの練習する場は、誰かとの会話がすべてそうです。コーチングを学んだことのある方は、ぜひ他人との会話の場で、コーチングのスキルを活用してください。

コーチングを学んだことがなかったり、コーチングを学んだことがあるけど座学だけだったりした方は、当社のコーチング入門講座やコーチング基礎講座をご利用ください。当社のコーチング講座は、たくさんの練習をするので、何度もご受講いただくことで、コーチングのスキルを身に着けることができます。

コーチング講座の詳細は、ビジネスコーチ養成講座をご覧ください。

何でも製造できるメーカーのWeb集客手法

提案力を身に着けたら飛躍的に集客しやすくなる理由を述べましたが、Web集客でも同様です。

ホームページに「何でもできます」と書いても、その「何でも」が何を指すのかが、閲覧者にはわかりません。そこで、提案力を発揮させ、ホームページには例えば次のように記載します。

  • 当社が製造できるのは、ステンレスのプレス加工品です。
  • 寸法は10mmから1,000mmの範囲であれば何でもプレス加工できます
  • それ以上のサイズのプレス加工もできますが、ご相談ください。

このように書かれていたら、訪問者は「ステンレスのプレス加工が強みで、10mmから1,000mmの範囲で何でも加工ができるのだな。」と理解してくれます。すると、「何でもできます」と書くよりは、圧倒的に受注の確度が高い依頼が入るようになることでしょう。

以上、製造業のPRで「何でも製造できます」では集客できない理由と、その解決策について、簡単に述べました。

当社は若輩ではありますが、日本の製造業の復権を願って、製造業の企業様向けのサービスを開発しています。

  • 売上高や利益が年々低下してきて困っている
  • 顧客の1社依存度が高いので営業を強化したい
  • 自社の強みとする技術を求めている企業と出会いたい

こういったことでお悩みの企業様は、ぜひご相談ください。ご連絡をお待ちしております。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


「社長の夢実現への道」一覧

ページトップ