社長の夢実現への道

集客の方法を考えるフレームワーク「カスタマークライミング」

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購入を登山に例えて改善するカスタマークライミング

集客の方法が分からなくて困っている企業はたくさんあることでしょう。

集客の方法には困っていなくても、「売り上げが下がって困っている」という企業は多いと思います。

新しい集客手法をさまざまとチャレンジして、自社の勝ちパターンを探っていかなければなりません。

集客の方法は本当にさまざま種類があります。

誰かに相談すると、「インスタグラムをやったらいいのではないか」「YouTube動画が良いのではないか」などと言われ、いくつか試された企業も多いことでしょう。書店の書籍にも、「この方法で集客ができた」という内容のものはたくさんあります。

座して待つよりは、何かチャレンジした方が良いと思います。しかし、どの方法を試しても、なかなかうまくいかないことが現状です。

このコラムでは、有効な集客の手法を発見するためのフレームワーク「カスタマークライミング」をご紹介いたします。

カスタマークライミングとは?

クライミングとは、山登りのことです。カスタマークライミングとは、集客を登山に当てはめて考えるフレームワークです。

山のふもとにいるお客様が、山に登りたい気持ちになり、登山の途中で挫折しないで頂上まで上り、クロージングまで至る流れのことです。

カスタマークライミングの考え方

登山では、ハイキングのようになだらかな道を進む場合もありますし、ロッククライミングのように崖を登ることもあります。

ゴールは山の頂上に到達することですが、企業としては山を舗装して、誰でも頂上にまでたどり着けるような仕組みを考えます。カスタマークライミングでは、「SNSを始める」とか「SEO対策をする」とか、個別の集客方法ではなく、販売の全体の流れを考えて販売の仕組みを構築していくフレームワークです。

「どうしても山に登りたい」という人は、険しい山を選び、困難な道を進むことでしょう。緊急性が高く、困っている度合いの高いものほど、崖をよじ登るような険しい道をも進んででも「何とか購入したい」と思うかもしれません。しかし、多くのお客様は、そのような人ではありません。

険しい道があった場合には、はしごを掛けたり、階段を作ったりして、なるべく多くのお客様がクロージングに至るようにする方法を考えます。

カスタマークライミングの考え方

ホームページに掲載するコンテンツの例

例えば、金属を加工する工作機械を買いたいと思っている人が、工作機械メーカーA社とB社のホームページを見たとしましょう。

A社のホームページは、工作機械のスペックや加工事例、導入の流れなど、コンテンツが充実していたとします。B社のホームページは、工作機械の写真だけあり、「詳細はお問い合わせください」とあったとします。

A社とB社では、どちらの方が、お客様が「お問い合わせ」という行動をしやすいでしょうか?

もちろんA社のはずです。

A社のホームページはなだらかな道に仕上げられ、お問い合わせの行動がしやすいホームページです。B社のホームページはお問い合わせのしきい値が高い、ロッククライミングの山になっているようなものです。

Web集客全体の流れの例

Web集客を考えた場合、「ホームページさえしっかり作っていたら集客ができる」という考えですと、確かにそのようになりますが、ホームページだけではありません。

ホームページに訪れた人がお問い合わせをしやすいように資料請求を入れたり、その資料でも購入につながりやすいようにキャンペーンのチラシを添えたりと、山の崖に階段を取り付けるかのように、お客様が行動しやすいようにしてあげることを考えます。

人によっては、資料請求ではなく、直接会って話を聞きたい人もいるかもしれません。そのような人で、遠隔地の場合には、オンラインミーティングが可能であることをホームページに記載しておくべきでしょう。

このように、カスタマークライミングでは、さまざまな顧客を想定し、販売全体の流れを考えます。

カスタマークライミングの方法

カスタマークライミングは、おおよそ次の流れで行います。とても簡単です。

  1. ゴール設定
  2. 顧客想定
  3. 山の魅力
  4. 登山ルート想定
  5. 難所の改善

1.ゴール設定

最初にゴール設定を行いますが、カスタマークライミングのゴール設定では、主に集客のことでしょう。集客にもいろいろなゴールがあります。

  • お問い合わせ
  • ご契約
  • 購入
  • リピート購入
  • 会員登録
  • お友達のご紹介

1つ目のお問い合わせは、「少し甘いのではないか」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。ところが、これもゴールの一つになります。企業によっては、「お問い合わせの面談まで至れば、ほとんどクロージングができる」という方もいらっしゃいます。そういった方は、面談をゴールとしても良いと思います。

このように、会社独自で、何をゴールに設定するのかが異なります。もちろん、山の頂上は1つとは限りませんので、お問い合わせを第1ゴール、ご契約を第2ゴールとしても良いです。

2.顧客想定

次に顧客を想定します。

ここで、まずお考えいただきたいことは、「お客様が何に困って、自社商品を購入してくださるのか?」「何の価値を大事にしているのか?」ということです。

困っていることを解消するためのソリューションが提供できなければ、ゴールに到達することはありません。また、大事にしている価値が満たされることを、購入の条件として望んでいる人もいます。

例えば、洗濯機を購入したい人を想定しましょう。洗濯機を購入したい人は、何に困っているのか?

引っ越しをするときに洗濯機を新しくしたい場合があります。一人暮らしをするために、小さな洗濯機を購入することもあります。家族が増えて、洗濯ものが増える場合もあります。仕事が忙しくなって洗濯がおろそかになり、「乾燥までしてくれて便利な洗濯機を欲しい」と思っている人もいます。

先ほどの工作機械を購入したいと考えている人の顧客設定であれば、次のような人を想定することができます。

  • 高精度で加工ができる機械が求められるようになった
  • 製造しているものと同じ加工ができる工作機械が必要
  • 今の機械と入れ替えるために、工場に入る程度の大きさのもの
  • 現在製造している製品が製造可能かを知りたい
  • 取り扱いが心配
  • できれば古い機械を下取りしてもらいたい

このように、想定されるお客様の顧客インサイトまで想定できたら理想です。

このような顧客設定で、できる限り「そういった人いる!」と思えるような人を想定してください。ときどき突拍子もない顧客を想定する人がいますが、ユニークなアイデアを出した人がいても、そのアイデアに反論しつつも、アイデアを出したことは褒めてあげてください。

カスタマークライミングをする目的は「どれだけ多くの人をゴールに導くか」です。よくいそうな人を想定し、集客を増やすことが大事です。

3.山の魅力

登山をする人は、山に魅力を感じて登山をします。つまり、自社が売りたいものの魅力を考える必要があります。

その魅力とは、顧客が求めている価値「ニーズ」と、自社が与えられる価値が合致しているものが魅力となります。

もちろん、自社のみが与えられる価値「バリュープロポジション」があれば理想です。するとブルーオーシャン戦略で、自社や自社事業の魅力をより強く顧客に伝えることができるようになります。

この魅力を考えるためのフレームワークは、マーケティングの3C分析がおすすめです。

4.登頂ルート想定

顧客を想定できたら次に、顧客はどのようにして自社のことを知るのか。その顧客はどのようなルートで登山を開始し、ゴールまでたどり着くための大まかなステップをお考えください。

この想定によって、広告宣伝の方法が大きく変わってくる可能性もあります。自社都合で考えるのではなく、顧客目線で考えることが大事です。

工作機械を探している人を例にすると、大まかには次のような4つのステップになることでしょう。

  1. ネット検索で工作機械メーカーを探す
  2. ホームページで工作機械のスペックや加工できることを調べる
  3. デモで製品を製造できるか検討する
  4. 2~3社で性能やサービス、価格を検討して購入する
登頂(「買いたい」から「買えた」)までのステップ想定

ステップの数は3~4段階が適切ですが、ゴールの高さによってステップ数が異なると思います。

ゴールが「お問い合わせ」といった難易度の低いものであれば、3ステップで事足りると思います。ゴールが「リピート購入」というものであれば、ステップ数は6~7ぐらいに増やすべきだと思います。

ステップを考える上で参考になるフレームワーク

このステップを考える場合に参考となるフレームワークがあります。それは

  • AIDMA
  • AISAS

「AIDMA」(アイドマ)とは、消費者は何かを購入するときは、Attention:注意」「Interest:関心」「Desire:欲求」「Memory:記憶」「Action:行動」の5段階で心境が進んで行くという考え方です。

また「AISAS」(アイサス)とは、ネット検索で何かを購入するときは、Attention:注意」「Interest:関心」「Search:検索」「Action:購買」「Share:情報共有」の順に心境が進んで行くという考え方です。

それぞれの5段階が、すべてのお取引きに当てはまるわけではありません。このようなフレームワークを参考としつつも、これらにとらわれずに自由に発想することで、カスタマークライミングの効果が高まります。

複数の登山ルートがある場合

また、登山ルートは1つとは限りません。「ホームページを見た」とか「展示会で見た」と言った具合に登山の入り口が異なっていることがあります。また、入口は「ホームページを見た」ということでも、「資料請求をした」や「電話相談をした」と言った具合に、途中ルートが枝分かれする場合もあります。

より多くの方を集客するために、そのような、登山の入り口を複数想定したり、途中ルートの枝分かれを想定し、難所を改善していくことが大事です。

5.難所の改善

大まかなステップができたら、そのステップの中で必要な施策があります。それができているかを確認します。できていない箇所は、登山で言うところの難所です。

上記の工作機械を探している人の事例であれば、1段階目ではSEO対策ができていなければなりません。「自社名で検索したら1位に来る」と思われるかもしれませんが、お客様が貴社の社名を知っているとは限らないのです。

2つ目では、ホームページに工作機械の詳細なスペックや加工事例が掲載されているかを確認します。また、工作機械設置のことや操作説明会開催などのアフターフォローのこともホームページに掲載しておくべきでしょう。ランディングページ(LP)を制作することで、難所を登りやすくできます。

3つ目では、デモで加工できるかを受け付けていなければなりません。ホームページに「無料相談を承ります」と書いておくだけで、電話したくなるものです。守秘義務の契約も必要になるかもしれませんので、そういったこともホームページに掲載しておく必要があります。

4つ目では、顧客フォローが大事になります。単に製造可否を返答するだけでなく、お客様に提案することで、信頼度が増します。こまめなフォローによって「このメーカーは対応が良い」という好印象を与えることも、購入の条件になる場合もあります。

さらには、このステップの中で2番目から3番目に至るところが、難所と思われます。この難所に土台やはしご、階段を作って改善するという意味で、資料請求やデモ動画などを入れて、デモの依頼につながりやすいように施策を検討することができます。

このように、顧客が難所を登山しやすいように設計する土台やはしご、階段などのことを、「中間ステップ」と言います。

中間ステップの検討がカスタマークライミングの醍醐味となります。

難所が通過できるように改善

以上、有効な集客の手法を発見するためのフレームワーク「カスタマークライミング」をご紹介いたしました。

いかがでしたでしょうか。簡単なフレームワークですが、購入を登山に例えると、とても考えやすかったのではないかと思います。

集客方法を改善するためのフレームワークには、カスタマークライミングの他にも、マーケティングの3C分析があります。また、多くの中小企業では集客改善に、事業の体系化が必要となる場合があります。

マーケティングの3C分析については、マーケティングの3C分析とは?手順や活用法の徹底解説をご覧ください。また、事業の体形化については、別の機会で述べたいと思います。

このコラムが集客方法の改善のご参考になれば幸いです。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら数千を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくりる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

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