社長の夢実現への道

零細企業を小企業に成長させるための5つのポイント

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零細企業を小企業に成長させるための5つのポイント

零細企業とは、法律での定義は無いようですが、従業員数が5人以下の会社と言われることが一般的です。

成長意欲のある零細企業の社長が、自社を従業員する30人ほどまでの小企業に成長させるためのポイントを解説します。

零細企業は文鎮型組織で、社長がすべての業務を行っている状態の企業です。そのような会社が成長のためのボトルネックは、次の5つにカテゴリ分けができることと思います。

  • 社長のマインド変革
  • 商品力を高める
  • 販売力を高める
  • 資金繰りの改善
  • 人材のイノベーション

成長意欲があっても成長できない会社は、これらの中のどれか、もしくはすべてに問題を抱えていることと思います。

1番の社長のマインドの問題は、当の本人には気が付きにくいことです。この記事でも少し解説しますが、これを話し出すとかなり長くなるので、別の機会でも解説したいと思います。

零細企業の場合、4番の資金繰りと5番の人材は、実は社長のマインドを変革し、商品力と販売がうまくいくと解決しやすいものです。商品力があり、販売力が高まると、資金繰りがうまくいく傾向があります。資金繰りがうまくいくと、人材が良くなる傾向があります。

2番の商品力と3番の販売力に共通することが一つあり、それは「社長が自らお客様のところに頻繁に訪問すること」です。

この記事では、2番の商品力と3番の販売力についての改善について述べたいと思います。

零細企業が小企業に成長するための5つのポイントとは?

冒頭で解説した、成長意欲のある社長が、「自社を零細企業から小企業に成長させるための5つのポイント」について解説いたします。

ここでご紹介する内容は、あくまでも零細企業を小企業に成長させるものです。小企業から中企業への成長には、また別の要素が必要となります。そのポイントは、「仕組み化」によって属人化している部分を無くしていくことです。

1.社長のマインド変革

マインドは、心や意識といったものですが、ここでは、「凝り固まった考え方」と定義しておきたいと思います。この凝り固まった考え方によって、会社の方向付けを決めることとなります。

会社を成長させようとしたら、社長が心底「何としてでも成長させたい」と考えることが何よりも必要なことです。「成長したらいいな」という程度でしたら、成長することはありません。仮に成長したとしても、すぐに元に戻ってしまいます。

会社を成長させることはとても大変なことですから、その大変さを受け入れるという代償が必要になります。そして、その代償を、ノルマやペナルティなどのような、大変なものと思うのではなく、代償を歓迎し、楽しむくらいでないといけないのです。そのくらいで、やっと「代償を受け入れた」と言えます。

「類は友を呼ぶ」と言われますが、仕事を楽しんでいる社長の元には、仕事をいっしょに楽しめる人が集まるものです。社長が熱意を持って仕事に取り組んでいると、熱意ある人が、事業規模に応じて集まってきます。

社長のマインドは多岐に渡るので、話が長くなってはいけませんから、一つ付け加えておきたいと思います。それは、「社長は人の気持ちがよく判る人になること」が大切です。人の気持ちが判らない社長には、基本的にお客様や従業員といった人がついて来ないのです。

2.商品力を高める

商品力とは、商品の魅力です。商品を魅力と感じる人は、社長や社員ではなく、お客様です。お客様が商品を魅力に感じ、適性価格で、そして自社が十分な利益が出る商品を、「商品力があるものだ」と言えます。

商品とは、売れる商品のことです。商品力の無い商品は、「製品」と言います。単に売られているだけの物やサービスですので、お客様が買ってくださらないものです。

製品が商品となるためには、商品がお客様にとって魅力あるものになることです。お客様のことを知り、競合他社が当たり前としていることを取り入れ、お客様のご要望に応えることです。

商品が売れるかどうかは、次に解説する販売力とも関連性があります。ですので、商品開発は販売をも考慮して開発することが大切です。

3.販売力を高める

販売とは、商品を売って現預金に変えることです。零細企業の社長によっては、ときどき「優秀な営業マンが入社したら、販売力が高まる」とおっしゃることがありますが、零細企業に優秀な営業マンが入社することは極めて稀なことです。

本当に優秀な営業マンは、コミッションが高くなるので、零細企業では資金面で耐えられないと思います。優秀な営業マンを雇うことを諦めて社長自らが優秀な営業マンになるように努力してください。

販売力の高さのポイントは、「お客様から1番に思い出してもらえる」ということです。そのためには、競合他社よりもお客様に会いに行くことが基本です。

お客様が商品を購入するのは、何かに困っていて、商品にそのお困りごとを解決する力があるからです。そのようなお困りごとの解決手法を、ソリューションといいます。

社長自らが販売をすることを旨として、お客様に会いに行くと、さまざまなお困りごとを聞き、ご要望もあります。そのご要望に応えるソリューションを提案し、提供していくことで成果が出ます。すると、販売力だけでなく商品力も高くなっていきます。販売力は商品力と関連性が高いのです。

また、商品が売れるようになると、販売に自信が出てきて、社長の販売力も上がります。

4.資金繰りの改善

資金繰りは、会社のお金の出入りのやりくりです。

会社が社員を雇ったり、外部の会社に何かを依頼したら、現預金が出ていきます。会社がお客様に貢献したら、現預金が入ってきます。その出入りの帳尻を合わせることが、資金繰りです。

支払う現預金が無くなってしまったときに会社は倒産します。ですので、出ていくお金よりも、入ってくるお金を大きくして、現預金が貯まっていくようにすることが大事です。

お金の入りは、明らかに商品力と販売力に関係します。ですから、商品力と販売力を高めることができたら、資金繰りの悪さは解消されていくはずです。

しかし、会社が成長していくときには、必ずムダが発生します。そのムダを抑えてくれるのが経理担当者です。しかし、経理担当者は投資の概念が無い人がほとんどですから、経理担当者の話を素直に訊き入れる社長がいたら、会社は成長できません。

貯まった現預金は、何かに投資していかないといけませんが、そこは財務的な要素になります。零細企業が小企業に成長していくときには、少しは財務のお勉強をされた方が良いです。しかし、世の中の多くの財務の書籍は、マーケティングの要素が弱いと言うか、マーケティングのことが書かれている財務の本はほとんど無いので、そういった書籍は参考にはなりますが、実用的ではありません。

5.人材のイノベーション

人材とは、採用のことが言われるように思いますが、実は採用のところではなく、人材育成なのです。人材育成がしっかりしている会社は、人材が育つので、良い商品ができ、良い販売ができるので、相対的にお給料も高くなり、人気が高い会社となっていくのです。

また、零細企業に入社してくる社員は、ほぼ間違いなく優秀ではありません。本当に優秀な人は、高いお給料の企業、高度なチャレンジをさせてもらえる企業に就職していくものです。

ですから、社長は「人材は優秀な人を雇うこと」ではなく、「人材は育てるもの」とお考えになった方が良いです。

「社員が優秀でない」とか「社員が育たない」と社員の責任にしている社長ですと、その会社には社員が定着しにくいので、会社の規模が成長しにくいと思います。その社員を雇ったのは社長ですから、社長の人を見る目を鍛えるための勉強だったのです。

「優秀な社員に育たないのは社長が悪い」と自己責任で考えている社長、社員の幸福をいつも考えている社長の元には、優秀な社員が集うものなのです。

そして優秀な社員に育つかどうかは、社員を育成する仕組みが大事なのですが、零細企業に仕組みなどありません。そこで、社員は諦めて、社長お一人で商品力や販売力を高めていくことが大事です。時間はかかりますが、その努力する姿や社員を思いやる姿を見て、少しずつ社長の真似をする社員が現れ、社員が育っていくものです。

何が会社成長の原動力となるのか?

企業が成長するためには、どのような企業であっても利益が必要となります。利益が得られないまま企業を成長させようとすると、借金先行型となってしまい、実績が伴わずに、大きな借金を残して倒産してしまうこともあるからです。

まずは社長の志

まずは社長の志です。志と言うと、何か古臭いように思うかもしれませんが、社員やお客様の幸せ、世のため人のために貢献したいという利他の気持ち、貢献マインドです。他人の幸せを、自分の責任と感じるようになったその気持ちから、志が生まれます。

稲盛和夫(いなもりかずお、1932~2022)先生のお言葉を借りるならば、「経営に私心なかりしか」です。

他人の幸せを自分の幸せと感じるようになるときは、社長が考えて提供する商品によって、お客様に喜んでもらえたときです。お客様に喜んでもらえたときに、今までの苦労が喜びに変わり、「もっと貢献したい」「もっと多くの人に幸せになってもらいたい」という気持ちになります。

利他の気持ちや貢献マインドを強く持っておられるならば、ぜひとも会社の成長を目指してください。

志の無い社長は、会社が大きくなってしまったら、分不相応な事業規模の反動が来て、大変な目に遭うこともしばしばです。志のない社長は、志が芽生えるまで、会社を大きくしない方が良いです。

成長の原動力は社長の成長意欲

松下幸之助先生が「二階に上ろうとしなければ、二階に上がることはできない。」とおっしゃるように、社長が会社を成長させたいと考えなければ、会社は成長しません。成長意欲を持つことが、スタートです。

社長に成長意欲がなく、たまたま社員が活躍して会社が成長してしまったとしたら、その会社は社員が独立したり、何かトラブルが発生したときに、踏ん張って耐えることができないので、やはり元の規模に戻ってしまいます。

社長が何を目指しているのか、自分自身を納得させるためにも、はっきりさせておいた方が良いです。そして、会社を将来どのようにしたいのかを、普段から社員に話しておくことが大事です。その目指していることの中に、私心がないことを、何度も点検してください。

ただし、成長した会社の姿を実現させられるのかどうかは、社長の実力次第ですから、それに執着してはいけません。会社を成長させたいことを考えることは良いです。それを目標として立て、それを実現するための方針を出し、社員には方針に従って働いてもらいます。

その方針が合っているのかどうか、社員が方針通りに仕事をするのかどうかによって、目標が実現するのかどうかが決まります。

社長の陣頭指揮

先日、とある社長から会社経営の相談を受けました。その方は、商社を先代から社長を引き継がれて1年目で、従業員数が15人ほどの会社でした。その社長の話によると「オーナー企業の社長から『社長室で陣頭指揮を執った方が良い』と指導されているが、私は営業上がりなので昼間は営業の陣頭指揮を執っていたい。平野さんならどのように考えますか?」とおっしゃられました。

社長の仕事は、会社が成長するための新しい仕組みを創り出すこと、飯の種を生み出すことですが、私は、営業の陣頭指揮を執る方向で良いと考えました。

商社では営業がまずもって大事です。そして、社長が陣頭指揮を執り、お客様に貢献をして喜んでいただける仕組みを創っていくことです。営業の仕組みを創り出すためには、社長が営業で陣頭指揮を執ることが大事です。そして、飯の種もお客様のところに会いにいかなければ、アイデアは出てくるものではありません。

社長が社長室にこもっていたら、数字を追うことが中心となるため、社員の意欲は下がり、自己中心的な考えを持つ社員が増えてしまいます。また、生の情報が得られないので、会社の方針に誤りが出て、会社経営を危なくすることでしょう。

成長の原動力は利益

事業活動によって得られた利益は、自社の未来のための費用になります。利益を得るということは、利益を得る仕組みが出来上がっているということです。その仕組みを進化させることが、さらなる利益の増大につながります。

次に、設備投資や人材への投資など、成長のための投資をする場合は、銀行からお金を借りることになります。銀行との交渉では、利益が出ていたらお金がお借りやすくなります。

さて、できれば借金をしないで投資ができる方法を考えてみてください。借金の返済が、将来の成長を止める場合もあるためです。例えばすでに設備を持っている企業に外注する方法もあります。社員を新しく雇わなくても、仕事量が増やせる仕組み変える方法もあります。

会社に利益が出始めたら、志の小さな社長は欲に弱く、利益が得られたら、それを飲み食いや、投資と称する無駄な消費に使ってしまうことがあります。利益が出始めたら、自分自身に私心無きことを何度も問うてみてください。

商品力の高め方

利益を得るためには、商品力と販売力の高さに起因します。まずは、商品力の高め方を解説します。

商品力が決まる要素

商品力の高さは、競合他社と比べてお客様にご満足いただける商品かどうかで決まります。お客様にご満足いただける商品にするためには、次のことを点検してください。

  • 原材料
  • 性能
  • 品質(製造する腕前)
  • 見栄え
  • 価格
  • 提供方法

商品によっては、すべて当てはまらないかもしれませんが、おおよそこの6項目で商品力が決まります。これらの項目が、競合商品との比較によって、またお客様のニーズがどこにあるのかの重みづけも加味されて点数付けがなされ、点数の高いものが高い値段でも売れることになり、利益が得られます。

例えば、当社のような経営コンサルティングを提供する場合であれば、原材料としてはコンサルタントの人間性になります。性能では、適格なコンサルティングのジャンルが合っているかどうか。品質では、コンサルタントの腕前の高さになります。見栄えは服装やしぐさかもしれません。価格はさておき、提供豊富はコンサルティングの流れです。

これらのことが競合他社のコンサルティングと比較して優れているようであれば、お客様から選ばれるコンサルティング会社になります。もちろん、お客様が求めるコンサルタント像によって、重みづけされて点数が付けられます。

お客様によってニーズが異なりますが、これらの項目の中で一つでもお客様のニーズに合致していない項目があれば、その商品が売れたり、売れ続けたりすることはありません。売れたとしても、お客様に我慢を強いていることになるので、競合他社がニーズに合った商品を販売しはじめたら、お客様はすぐに他社商品を利用するようになります。

付加価値を高める

商品力を高めるために、「付加価値を高める」と言われる社長は多いことでしょう。ここで、商品の付加価値について解説します。

付加価値とは?

付加価値とは、付加された価値です。その価値を感じる人は、お客様ですから、お客様にとっての価値ということになります。そのお客様が、商品に対して価値を感じ、さらには付加価値があると感じてもらえることが大事です。

自社で開発した商品は、どうしても愛着が湧いてきます。そのため、お客様目線ではなくて、自分目線で価値を創造してしまうこともあります。そのような価値のことを、付加価値とは言わずに、「独りよがり」といいます。

いくら自社で「良い商品だ」と言ったところで、お客様に選んでもらえなければ、それは独りよがりの可能性があります。自社で独りよがりになるのではなく、お客様が「この商品は他にない価値がある」と思ってもらえるものが、付加価値です。

付加価値の考え方

付加価値はお客様が、他にない価値を感じてもらえることが大事です。ということは、他社の商品と比較して、お客様が自社商品に付加価値を感じてもらえるということです。

自社商品の付加価値を高めたい場合には、お客様のニーズと他社商品を分析することです。お客様のニーズと、他社商品が持っている価値を分析することで、どのような付加価値を獲得すべきかが判ります。

このときにニーズを創造してはいけません。お客様にニーズが存在しないのに、勝手に「このようなニーズがある」と思い込んでしまったら、取返しが付かないことになります。将来的にニーズが発生するような場合の商品は、零細企業は手を出してはいけないのです。

利益を得るためには、零細企業では高付加価値商品が必要です。お客様が高い価値を感じるのであれば、価格を高めに設定することが大事です。ときどき、原材料費を元に価格を決める人もいますが、高付加価値がある商品であれば、価格をかなり高めにしても良いはずです。

そうすることで、高付加価値商品を販売することによって、大きな利益が得られます。

商品の価格については、後ほど解説いたします。

提案力を高める

商売によっては、競合他社と同じ商品を扱うこともあります。建材を扱う商社であれば、建材メーカーの製品を仕入れて販売するわけですが、競合他社も同様です。そのような商売では、価格競争になりがちです。

価格を安く抑えられても利益が出せるのであれば、それだけ会社の社内の生産性が高いと言えるので、その会社は付加価値が高いことになりますが、値引き政策には限界はあります。

提案力を高めて付加価値を出す

そこで、「提案力を高める」という付加価値を出す方法があります。

提案力は、お客様のお困りごとを先んじて発見し、問題提起し、お客様に代わって考えてソリューションを提案することです。販売力とも関わることです。

提案力のある会社は、行動力もあります。お客様から「これが欲しい、あれが欲しい」と言われる前に行動します。お客様のお困りごとを知り、そのお困りごとと自社の強みが合致するところ、もしくは自社がお客様に貢献するための強みを獲得していって、お客様のお困りごとを解消するための提案をするのです。

当社のホームページ制作の提案例

当社の事業では、ホームページ制作の請負をしておりますが、単に「ホームページを刷新してもらいたい」とのご依頼のあったお客様に、ホームページを刷新する理由をお伺いしています。そのときに集客力アップを目的とされる方には、SEO対策やコンテンツマーケティングをご提案し、ネット検索経由での大幅な集客力アップをご提案しています。

単にホームページ制作の請負だけをして、お客様に言われた通りのホームページを納品していたら、それだけでも50万円ほどの売上にはなりますが、それだけであれば、当社にご依頼される理由がありません。

当社は、お客様の売上アップに貢献してはじめて、ホームページが機能を果たしていると考えるため、必ずお客様の売上アップに貢献するご提案をしています。

提案をするときは多大な労力がかかりますが、お客様にご納得していただけ、導入していただけたら、ほぼ間違いなく集客力がアップするので、お客様から言われた通りのホームページを制作したときよりも、たいへんご満足いただけています。

お客様のところに社長が直接訪問する

提案力を高めるための最大のポイントは、お客様のところに社長自らが訪問することです。

お客様のところに定期訪問する最大の理由は、1つにお客様のニーズの変化をつかむこと、もつ1つはお客様に1番に思い出してもらうためです。

社員任せにしていたら正しい情報はつかめない

社員に情報収集を任せていたら、自分にとって都合の良い情報や社長の機嫌取りの情報しか報告されないことが多いため、社長自らお客様のところに訪問して情報を得るのです。

社長は、会社の中で最も高度な判断ができる存在ですので、お客様のウロコを見て魚全体を予測することができます。例えば、会社に訪問した瞬間に、「この会社は伸びる!」とか、「この会社は危ない」と直感でつかむこともあります。そのような経営に直結する情報は、社長でないとまずつかむことができないとお考えください。

社員に報告してもらうことは大事ですが、それだけでは正しく報告されることは稀です。社長自らが社員に報告してもらいたい内容の基準を決めること、報告の内容で社員を処罰しないこと、報告しなかったことに罰則を設定することをおすすめします。

自社の営業担当者がお客様のところに定期訪問していたとしても、社長がときどき訪問することが大事です。少なくとも、電話でお客様に連絡を取り、フォローをすることは行って頂きたいと思います。

お客様訪問で何をつかむのか?

さて、社長がお客様のところに訪問したときにどのような情報をつかむのか、どのようにしてお客様のお困りごとをつかむのか、ということですが、次の基準が主なものとなります。

  • 予期せぬこと
  • 理想と現実のギャップ
  • 社内ニーズ

予期せぬこととは、予想していなかった出来事や変化です。例えば、お客様の会社の社長が病気になったことも、予期せぬことです。自社以外にお客様のところに出入りする業者が現れたとしても、予期せぬことです。そういった変化をつかむのです。

理想と現実のギャップには、利益、商品の価値、生産性、健康、商品の使用方法など、あらゆるものに理想と現実があり、そこにはギャップが生じています。経営に関するギャップのことを「問題」といいます。その問題をお客様に代わって発見してあげることで、提案力が高まります。

社内ニーズとは、お客様の社内に発生しているニーズです。例えば、社長は「経理業務は、経理担当者2人でうまくこなせている」と思っていても、月末や期末には、その2人が徹夜をしてまで決算書を作成していることがあります。販売管理システムを導入したら、2人を1人に減らして、なおかつ残業を無くすことが可能な場合もあるのにもかかわらず、社長は「うまくいっている」と勘違いしていることがあります。そういった社内ニーズを発見してあげて、社長に提案してあげることで、お客様企業の内部の生産性を高めることができます。

お客様との人間関係を構築する

お客様の訪問の目的の一つは、何かあったときにお客様に自分のことを1番に思い出してもらうことです。1番に自分ではなく、会社名を思い出してもらうことも考えられますが、それは大企業での話です。ネームバリューが皆無の零細企業では、社長の顔を思い出してもらうことが大事です。

そのために、お客様との人間関係を構築するのです。お客様との人間関係構築の最大のポイントが次の2点です。

  • 成果を出すこと
  • お客様が大変なときに手助けをすること

訪問頻度や提案力、接待などでも人間関係を構築できますが、この2点で貢献することができたら、お客様は自分のことを忘れることはまずありません。そして、定期訪問をしていたら、それだけで1番に思い出してもらえるようになります。そこに提案力が加われば、利益の大きな仕事を頂けるようになります。

お客様訪問では、「お客様のところで長居をする」という、間違ったことをしてはなりません。お客様は忙しいですし、その中で長居をされてしまったら、訪問をお断りされる恐れもあります。後ほど解説しますが、滞在時間は短く、訪問回数を多くするのです。

お客様訪問からつかんだ情報を元に、商品をどのようにイノベーションさせていくのかの方針を出します。

販売力の高め方

続いて販売力の高め方を解説します。

販売力で零細企業成長の50%ほどが決まる

販売力は、商品力とセットになっているものです。零細企業の売上高の増加は、商品力と販売力を高めるための社長の方針次第で決まるようなものです。

商品力と販売力のどちらか1つだけを高めるとしたら、私は迷いなく販売力と答えます。その理由は、零細企業が成長するための問題の50%ほどが、販売によるものだからです。販売力が高まれば、問題の50%は解決したことになります。

ちなみに、商品力は25%ほどです。商品力と販売力が高まれば、零細企業の問題の75%は解決してしまいます。

このようなことから、商品力と販売力の両方を高めないといけない会社をコンサルティング支援する場合には、まずは販売力の強化から入ります。

会社をイノベーションさせようとしている社長は、できれば1つのことに集中しないといけません。両方を高めることを同時にできる会社は、小企業に成長し、商品力と販売力でそれぞれ経営担当者が育ってからとなります。

社長のお客様訪問の頻度

販売力を高める方法の基本は、お客様訪問の頻度です。先ほど、お客様のところに社長が直接訪問する理由は、「お客様から自分のことを1番に思い出してもらうこと」と述べました。このことについては、ランチェスター経営でおなじみ、竹田陽一先生の常套手段となります。

空中戦では戦力差は、人数の2乗に比例します。つまり、お客様に思い出してもらえるための戦闘力は、競合他社よりもお客様に会う回数を2倍以上にしたら、4倍思い出してもらえるということです。3倍の回数を会ったとしたら、一人勝ちです。

ここで大事なことは訪問頻度であり、滞在時間ではありません。社長が訪問したとなると、応接間に通されて話し込むこともありますが、最初は話し込んだとしてもそれ以降は滞在時間を長くても5分とします。お客様がいらっしゃらないときには、名刺だけを置いて帰ります。

お客様へのご奉仕は入念に

伝説の経営コンサルタント一倉定(いちくらさだむ、1918~1999)先生は、お客様訪問も大事であるが、エンドクライアントのところにも訪問し、エンドクライアントに貢献することを述べています。

例えば、工作機械メーカーが、商社を通じて工作機械を販売していたとしましょう。工作機械メーカーの社長は、直接のお客様が商社ですが、エンドクライアントであるユーザーのお客様のところに訪問します。そして、工場を見せてもらい、自社製品が稼働している様子を見ることが大事です。

そのときに、担当者にお困りごとを聞いたり、何かトラブルがあればその場で対応します。場合によっては、部品の取り換えや工程作業を手伝ってあげるくらいで、ちょうど良いと思います。そうしたように、お客様に貢献することで信頼関係が構築されていって、相手が本音で話をしてくれるようになり、提案力を高めることができます。

そして、工作機械が直接販売できたら、商社を通じて納品をするのです。すると、商社に借りを作ることになり、自社製品を積極的に販売してくれるようにもなります。

自社製品の販売は、商社任せではなく、自社が責任を持って販売することが大事です。

究極には販売を自動化する

ここでの販売の自動化は、理想的には勝手に商品が売れることです。EC通販といったものはそれに該当しますが、販売の完全な自動化は商品の性質によります。完全に自動化できなかったとしても、ルーチン化によって自動化ができます。

ルーチンになっている作業は、その作業中に別のことを考えていても作業が進み、またストレスなく作業的にこなすことができます。このような流れをルーチン化し、誰でも社長と同じように訪問営業ができるようになれば、販売が自動化されていきます。

社員の育成までルーチン化されたら、小企業から中企業に成長させていくこともできます。そのルーチンが固まってしまったら、成長のボトルネックになることもあるため、ご注意ください。

販売価格の高め方

現在、原材料が上昇していると言われていますが、企業によっては、その価格を商品価格に転嫁させることが難しい場合があります。販売価格の高め方には、状況によって異なりますが、基本を解説いたします。

既存顧客に値上げを伝えにくい場合

過去からお取引きをしているお客様からは、値上げがしにくいと思います。その場合は、新しいお客様から値上げをしていくと良いと思います。

過去からお取引きをしているお客様には、値上げ要求だけをしておき、新しいお客様からは自社が納得できる金額で受注をすることが大事です。

商品の価格は、原価で決まるのではなく、どれだけ困っているのか、そのソリューションの価値で決まります。付加価値の高い商品を開発したならば、安い金額で販売する必要はなく、価値に応じた金額で販売したら良いと思います。商品に自信が出てきたら、思い切った高い金額でも受注できるようになることもあります。

そして、既存のお客様には、新価値商品を提案して、価格の高い商品に乗り換えてもらえるようにします。

値下げ要求がある場合

部品や食品などの製造業で多いと思いますが、生産性を高めることで価格を下げられる製品を販売しているときには、値下げ要求が多いと思います。その場合には、反対にお客様に値上げ要求をするのです。

値上げ要求だけをする理由は、値下げ要求を跳ねのけるためです。値上げ要求をしたら、それは断られるはずです。断ったら貸しを作ったことになりますから、値下げ要求がしにくくなるのです。

どうしても利益が出ない場合

今までのお付き合いから、どうしても利益が出ない金額で受注している場合で、なおかつ競合他社でもその金額では受けたくないと感じるような低い金額で請け負っている場合の対策は簡単です。半年後とかそういった期限を決めておき、「半年後までは納品責任を果たすが、それ以降はこの金額ではお受けできない」と伝えたら良いです。

納品先が中企業以上の規模の場合には、担当者の一存で値上げ要求を受け入れることができません。納入の担当者は上司と相談して、その上司が乗り出してくると思います。そのときに、相手から価格交渉を持ちかけられ、「この金額ではどうか?」と提案されると思いますが、お伝えした金額以下では受注しないことが大事です。

相手は、他の会社に浮気しても安い金額では請け負ってもらえないことを知っているので、お伝えした金額で受注ができるはずです。

以上、零細企業が小企業に成長するための要諦を5つ解説いたしました。ここで述べたことは、どれも基本的なことですから、これらのことから外れた会社は成長できません。すべてを満たすことができたら成長ができます。

この記事を時折読み返して、会社の成長のボトルネックをつかんでください。

もし、自社を成長させたいが、何から始めたら良いのか判らない社長、自社の成長のボトルネックが判らない社長は、ぜひ当社のコンサルティング支援の導入をご検討ください。

この記事の著者

平野亮庵

経営・集客コンサルタント
平野 亮庵 (Hirano Ryoan)

国内でまだSEO対策やGoogleの認知度が低い時代から、検索エンジンマーケティング(SEM)に取り組む。SEO対策の実績はホームページ数が数百、SEOキーワード数なら万を超える。オリジナル理論として、2010年に「SEOコンテンツマーケティング」、2012年に「理念SEO」を発案。その後、マーケティングや営業・販売、経営コンサルティングなどの理論を取り入れ、Web集客のみならず、競合他社に負けない「集客の流れ」や「営業の仕組み」をつくる独自の戦略系コンサルティングを開発する。

プロフィール詳細


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